こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

さて、シリーズ 『刑法の世界( ・ω・)』

本日は、第3話です。

 

 

刑法総論のテーマを大きくわけると、

1 構成要件該当性

2 違法性

3 責任

4 未遂犯

5 共犯

の5ジャンルになります。

その中で、今回は、

違法性について、お話したいと思います( ・ω・)

 

違法性とは、形式的には、行為が法規範に反することを言います(形式的違法性)

 

そして、このような違法性は、行為者の内心の状態を前提とすることなく、

原則として、客観的に判断されます。

このような理解を、客観的違法論といい、現在の定説です。

 

法規範に評価規範(機能)と命令規範(機能)の区別があり、

評価規範に対する違反が違法性を基礎づけ、

命令規範に対する違反が責任を基礎づけるとの説明がされてきました。

 

そして、違法性を実質的に理解することが重要であり、

刑法学説上は、結果無価値行為無価値の見解の対立がありました。

 

結果無価値論は、刑法の任務を法益保護と理解する立場から、

法益侵害・危険(これを「結果無価値」という。)の惹起が禁止の対象であり、

法益侵害・危険を起こすことが違法性の実質であると考えます。

 

誤解を恐れず、簡単な言葉で説明すると、被害という結果を発生させたり、

被害を出しそうな危険を発生させることが、違法性の実質ということになるでしょうか。

 

それに対して、行為無価値論は、刑法の任務を社会倫理の保護と理解する立場から、

行為に対する社会的非難(法益侵害・危険に解消されない行為の属性を「行為無価値」という。)

を違法性の評価に加味すべきという見解です。

 

誤解を恐れず、簡単な言葉で説明すると、行為の悪質さが違法性の実質ということになるでしょうか。

 

判例は、実質的違法性阻却が問題となった

外務省機密漏洩事件(最決昭和53年5月31日刑集32巻3号457頁)で、

実質的違法性阻却が認められるためには、結果価値により結果無価値を止揚するのみならず、

「その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし

相当なものとして社会観念上是認されるものである」

ことを要求しており、行為無価値論に近い考え方を採っていると評価されています。

 

 

通常、刑法で構成要件に該当する行為を行うことは違法性があると考えられます。

刑法自体が、法益侵害・危険を防ぐために違法行為に刑罰を科すものだからです。

 

しかし、刑法の中にも、違法性阻却事由として規定されているものもあります。

 

正当行為(刑法35条)、正当防衛(刑法36条)、緊急避難(刑法37条)です。

また特別法では、業務上堕胎罪(刑法214条前段)の違法性阻却事由として、

医師の認定による人工妊娠中絶(母体保護法14条)などがあります。

 

少し刑法の条文を見てみましょう( ・ω・)

 

刑法第35条(正当行為)

法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

 

刑法第36条(正当防衛)

急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

 

刑法第37条(緊急避難)

自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

 

まず、法令行為というのは、構成要件該当行為が法令によって命じられ、

または、特に許されている場合です。

例えば、刑事訴訟法では、現行犯は何人でも逮捕状無く逮捕することができるとされています(刑訴法213条)が、

これによって、逮捕監禁罪(刑法220条)の構成要件該当行為の違法性が阻却されることになります。

 

また「正当な業務による行為」の例としては、例えば医師による医療行為が傷害罪等としての違法性を阻却する等です。

 

刑法36条の正当防衛は、

「急迫不正の侵害」に対して、「自己又は他人の権利を防衛するため」

「やむを得ずにした行為」は、違法性を阻却するものとされています。

 

刑法37条の緊急避難は、

「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難」

「を避けるため」、「やむを得ずにした行為」であって、

「生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合」

に違法性を阻却するものとされています。

 

正当防衛と緊急避難については、それぞれいろいろな論点があるので、

また別記事で紹介していければと思います( ・ω・)

 

しかし、自分で書いていて思いますが、

なかなか刑法総論は、言葉や考え方が専門的で、

わかりやすく書くことが難しいですねぇ(^^;)

 

まあ、一般市民が、こうだったら無罪になるとか、

あんまりくわしいのもどうかと思いますが( ・ω・)

 

読んでくださり、ありがとうございました。