又々、追いだし部屋特集です。

良くもまあ、沢山有りますね!

過剰サービスと世界からは見られている日本の物流サービスです、

しかし裏ではこんな凄惨な人生ドラマが繰り広げられているとは

ほとんど知られていませんよね。



コストダウンの為に導入された、指示伝票すら無くして端末や棚

のパイロットランプの点滅で保管場所を指示しそこから端末に

表示された品物を指示された数量だけピッキングする。

物流担当として設計に携わったりシステム構築に携わっていた時

は生産性と効率しか考えていませんでした。



まさか、作ったシステムで人間が機械のように働かされるとは!

人間が豊かになる社会作りが最初にないと大変な事に成るという

正に教訓です。



ところで、あなたの町に最近大型の物流拠点が増えていませんか。

大量のピッキング要因が引きぬかれたり新規募集かけられたり

していますよ。

その物流センターでこういうことが日常茶飯事行われていると

したら正に現代の怪談ですね!



朝日新聞 朝刊 2013年07月15日付け報道です。



(限界にっぽん)第4部・続「追い出し部屋」:

2 「自分が機械になった気分」


okadan3のブログ 地域住環境保全とエコ活動推進の仲間作り-アマゾン首都圏事業所

 
okadan3のブログ 地域住環境保全とエコ活動推進の仲間作り-日通とアマゾンの売上推移




 ■日通管理職の「アマゾン行き」 商品棚の海、探す「注文」



 「いつまで、こんな作業を繰り返すのだろう」



 蒸し暑い巨大倉庫の中で40代の男性は、本やおもちゃを

入れたカートを押しながら、ぼんやりと考える。

インターネット通販の世界大手、アマゾン・ドット・コム。

その物流拠点「市川フルフィルメントセンター(FC)」

(千葉県市川市)で働き始めて4カ月目に入った。



 日本通運の中間管理職だった。

都内の支店から市川FCの中にある日通の

「アマゾン首都圏事業所」に配属された。

仕事は、予想もしなかった「ピッキング」と呼ばれる作業だった。



 通路をはさんで左右に並ぶ商品棚の海をかき分け、

全国からネットで注文が入った商品を選び出す。

書籍やDVDソフト、食品、お菓子、雑貨、衣類――。



 手に持ったバーコードを読み取る端末機の液晶画面に、

その商品の棚の位置などを示すアルファベットと数字のコードが

送られてくる。

その場所を探して商品を見つけたら、端末機をあてる。

ピッという音。

商品をカートに入れると、間髪なく次の「注文」が送られてくる。

間違ってエラーがでたら、また探し直しだ。



 朝8時半から夕方5時まで、これをひたすら繰り返す。

サッカー場が2面取れる広さのフロアでは、数百人がカートを

押しながら棚と棚を何度も行き来する。

大半は契約社員や派遣などの若者だ。



 「端末機の指示で動き、人と会話することもほとんどない。

まるで、自分が機械になったような気分にさえなる」



 別の40代の男性は、ここで働き始めて1週間が過ぎたころ、

上司から「貴職の生産性推移グラフ」

と書かれたA4用紙を渡された。

作業の経験日数に応じた、1時間当たりの作業員の

平均ピッキング数と、自分の実績が一目で分かるグラフも

添えられている。

9日目で、平均は1時間に102個だったが、

自分はそれを下回っていた。



 さらに、7月に入ると「3カ月の振り返り」と題した紙を

渡され、「この3カ月で何をしたか」「何を学んだか」

「これから何をするのか」を書いて提出するよう求められた。



 どんどん追い込まれるような気分になる。

「今回の人事は、『もう日通に居場所はないぞ』

という通告なんだな」と理解した。



 ■PC取り上げ、机も無し



 この4月に日通からアマゾンに来たのは、15人。

このうち10人が市川FCで働き、ほかの5人は別のFCに

配属された。

ほとんど40代で、支店でトラックの手配や引っ越しの業務を

していた事務系の中間管理職だ。

通勤の姿もスーツから、ポロシャツとジーンズ、

ペットボトルを差し込んだナップザック姿へと変わった。



 40代の男性が上司の課長から「アマゾン行き」を

告げられたのは3月末のことだった。

「えっ、正直えらいことになったと。単純作業の部署に

異動になった人もいたし、いいイメージはなかったから」



 上司には「雇用は保証してくれるのか」と思わず聞いた。

だが、「絶対とはいえないが会社も考えている。

まずは頑張ってくれ」といわれただけ。

「どうして自分が」との思いはいまも消えない。



 社内では「アマゾン異動者」と呼ばれ、それまで使っていた

個人用のパソコンは取り上げられた。

一方で新たな職場には専用のロッカーも机もない。

名刺だけは渡された。

「名刺なんて、もう配ることもないのに」



 唯一、「日通」を感じるのは作業の時に肩にかける

「日通カラー」のオレンジ色のタスキだ。

倉庫内では新人作業員などの一部がタスキをかけて作業し、

指導員はピンク色のベストを着る。

新人はじきにタスキを外すが、自分たちは着けたまま。

「見せしめなのだろうか」とも思う。



 運輸業界の過当競争が進む中で、日通は4月からの

新中期経営計画で「国内事業の経営体質強化」を掲げ、

全国に約170ある一般支店の統廃合や首都圏営業所の合理化

などを打ち出した。

「ペリカン便」で知られた宅配事業が不振のため他社に譲渡され、

管理部門などに余剰人員が生まれるなど、厳しいリストラの

下地はほかにもあった。



 「会社としては頭でっかちの管理部門を切りたい。

給料が比較的高く、内勤の中間管理職がねらい撃ちされている。

バブル世代だし、実際、若い人より給料も高いから

カットに来るのはわかる。

でもここじゃ、キャリアや経験も生かせない」。

今までの会社員人生を否定された気分になる。



 ■「頑張るぞおー」



 「便利さ」を売りに急成長するグローバル企業のすそ野で、

会社人生が急変した中間管理職がさまよう。



 「元の職場に戻れるのだろうか」

「そのうち退職勧奨が始まるのではないか」



 不安にかられる中で、帰宅する電車の座席に身を沈め、

思い浮かべるのは家で待つ家族のことだ。

子どももまだ就学中、進学にもお金がかかる。

残業がほとんどないため、月7万~10万円は収入が減った。



 上司からは「ピッキングの成績が上がらないと、

給料が下がる」といわれている。

「ツテがあれば転職もと考えるが、もう年齢的にも厳しい。

だから石にしがみついてでもやるしかない。

正直、しんどいけど」



 一方で、別の異動者は「会社の置かれている状況はわかる。

給料をもらっている以上、従うのが筋。

それにここではアマゾンという巨大企業のビジネスの一端も

かいま見えて、それなりに勉強になる。

ここで頑張って次のステップを考えるしかない」という。



 中間管理職まできた意地と誇りが顔をだす。

とはいえ、ここでの「昇進」の道は、ピッキングから、

商品を棚に入れる作業に昇格し、さらに新人に仕事を教える

トレーナーになっていくことしかない。



 賃金も勤務内容も激変するこうした人事について日通広報は

「普通には起こりえない」と、特殊なケースだと認めながら

「『追い出し』との認識はないし、会社員ならば与えられた

仕事で成長するのが当然だ」という。

アマゾンの日本法人アマゾンジャパンは

「他社との協業については一切答えられない」としている。



 6月下旬の週末の夕方、駅ビル内の居酒屋に

「アマゾン異動者」が集まり、早めの暑気払いをかねて

「飲み会」が開かれた。



 かつての職場の話やたわいのない話で盛り上がったあと、

「中締め」で一人があいさつにたった。



 「4月に来て約3カ月がたちました。これから先、何カ月、

いや何年いるかもしれませんが、頑張りましょう」。

じっと聴き入る人、遠くをみつめる人、そんな中ですでに

お酒のかなり入った一人が連呼する。



 「頑張るぞ。頑張るぞ、頑張るぞおー」。

自らに言い聞かせるかのような叫びが響いた。

 (横枕嘉泰)

    *
 次回は、厳しさを増す雇用の問題について考える。



☆☆☆

全く寂しい話ですね。

しかし、これは特殊な例ではなく沢山の企業が似たようなことを

やっています。

今のところ、キャンペーンを打って「追い出し部屋」特集を

やっているのは朝日新聞だけです(知るかぎりでは)。



いつかあなたの番が巡ってこないとは言い切れません。

又家族や同僚でこんな目に合っている人がいるのかも知れません。

皆んなで協力しあって、こんな人権を無視した事は止めさせる

ようにしましょう。


何時か我が身です、そんな憂いを後世に残さないためにも!