「ジロジロみたら恥ずかしいじゃないっ、あんまり見ないでよ」



眉間にしわを寄せて苦笑いし、とても嫌がる女性の顔。



子ども心に、とてもショックだった。


下心などあるはずもなく、嫌がらせるつもりなど毛頭なかった。


悪いことをしてないのに、何故強い口調で怒られるのかわからなかった。



この一件で、
「女性の裸を見ると、怒られたり嫌がられたりするんだ、悪いことなんだ」と深く心に刻まれてしまった。



当時、母親や姉とともに地元の子供会で泊りがけの旅行に行った時のことだった。



僕は幼稚園児で、母から離れて男風呂に入るのが怖くて、母親と一緒に女風呂に入っていた。



どんな小さな子どもでもやっぱり男の子は女性の裸は嫌いではないはずだ。



だから、目の前に母親以外の裸姿が沢山あれば見たくなる。特に好奇心が旺盛だったので、凝視していたのかもしれない。



もちろん、それを嫌がる女性もいるだろう。今ならもちろんわかる。



しかし、まだ幼くて、しかも神経質で感受性が豊かだった僕は、それを強く否定されたと感じた。





それから、思春期〜青年期を過ぎて、
自分の中に湧き上がる性的なこと、
ごく普通の男としての感情や欲求を強く否定する自分がいた。



求める気持ちはあるのに、それを自分が許せない。



原因がわからず、苦しんでいていた時に、この記憶にたどり着いた。




人が嫌がることに極端に敏感で、ビクビクしてしまい、特に恋愛や男女に関する事は緊張感が強く、なかなか前に進まなかった。




緊張して肩に力が入り、心や表情に余裕がないところも女性を遠ざけたのかもしれない。



盛り上がったり冷めたりの感情のアップダウンを繰り返すうちに、疲れてしまい「どうせ無理」「面倒くさい」と諦めるようになってしまった。



美しい女性への憧れと恐怖が、心の底に横たわっていた。




優しく受け入れてくれる女性が表面的でないことを信じて、過去を超えていこう。






天地人に感謝
生かされていることに感謝