こんにちは。

産業の空洞化とか海外へ雇用転換とかいろいろ叫ばれています。

安倍政権としては、内需拡大で景気を盛り立てようと

躍起に成っています。



しかし、打つべき手が見当たりません。

そこで、困ったときの土木建築予算のてんこ盛り政策が

出てくるわけです。

予算さえ付けてしまえばベルトコンベアのように、建築業界に金が

移動し、雇用も増えて次期の選挙では圧倒的支持を取り付けられる。



こんな方程式で臨んでいる訳ですが、今回は一寸様子が様変わり

しています。

前回もお伝えしたように、被災地における大型プロジェクトで

相次いでゼネコンの入札辞退が起こっているわけです。



理由は、受注しても現場施工に携わる人員の確保が出来ない。

資材高騰で生コンやアスファルト合材とで赤字に成ってしまう。

資材単価高騰・入手困難は交渉で何とかなると思いますが、現場の

人員確保が全国的に難しい。



働く人間もそこいらの事情は、先刻承知なのでわざわざ危険を

冒してまで被災地では働かない。

これは、長い間の自民党政権が敷いてきた日本経済改革路線の

終着駅で有るわけです。


一次産業を台無しにして、米の補助金政策だけで農家を駄目にし、

若者を農林産業から撤退させ自動車産業をはじめとした都市型の

労働集約産業に駆り立てた。



挙げ句の果てには、企業はコストの高い国内を捨て海外生産へと

生産体制をシフトし、国内に労働失業者が溢れている。

彼らは3Kだとかというマスコミを通じて宣伝された教育により

大地に根を張り汗まみれに成る仕事には見向きもしない。



かくして、大型の土木予算の使途不可能金と大量の失業者、

寝るところにも困る若者たちが併存する不可解な世界が構築されて

いるのであリます。




かたや、ダラ余りの土木予算のなか、政府の規制により大型の新規

産業の芽が摘まれています。

横断的に省庁の壁を取り払って対処しなければ、政府や一自民党

だけの問題ではなく日本列島が沈没してしまいます。



あの(限界にっぽん)第2部・雇用と成長が朝日新聞に新規掲載

されました。2013年3月4日朝刊です。


 規制の弊害  関西の主力産業の移り変わり


 ■新薬承認、厳格審査の壁

 「(昨秋に)ロシアで発売された遺伝子治療薬を、

私も使えませんか」

 3年前から診てきた男性患者(50)にこう頼まれて、

大阪大の森下竜一教授(50)はやりきれない思いにかられた。




 その薬は、本来なら自分がもっと早く、世界で初めて

実用化できると思っていたからだ。

血管を再生する働きがある遺伝子をつかう「遺伝子治療薬」で、

手足の先に血を送り込む血管がつまる難病「バージャー病」に

効き目がある。




 森下教授は2001年に薬をつくり、

患者に試す臨床研究に入った。

翌年、05年の製造販売をめざして開発会社「アンジェスMG」

を新興市場の東証マザーズに上場した。

大学の研究室から生まれたベンチャー企業の上場第1号だった。




 「実用化は近い」と期待が高まり、投資家からまたたく間に

180億円の資金が集まった。

開発資金を出す大手製薬会社も現れた。



 遺伝子などを利用する「バイオ」ブームがわき起こり、

バイオ関連のベンチャー企業も一気に増えた。



 流れに乗って、関西の主力産業に育てようと、

大阪府が開発した北部の丘陵地帯をバイオの

一大拠点にしようとした。

「バイオ都市」をめざす関西の象徴がアンジェスMGだった。




 ところが、その夢は急速にしぼんでいく。



 薬として売り出すには、効き目や副作用の程度を確かめる

臨床試験(治験)をし、厚生労働省の承認を得なければならない。

難病なので患者が少ないバージャー病でも、

厚労省はほかの病気と同じように、細かな条件を満たした

患者を集めるよう求めた。




それに応えるために、承認申請までに上場から6年を費やした。



 申請後も、手続きは遅々として進まない。

「外国人の臨床試験を」と追加データの提出まで求められた。

しびれを切らし、10年に申請を取り下げた。

患者が多い別の病気で臨床試験し、申請し直すことにした。




 厚労省は「効果の確証が得られなかった。

患者の少ない難病の治療薬は、効果と副作用を見極めるのが難しく、

厳しく審査せざるをえない」と説明する。



だが、森下教授は「臨床試験では、27人のうち19人の

症状が改善した。

厚労省は、先進国で初めて遺伝子治療薬を

承認することになるので、薬害をおそれて二の足を踏んだのだろう。

基準があいまいで行政の裁量の余地が大きく、手続きが遅い。

これではバイオ産業は起こせない」と反論する。





 結局、「世界初の難病治療薬」はロシアに先を越されてしまった。

薬を待ち望んでいた日本の患者たちの期待に応えられないのが

何より悔しい。



バイオブームも冷め、アンジェスMGにお金を出した投資家や

大手製薬会社は離れていった。

臨床試験の費用で赤字が続き、この3月末には

アンジェスMG社員の3分の1にあたる16人が退社する。



 新薬を安易に承認し、患者に重大な被害を与えてはならない。

審査が厳しくなるのは当然だ。

 だが、あまりに長く続く厳格な審査は、技術革新を妨げ、

研究者の開発意欲をそぐ。

日本遺伝子治療学会の金田安史理事長(大阪大教授)は

「審査に時間がかかるのは、専門家がいないからだ」

と改善を訴える。



 ■iPS実用化でも


 京大の山中伸弥教授のノーベル賞受賞で注目されたiPS細胞

(人工多能性幹細胞)の実用化にも、過剰な規制が立ちはだかる。

 研究には、患者から取った細胞を増やす培養作業が欠かせない。

だが厚労省は、一つの研究室につき1人の患者の細胞しか扱えない

という規制を設けていたため、関西の自治体が規制を

緩めるよう求めていた。



 厚労省は緩和に応じ、昨秋には「時間をずらせば、

複数の患者の細胞を扱うのは差し支えない」という見解

を明確に示した。



 それでもまだ、研究室がある大学と、国からそれぞれ、

研究計画の事前審査を受けなければならない。

承認に時間がかかり、研究が遅れる原因になっているとして、

関西の自治体は「第三者機関を設け、その審査に

一本化できないか」とさらなる緩和を求めている。




 中小企業の不満も強い。


 「厚労省の認可の問題が、大きな障害になっている」。

兵庫県加西市で医療機器メーカー「トラストメディカル」を

営む児玉崇社長は2月25日、自民党の日本経済再生本部の

国会議員たちに訴えた。

成長戦略には何が必要か、中小企業などから本音を聞くための

会合でのことだった。





 児玉社長は3年前、感染症の原因になる10種類のウイルスを

20分間で識別できる検査機を開発した。

だが売れたのは20台ほどだ。


「医療機器」の認可を取っていないため、検査機を医療目的に

つかう病院などへ売ることができない。

だが、「認可を取ろうとしたら10年かかる」と困っている。



 会合に出たパナソニックの松下正幸副会長も

「規制は新しいものを生み出す時、抵抗になる」と語った。

再生本部で本部長を務める高市早苗政調会長は出席者たちの

指摘をメモし、「技術革新の足を引っ張らないのが大事」と応じた。


 ■止まらぬ地盤沈下


 関西経済を担う新たな産業が育たず、地盤沈下が止まらない。

 もともと関西はたくましい商魂で次々と新産業を生み出し、

民間パワーで成長を続ける「民都」だった。



 江戸末期の豪商たちは旧藩への借金を棒引きさせられて痛手を

負ったが、商人が中心になって紡績業を立ち上げた。

明治維新の工業化を引っ張り、関西は全国の綿糸生産の

9割を占めるまでになった。




 戦後の復興期には、繊維に代わって鉄鋼や化学などの重工業が

伸び、高度成長期からはパナソニックをはじめとする

大手家電などの電機産業が大阪を支えた。



 だが次の産業が現れず、成長が止まった。

力を入れてきたバイオは規制の壁を乗り越えられず、

ものにならないでいる。



大手家電メーカーの業績悪化が重なり、

衰退に拍車がかかりかねない。

日本全体の沈滞にもつながっている。




 それでも関西の自治体や財界は11年、

バイオやエネルギー分野で「特区」の指定を受け、

規制緩和を求めて政府との交渉を粘り強く続けている。

これをてこにどこまで新産業を伸ばせるか、

再生のカギを握っている。

 (諏訪和仁)


規制を無制限に撤廃せよと言っているのではない、もう少し民間と

合同で知恵を出せと言っている。

自分たちに人材がいないのなら、大学・民間総動員でスピードを

上げるほうが良いに決まっている。



産学協同に国の審査機関が合流することは、

何等おかしな事ではない。