『マイナビニュース』で連載中の「コロナ禍に打ち克つためにできること」に「第15回・渋沢栄一に学ぶ生き方と経営(中)~」アフターコロナへのヒント『合本主義』」を掲載しました。
 https://news.mynavi.jp/article/covid-19-15/

 前回の原稿「「第15回・渋沢栄一に学ぶ生き方と経営(上)~ピンチをチャンスに変えた人生」では、渋沢栄一が何度も危機に直面し、そのたびに挫折と不本意な転身を余儀なくされたこと、しかしそれでもあきらめずに、その経験を糧にして自分の力を最大限に発揮し、新しい道を切り開いてきたことを詳しく記述しました。

 今回の「中」では、渋沢栄一が数多くの企業を設立するにあたって、「合本(がっぽん)主義」を基本理念としたことを書きました。
 「合本主義」とは、数多くの人から資金を集めて会社を作る考え方で、「合本」は株式会社のことです。
 栄一はその考えに基づき、多くの経済人から出資を集めて会社を作りました。その数が約500社にも達したわけです。自分一人が会社を作って大きくするという発想ではなく、世の中が必要とする会社を作ることが、栄一にとって重要だったのです。それは、単に「おカネを集める」ことにとどまらず、多くの人の力と知恵を集めて社会を変えるという意味合いも含んでいます。
 これは現在にとっても通じるものです。コロナ禍の現在、オールニッポンの力を結集して危機を乗り越えていくことが重要です。「おカネを集める」という点でも、企業が資金調達によって成長をめざすことは経済活性化の原動力になりえますし、クラウドファンディングのような新しい手法で企業や団体・個人の新規事業や起業を支援する動きが広がっています。
 これらは「現代版・合本主義」と言えるでしょう。渋沢栄一の思想は、コロナ禍を乗り切るヒントを私たちに与えてくれています。