模試と入試問題との違いは?


今回は志望校判定模試(四谷合不合とか志望校判定、合格力判定サピックスオープンなど)と入試問題の難度の差、作り方の違いなどを書こうと思っています。

 

 

アメンバーさんへ

今月あたりから開成、桜蔭、慶應普通部、鷗友など学校別の簡易な分析を2024の入試を踏まえて記事にしていこうと思っていますので、お楽しみに。

またアメンバー申請をこれからされる場合、自己紹介がない方は受け付けできません。

やや個人的なことも記事にしていくためと、同業者などに教えたくないこともあるからです。

ご理解の程、よろしくお願いいたします。

 

さて、話を戻します。

まず3つの視点から書いていきます。

 

1・模試の作り方と入試問題の作り方の違い(特に国語)

2・受験者層の違い

3・模試対策している塾、個別があるという事実

 

1・模試の作り方と入試問題の作り方の違い(特に国語)

 

そもそも模試は、基礎から応用までまんべんなく出題します。どんなに苦手な生徒でも得点できる問題も用意します。逆に、どんなに優秀な生徒でも解けなそうな問題も出題します。

 

さらに国語は塾ごとに作り方がまったく違います

 

例えば、四谷合不合の国語は完全に処理能力、つまりスピード勝負。(まるで大学の共通テストみたい)
こういうタイプの問題は慣れている生徒が有利ですし、捨て問などの見極めも練習すれば何とかできる。

ただ、思考力の有無まではこういうテストは測れない。

 

それと反対なのが、サピックス。

スピードもある程度、必要だけど、四谷ほどではない。記述が多めなので、そこそこ思考力も見られる。

ただ、サピックスもマンスリーや組分けと似た作りなので、慣れている生徒が有利なのは確か。

問題の難度はえているので、サピックスというと身構えるでしょうが、さほどでもないです。

 

両方ともいえるのは、自塾が有利ということ。

 

なぜなら、内部テストと似た作りだから、そもそもこの形式に慣れている。また実際に四谷大塚は合不合対策を過去問で行っているようなので、他塾生は大きなハンディを背負っています。これは3にもつながる話ですが。

 

それに対して入試問題はどうか

 

入試問題は基本から応用まで出題するとは限りません。基本という名の難度の高い問題から相当難しい問題まで、その学校によって難度はバラバラです。

 

国語も同じです。

最難関、難関校、一部の上位校などの入試問題で解きやすいのは、漢字ぐらいです。(笑)

一方で、難関校だけど、設問の難度が抑えられている学校もあります。

 

このような違いが起きるのは、模試と入試問題の目的が違うし、受験者層も違うからです。

模試は同じ問題をレベル関係なく全員が受ける。だから、様々なレベルを意識した問題を作らないといけないですが、入試問題は、その学校の求めるレベルだけを想定して作成されます。

 

だから、難度が一律ではないのですね。

 

2・受験者層の違い

 

1の話とつながりますが、模試はあらゆる層を意識するので、志望校の合格可能性80%と出ても、志望校そのものの合格が80%という意味ではないんですね。

 

例えば、偏差値70の生徒がいたならば、多くの学校の合格率は80%になりますけれど、これは偏差値70の人は、それより低い偏差地帯の学校で受験したら、8割ぐらいの確率で合格するだろうということデータで示しているだけです。

 

言い換えれば、偏差値70の人でも、すべての学校の合格率はMax80%しか出ないのです。

入試問題が解けなければ落ちることも意外とあるのです。

 

(実は、よくあります。だから偏差値上では届かないか、合格率が低かったのに、逆転合格したという人がでてくるのです。今年の入試でも、自分が教えた生徒で数人います。

 

では模試を受ける意味はあるのかと言えば、「6年の後半はある」という限定つきになります。

 

なぜなら、7月まではそもそも受験者数が少ないですし、実力も定まり切っていないので、データも不安定で、経験上、6年の11月と比べ、合格のパーセンテージは甘くなりがちです。

 

模試は、あくまでも自分の立ち位置と得意科目、苦手科目における自分のレベルを他塾生も交えた場合、どのくらいのレベルなのかを知るため、あとは資料集め(笑)が目的です。

 

ただ得意科目が他塾生を交えても通用するレベル(つまり武器になるのか)、苦手科目は致命傷になるのかなどレベルを知っておくことは、今後、どこに焦点をあてて勉強をすればよいのかという方針がわかりやすくなるので、これはこれで大事ですけどね。

 

4年、5年の苦手科目と6年の苦手科目は意味合いが異なります。6年の苦手な科目は入試では致命傷になりかねないので、早急に補強は必要です。

 

特に2024年以降、4科目バランス型の生徒が入試にかなり有利になってきていますので、余計に

※詳細は2024年の入試を振り返った別記事を参考に。

 

ただ、模試で合否が分かるわけではないので、データを過信しすぎると危険です。

 

それに対して、入試問題は学校側が想定する受験者層に絞って入試問題を作成しますから、難度も想定される受験者層に合わせて作ります。また希望も兼ねてあえて高めの受験者層を設定して入試問題を作成する学校もありますそれで成功した学校の代表例が広尾学園です。

つまり、入試問題の難度をあげて難関校化を狙うわけです。

 

ですから、やはり合否の決め手は入試問題を解けるようにすること、これに尽きるわけです。

模試への勉強に多くの時間を割くのは、あまりお勧めしません。

 

3・模試対策をしている塾、個別があるという事実

 

自分も個別時代、四谷合不合やサピックスオープン対策はよく依頼されたし、最近では四谷大塚なども過去問で対策をしていると聞いたことがあります。

 

つまり、テストを受ける前提となる平等性が確保できていない状況なのです。

首都圏模試も過去問を販売していますしね。

 

四谷中、サピックス中、首都圏模試中を受けるならよいですが、そうではないので、あまりこれらの模試のデータをうのみにすると、後々後悔します。

 

私も2年前に四谷合不合の国語があまりにも文章量、設問量が多く、平均点も低かったので、自分でガチ解きをしました。もちろん、制限時間内で。

 

恥ずかしながら、満点ではなかったのですが、150点中130点後半ぐらいは取れました。偏差値でいうと70越えかな?平均点が低かったので。でも、制限時間ぎりぎりでした。

 

これを小学生が解くのはきついなと思って、正答率一覧を見たのですが、多分、問題は解き終わっている生徒がそこそこいることが分かたので、驚いたのを覚えています。

 

ただ、後から考えると正攻法で解いてはいない(自分は正攻法でしたが)、捨て問も見極めているのかなと思いました。

 

このような量が多いタイプの模試は、やはり慣れているかどうかが、結構大きなポイントになるでしょうね。

 

ですから、慣れていない他塾生が受けても、良い偏差値はなかなかとれないかなと。

 

以上の3点を鑑みて言えるのは、

 

模試と入試問題は全く別物。だから、模試はあくまでも自分の立ち位置や得意科目、苦手科目のレベル、あと志望校を受験する生徒のレベルや入試動向を知るために受ける。復習はほどほどに(正直、あまり時間をかけるべきものではない特に他塾生は)それより、自己分析と弱点補強、志望校対策の強化を図ることが最優先だと思います。

 

今回は以上です。

よい一日を。実りある受験生活を。

 

タカウジ