さて、リーグ戦に優勝した後、大学の監督の長谷川さんとの個人面談で進路の話をしたことを覚えています。

長谷川さんに「お前はどこか行きたいチームとかあるのか?」と聞かれ、

「出来ることならJBLでプレーしたいです。JBLで一番行きたいチームはトヨタです。」と答えました。トヨタはバスケが強かったし設備などの環境も一番いいと聞いていたし、練習場所も都内にあったからです。

「お前なら勉強もしっかりやってきているし、ちゃんと卒業も出来る。仮に行けるとしたら、当然正社員で行きたいんだろ?」と聞かれました。

―僕はそこで会計士受験の話を初めてしました。目指す理由、既に勉強を始めていること、実はリーグ戦中も毎日数時間の勉強をこなしていたこと、卒業後は受験勉強の時間を確保するため正社員ではなく契約社員(※)で行きたいということ、などなど。

(※契約社員とは、正社員と異なり通常業務は行わず、バスケットのみを仕事にする契約形態の通称。バスケットに専念できるが、基本的には一年毎の契約更新で、バスケットのパフォーマンス次第で給与や契約更新の可否が決まる。原則として引退後は会社に社員として残ることは出来ない。但し、チームによって細かい契約内容は異なる。)

長谷川さんは、基本的には部員たちに正社員での就職を勧めます。教職者として安定した進路を選んでほしいのは当然です。今の経済状況では特にそうでしょうね。ですが、僕の意思を尊重してくださって、契約社員での道に理解を示してくれたのです。「ただし、必ず合格するんだぞ!」とだけは強く言われました。その約束を果たすことが出来て、今ではほっとしていますが・・・。


その後、冬のインカレで準優勝し、年が明け、自分たちの代になりました。正式ではありませんがトヨタから誘いの話が来たのは、この辺りの時期でした。まさか一番行きたかったトヨタから誘いが来るとは思っていなかったので、すごく嬉しかったのを覚えています。

4年生の春には正式に内定が決まり、バスケット選手兼会計士受験生となることも同時に決まったのです。

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ちょっとバスケの話も入れてみました。
時系列が分かるかなぁと・・・。


さて、ここまで読んで頂いた皆さんに一つ誤解してほしくないのは、僕はバスケ選手としての生活に対して金銭的な不安があるから会計士受験を決めたわけではないということです。前回の日記でも多少つっこみがありましたが、僕は自信家のあほうなので(笑)、バスケが出来なくともいくらでも生活をしていける自信がありました。それは会計士の資格を取っていなくても、です。なので、会計士を目指したのは全く別の理由であって、バスケが出来なくなった時の保険だとか、そんな安っぽいものでもないということだけは、この場で強く伝えたいと思います。

(※そもそも会計士試験に受かったからといって、生活が安泰な時代ではないんです。会計業界では常識ですが、一般的には安泰だと思われているらしい・・・。)

また、現状日本のバスケ選手は様々な契約形態もあり、世間の皆さんが思っている以上に良い待遇で生活することが出来ます。特にトッププレイヤーになれば余裕のある生活だって出来ます。頑張り次第では、引退後の将来もずっとバスケに関わる事が出来ます。若い選手達に「バスケ選手なんてお金にならないから、学生でおしまい」だなんて寂しいこと言わないでほしいのです。子供達にとっても夢のある職業になってほしいので、また、それを支える保護者の皆さんにもこのことを伝えたいので、あえてこんな事を書いています。

なにより、好きなことを仕事に出来るって本当に幸せなことなんです。

5.会計士受験の位置づけ(2006年夏)