こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

絶賛連載中の

神武征討記

今回は、大和勢力側人物から見た外伝です( ・ω・)

 

 

 

神武征討記外伝

海を望んで~ヘイケノキヨモリの物語

 

 

ストーリーテラーのアメノウズメでございます。

「一人ひとりが主人公」の『神武征討記』。

今回は、大和勢力側の人物の視点からの外伝です。

主人公は、大和十二神将の一人ヘイケノキヨモリ。

ヘイケノキヨモリは日本初の武家政権を築いた平清盛の前世武将です。

 

 

ヘイケノキヨモリは、神武様より14歳年上。

摂津国の生田(現在の兵庫県神戸市)の豪族の息子として生まれました。

物語は、本編では神武様が出雲大社学宮(イズモタイシャマナビノミヤ)に入学する12歳の年。

ヘイケイノキヨモリが26歳のときに始まります。

ヘイケノキヨモリの最初の妻は、長男ヘイケノシゲモリ、次男ヘイケノモトモリを産みますが、

次男出産時に亡くなり、その後、ヘイケノキヨモリはヘイケノトキタダの妹であるニイノアマトキコと再婚します。

再婚後、ニイノアマトキコは、先妻の残した二人の息子を育てつつ、

三男ヘイケノムネモリ、四男ヘイケノトモモリ、五男ヘイケノシゲヒラを産みます。

それぞの息子達の年齢は、シゲモリが8歳、モトモリが6歳、ムネモリが4歳、モトモリが2歳、シゲヒラが0歳でした。

後に、大和十二神将の一人として西国に大勢力を築くことになるヘイケノキヨモリも、この頃は、まだ小さな一豪族の

頭領に過ぎませんでした。

生田のヘイケノキヨモリの館・・・

 

 

ニイノアマトキコ「はあ、小さな子どもが5人もいると大変ね・・・

ワンオペ育児、なんとかならないものかしら・・・」

 

ヘイケノキヨモリ「帰ったぞ。トキコ。メシ。」

 

ニイノアマトキコ「あなた!私は育児でヘトヘトなのです!

帰ってきて、いきなり、メシはないでしょう!」

 

ヘイケノキヨモリ「わかった。風呂。」

 

ニイノアマトキコ「きぃい~~~!!!

もう、あんたの子なんか、これ以上産んであげないから!」

 

ヘイケノキヨモリ「おまえは、まだ22歳。女としては盛りだ。

今宵も夜伽の相手をせい。」

 

 

あらあら、ニイノアマトキコさん、かわいそうねぇ・・・

神武勢力の人達は現代的で、子育ては夫婦共同で、

親が無い子もみんなで育てるという傾向があるけど、

大和勢力の人達は、子育ては女がするものという古い価値観のようね。

まあ、古代社会だから、古くて当たり前なのだけど・・・

さて、家庭内では、現代の日本社会であったら、離婚請求されること確実な

古い体質のヘイケノキヨモリですが、外では有能でした。

当時の摂津(阪神地域)は、諸豪族が入り乱れる戦乱の国でしたが、

ヘイケノキヨモリは、たぐいまれなる戦上手で戦で負けることはありませんでした。

ニイノアマトキコにとっても、この時代の男は強いことが正義。

強い夫のもとにいれば、安全に、そして豊かに生活することができました。

ヘイケノキヨモリは、その優れた戦術によって、次々と摂津の豪族たちを平定し、

やがて摂津を統一します。

そして、3年の時が経ち、本編神武東征編から15年前。ヘイケノキヨモリ29歳のとき。

 

 

ヘイケノキヨモリ「なに?大和(奈良県)のヤマトノショウトクだと?」

 

ヘイケノトキタダ「はい。大和より、ヤマトノショウトクと申す者が、

殿に面会を求めておりまする。」

 

ヘイケノキヨモリ「会ってみよう。通せ。」

 

 

ヤマトノショウトクと会談するヘイケノキヨモリ。

 

 

ヤマトノショウトク「ヘイケノキヨモリ殿。

お初にお目にかかります。

それがしは、ヤマトノショウトクと申します。

本日は、大和より外交の使者として参りました。」

 

ヘイケノキヨモリ「大和から、何の用だ?」

 

ヤマトノショウトク「この度、オオモノヌシの神のご息女が

誕生なされました。

御名は、ヒメタタライスケヨリヒメ様でございます。」

 

ヘイケノキヨモリ「オオモノヌシの神のご息女だと!?

オオモノヌシの神は太古の神ではないか!

なぜ、今の時期に娘ができる!?」

 

ヤマトノショウトク「セヤダタタラヒメというとても美しい娘がおりましてな。

その娘を見初められたオオモノヌシの神様が、矢に化けて厠に入っていた

そのセヤダタタラヒメを射ました。それに驚いたセヤダタタラヒメが寝床の横に

その矢を置いていたところ、矢が美しい美丈夫となりました。

それがオオモノヌシの神様が人に変化した姿であり、二人は夫婦となり、

そして、生まれたのが、ヒメタタライスケヨリヒメ様でございます。」

 

ヘイケノキヨモリ「・・・解釈の仕方次第では、若い美女に懸想した

オオモノヌシの神が、矢に化けてその美女を襲い、人に化けて、交わって

子を産ませたということか・・・」

 

ヤマトノショウトク「まあ、そういうことでしょうな。

神というのも、色事が好きなものでございます。」

 

ヘイケノキヨモリ「だが、経緯はともかくとして、

オオモノヌシの神のご息女ということになれば・・・」

 

ヤマトノショウトク「そう・・・

大和を中心とする諸豪族の主となるべき血筋の方でございます。」

 

ヘイケノキヨモリ「それで。俺に大和の家臣になれと?」

 

ヤマトノショウトク「端的に言えば、そういうことです。

ヒメタタライスケヨリヒメ様がご成長された暁には、

我ら、大和は、天下平定のための兵を挙げることになります。

貴殿には、その将、大和の神将として、我ら大和の協力していただきたい。」

 

ヘイケノキヨモリ「・・・対価は?」

 

ヤマトノショウトク「中国・四国・九州各国の統治権!

大陸との貿易で得られる収益!

そして・・・この国で初めて、日本(ヒノモト)を統一する

将としての栄誉!」

 

ヘイケノキヨモリ「中国・四国・九州各国

・・・いずれも天孫一族の領国あるいは友好国ではないか。」

 

ヤマトノショウトク「そうです。だからこそ。

あなたの力が必要なのです!

オオモノヌシの神のご息女であるヒメタタライスケヨリヒメの

随一の将軍として、天孫一族を倒す!

あなたにしかできぬことでございます!」

 

ヘイケノキヨモリ「そうか・・・俺にしかできぬことか・・・」

 

ヤマトノショウトク「対価は足りませんかな?」

 

ヘイケノキヨモリ「最大限の評価だな。よかろう。

大和の神将として、ヒメタタライスケヨリヒメ様に仕えよう。

貿易の利益等の実利もあるが・・・

この日本(ヒノモト)初のこの国を統一する将としての栄誉!

このヘイケノキヨモリが必ずや手に入れよう!」

 

 

ヤマトノショウトクが帰った後、ヘイケノキヨモリは、

家族を連れて、須磨(兵庫県神戸市)の海岸へ行きました。

 

 

ニイノアマトキコ「あなた。どうされたのですか?

いつもは家族のことなど放置なのに、

急に家族で海で遊ぼうなどと。」

 

ヘイケノキヨモリ「戦と政略ばかりの毎日。

たまには、家族とゆっくりと遊んでみたいと

思ってはいかんかな?」

 

ニイノアマトキコ「いえ。うれしゅうございます。

子どもたちも喜んでおりますわ。」

 

ヘイケノシゲモリ「ちちうえ!カニです!

ハサミがあります!」

 

ヘイケノキヨモリ「そうか。カニか。

海は良いのう!」

 

ニイノアマトキコ「危ないから、海に入ってはダメよ。」

 

ヘイケノキヨモリ「トキコよ・・・この海の先に何があるか、

知っておるか?」

 

ニイノアマトキコ「淡路や四国でしょうか。」

 

ヘイケノキヨモリ「もっと広い範囲で物を見よ!

この海は、瀬戸内海を通り、九州を通り、大陸に通じておる。

大陸には、中華の帝国がある。

文化と富がある!

俺は、この海を手に入れ!大陸の文化と富を手に入れる!」

 

ニイノアマトキコ「まあ、大陸の?」

 

ヘイケノキヨモリ「トキコよ!海から得られる利益を手に入れれば、

お前や子どもたちも、今よりもずっと豊かな暮らしができる!」

 

ニイノアマトキコ「今よりも、ずっと豊かな暮らし・・・

そのような暮らしをしてみたいものです。

この子達も、一生安泰ですね。」

 

ヘイケノキヨモリ「そして、俺は、この日本(ヒノモト)を

初めて統一した男として、歴史に名を刻む!

必ずだ!」

 

ニイノアマトキコ「わたくしは・・・あなたが行く道に

ついて行くのみです。」

 

 

その後、ヘイケノキヨモリは、西国を旅し、

薩摩(鹿児島県)の地で、セゴドンノキチノスケ、ヘイハチトウゴという

後の大和十二神将となる名将たちをスカウトしていく。

やがて、神武勢力と大和勢力が関東争乱終結時に結んだ10年の停戦が明けた年。

ヘイケノキヨモリが42歳のとき。

ヘイケノキヨモリは、摂津から淡路・播磨・但馬(兵庫県)に侵攻し、またたくまにこれを平定。

さらに吉備(岡山県)で、キビツモモタ軍を打ち破り吉備を奪い、イツクシマ三姉妹から安芸(広島県)

を奪い、安芸に本拠を置いた。

そのヘイケノキヨモリ軍の繁栄ぶりは、すさまじいものだった。

 

 

ヘイケノトキタダ「ヘイケにあらずんば、人にあらず~!」

 

ヘイケ兵達「ヘイケにあらずんば、人にあらず~!」

 

 

西日本最大の勢力となるヘイケノキヨモリ軍団・・・

しかし、この後、下関攻城中にチチブカネビメの計略により、

神武軍に安芸を奪われ、神戸に退くことになるのは、本編のとおりである・・・