勝負師の選択 | おかしな話

おかしな話

今年もギウラー!

通勤にてJRを利用する小生にとってシートに座れるか座れないかは重要な問題である。

なにせ50分の長旅、立ちっぱなしは結構ツライ。


しかし、乗車する時間、車両が限られてくると周りも毎日見たような顔ぶれとなるのだ。

そこで早く降車する人の前のつり革を陣取り、とりあえずは上野からの座席を確保するここ最近。

しかし、本日は途中で杖をついた初老のお婆さんが小生の隣にやってきたのだ。


その杖を目にした小生は悩む。
好青年を気取り「おばあちゃん、ここ座っていいよ」と席を譲るのか、
それとも「オラオラ!オメエに座らせる席はねぇ!」といわんばかりになにくわぬ顔でその席についてしまうのか。

目の前の輩が降車するまであと2駅・・・実に悩む!

マージャンを嗜む勝負師の端くれとしては他人に対するそのやさしさは命取りになる。
ここは厳しく「杖ついてりゃ譲ってくれるとでもおもったかぁ、婆ちゃん?世の中そんなに甘くねえぞ」と席に着くことを決心。


そして、上野に到着。

つい数秒前まで「自分が座る」と堅く決心し、何があっても揺るがないと思われたこの気持ちは脆くも崩壊・・・・

「おばあちゃん、ここ座っていいよ」・・・・・・










ガーーーーーーーン





勝負師失格!!

あぁぁぁぁぁ、オレはなんてことを言ってしまったんだ。この甘さが打牌の甘さを生むというのに・・・

現役(野球の)当時から「おまえは勝負師としてはやさしすぎる」と散々指摘されてたオレ。
今日こそは勝負師として非情に徹しようと心に誓っていたのに・・・・

こんな自分に半分呆れ、うなだれるように両手でつり革を掴んだが、こぼれたミルクはコップには戻ってこないのだ。

この時、以前の合わせで国士を上がり損ねた局の光景が走馬灯のようによみがえる・・・・
あのドラ白を9ピンと入れ替えていれば・・・・

ヨコリハさんに放縦した白単騎が頭から離れねぇ。

そんなことを考えている折、席を譲った婆ちゃんの隣の若いオナゴが秋葉原で下車、

「シメシメ!」と席に着く小生、そのまま品川まで暫し眠りにつくのであった・・・・


品川で下車し、軽くアクビをしつつ今日の負けを悟ったのだ。