気がつくと1日以上が経っていた。

「仕事行かなきゃ!」

飛び起きようとして、両親から止められた。

病院のベッドの上だった。

「やっと気がついたね、よかった、、、」

安堵の表情を見せる母。

僕はまだ状況をよく掴めないでいた。

遡ること2ヶ月ー

大卒で就職して約半年間の新人研修を終え、現場で先輩について細かな業務を学び、いよいよ独り立ちして間もない頃だった。

僕は会社の方針ややり方に絶望して、何のために働けばいいのか、誰のために働けばいいのかわからなくなっていた。

人が元気になるために、人の役に立つために、選んだ仕事だったにもかかわらず、理想と現実のギャップの大きさに気持ちがついていかない。

表面的には明るく振る舞い、時にはバカなふりをして普段と同じようにしていたが、仕事が手につかず徐々に集中力がなくなり、日常生活にも支障をきたし始めていた。

それまで興味があったことに関心がなくなり、遊ぶ気力もなくなりつつあった。テレビを観てもつまらなくて、好きな音楽も聞かなくなった。食欲もなくなっていた。

仕事ができないから、寝る時間を削って仕事をする、それでも終わらない仕事。
会社に行けば、上司になじられ、徐々に逃げ場がなくなっていた。

先輩や同僚は「会社や世の中なんてそんなもんだ」と日々愚痴を言い、割り切ってやっていたが、僕はうまくやれなかった。

成果が上がらず、上司からの叱責も続き、精神的に追い詰められていたある夜のことだった。

現実か夢かわからない錯乱した状態で「殺してくれー!!」と泣き叫んでいた。

(つづく)

天地人に感謝
生かされていることに感謝