こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

絶賛連載中の

神武征討記

今回は、外伝です( ・ω・)

 

 

※この外伝は、2024年1月31日に公開されたものです。

 

神武征討記外伝

ただ家族を守るために~ミトナットウ一家の物語

 

 

ストーリーテラーのアメノウズメでございます。

「一人ひとりが主人公」の『神武征討記』。

今回の外伝の主人公は、ミトナットウです。

ミトナットウ(統53、武67、知49、政64、魅48)は、

常陸(茨城県)水戸の小豪族に生まれました。

小豪族といってもその生活はほとんど農民と変わりません。

常陸(茨城県)は、大和勢力のヤマトノアヤタムラマロ、

ゲンジノヨリトモと支配者を変え、思川の戦いがあった神武様30歳の年、

神武勢力エツノケンシンが平定します。

 

 

物語はその神武様30歳の年、エツノケンシンの常陸(茨城県)平定の時に始まります。

 

 

カキザキノイズミ「ぐわっ!くせえ!なんじゃこれは!?」

 

サイトウショウキ「これは…腐った豆ではないのか?

こんなものが喰えるのか?」

 

ミトナットウ「腐っておるのではございません!

発酵しておるのです!

これは、私が開発した納豆!

今は私にしか作れませんが、いつかこの水戸の名産となる食べ物でございます。」

 

エツノケンシン「……」

 

ビワジマノウサミ「ケンシン様。そのようなもの、

無理に召し上がらぬ方がよろしいのでは…」

 

 

無言で納豆を食べるエツノケンシン。

 

 

エツノケンシン「なかなか美味いよ。俺は気に入った。」

 

ミトナットウ「あ、ありがとうございます!

今までヤマトノアヤタムラマロもゲンジノヨリトモも喰ってはくれなかったのです。

私の納豆を献上品として受け取ってくださったのは

エツノケンシン様が初めてでございます!」

 

エツノケンシン「そうか。ヤマトノアヤタムラマロやゲンジノヨリトモは

どんな反応だった?」

 

ミトナットウ「ゲンジノヨリトモは『いらん』と一言、言っただけでした。

ヤマトノアヤタムラマロは…献上した納豆を投げ捨て、

『俺に腐った物を喰わせる気か』と、私を殴る蹴るしました…」

 

エツノケンシン「…そうか。美味しいのに。」

 

ミトナットウ「私は納豆づくりしか特技がありません。

美味しいとおっしゃっていただき、心から嬉しゅうございます!」

 

エツノケンシン「俺は戦は得意だが、統治は戦ほど得意ではない。

地元のことは地元の者に任せたい。

ミトナットウ。俺に仕え、この常陸(茨城県)の統治を手伝ってもらえるか?」

 

ミトナットウ「はは~!ありがたき幸せ!」

 

 

こうしてミトナットウはエツノケンシンの家臣となり、神武勢力エツノケンシン軍団に所属することとなりました。

エツノケンシンへの仕官を決め自宅に戻るミトナットウ。

ミトナットウの家族には、妻のオカメと娘ミトノウメがいました。

 

 

オカメ「あなた!軍神と恐れられるエツノケンシン様とお会いして、

よくぞ戻ってきてくださいました!」

 

ミトナットウ「エツノケンシン様はなかなかお優しい方だね。

献上した納豆も美味しいと言って食べてくださったよ。」

 

オカメ「まあ!納豆を食べていただけたのですか!

良かったわ!」

 

ミトナットウ「神武勢力エツノケンシン軍団に仕官することになった。

お給料もいただけるぞ。」

 

オカメ「なんと!これでなんとか暮らしが立ちますね!」

 

ミトナットウ「わしは、特別な才能も無い平凡な男だが、

お前とウメ。家族だけは守って見せるぞ。」

 

 

常陸(茨城県)は、海もあり、筑波山といった山々があり、

また霞ヶ浦という大きな湖もある地域。

水戸はエツノケンシン軍とゲンジノヨリトモ軍との戦闘が激しく行われていた地域から遠く、

エツノケンシンによる平定後は、戦も無い平和な日々が続きました。

ミトナットウは特に大きな功績を上げることもありませんでしたが、

地道に日々の内政事務を行い、8品官に昇進。

エツノケンシンから常陸(茨城県)の代官に任じられるようになりました。

そして明けて神武様31歳の年の春、

娘のミトノウメは出雲大社学宮(イズモタイシャマナビノミヤ)中等部に入学することとなります。

 

 

ミトノウメ「おっとう。ほんとに私みたいな田舎者が

あの出雲大社学宮に入学できるの!?」

 

ミトナットウ「おっとうじゃない。父上と呼ばんか。

出雲大社学宮でおっとうなんて言ってたら、

他の同級生の方々に笑われちまうだ。」

 

ミトノウメ「ち、父上…。

まあ、普段はおっとうでいいや。

でも、学費も大変なんじゃないの?」

 

オカメ「学費のことは心配しなくていいわよ。

おっとうとおっかあが働いて、エツノケンシン様からお給金もいただいてるし。」

 

ミトナットウ「オラたちは、学も無いし、才も無い。

だが、ウメ。お前はオラたちの娘とは思えないくらい頭も良いし、

武芸もできる。

これからは女子も学問をした方がええ。

きっと、お前なら立派にやっていける!」

 

ミトノウメ「でも、おっとうも、おっかあも、

暮らしも裕福とまでは言えないのに…」

 

ミトナットウ「勉強したいんじゃろ?

遠慮なく行ってこい!

出雲大社学宮へ!」

 

ミトノウメ「わかった。私、頑張って勉強して、

きっと、おっとうとおっかあに楽な暮らしさせられるようになるから!」

 

オカメ「そんなこと考えなくていいのよ。

あんたは自分の幸せを考えなさい。

勉強して、やりたい仕事をやって。

それで、おっかあたちは満足だから。」

 

 

出雲大社学宮は、天津神、国津神の子孫たちや各地の王族・有力豪族の子が学ぶ学校です。

地方の貧しい役人であったミトナットウ夫妻にとっては、娘ミトノウメの学費を出すことも、

月々の生活費の仕送りをすることもけして楽なものではありませんでした。

しかし、ただ娘の幸せを願って、娘がやりたい道に進めるようにと、その思いだけで、

ミトナットウとオカメは、自分たちの生活は節約しながら、娘ミトノウメを進学させます。

 

 

出雲大社学宮に入学したミトノウメ。

 

 

ミトノウメ「うわぁ!みんな、立派な着物着てる…

頭も良さそうだぁ…」

 

ヒムカノナミ「私はヒムカノナミ。あなたは?」

 

ミトノウメ「オ、オラ…じゃない、私は、

常陸(茨城県)のミトノウメ。よろしくです。」

 

ヒムカノナミ「ん?ちょい、なまってる?」

 

ミトノウメ「えっ、え、いや、なまってっか?」

 

ウラワツキノミヤ「常陸(茨城県)出身か。

僕は、生まれは武蔵(埼玉県)なんだ。

まあ、生まれてすぐに両親と一緒に九州の高千穂に移ったけどね。」

 

ミトノウメ「えっ?武蔵(埼玉県)生まれで高千穂に移った?

もしかして、あんたの親って?」

 

ウラワツキノミヤ「母はチチブカネビメだよ。」

 

ヒムカノナミ「あっ、私のパパはアチタケル、

ママはサルメノウズメよ。」

 

ミトノウメ「チチブカネビメ様!アチタケル様!サルメノウズメ様!

ひえ~~~!神武軍の三重臣様のご子息様、ご息女様でございますかぁ!?」

 

ウラワツキノミヤ「まあ、親がどうのとか気にしなくていいよ。」

 

ヒムカノナミ「ミトノウメちゃん、仲良くしようね。」

 

ウラワツキノミヤ「もうすぐ入学式が始まるね。

今年の入学式には来賓で神武様がいらっしゃるみたいだね。」

 

ミトノウメ「じ、神武様!?この国で一番偉い、神武大王様け!?」

 

ヒムカノナミ「ふ~ん。神武のおじさんって、そんな偉いんだぁ。」

 

ミトノウメ「や、やっぱ、すごいとこに来ちまっただ…

おっとう…おっかあ…」

 

 

入学式が始まる。そして、神武様の来賓あいさつ…

 

 

神武「みんな。この国の王・神武だ。

みんなは、再開された出雲大社学宮の第1期生。

入学おめでとう。

この出雲大社学宮で、いや、俺の治める日本(ヒノモト)で

一番大切なことを、みんなに教えたいと思う。」

 

ミトノウメ「(一番大切なこと?やっぱり、お国のために

命をかけろってことだか?)」

 

神武「みんなの生まれた土地、先祖の血筋、能力、

それは一人ひとりが違う。同じ人間なんて一人もいない。

だが、それは優劣ではない。

一人ひとりが主人公だ。

君の人生の主人公は、君自身。

その一人ひとりの個人の尊厳は誰にも奪うことはできない。

一方で、一人で生きられる人間もまた誰もいない。

この世は、一人ひとりが主人公の個人が集まってできている。

だから、面白いんだ。

君の人生を、精一杯生きろ。

そして、自分がより輝けるように、仲間たちと磨きあえ。

どこの地方出身だろうが、親の身分がどうだろうが、

成績がどうだろうが、そんなことは気にするな!

みんなは、俺たちは、一人ひとりが大切な個人!

一人ひとりが価値ある人間だ!

 

ミトノウメ「一人ひとりが主人公…

おっとう、おっかあ、私もやるよ!」

 

 

この後、出雲大社学宮を卒業したミトノウメは、神武勢力に仕官し、

ツチミカドヒメの弓兵団に配属される。

神武十将軍の直属部隊に採用された娘の就職を、ミトナットウ、オカメの二人は大喜びした。

しかし、常陸(茨城県)で悲劇が始まろうとしていた...

 

※この外伝は、水戸連盟シリーズの伏線として書かれたものです。

【水戸連盟シリーズ】