こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

『宇宙一わかりやすい僕らの神話のお話( ・ω・)』

 

 

舞台は、神々の世界から、人間中心の世界に移りつつあります。

今回は、ニニギノミコトの息子たちのお話。

 

海幸彦と山幸彦

です。

 

 

ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの間には、三人の息子がいた。

このうち、長男のホデリは海幸彦と呼ばれ、

三男のホノリは山幸彦と呼ばれていた。

海幸彦は海での漁がうまく、山幸彦は山での猟が得意でした。

ある日、山幸彦は、海で漁をする兄の姿に興味を持ちます。

 

 

山幸彦「兄上。一度、お互いの道具を交換してみませんか?」

 

海幸彦「魚を捕るためのこの道具は、命より大切な物だ。交換はできない。」

 

山幸彦「一日だけでかまいません。私も海で漁を一度だけしてみたいのです。」

 

海幸彦「一日だけだぞ。念押ししておくが、この漁のための針は、命より大事なものだ。

絶対に無くしたり、壊したりするなよ。」

 

 

こうして一日だけ道具を交換した山幸彦は海で釣りをしてみます。

しかし、魚は一匹も取れません。

それどころか、海幸彦から借りた大事な針を海に落とし無くしてしまいます。

 

 

山幸彦「兄上。ごめんなさい。大切な針を海に落として無くしてしまいました。」

 

海幸彦「貴様!命より大切な物だと言っただろ!許さんぞ!」

 

山幸彦「私の剣を潰して、500の針を作りました。どうか、

これでお許しください!」

 

海幸彦「ダメだ!ダメだ!元の針を返せ!」

 

山幸彦「そんな・・・ムリだよ・・・」

 

海幸彦「だったら、死ねよ。命より大切な物を無くした償いだ!」

 

 

山幸彦が途方に暮れていると、潮の神のシオツチが声をかけてきました。

 

 

シオツチ「山幸彦殿。どうされたのかな?」

 

山幸彦「兄上の大切な釣り針を無くしてしまったのです。

剣を潰して500の針をお渡ししたのですが、元の針を

返せと、許していただけません・・・」

 

シオツチ「なるほど。海幸彦殿も意地悪だな。海の神ワタツミに

相談してみるがいい。」

 

 

山幸彦は、海の神ワタツミに相談しようと小舟でワタツミの宮に向かいます。

そこには、ワタツミの娘トヨタマヒメがいました。

 

 

トヨタマヒメ「あら?あなたは?」

 

山幸彦「山幸彦です。あなたは?」

 

トヨタマヒメ「ワタツミの娘のトヨタマヒメです。ふーん。」

 

山幸彦「な、なにか?」

 

トヨタマヒメ「なかなかカッコいい人ね。彼女いるの?」

 

山幸彦「いえ、女性とお付き合いしたことはありません。」

 

トヨタマヒメ「ふーん。そうなんだ。」

 

山幸彦「トヨタマヒメ殿は、お付き合いしている男性はいるのですか?」

 

トヨタマヒメ「今、できたわ!」

 

山幸彦「えっ!?」

 

トヨタマヒメ「あなたの彼女になったげる。どう?」

 

山幸彦「そんな、からかって。」

 

トヨタマヒメ「あら?私をフる気なの!?

こんなイイ女、どこ探してもいないわよ!」

 

山幸彦「トヨタマヒメは、面白い人だね。」

 

 

山幸彦とトヨタマヒメは、恋に落ち、やがて結婚します。

幸せな日々を過ごす山幸彦。気がつけば、3年の歳月が過ぎていました。

自分の目的を思い出した山幸彦は、毎日ため息をつくようになりました。

それを見たトヨタマヒメは、父ワタツミに相談します。

ワタツミは、山幸彦から事情を聞き、調査を開始しました。

 

 

ワタツミ「ほう。赤い鯛が、3年ほど前から喉に何かが刺さって、

物が食べられなくなり困っているとな。」

 

 

ワタツミは、その鯛を呼び、喉に刺さった釣り針を取って、

洗い清め、山幸彦に返してやります。

 

 

ワタツミ「山幸彦殿。この釣り針だな。」

 

山幸彦「ワタツミ様!ありがとうございます!」

 

ワタツミ「この釣り針を海幸彦に返すときに、こう心の中で念じなさい。」

 

山幸彦「どのように念じるのですか?」

 

ワタツミ「この釣り針は憂鬱になる針、うまくいかなくなる針、

貧乏になる針、愚かな針。」

 

山幸彦「そのような・・・」

 

ワタツミ「海幸彦の行状には、海の民たちも困っておってな。助けてくれ。」

 

山幸彦「そうなのですか。」

 

ワタツミ「これから、海幸彦が高い土地に田を作ったならば、

君は低い土地に田を作りなさい。

逆に海幸彦が低い土地に田を作るならば君は高い土地に田を作りなさい。」

 

山幸彦「そのようにいたします。」

 

ワタツミ「今後、海幸彦は、貧乏になり心も貧しくなる。

そして、君を攻めてくる。

そのときは、この潮満珠(シオミツタマ)を使い溺れさせなさい。

そして、許しを請うてきたら、この潮乾珠(シオヒタルタマ)を使い

助けてやりなさい。」

 

 

山幸彦は海幸彦に釣り針を返しに行きます。

 

 

海幸彦「釣り針!おお、戻ってきたか。我が釣り針よ。」

 

山幸彦「兄上、本当に申し訳ありませんでした。」

 

海幸彦「何年も待たせやがって!遅いんだよ!このウスノロが!」

 

山幸彦「あ、兄上・・・」

 

海幸彦「借りた物返すのは当たり前!このマヌケが!」

 

山幸彦「兄上・・・その針は、憂鬱になる針、うまくいかなくなる針、

貧乏になる針、愚かな針。」

 

 

その後、海幸彦は、高い土地に田を作りますが、

水は山幸彦の低い土地の田に集まり、海幸彦の田は稲が育ちません。

今度は、海幸彦は低い土地に田を作りますが、洪水で海幸彦の田は流されます。

高い土地に田を作った山幸彦の田は稲が育ちます。

豊かになっていく山幸彦。

それとは逆に、どんどん貧しくなる海幸彦。

海幸彦は、ワダツミが予想したとおり、山幸彦を攻めてきます。

 

 

海幸彦「山幸彦!弟の分際で兄より良い暮らしをしおって!」

 

山幸彦「兄上!兄上のやっていることはメチャクチャですぞ!」

 

海幸彦「おまえの村を奪ってやるわ!者どもかかれー!!!」

 

 

山幸彦の軍勢と海幸彦の軍勢がぶつかり合う!

しかし略奪を目的とする海幸彦軍と村を守ろうとする山幸彦軍では、

士気、統率とも比較にならない。

山幸彦軍は、海幸彦軍を海岸沿いに追い詰めていく。

 

 

山幸彦「兄上!これ以上、兵たちを犠牲にするな!それがしと一騎打ちせよ!」

 

海幸彦「弟が兄に勝てると思うか!勝負だ!」

 

 

山幸彦は、ワダツミからもらった塩満珠をかかげた!

海幸彦が海の波に飲まれる!

 

 

海幸彦「おわっぷ!溺れる!助けてくれ~!」

 

 

山幸彦は、ワダツミからもらった塩乾珠をかかげた!

海幸彦を囲む潮が引いていく。

 

 

山幸彦「兄上。まだやりますか?」

 

海幸彦「わしの負けじゃ。おまえに仕えよう。許してくれ、山幸彦様!」

 

山幸彦「兄上・・・いや、海幸彦よ。今後、私に忠誠を尽くすが良い!」

 

 

海幸彦は、弟である山幸彦に降伏し、仕えることとなります。

こうして、兄弟の争いは、弟である海幸彦の勝利に終わりました。

 

 

山幸彦は、その後、トヨタマヒメとの間に、

息子・ヒコナギサタケウガヤフキアエズを授かります。

このヒコナギサタケウガヤフキアエズは、

トヨタマヒメの妹であるタマヨリビメと結婚します。

この二人の間の子として、後に『神武天皇』と呼ばれることになる

『カムヤマトイワレヒコ』が生まれることとなります。

神話から歴史へ。

物語は、『神武征討記』につながっていきます。

 

読んでくださり、ありがとうございました。