今回は古い本から新しい本まで、今田美奈子先生の本をご紹介いたします。
こちらは、私が初めて買った料理の本、正確にはお菓子作りの本です。
小学生のときに買いました。
昭和53年に小学館から発行されています。
筆者は今田美奈子先生です。
定価は450円でした。
私が子供のころ、お盆や正月に祖父母の家にいくと、特別に「本屋さんで何か買ってやる」と父と一緒に本屋さんにいったものです。
当時の私は本屋さんに行っても、「漫画は買わないよ。」と親にくぎを刺されていました。
本屋さんの子供の本のコーナーに、潸然と輝く本がありました。
それが、この本、「ミニレディー百科 すてきなおかし作り」でした。
父にこの本を買いたいと言ったらイラストから「漫画が描いてある!」って反対されるんじゃないか。
そこでそのとき一緒にいた祖父に「ねえ、おじいちゃん、この本買ってもいい?」とお伺いをたて、「ええんちゃうか。」と了解をいただき、父に「おじいちゃんが買っていいって言った!」って珍しく強気に交渉してこの本を買ったのです。
もう嬉しくて嬉しくて、親戚が集まってどんちゃん騒ぎになっている隣の部屋で夢中で読みふけったものです。
でも、当時の私にとっては、想像もつかないお菓子作りの世界。
しかも、この本はまったく子供だましではない本だったのです。
いくつか写真をご紹介しましょう。
このお菓子の家をみて、この本を欲しくない子供がいましょうか?
もうこの写真に完全にノックアウトです!
とはいえ、冒頭の写真でこれだけ本格的なんですから、本の中身はいったいいかなるものか?
いきなり1章からスポンジケーキです。4章がシュークリームです!これはお菓子を作った方ならわかると思いますが、小学生にいきなりシュークリーム!!?失敗しやすいお菓子ナンバーワンなのに、当たり前のように掲載されています。
5章はなんとパイ!これも技術のいるお菓子です。
6章は、今でこそあたりまえにみなさんが知っているお菓子ですが当時としては私は知らなかった「タルト」
やっと最後の章で「天火を使わないで作るおかし」というのがでてきます。
それでも、油で揚げたり、かなりの難関です。
でも、私にとっては、この子供だましでないところが、かえって魅力でした。
きっとこの本の通りに作れば、大人が作るみたいなお菓子がつくれるようになる!
小学生の雑誌の片隅にある、子供でも作れるかもしれないけど、子供でも作りたくないお菓子の本なんかごめんなんだ!
はたして小学生の私は何か作ったと思いますか?
実は「カスタードプリン」「ペパーミントのフラッペ」「クリスマスのおかしチョコレートプディング」「マドレーヌ」を作っているんです!!
今みたいに温度調整が簡単でない天火(今でいうオーブン)を使って!!
この本で私は「お母さんから料理を習えばいいと思っていたけど、料理の本を買うと、もっと世界は広がる!」と開眼したのでした。
そして、昭和56年に、こちらの本も購入します。
タイトルは「綿の国星ケーキの本」
ケーキに関しては今田美奈子先生が著者です。
イラストはかの有名な大島弓子先生によるものです。
白泉社発行の本です
定価は630円でした。
これは当時大人気だった漫画の「綿の国星」とケーキ作りがコラボした本です。
綿の国星はいまでこそ猫耳のついた女の子のキャラクターは見ることもありますが、その先駆けの漫画で、自分は人間だと思っている子猫が飼い主の青年に恋をしているけれど・・・という物語です。
そのころの私はお小遣いなら漫画を買ってもよし!ということになっていたので、真っ先に「綿の国星」のコミックを買ったものです。
大島弓子先生の素敵な絵とストーリー。そして、「あの」ミニレディー百科ですごい先生だと思っていた今田美奈子先生の共著!
私の好きな世界が合体した夢のような本でした。
この本からもカップケーキや、ゴールデングロウケーキを焼いたものです。
さて、私もついに学生時代に主人と出会います。
主人が私の苦手科目を教えてくれたお礼に、なんと、このミニレディー百科「すてきなおかし作り」の本が活躍するのです!
この本の中のフロレンチーナという、クッキーの上にアーモンドの飴掛けがのっているお菓子を焼いてプレゼントしたんです!(上の写真の一番左上の四角い茶色いクッキーです。)
このお菓子はそのとき初めて作ったのです!
難しそうなお菓子だと思っていたけど、頑張ればつくれるものです!
この本がなければあのプレゼントはできなかったことでしょう!
そのころから、なんとなく、主人とつきあいはじめたかんじがあったので、もしかしたらフロレンチーナが彼の心をキャッチしたのでは?と思って、主人に今日、「私がフロレンチーナ焼いたの、覚えてる?」って聞いてみました。
「そんなのおぼえているわけないじゃん」
ええええええええええ!!!
ミニレディー百科の写真を開いて、見てもらいました。
「ちょっと!この写真のお菓子だよ!?」
「ああ、硬くて甘いお菓子ね!おぼえてる、おぼえてる。」 チーン
ちょっとまってよ、あのとき、あんなに「おいしいです。」「ありがとう」ってしおらしいこと言っていたじゃない!!と思ったけど、まあいいか。
まあ、なにはともあれ、私の中では自分では作れないと思っていた洋菓子が頑張れば作れるという扉をひらいてくれた本なのです。
子供むきの本だからと誰も食べてくれないような中途半端なお菓子をのせることなく、本人が作ってみたくなる本格的な味のお菓子をのせた本があったこと、その本によって触発された子供がおそらくたくさんいたこと、そのことを思うと、この本の意義をとても感じるのです。
そして、話が長くなりますが、今田美奈子先生は時おりデパートでケーキの発表会をなさるんです。高島屋の催事をチェックしていたら、見つけることがあると思います。
催事といっても、月ごとの大規模な美術催事の展示と同じ場所です。そのくらい見ごたえのあるすばらしい作品群なのです。
先生にはたくさんの素敵な生徒さんがいらっしゃるので、その会場は素敵な作品と素敵なマダムと素敵なお嬢さんであふれます。
その中で「おいしそうだなあ」とまぎれこむ一人の観客の私。
でも心はわくわくしています。綺麗な世界に圧倒されます。
今は、こういう時代ですのでいつ再開されるのか、わかりませんが、もし、また開催されることがあったらぜひ伺いたいと思っています。
私は以前、娘を一緒に連れて行って、その素敵な世界を娘に見せてあげました。
出口をでたところに先生の図書が販売されていたので、娘が欲しがった本を買いました。
それはこちらです。私と娘、2代にわたって先生にお世話になっているといえます。
こちらは漫画本となっていて、とても楽しいうえにマナーも学べるのです。そして、真の高貴な方々の細かなルールを知ることもできて、とても楽しい本です。
先生の本はこちらをごらんになるといろいろとご紹介されています。↓
それと、新宿高島屋に先生のサロンのティールームがあります。
私は生徒ではありませんが、一般の方も入れるティールームになっています。
私は、お友達と長ーいおしゃべりをしたいとき、このお店に入ります。
いつまでもおしゃべりを許してくれるすてきなサロンです。(そんな紹介していいのかしらん?)
こちらで、素敵なお菓子とお茶を楽しみながらすごすのも素敵ですよ。
先生のホームページからと、食べログをご紹介しますね。
私が小学生のときに感動してからもう約半世紀。
ずっと今田美奈子先生は素敵な家庭をもちながら、ご家族の協力のもと、ずっと活躍をされ、文化的な活動をされ、多くの生徒の方に親しまれています。
フランスなどと国際親善もされ、偉大な先生です。
そんな素敵な先生のおそらく最初の本の1つだと思います。