今朝のカズコの朝食は、これ。

父が作った煮物達だ。
御年89歳、昔は典型的な仕事人間だったけれど、
カズコがボケたことで、家事全般を担っている。
元来、掃除好きだったから、
掃除や洗濯は苦ではないらしい。

問題は、料理だ。
「主婦ってもんは、ありゃ大変だなぁ。
毎日、献立考えないかんのが、
こんなに大変だとは、思いもしなんだ。」
と、言っている。
そんな父の料理は、試行錯誤の日々だ。
初日に作った、大根と人参の煮物は、
2日目、「味がイマイチだ」と言って煮直し、
3日目には、「人参がデカ過ぎる」ということで、
人参だけ取り出して、キッチンバサミでカットし煮直した。
ここまで手を掛けると、愛着も湧く。
そう安々と気軽に口へ運べない逸品だ。
だけど、カズコはそもそも人参を食べない。
4日目、今朝もカズコは逸品には
全く箸をつけず終了した。

ああ、切ない逸品よ。
そろそろ腐りそうだから、
父さんにバレないように、逸品を闇へ葬ろう。
南無三!