アルバム『Birth』~心を癒すヴィオラとクリスタルボウル~の曲たち

"萩原 薫 Birth発売記念ライブ JZ Brat ヴィオラ" 

https://youtu.be/ZdOPnEv8Rb4

(この感想は4日間に少しずつ書きました。その間に私の知識が少しですが深まりました。今、初めから書いたら、少し進歩した文章が書けると思いますが、そのまま掲載することにしました。)

アルバム『Birth』(Kaoru Hagiwara)に収録されている13曲の感想です。クリスタルボウルについての記述は、萩原薫さんのブログやMCを参考にしている部分もありますが、すべてが私の主観にもとづいて書いております。

間違った記述もあると思いますが、このCDのひとりのリスナーの感じた感想です。

曲目リスト

  1. 癒しの世界へ
  2. 木漏れ陽
  3. 青空の彼方へ
  4. ペンタス
  5. Interlude 1
  6. そよ風
  7. はじまり
  8. Interlude 2
  9. 海の夢
  10. 芽生え
  11. セロシア
  12. 新月
  13. 明日へ


1、癒しの世界へ(クリスタルボウル&ピアノ)

 13曲には標題がついています。『癒しの世界へ』は、このCDの制作意図を明示しています。『癒し』です。

『癒し』にはいろいろな意味があると思います。病気が治ること、緊張が和らぐこと、ホッとすること、リラックスすること、温かな気持ちになること、笑顔になること、その答えは、人それぞれ違うと思います。

このアルバムを聴き終わった時に、その答えがみつかるかもしれません。

2、木漏れ日(ヴィオラ&ピアノ) ~風の香りはあの日のまま~

 この曲は、ピアノで始まります。その後、ヴィオラで短い旋律が奏でられ、そして、とても印象的な旋律が提示されます。そして、この、印象的なメロディーは、ヴィオラとピアノで展開しながら繰り返し演奏されます。CDの感想でこの曲がいちばん好きだと書いたのは、このアルバムでこの旋律が今の私には、最もしっくりきたからです。

木漏れ日(こもれび)は、森林などの木立ちから太陽の日差しが漏れる光景のこと。(Wekipedia)です。なお、「木漏れ日・木洩れ日」に相当する英語はないとのことです。「木漏れ日」に美しさを感じることは、日本人の感性によるものかもしれません。

私が『木漏れ日』という言葉を知ったのは、1974年、大学生の時でした。かぐや姫アルバム『三階建の詩』の終曲が『木漏れ陽』でした。

『木漏れ日』イントロのピアノのキラキラした音は、あたたかな太陽の光を、ヴィオラの葉の緑を表現しているのかもしれません。それでも、私はアルバム『Birth』のい感想で、この曲を川の流れになぞらえて書きました。それは、私が、木漏れ日を見た記憶がないからです。木と太陽があれば、木漏れ日を見られたはずです。私は、これまで、木漏れ日を見て感じる余裕がなかったからだと思います。

『木漏れ日』https://youtu.be/tn1JtEtF62s

かぐや姫 『木漏れ陽』(作:山田パンダ(つぐと))https://m.youtube.com/watch?v=347rSXATolg))

3、青空の彼方へ(ヴィオラ&ピアノ)

 高校で音楽の授業で、ソナタ形式について習いました。

ソナタ形式とは、楽曲の形式の一つで、構成は基本的に、序奏・提示部・展開部・再現部・結尾部からなり、二つの主題が提示部・再現部に現れる。古典派の時代に大きく発展した。(Wekipedia

この年になってソナタ形式について勉強するとは思っていませんでしたが、このアルバムのヴィオラの作品もどうやら、ソナタ形式で書かれているようです。私の好きなメロディーは、『木漏れ日』の第二主題のようです。

前曲の『木漏れ日』が、ピアノの序奏から始まりましたが、この曲はヴィオラにより第一主題、第二主題が演奏され始まります。第一主題は少しもの悲しさを含んだメロディー、第二主題には温かさを感じましたなんとも温かいメロディーです。暖かい春の空のイメージです。ヴィオラの澄んだ音色が印象的でした。ヴィオラが二つの主題の音色を弾きわけているように思いました。

ピアノははじめから、ヴィオラに寄り添うよう加わります。ピアノのオルゴールのような音色とときおり聞こえるベースのような低い音も印象的です。

曲は、ゆっくりしたヴィオラの演奏で終わります。

4、ペンタス(ヴィオラ&ピアノ)

ペンタスは、花の名前です。小さな花弁の可憐な花です。CDのパンフレットによると、ペンタスはギリシャ語で「5」を意味し・・とあります。なんで、4曲目なのに「5」なのなんて言ってはいけません。つづけて、「5」は花びらの数を表しています。花言葉は「希望がかなう」、この曲のテーマは「希望」です。

曲はピアノの序奏で始まります。やがて、ヴィオラにより、懐かしさを感じさせる第一主題、おおらかな第二主題が奏でられます。短いフレーズですが、ヴィオラで一度、たたみかけるような音の動きとその後の静寂が特に印象的な曲です。

ここで、もう一度『癒やし』について考えてみます。もし、癒された結果、前より強くなれたとしたら、勇気を持てたとした、『癒し』って、ポジティブなことなのかもしれません。

『癒やし』の意味を考えながら、『Birth』の感想を書いてきました。好き嫌いで書いてきました。その過程で、ソナタ形式について勉強したら、僅かながら曲の構造が解るようになりました。僕が書いていることが正しいか解りませんが、序奏、第一主題、第二主題、結尾という言葉を使って感想を書いています。音楽を学んだ人たちには、常識だと思いますが、私にとっては、ソナタ形式の知識には、目から鱗が落ちた思いです。感想を続けます。

 

5、Interlude1(クリスタルボウル&ピアノ)

アルバム『Birth』は、一曲目のクリスタル・ボウルの曲が、1、『癒しの世界へ』で始まり終曲の13、『明日へ』で終わります。その間に5、『Interlude1』と8、『Interlude2』の2曲があります。このアルバムをホンに例えば『癒しの世界へ』が表紙、『明日へ』が裏表紙、『Interlude1』と『Interlude2』は、栞(しおり)に例えることができます。クリスタル・ボウルの4曲に、ヴィオラの曲が3曲。2曲、4曲と挟まれています。 

このアルバムが物語のようにストーリーがあるのか、またアルバム・タイトルの『Birth』に萩原さんがどのような思いを乗せたか考えつつ感想を書きたいと思います。

Include1』は、31秒の短い曲です。前半は、クリスタル・ボウルのボーンにピアノの即興演奏が入っているような印象で、後半はクリスタル・ボウル乗せたがるボーン、ボーンで終わります。この曲は、次の『そよ風』の前奏曲のようです。

 

6、『そよ風』(ヴィオラ&ピアノ)

前のinterlude1の余韻が残るなかで演奏されます。もし、このアルバムが昔のLPレコードだとしたら、この曲はA面のラストの曲となります。一つのくぎりとなる曲のような気がします。

キラキラした長めのピアノの序奏で曲は始まります。ピアノの連続音は鳥のさえずりのように聞こえます。やがて、ゆったりと懐かしい気持ちになるゆったりとした第一主題が提示され寄り添うようにピアノが絡みます。第一主題が展開しながら繰り返し演奏された後、流れるように第二主題が始まります。ピアノで旋律が繰り返された後、長い静寂の後、ヴィオラで主題が再現され終わります。

次は、『はじまり』です。A面が終わったと考えて、ここでひとやすみします。https://youtu.be/gUt6hxT65Uc

7、はじまり(ヴィオラ&ピアノ)

アルバム『Birth』に収録された曲は、みんなそれぞれのよさがあります。いい曲です。私の好き曲たちです。それでも、もし、どれか一曲を選べと言われたら、私は、迷うことなくこの曲『はじまり』を選びます。               

だからといって、この曲がこのアルバムで、最高の曲だと申し上げる気はありません。人は、自分の経験と知識の範囲で、芸術に接し、感動します。この曲が、たまたま、今の僕に、ピッタリだったのかもしれません。でも、この私がいちばんの曲を、皆さんに聴いていただきたいと思います。

萩原さんは,CDパンフに、この曲について次のように書いています。引用します。

「7、はじまり

どんな未来をえがいていますか?

それは自分次第です。

勇気を出して最初の一歩を踏み出しましょう。

あなたへのエールを込めた曲です。」(『Birth』ジャケットより                            )

B面一曲目(アルバム7曲目)のこの曲は、このアルバムで特別な曲だと思います。他の曲は、風景、花の名前、自然現象など自然にまつわる表題がついていますが、この曲のタイトルは『はじまり』です。人間の内面を描いた曲のように思います。作曲者は、自然ではなく、ご自分の内面に目を向けたのかもしれません。

『はじまり』それは、出発(たびだち)です。新しい世界に足を踏み入れることです。何が待っているか解らない未知の世界に一歩を踏み出すことです。未知の世界に待っているものは、成功の喜びだけではありません、失敗も、挫折も、困難も、絶望もあるかもしれません。悲しいことの方が多いかもしれません。自然だって、美しさと癒しだけではありません。美しさと同時に巨大さを持っています。強大な自然を前にした時、人間は無力さと恐怖心を覚えます。

私は、不安、希望、恐怖などの感情を突き詰めていくと、静かな世界があると思います。この曲は、すべての感情が昇華した静かな世界を描いたものだと思います。

新しい世界に一歩を踏み出すこと、それには、勇気がいります。人生にはいくつかの節目があります。萩原さんのエールを、ありがたく、受け取ることにしました。

この曲は、このアルバムでは初めて聴くヴィオラの音色で始まります。ヴィオラには様々な音色があると書きましたが、それぞれの音色について書く表現力は、私にはありませんが、この曲の出だしの音は、教会で聴く荘重なパイプオルガンのような音色、民族音楽で使われるヴァイオリンのような音色です。なんともいえない懐かしい響きです。その音以外は、ヴィオラは抑えた色調の澄み切った音色で奏でられます。

曲の前半は、格調高い教会音楽の趣があります。そして、結尾の前にヴィオラで奏でられるメロディーには、静かな大海原に乗り出す小さな船を思いました。消え入るようなピアノの音で萩原薫さん渾身の一曲は余韻を残して終わります。

私はこの曲に、グレゴリオ聖歌に始まる西洋音楽の歴史と日本的な情緒を感じました。日本人にしか作れない曲だと思います。

ヴィオラの音色は澄み渡っています。ピアノの飯田サンもこの曲は、特別丁寧に弾いているように思います。

(その後、出だしの音は三重音であることが解りました。


8、Include2(クリスタルボウル&ピアノ)

クリスタル・ボウルは、純度の高い水晶のボウルです。ボールではありません。ボウルの縁を木製のバチで軽く叩いたり、擦ったりするこで音をだします。大きさの異なるクリスタル・ボウルはそれぞれ固有の振動数(音高)を持っています。写真によればこのアルバムには、4個の大きさの違うクリスタル・ボウルが使用されています。

クリスタル・ボウルの特徴は、叩かれたり、擦られた時の音よりもその音によって引き起こされる他のクリスタル・ボウルの共振や、共鳴、残響が重要であること、音を耳で聞くのと同時に、波動を身体全体で感じるところにあるとのことだと思います。

クリスタル・ボウルには、楽器としての要素と、癒しの道具としての要素があると思います。リラクゼーションのための道具です。

萩原さんのクリスタルボウルの催しも「クリスタルボウル コンサート」ではなく、「クリスタルボウル メディテーション」とのタイトルがついていることが多いようです。リラクゼーション、癒しの道具としてクリスタル・ボウルが使用される場合は、身体に作用するのですから、一定の時間が必要となります。

クリスタルボウルには音高があるので、楽器としてメロディーを奏でることができます。単独楽器としても、合奏の楽器として使用することもできるはずです。

萩原さんは、クリスタルボウルは、楽器としてよりも、リラクゼーションの道具として使用されていると思います。

このアルバムでは4曲が、クリスタル・ボウルとピアノの曲ですが、Include1Include2は、演奏時間も短く、曲と曲との緩衝地帯と考えていいと思います。

静かで、ピアノの音が印象的なこの曲は、次の曲『海の夢』と曲調がにているので、『海の夢』へ、いざなう曲だと思います。

9、海の夢(ヴィオラ&ピアノ)

ひとつの曲が生まれた時、それは、作曲者のものです。そして、演奏者の手に渡った時、作曲者と演奏者のものになると思います。そして、その曲が観客の前で、演奏された時、CDが販売された時、その曲は観客そして、リスナーのものとなると思います。

このアルバムに収録された曲には、それぞれ、作曲者により標題がついています。ただ、私は、作曲者はその標題の自然や現象、花などを直接的に描写しているとは思いません。歌謡曲などの歌詞のある歌のタイトルとは異なると思います。その標題のイメージで作曲者したのだと思います。もちろん、作曲者のおもいは大切にすべきだとは思います。

私は、標題のイメージを思い浮かべながらも、自由にその音楽から自分の感じたものを大切にしつつ、この感想を書いています。

それでも、この曲から思い浮かべるイメージは『海』しかありません。冬の厳しい日本かでも、ギラギラした夏の海でもありません。春の穏やかなさざ波のたった静かな海、キラキラと光を反射した海です。

ヴィオラには果てしながら広がる大海原を、ピアノの繊細な音には、さざ波と海面の光を感じました。

 

10、芽生え(ヴィオラ&ピアノ)

この曲も、綺麗な曲です。

萩原さんは、自然を描きながらも、その自然から、何かを読みとろうとしているように思います。

芽生えは、文字どおり、芽が出ることです。隠されていた生命力を感じる言葉です。また、芽生えは、物事の始まりをも意味します。愛の芽生え、悪の芽生えなどなどです。

そして、芽生えた芽も、物事も進化し、成長していきます。

芽がすくすくと伸びて、やがて花を咲かせるように、物事が大きく発展するようにとの想いを込めた曲だと思います。

序奏のピアノはまだ、土の中の芽を発芽する前の種を、ヴィオラは芽生えた芽が成長していく様を描いているように感じました。健やかに育つようにとの願いを込めて演奏しているように感じました。


ほんの少しだけ、ベット・ミドラーのちょっと『ローズ』を思い出しました。


おおらかです、のびやかな曲は、私の予想とは異なーり、消え入るようなピアノの音で終わります。萩原さんは、クリスタル・ボウルを叩きに行ったようです。

次のセロシアにつづく曲です。

 

11、セロシア

セロシアも花の名前です。日本ではケイトウとも呼ばれています。

「セロシアは、ギリシャ語のkeleos(燃えた)が語原で、炎のような花の姿から名づけられました。花言葉は「希望の灯」」(CDパンフレットより)

ところで、ケイトウは、鶏冠、ニワトリのトサカに形が似ているから付けられたそうです。コケコッコーのトサカですよ。きれいですかね。

確かに炎の形には似ていますが、それほど綺麗な花だとは思いません。

この曲の方が、よっぽど綺麗だと思います。

この曲も、ピアノの芽生え思わせる序奏でではじまります。芽生え、成長を表すように、曲は進んでいきます。ゆっくりとリズムを刻むピアノには大地の恵みを、伸びやかでロングトーンの美しいヴィオラには、成長する植物を思いました。

見えない月、新月につながっているかもしれません。

 

12、新月(ヴィオラ&ピアノ)

はじまりです。陰暦、昔の暦は、月の満ち欠けを基準としていました。新月は、1日、ついたち(月立ち)です。また、信じる信じないは別にして、人間の感情は月の満ち欠けの影響を、受けているとの説もあります。月は最も身近な天体です。

和のテイストな神秘的な曲です。始まりの音は、クリスタル・ボウルのようです。古(いにしえ)いにしえの都に思いを馳せます。ヴィオラの音も、どことなく、古楽器を思い出させてくれます。

私たちのふるさとが、日本であることを、思い出させてくれる曲です。

 

13、明日へ(クリスタルボウル&ピアノ)

アルバム『Birth』最後の曲は、クリスタル・ボウルを、強調した曲ですいちばん大きいクリスタル・ボウルの音が、お寺の鐘のように響き、その残響とともに、終曲は終わります。

Birth』の意味について。~むすび~

私は、アルバムの感想に、

「綺麗なアルバムです。心が洗われるようなアルバムです。私は、自然の美しさと、ゆったりとした時の流れ、そして日本の四季うつろいを思いました。」と書きました。それは、間違えではないと思います。」と書きました。

ただ、曲を聴き直し、一曲一曲の感想を書いてみて、萩原さんが、本当に描きたかったのは、自然をとおして、人間の内面、こころ だったのではないかと思うようになりました。自然は、美しい、貴重なものです。でも、自然を美しいと感じるのは、ひとのこころがあるからです。

「自然を感じつつ、美しく生きよう」これが、私がこのアルバムから受け取ったメッセージです。

そう考えると、『birth』の意味も自ずと解るような気がします。

唐突ですが、『癒し』という言葉について、考えていたら『涅槃』という言葉に行き着きました。ただ、CDの感想からは、大きく離れてしまうので、ここまでにいたします。

2018.02.08.

安らぎ - Nibbāna(= Nirvāa 涅槃)声を荒らげないだけで、ニルヴァーナに達しえるのであるから、ここでいうニルヴァーナは後代の教義学者たちの言うようなうるさいものではなくて、心の安らぎ、心の平和によって得られる楽しい境地というほどの意味であろう。(中村元 Wekipedia「涅槃」より)