こんばんは。

今日もトコトコ。

アレテーを求めて。

弁護士の岡本です( ・ω・)

 

先日の予告のとおり、いよいよ始まります。新連載。

『宇宙一わかりやすい僕らの憲法のお話( ・ω・)』

 

 

第一話のテーマは、

 

『憲法って、なんだろう?

             立憲主義のお話』

 

です。

 

みなさん、「憲法」って、何か?

「正確」に答えることができますか?

 

小中学校の「社会科」から出てくる「憲法」という言葉

でも、この「憲法」がどんなものかを、

きちんと説明できる人はあまりいないのではないでしょうか?

 

でも、大丈夫。

この『宇宙一わかりやすい憲法のお話( ・ω・)』の「連載」を読み終わった頃には、

みなさんは、その辺の弁護士や国会議員よりも、憲法のことを理解できる

・・・かも知れません(笑)

 

では、さっそく、本題に入っていきましょう( ・ω・)

 

まずは、憲法の基本書

(野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利 著 「憲法Ⅰ」有斐閣。

今後、単に「憲法Ⅰ」と書きます。)

の頭に書いてある憲法の定義から。

 

憲法とは、広義では、

社会における政治権力の担い手であるかとか、

権力をどのように行使すべきであるかとかいった、

政治権力の基本的な在り方を

決めている法規範である。

 

老師(ラオシー)、ギブアップです~

もう、何のことかぜんぜんわかりませ~ん( ・ω・)

 

はい。安心してください。

こんな定義は、まったく覚える必要はありません。

 

この定義は、「固有の意味の憲法」と言われるもので、

どんな権力構造の国家にもあります。

独裁者の国でも、この意味の憲法はあります。

 

例えば、一番単純な例を作ると

 

1 国王の命令は絶対である。

2 国王は、いつでも国民に税金をかけられる。

3 国王は、いつでも国民を死刑にできる。

4 国王は、いつでも国民に労役(強制労働)または軍役(徴兵)を課すことができる。

5 国王は、単独で、他国との条約締結等の外交

または戦争の開始あるいは戦争の停止を決定できる。

6 軍の最高指揮権は国王に属す。

7 国王の権力は、いかなる者にも制限することができない。

 

はい。完璧な独裁国家の憲法のできあがりです( ・ω・)

 

僕たちの憲法の意味を考えるときは、

こんな独裁国家にもあるような固有の意味の憲法ではなく、

もっと中身のある実質的な意味の憲法のことを考える必要があります。

 

 

また「憲法Ⅰ」からの定義を引いてみます。

 

立憲的意味の憲法とは、

権力を制限することにより

自由を保障しようという考えを

基本理念とする憲法である。

はい。ここで、「立憲的意味」の「憲法」という言葉が出てきました。

ここを掘り下げて考えてみましょう。

 

大切なことは、以下の2つです。

①憲法とは、国家権力を制限するものである。

②憲法とは、(個人の)自由を保障するものである。

 

実は、このことだけ理解していれば、憲法の説明は十分なのです。

今後の連載の中で順に説明していきますが、

この①国家権力を制限する。②自由を保障する。

という、2つの目的のために、

国家権力を立法権(国会)行政権(内閣)司法権(裁判所)に分散させる

三権分立が取られている。

また、国民主権のもと、選挙により権力者を交代させられる民主主義が取られている。

そして、国家権力から守られなければならない基本的人権が保障されている。

 

 

立憲主義というのは、

権力の行使を憲法に基づかせようとする考えです。

 

かみ砕いて言うと、

①権力者は、憲法の決めたルールに従わなければならない。

②権力者は、憲法の与えていない権限を行使してはならない。

③権力者は、憲法の保障する人権を侵害するような政治をしてはならない。

 

1つだけ、日本国憲法の条文を引きます。

 

憲法99条

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、

この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

あらゆる国家機関の職(ないし役割)にある者は、

憲法を守らなければならない。

ということです。

 

天皇陛下だって、例外じゃありません。

 

参考に、これが、自由民主党が党として発表している

自民党憲法草案では、こういう改正内容になっています。

 

自民党憲法草案102条

1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。

2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。

 

今の日本国憲法99条との違いに気づいたでしょうか?

自民党憲法草案では、国家権力を縛るはずの憲法の尊重義務が「国民」に課されています。

また、憲法尊重擁護義務の主体から「天皇及び摂政」が消えています。

この意味は、なんなんでしょうね?

少し、みなさんで、考えてみてもらえればと思います。

 

さて、ここまで読んで、

あれっ?今の日本って?と思った人がいたら

センスが良いです。

 

みなさんの疑問が解消するのか、

それとも、おかしいという思いが増すのか?

それは、この連載を読んだあなたが自由に判断してください。

 

このシリーズの掲載予定は以下のとおり。

 

1 憲法って、なんだろう?立憲主義のお話

2 民主主義って、多数決のことじゃないの?

3 三権分立 独裁者を生まないためのシステム

4 憲法前文って、なぁに?

5 象徴天皇制とジェンダーのお話

6 「個人の尊厳」と「公共の福祉」って、なんのこと?

7 「人権」とはなにか?

8 税金と民主主義

9 平和主義、その本当の意義

10 表現の自由って、どうして大事?

11 信教の自由って、どういうもの?

13 ほんとに守られてますか?学問の自由

14 昔はあたりまえじゃなかった婚姻の自由

15 生存権・・・教えて、僕らの生きる権利

16 一人の個人として育つために~学習権

17 働く人の権利

18 財産権という人権

19 「平等」って、なに?

20 適正手続~刑事裁判と人権

21 憲法の条文に書いてない人権は認められないの?

22 国会とは?

24 内閣とは?

25 裁判所とは?

26 地方自治って、なんだろう?

27 憲法改正の手続のこと

28 最後に繰り返そう!「憲法」が大切な理由(最終回)  

 

 

次回は、民主主義のお話です。

 

読んでくださり、ありがとうございました。