そっと家を出た。
何も当てはない。
ただ、なんとなく苦しくて、もうどうにも耐えられなかった。
自分の不甲斐なさ、
何年も回復しない体調、
なんの役にも立っていない自分。
「生きていて意味があるのだろうか。」
ずっとずっと、そんな想いに押しつぶされそうで、いたたまれずにいた。
ただ、布団に寝ているだけの日々。
生きているのか、死んでいるのかわからない。
病院にすら行くことができないほど、状態が思わしくないことが、ひと月続くこともあった。
朝は起きれず、夜は眠れない。
全く食欲がないかと思えば、急に猛烈な食欲が夜中に襲い、我慢しきれず、カップ麺を何個も食べ、冷凍食品をあさることもしばしばあった。
「自分はこの世に必要ない、、、」
家族に何も言わず、携帯電話も持たないまま、家を出て歩いた。
どこを歩いているかもよくわからなかった。
山の方に向かって歩いた気がする。
街灯もひとけもほとんどなく、車も通ってなかった。
歩きながら何を考えていたのか、よく覚えていない。
結局、行くあてもなく、そのうち疲れて家の方向に向かっていた。
情けなかった。
結局、家に戻るしかないのか。
やはり死んでしまいたい。
突然そんな衝動にかられて、家に着く直前、僕はクルマの前に飛び出していた。
15年ほど前の僕は、この夜の暗闇よりも、深い漆黒の闇の底で這い回るしかなかった。
つづく
幸せはあなたのすぐそばに🍀
天地人に感謝
生かされていることに感謝