こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

今日は、本丸の憲法の話に切りこむ前に、

ライトに、民法のお話も書いときます( ・ω・)

 

 

 

知っておきたい暮らしに役立つ民法( ・ω・)

 

 

本日は、使用者責任のお話です。

 

まずは、条文を見ておきましょう。

 

民法715条(使用者等の責任)

 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

不法行為についての使用者責任の条文です。

この民法の使用者責任は、

他の人を使用して利益を得ている

使用者に、自分が雇っている従業員が行った加害行為について、

損害賠償責任を負わせるものです。

 

他人を使用して事業を営む者は、これによって自分の活動範囲を拡張し、

それだけ多くの利益を受けるものです。

そのため、被用者である従業員がその事業の執行について他人に損害を

与えた場合には、使用者にも損害賠償責任を負わせることが

公平の観念に適します。

そのような根拠により使用者に特別の責任を負わせるこの使用者責任の規定は、

報償責任の原理の現われと言われます。

 

報償責任というのは、

大きな利益の帰するところには、

損失をも帰せしむるべきである

という考え方で、

ようするに、

人使って利益得てるんだから、損失も被れという考え方です( ・ω・)

 

この報償責任は、近代の大企業では、きわめて強度に要求されます。

大企業は、多くの者を使用して、組織化し、その組織内における職務を

組織内の内部規律に従って執行させています。

 

そして、その多数の被用者(従業員)の行為から、

他人に対してなんらかの損害を及ぼすことは、ほとんど避けがたいことです。

 

しかも、大企業は、巨大な収益をもたらすものですが、その収益は、原則として、

企業の経営者が得ることになり、従業員は単に一定の給料を受けるに過ぎません。

そのため、企業の運営からほとんど必然的に生じる危険に起因する第三者の損害を

直接の加害者である従業員のみの責任とすることは、はなはだしく公平に反する

ということになります。

 

なので、他人を使用してその活動範囲を拡張し、これによる利益を収受する使用者に、

その損害を負担させることが公平の理想の要請することとなります。

 

現実には、

被害者の視点からすれば、支払能力の低い従業員(直接の加害者)だけでなく、

その使用者(会社や雇い主)に損害賠償を請求できる方が、被害回復をしやすい

という面もあります( ・ω・)

 

そんな考慮もあり、判例・学説は、使用者責任の適用範囲を広く解する傾向があります。

 

社長さん。

なんかやらかした従業員に、

その責任全部押しつけていませんか?

道義的責任でなく、法的な責任が、

会社にもありますよ( ・ω・)