受験に向けて気をつけること~国語
入試がいよいよスタートしますね。
今週の前半は関西や長野などの県外入試、半ばには埼玉の入試など、怒涛のごとく。
今回は本番で、または本番までに効果的な国語の取り組み方を3つ書きたいと思います。
1・解答用紙を見て、戦略を立てる。
入試当日、解答用紙を先に配布されることが多いと思いますが、実は解答用紙からいくつかの情報を得ることができます。
例えば、記述が多そうとか、漢字問題が最初になるなとか、抜き出しが多そうとか、設問数が多いとか。
さらに過去問にしっかり取り組んでいれば、過去問と似ている=例年と似た傾向だなとか。
このような情報は解答用紙だけでもわかります。
この情報を手に入れた後、試験開始後にいきなり解くのではなく、時間配分や読み方、解き方をイメージしてから取り組みます。
正味1分程度。
これは桜蔭に合格した生徒の話を聞いて自分なりに推理したやり方です。
試験開始直後は静かで、1分後あたりから鉛筆の音が一斉に周りから聞こえるそうです。
恐らく、この1分で戦略を立てているのでしょう。
教え子には事前に教えているやり方なので、特にその点は聞きませんが。
あとこのやり方は気持ちを落ち着かせ、頭をクリアにするという点でも効果的かなと。
2・普段とは違うやり方をすると混乱する。
よくこの時期になって、慌てて保護者の方が参考書や問題集を購入し、今までと違うやり方を生徒に教えて混乱させるということが起きます。
また、保護者が受験したときのテクニックを教えてやらせるということも、よくあります。
これは、今の時期に限らずですが。苦笑
今までのやり方にちょっと+αなら効果もあるかもしれませんが、やり方を変えてしまうのは逆効果です。
なぜなら、生徒自身が混乱するし、消化するにはあまりにも時間がなさすぎるので、結局、今まで解けた問題も解けなくなります。
また保護者の時代とそもそも時代が違うし、テクニックだけで解けるほど、中学入試は甘くないです。
過去問見ればわかると思います。
国語だと傍線部の前後だけで答えられる問題は、ほぼ死滅しています。難関校以上なら、なおさらです。
ただでさえ難度が上がっているのに、そのやり方で解くことはやめたほうがいいです。
それでも、例えば開成でも傍線部の前後のつながりで解答を作成できる問題があると言われると思いますが、それは解答の根拠の位置が近いだけであって、だから解けるとは限らないのです。
傍線部自体も含めて、しっかり意味を解釈しないと、そこに解答の根拠があることにすら生徒は気づけないものなのです。
まして、開成は根拠をそのまま書くのではなく、言い換える必要があります。
つまり、自分で抽象化しなければならないのです。
ここが難しいところです。
これ以外にも設問を先に読むとかもありますが、「次の文章を読んで各問いに答えなさい」と本文になる以上、そうしないと解けない問題が多いよということを暗に設問作成者が伝えているのですから、その指示を破ってまで解いて果たして効果があるのか、疑問ではあります。
自分も他の講師が教えてきた生徒にアドバイスをするときは、その講師の指導法を理解したうえで、他の視点からの考え方を伝えていきます。
まして、この時期の指導は自分もかなり慎重に行いますし、ある意味、これを教えてもこの生徒には消化できない(使いこなせない)と判断した場合は、極力基本的なことにとどめておきます。
それだけプロでも慎重になるのが、この時期の指導法なのです。
3・何のために、文章を読むのか。
最後に、文章を読むことと解くことを別にして考えている方が多いのですが、「読解」という言葉の通り、文章を読むことと解くことは表裏一体です。
言い換えれば、文章を読む段階で、すでに「解いている」のです。
ただ「読んで、問題を解く」では、いつまでたっても解けるようにはならないし、早く解くことも不可能です。
文章を読む段階で、どこに注目して読むか。
言い換えれば、どこに注目して読めば、解けるようになるのか。
線を引くポイントや注意事項は過去のブログで書きましたが、なぜそのようなことが大切だと言えるのか。
それは設問作成者が、それを解答のよりどころとすることを知っているからです。
これは、実際に問題を作問した人にしかわからないことです。
どこに注目して読むか。
これを意識して読むことで、設問作成者がこの後、設問で問うことの解答の手掛かりがわかりやすくなりすし、内容一致問題にも素早く対応できるようになります。
早く解くためには、実は読む段階で解くための準備をどこまでしているかが重要なのです。
そのうえで、解く手順をパターン化(論理化)し、あとは設問タイプごとの解き方、いわゆる解法テクニックを使い、忠実に実践して、自分で解けるようにトレーニングを積んでいくことが大切です。
※この解法テクニックや文章の読み方などは過去のブログを参考にして下さい。
そこは算数と同じ。演習量=トレーニング量がカギを握ります。
結局、やり方を学んでも、生徒自身が解けるようにならなければ意味がないですからね。
だから、国語も演習量は大切です。
わかりやすい、楽しい授業だけでは効果がないのは、学習(受験勉強だけでなく)には、こういう厳しく、苦しい一面があるからです。スポーツと同じです。
塾講師は、やり方を教えるだけでなく、それが正しく実践できているか、もしくは試行錯誤しながら、しっかり生徒は考えてトレーニングしているかを見守るトレーナーみたいな役割を果たさなければならないと思います。
だから、宿題チェックしないのは、自分の中ではありえないし、課題を出さないのもあり得ないのですね。
それで学力(自力で解く力)がつくのか?と疑問に思います。
もちろんキャパオーバーにならないよう、ある程度の量の調整は必要だと思いますが。
さて、今回は以上です。
なお、過去のブログでテクニカルなことを書いている記事については、2月をめどにアメンバーなどの限定記事に切り替える予定ですので、ご了承ください。
よい一日を。実りある受験生活をできるだけ、楽しんで。
6年生は受験生活もあとわずか。頑張れ、受験生。
タカウジ