開成中の入試問題(国語)について
今年の開成中の国語の問題で印象的なのは、
以上になります。
主に③の文章のポイントや設問から解答までのアプローチ法についての詳しい説明は、アメンバー限定記事にします。
今の校長になってから、明らかに文章、設問の難度を抑えてきています。
解きやすくなったのは間違いなく、ここ3年の合格者平均を見ても、50点以上で、58点の時もありますからね。
ただ、もう一つ特徴的なのは、合格者平均と受験者平均の差が10点と、算数とさほど変わらないという点です。
この2点から、開成は明らかにある一定の読解力がある生徒を欲しがっています。
算数で逃げ切ることは、ほぼ不可能になりましたね。
しかし、逆の見方をすれば、難度を抑えているのに平均点が60点以上にならない。
とすれば、
開成を合格するレベルでも、読解力、記述力は落ちてきている。
開成側も、それを理解していて、難度(期待値)を下げてある程度の「読解力、記述力」がある生徒が得点しやすい問題を作成(言い換えれば、ある程度なければ、差がついて合格できない)
ということが言えるのではないかと思います。
2024年の問題を解くうえで結構、苦労したのが□一の問一の穴埋めの抜き出し問題でした。
アフォーダンスの意味を正しく理解していないと、穴が埋まらない(苦笑)
さらに理解したうえで、それをリハビリの例に置き換えながら穴埋めを完成させるという二段構えの問題です。
ただこれを解いた後、問二、問三の記述問題の方向性が見えたので、自分は解きやすくなりました。
物語の記述は、さほど苦労することなく、解けました。
開成の設問(記述)を解くときには、論理的な解法が求められます。
対比、因果、言い換え+共通点ですね。
これをベースに解答を作成しないと、解けないです。
設問には、「共通点」以外は、そのようなことに言及していませんが、傍線部や設問文の問い方から、例えば「この問題は、まず対比をベースにして解答作成をしなくてはけないんだな」などと読み取る必要があります。
これが、設問の意図です。
設問の意図の読み取り例として
例えば、□一の問二
「~思えるようになった」とありますが、筆者がそう思える理由を~
という設問について、簡単に説明します。
まず、「思えるようになった」ということは、今まで思っていなかったことが起きたということ(意外)
さらに傍線部の後に(私が思えるようになった)「きっかけがあります。」とあることや、その「きっかけ」が、この後で説明されることから、このあとにそれが述べられている箇所があること
そして上の2つのことから、あるきっかけ(つまり、今まで知らなかったこと)を通して感じたこと、気づいたことが解答の根拠となるということを推測します。
また問一で解いたアフォーダンスの定義を理解していることが、解答の根拠を見つけることの前提条件となっていること(設問のつながり)も踏まえておく必要があります。
なぜなら、傍線部の前からアスリートにもアフォーダンス(環境が与える身体の行動への影響)があるということ=筆者が思えるようになったこと
だと読み取れるからです。
このように問二と解くうえでは、設問文と傍線部やその前後、また問一で考えたことを踏まえないと、解答の根拠を見つけることは難しくなります。
これ以外にも問題を解くうえでは、当然、傍線部の言い換えが必要になりますし、因果は記述問題ならすべて、それを意識すべきだとおもうので、これは言われなくてもできないといけないです。
物語の心情記述もそうですね。
それにしても「どういうこと」、「なぜですか」は、開成の問題ではよく見る問いかけの形です。
この形式や問い方は某国立大学の現代文と非常によく似ていると思いますが、まあ個人的な見解です。
字数制限については、昨年(2023年)以外は字数制限「あり」なので、受験者はこのことを意識しておく必要がありますね。
字数制限の対処法は、構成メモの活用ですかね。
いきなり解答を書かずに、まずは書くべき要素を簡単に構成図にしてメモをする。
そのうえで、要素を文で繋げていく。
設問数は多くないですから、焦らずにしっかりやることが大切ですね。
学校側は大学実績(東大も含め)を意識していないとよく言いますが、開成の国語を見ていると、かなり意識した作りになっています。あくまで個人的な見解です。(笑)
2022年には、1万字を超える長文を出題していますが、共通テストなども長文化していることと重なりますし。設問の問い方や求められる思考も某国立大の現代文と似ていますし。
ではよい一日を。実りある受験生活を。
タカウジ