今回は最難関(開成、麻布、桜蔭、女子学院、渋渋、渋幕、聖光など)、難関校(駒東、海城、武蔵、洗足、雙葉、豊島岡、フェリス、広尾、鷗友、早慶附属、吉祥女子、浅野など)の国語の入試問題に対する分析(2023年以降)を簡単に書こうと思います。


総論みたいな感じですかね。

 

2つの視点から分析します。

 

文章と設問でざっくりと。

 

文章

難度は相対的にやや落ち着いてきています。以前よりは易化していますね。渋幕は例外ですが。

ただ、易化していると言っても、説明的文章なら大人が読む新書レベルですけどね。

 

中高生向きの文章も出題されますが、テーマが哲学など、いわゆる学問的なジャンルに限ります。

基本は○○学(哲学、言語、文化、倫理、歴史、政治、生物など)等、学問を素材としたもの、現代社会的なテーマ(国際化、情報過多、AI、多様性、共生社会などを扱ったものが中心です。

 

特徴としては、テーマが抽象的で大学入試に出題されてもおかしくないテーマばかりということです。

 

文学的文章は児童文学からはほぼ出題されません。中高生あたりか、それ以上の人が対象の物語ですね。本屋ですと、児童文学の棚に入っているような本からはほぼ、出題されないと思ってよいでしょう。

主人公が小学生だからと言って、児童文学ではないので。

多いのは思春期ものですかね。劣等感とか、嫉妬。自尊心、自律、自立。友情物語も単純な構図ではないものがほとんどですね。家庭環境も複雑ですし。

 

多様性を意識した文章頻出ですね。

 

読書好きな生徒が有利というのは、ただ本が好きというレベルではなく、視野を広げて様々なジャンルのものを読んでいるという意味なら正解ですね。

これは幼少期、小学校低学年までが勝負かなと。

最難関の志望校別を長年、担当していますけど、合格できそうな生徒、合格した生徒は、ほとんど読書好きでしたね。

だから、記述で使う言葉が大人っぽいです。

 

設問

こちらも、難度は落ち着いてきました。

解きやすくはなりましたね。少なくともコロナ禍前よりは

記述や選択のレベルも。

しかし、合格者平均などの点数はさほど変わりません

 

これは個人的な見解ですが、恐らく受験生の読解力、記述力が相対的に低下しているのではないかと思います。

ある記述系の学校の先生が、最近の生徒は本当に記述が書けない生徒が多くなったので、上位2割のレベルは変わらないが、それ以外は逆の意味で、差がつかないと嘆いているという話を記事で見ました。

 

この発言だけではないですが、確かにそれは実感としてあります。

桜蔭、開成に合格した生徒の記述レベルを見ても、数年前なら合格はできないレベルでしたからね。

 

では、なぜ相対的に解きやすくなったのか。

恐らく、「差」をつけるためです。

 

上位レベルが高得点を取るのはやむを得ないので、それ以外のレベルを選別するために、最低限、これぐらいの設問は解ける生徒がほしいと設問の難度設定を下げたのではないかと思います。

 

言い換えれば、ある程度の論理的な思考力と記述力の有無が合否を分ける、つまり思考力と記述力のレベルがある程度ない生徒は、ますます合格できなくなるということになります。

 

それだけ国語力を重視する傾向が強まっている(国語がダメでも他の科目、特に算数ができて逃げ切るというパターンを学校側は求めていない)ということでしょう。

 

では、これに対応する点にはどうすればよいでしょうか。

 

語彙力を強化する。

漢字を含めて、語彙力を強化しておきます。最低でも6年の初めまでに中学受験の範囲となる漢字や、ことわざ、故事成語、慣用句、文法などはある程度仕上げておく。

英語の勉強と同じですね。

 

入試問題を多読しておく。

問題を解くまでやると、時間がかかるので、苦手なジャンルの文章を入試問題で「読書」しておく。つまり、抽象的なテーマの文章の慣れておくことですね。


※哲学の基礎的な知識も、学んでおくとよいです。ちくまプリマー、岩波ジュニアレベルで本を読んでおくと良いでしょう。

科学論や言語論、倫理学、経済学などの理解にも役立ちますし、物語の心情記述にも役立ちます。特に最難関は。

学問の源ですからね、哲学は。

 

設問は記述中心に鍛えておく

選択問題は正直、解答が必ずあるので、6年の追い上げ時に訓練すれば、何とかなりますが、記述はそうではありません。

ただ、物語の記述は意外と高度ですし、心理パターンを覚えるなど、実は身につけなくてはいけないものも多い。記述としては説明的文章のほうがやりやすいと思います。

 

ですから、記述問題に限れば、まず説明的文章の記述をできるようにするべきでしょう。

 

難関校志望者は、総じて説明的文章の文章中の言葉をまとめる記述(ただし、因果関係を意識すること、複数の解答の根拠を見つけることは必須)はある程度、得点を取れるようにしないと勝負になりません。

実は、難関校、最難関に出題される文学的文章の記述も、説明的な文章で培った記述力、記述パターンを活用しないと、書けないです。

自分の頭で心情やその理由を想像して考えることは避けるべきです。

それでは、得点は望めません。0点の可能性すらあります。

 

例えば

顔が赤くなった=恥ずかしい、興奮、怒りなどから選択。

顔面蒼白=恐怖、ショック などから選択

 

このように、心理パターンも知識なので。

 

今回はここまで。

 

各論にあたる、学校別は次回以降に。

モチベーションのあげ方の記事は次回に回しました。

 

ではよい一日。実りある受験生活を。

 

タカウジ