こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

千葉県弁護士会が5月7日に会長声明を出したようです。

 

 

(千葉県弁護士会ホームページより引用)

「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」に強く反対する会長声明

 

 1 法案の概要

 2024年2月27日に閣議決定され本国会に提出された「重要経済安保情報 の保護及び活用に関する法律案」(以下「本法案」)は、4月9日に衆議院で可決 され、参議院に送られた。 本法案の概要は、①重要経済基盤(重要なインフラや物資のサプライチェーン) に関する一定の情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が 国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため特に秘匿する必要があるものを 「重要経済安保情報」として秘密指定する、②「重要経済安保情報」の取扱いの 業務は政府による適性評価(セキュリティ・クリアランス)を実施し、重要経済 安保情報を漏えいするおそれがないと認められた者に制限する、③漏えいや取得 行為について刑事罰を科す、というものである。 秘密保護に関する法制としては、2013年12月6日に成立した「特定秘密 の保護に関する法律」(以下「特定秘密保護法」)があるが、後述するとおり、本 法案はこれと一体となり、その危険性を一層拡大するものである。 

 

2 秘密保護法制と当会の立場

 特定秘密保護法について、当会は2014年5月16日の定時総会において、 ①曖昧で広範な秘密概念によって恣意的な拡大解釈がされるおそれがある、②秘 密指定期間が無制限となる余地がある、③規制の対象が公務員だけでなく民間の 事業者、研究者、一般市民にまで及ぶ、④適性評価制度によりプライバシー侵害 や思想信条による差別と国民監視が強化される、⑤未遂、過失、共謀、教唆、煽 動など犯罪類型が広範で報道の自由や知る権利が阻害されるおそれがあり、その ことから自主規制や萎縮が生じるおそれがある、⑥秘密の内容が明らかにされな いまま刑事裁判手続きが進められ公正な裁判を受ける権利が侵害されることなど を挙げ、総じて基本的人権を侵害するおそれが極めて強いことを指摘し、さらに、 これら問題点の帰結として民主主義が機能不全となり国民主権が蔑ろにされるこ と、当時の国家安全保障基本法案や集団的自衛権行使容認論などと併せて海外で 軍事力を行使することを可能にするための法制度の1つともいえ、平和主義に反 することにも言及した(2014年5月16日千葉県弁護士会定期総会「特定秘 密保護法の廃止を求める決議」)。 

 

3 本法案の問題点

 本法案には特定秘密保護法と同様に看過できない重大な問題がある。 

(1)まず、本法案は上記のとおり、重要経済基盤に関する一定の情報であって、 公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与える おそれがあるため特に秘匿する必要があるものを「重要経済安保情報」として 秘密指定するというが、この定義は極めて抽象的かつ不明確であり、秘密指定 が恣意的になされるおそれがある。 政府の解説では、漏えい等により「著しい支障」が生じるものを「特定秘密」 とし、そこに至らない「支障」の場合を「重要経済安保情報」としているが、 本法案は特定秘密保護法のように外交、防衛、テロ、スパイ活動の4分野に限 定されているわけではなく、特定秘密保護法以上に対象範囲が広範かつ不明確 になると言わざるを得ない。 

(2)また、本法案では、サプライチェーンや基幹インフラに関与する多数の民間 事業者、先端的・重要なデュアルユース技術の研究開発に関与する大学・研究 機関・民間事業者の研究者・技術者・実務担当者など、広範な民間人が適性評 価の対象となる点で、人的範囲を大幅に広げることになる。 なお、適性評価を受けるに際して本人から同意を得ることとされるが、これ を拒めば、企業等が取り組む研究開発や情報保全の部署から外されたり、企業 等の方針に反するものとして人事考課・給与査定等で不利益を受けたりする可 能性も否定できず、任意の同意が可能か疑問であり、事実上の同意の強制とな るおそれがある。 

(3)その適性評価は、家族・同居人の住所、氏名、生年月日、国籍から、当人の 犯罪歴・懲戒歴、薬物濫用、精神疾患、飲酒の節度、信用状態など経済的な状 況にまで及ぶ詳細な事項を対象とすることにしており、プライバシー侵害のお それが、秘密を取り扱う評価対象者だけでなく、その家族、同居人など広範囲 に及ぶ点も含め、重大な問題がある。 

(4)本法案は、重要経済安保情報の漏えい、取得行為について5年以下の拘禁刑、 500万円以下の罰金刑を設けているが、上記のとおり構成要件が不明確であ るから、罪刑法定主義の観点から問題がある。 さらに、漏えい又は取得行為について共謀・教唆・煽動した者も処罰対象と するなど、犯罪類型が広範であり、ジャーナリストや市民が情報を取得しよう とする場合に萎縮効果が生じる可能性があり、報道の自由、知る権利を害する。 

(5)これらの危険や不利益を避けるためには、秘密指定や適性評価が適正になさ れているかをチェックするための政府から独立した第三者機関の設置が必要不 可欠であるが、本法案には盛り込まれていない。 

(6)以上のとおり、本法案は基本的人権を侵害する危険があるとともに、国民主 権や平和主義という憲法の根幹に関わる重大な問題がある。 

 

4 結語 以上のとおり、本法案は、衆議院で可決されるにあたって本法案に若干の修正 が施されたが、それは事後的に国会に報告するといったもので、上記の諸問題を 解決するものでは全くない。 当会は、基本的人権の擁護を使命とする弁護士会として、本法案に強く反対す る。

 

 以 上 

2024年(令和6年) 5 月 7 日 

千葉県弁護士会 会長 島 田 直 樹

 

(引用終わり)

 

私は、この問題は不勉強でしたが、千葉県弁護士会の会長声明を読んで、

なるほど大変なことだと感じました。

特定秘密保護法の危険性を、民間企業や研究者まで対象を広げていくような問題ですね。

最近の政府が進めている政策は、軍国主義体制に移行していった戦前の昭和を想起させるものと感じます。

 

弁護士会が政権の行おうとしていることに批判的な声明を出すと、

『弁護士会はキョクサ』だとか、ネット上で叩く人達もいます。

しかし、法律家の『強制加入団体である弁護士会』は、もちろん、左翼でも右翼でもありませんし、

『専門家が条文を解釈して危険性を指摘』していることを、論理や条文解釈でなく攻撃するというのは的外れだと感じます。

そもそも『キョクサ』とか『非国民』とかいう言葉を使う時点で、戦前の軍国主義を後押しした人たちと類似していますね。

 

昭和前半の軍国主義の時代のような日本に戻してはならない。

一人ひとりが、今、国が行っていることをしっかりと把握して、

自分たち自身の未来を守れるように考えてほしいと思います。

読んでくださり、ありがとうございました。