こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

絶賛連載中の

神武征討記

今回は、大和勢力側人物から見た外伝です( ・ω・)

 

 

 

神武征討記外伝

敗北が人を強くする~ゲンジノヨリトモの決意!

 

 

ストーリーテラーのアメノウズメでございます。

「一人ひとりが主人公」の『神武征討記』。

今回は、大和勢力側の人物の視点からの外伝です。

主人公は、大和十二神将の一人ゲンジノヨリトモ。

ゲンジノヨリトモは鎌倉幕府を開いた源頼朝の前世です。

 

 

ゲンジノヨリトモは、神武様より5歳年上。本編神武東征編第37話で、

下野(栃木県)小山の思川の合戦で大敗したときは、35歳でした。

 

 

ゲンジノヨリトモ軍団は、エツノケンシンとの思川の合戦で、

上総(千葉県)出身の猛将カズザカイハチロウが討ち死に。

動員した5万の兵のうち1万5237名もの兵が討ち死にし、

1万8143名もの負傷兵を出すという大敗を喫しました。

若い頃から、周囲に名将とおだてられて生きてきたゲンジノヨリトモにとって、

この思川の合戦でのエツノケンシンへの大敗は、大きな精神的打撃となっています。

相模(神奈川県)。現在の鎌倉市鶴岡八幡宮の辺りに宮殿を築いていたゲンジノヨリトモ。

そのゲンジノヨリトモの宮殿にて・・・

 

 

ゲンジノヨリトモ「ううっ・・・ちくしょう・・・

なんで、エツノケンシンみたいなバケモノが

俺の近くにおるんじゃ・・・」

 

アマショウグンマサコ「ヨリトモ様!いつまでも、

ウジウジと負けたことを嘆いていても仕方ありません!

我らはエツノケンシンに下野(栃木県)、下総・常陸(茨城県)

まで奪われ、8万の総兵力も、3万ほどまで激減しております。

一刻も早く立て直さねば!」

 

ゲンジノヨリトモ「もう、わしは、イヤじゃ~!

どれほど苦労して関東一円から8万の兵を集め、

それを育ててきたか!

それなのに、下野、下総、常陸の将兵どもは、

エツノケンシンに付いちゃうし、

我らの本軍もボロボロだし!」

 

アマショウグンマサコ「それを立て直さねば!」

 

ゲンジノヨリトモ「マサコ!お前、わしの妻じゃろ!?

俺、傷ついてるんだから、もっと、優しい言葉をかけてよ~」

 

アマショウグンマサコ「・・・・・・」

 

ゲンジノヨリトモ「すごく頑張って、国作りしたんだよ!

兵達を鍛え上げたんだよ!

なのに!なのに!こんな雑魚みたいな負け方したんだよ!

頼りにしてたカズザカイハチロウなんて、死んじゃったんだよ!

俺は、どうすりゃいいの~!

 

アマショウグンマサコ「・・・わかりました。お疲れだと思います。

ゲンジノヨリトモ様・・・今は、ゆっくりお休みください。

大丈夫!なんとかなります!」

 

ゲンジノヨリトモ「なんとかなるなんて、気安く言うなよ~!

努力して!徹底的に準備して!それでもボロボロに負けたヤツの気持ち

なんて、努力してないヤツには、わかんないよ~!

うわ~~~ん!」

 

アマショウグンマサコ「・・・すみません。

配慮が足りませんでした・・・

将達を労って参ります・・・」

 

 

ゲンジノヨリトモさん・・・自信喪失しちゃってるみたいね・・・

ゲンジノヨリトモの妻アマショウグンマサコは、鎌倉の宮殿の

別室に集まっていた重臣達の部屋へ行きます。

 

 

コシロウノヨシトキ「姉上。ゲンジノヨリトモ様のご様子はいかがでしたか?」

 

アマショウグンマサコ「・・・しばらく。立ち直れそうにないかも・・・」

 

クモンジョヒロモト「困りましたな・・・日々の行政は、このクモンジョヒロモトが、

裁判はモンチュウジョヤスノブ殿が、そして軍事はワダコタロウ殿が、それぞれ

動かすことはできるはできますが・・・」

 

ミウラヘイロク「軍団の組織化は、ゲンジノヨリトモ様の類い希なる政治力と

統率力により成し遂げられたこと。

我らには、あの方が必要だ・・・」

 

アダチトウクロウ「我が軍団は、ゲンジノヨリトモ様無くして成り立ちません。

なんとか立ち直っていただかないと・・・」

 

ワダコタロウ「しかし、エツノケンシンは強かった・・・

あんなヤツがこの世にいるとはな・・・」

 

ハタケヤマショウジロウ「それがしとワダコタロウ殿、そして、

カズザカイハチロウ殿の3将を相手にしても、ものともせず。

カズザカイハチロウは討たれてしまいました・・・」

 

カジワラヘイゾウ「あれだけの準備をして戦に臨んだにも

関わらず・・・大敗であったな・・・」

 

ミウラヘイロク「まあ、戦なんてのは、準備してれば

勝てるってものじゃない。仕方ないさ。

それより、ゲンジノヨリトモ様にどう立ち直っていただくかだな。

コシロウ。お前、なんか良い智恵は無いのか?」

 

コシロウノヨシトキ「心の傷は、下手に触ると、

余計に酷くなりますからね・・・

今は、我々でできることをやりながら、

時間をかけて、ゲンジノヨリトモ様に立ち直っていただくしかない・・・」

 

 

ゲンジノヨリトモが敗北による傷心から立ち直れない中、

コシロウノヨシトキらゲンジノヨリトモ軍団の将達は、

軍団立て直しのための政務に励んでいきました。

ある日、アマショウグンマサコが旅の装束で、ゲンジノヨリトモの部屋に行きます。

 

 

ゲンジノヨリトモ「マサコ!?旅装束などして、

お主、まさか、ここを出て行くのか!?

とうとう、俺を見限ったのか!?」

 

アマショウグンマサコ「あらあら。私が、あなたを見限るなど、

あろうはずがございません。

少し、熱海の温泉にでも行ってみたいと思いまして。

あなたも一緒に温泉に行きましょうよ。」

 

ゲンジノヨリトモ「熱海の温泉か・・・

行ってみるかのう。」

 

アマショウグンマサコ「たまには夫婦水入らずで、

ゆっくりしましょう。

あなたと温泉旅行できるなんて、嬉しいわ。」

 

 

ゲンジノヨリトモとアマショウグンマサコは、

夫婦で熱海の温泉旅行に出かけました。

二人で温泉に入るゲンジノヨリトモ夫妻。

 

 

アマショウグンマサコ「あなたと二人だけで温泉に来るなんて、

いつ以来かしらね。」

 

ゲンジノヨリトモ「昔は、この伊豆でよく温泉に入ったのう。

あの頃は、貧しかった。」

 

アマショウグンマサコ「でも、私はあなたと夫婦になって、

幸せでした。」

 

ゲンジノヨリトモ「大和勢力のヤマトノアヤタムラマロ殿に

見い出されて十数年・・・

大和十二神将の一人となり、関東を治め、ゆっくり休む間も

無かったのう・・・」

 

アマショウグンマサコ「伊豆の小さな豪族の一人でしかなかった

あなたが、瞬く間に、関東の主として駆け上っていきましたね。」

 

ゲンジノヨリトモ「いや。なかなか大変だったのだぞ。

周りから見れば、あっという間に関東の主になったように

見えたかも知れんが、一つ一つの出来事に難しい決断を

繰り返してきた結果じゃ。」

 

アマショウグンマサコ「はい。お側で見ていた私はわかっております。」

 

ゲンジノヨリトモ「しかし、エツノケンシンは強いな・・・

あれと野戦で合戦して勝つことは無理な気がする。」

 

アマショウグンマサコ「・・・ならば。野戦で合戦できないようにしてしまえば

よろしいのでは?」

 

ゲンジノヨリトモ「野戦で合戦できないようにか・・・

むぅ!ひらめいた!これで行くか!」

 

アマショウグンマサコ「あなた?」

 

ゲンジノヨリトモ「エツノケンシンの騎馬軍団と戦って勝てないなら、

戦わないようにすればよい!

マサコ!鎌倉に戻るぞ!」

 

 

何かをひらめいたゲンジノヨリトモ。

ゲンジノヨリトモは鎌倉の宮殿に戻りました。

そして、軍議の席・・・

 

 

コシロウノヨシトキ「総構え・・・?

で、ございますか?」

 

ゲンジノヨリトモ「そうじゃ!エツノケンシンの騎馬軍団が強いのであれば、

ヤツらが、我が領内に騎馬で侵入できないようにすればよい!

この鎌倉の宮殿を取り巻く、鎌倉の町を城壁で囲んでしまう!

それだけでなく、我らの領国である武蔵南部(東京都)や上総(千葉県)

のエツノケンシン軍団の領国との境にも、すべて馬防柵や土塁を築き、

ヤツらが我らの領内に騎馬軍で侵入できないようにする!

そして、我らが籠城するときには、町ごと籠城し、すべての生産手段も

民も城壁の中で守るのじゃ!」

 

クモンジョヒロモト「なるほど。中華の大陸の都市は、

都市を城壁で囲み、また北方の騎馬民族の侵攻に備え、

万里の長城なるものを築いていると聞きます。

それを、この南関東で行うということですな。」

 

ミウラヘイロク「そいつは、金も人手もかかるな・・・」

 

カジワラヘイゾウ「しかし、一度、完成してそれを常時、

補修していくのであれば、民も安心して生産活動ができるし、

城壁の中に市を開けば、商人も商売がしやすいかもしれんな。」

 

ワダコタロウ「しかし、それでは、こちらからエツノケンシン領に

打って出ることも難しくなるのでは?」

 

コシロウノヨシトキ「兵力で切り取らずに、調略で敵を切り崩す・・・

それであれば、我らの兵は専守防衛に徹してもかまわぬかも知れません。」

 

ワダコタロウ「なるほど。」

 

ゲンジノヨリトモ「エツノケンシンなど、強さだけの男!

我らの武器は、智と統治力じゃ!

圧倒的な経済力をもって、エツノケンシンを北関東に封じ込める!

敵の土俵で戦わず、我らの得意な戦い方で戦う!

みな!わしを信じよ!」

 

コシロウノヨシトキ「ゲンジノヨリトモ様!

よくぞ、戻ってくださいました!

我ら一同!ゲンジノヨリトモ様に絶対の忠義を誓いまする!」

 

 

こうしてゲンジノヨリトモ領の鎌倉を始めとする主要都市は、都市全体を城壁で囲む総構えが建設され、

また現在の東京都と埼玉県の境、千葉県と埼玉県・茨城県の境となる各所に馬では乗り越えられない土塁や柵が

設けられました。

そして都市内で商業を奨励し、産業を育成するゲンジノヨリトモ軍団は、瞬く間に豊かな経済力を手に入れ、

兵力も回復していきました。

エツノケンシン軍との戦いでの大敗・・・

それが、負けたゲンジノヨリトモという将を一回り大きくします。

敗北は人は強くする・・・圧倒的な統治能力を持つ大和十二神将ゲンジノヨリトモは、

この後、さらなる強敵となってエツノケンシン、そして神武様の前に立ちはだかる壁となっていくことになります。