米国政府の陣容が中々進みませんね。って他人事だけど。全体が決まらないと個々の案件に統一性が在るのか無いのか・・・。
宮崎正弘メルマ
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)2月20日(月曜日)
通算第5193号 <前日発行>
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ムニューチン財務長官「中国とは貿易、通信、金融で協力する」
劉?、周小川、肖捷ら習近平の経済ブレーンと電話会談こなす
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2月17日、トランプ政権で財務長官となったムニューチンは、中国の経済ブレーン四人と電話会談を別個に行ったと発表した。
電話の相手は習近平の経済ブレーンである劉?。中央銀行総裁の周小川、そして財務大臣の肖捷だった。肖は昨年、楼継偉・財務相と交替したばかり。
くわえて米中戦略対話のカウンターパート、王洋副首相と電話し、通商面での米中関係の確認と今後の全面的協力を謳った。
ムニューチン財務長官は「中国とは貿易、通信、金融で協力する」と言い、さきにトランプ大統領は、習近平と二回目の電話会談をしており、この会談は安倍首相とのゴルフ談義に前後して行われた。
結局、ムニューチンはトランプの公約であった「45%の関税を掛ける」「中国を為替操作国に認定する」という言葉を一言も発しなかった。
それは歴代財務長官が、米国財政のアキレス腱である赤字国債を中国が大量に保有している事実、またウォール街が、中国の市場に相当部分を依存しているため、経済的には中国をこれ以上追い込めないというディレンマを抱えているからでもある。
しかしいずれにしても、ムニューチンの対中国アプローチは、歴代財務長官らの姿勢となんらかわるところがなく、今後も中国を「為替操作国」に認定するという方向には進みにくいことが判る。
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 しょひょう BOOKREVIEW
嘘で塗り固められ、情報操作され、歪められてきた戦後史観は誤謬だらけだ
第二次世界大戦は、本当は誰が始めたのか。日独は悪役に仕立て上げられたのだ
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渡邊惣樹『戦争を始めるのは誰か』(文春新書)
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渡邊氏の新作書き下ろしである。
幕末の列強の進出からペリー来航、開国、日清・日露の戦い、大東亜戦争へと至る歴史のパースペックティブを、新発見の資料とくに公開されたアーカイブに眠ってきたデータなどを通して重厚に検証し直してきた渡邊氏の数々の労作の数々を私たちはすでに読んできた。
この一作は「渡邊史観」の総仕上げと言えるかも知れない。
私たちは戦後の「後智恵」でしか、歴史を見てこなかった。それが大変な間違いであることは、ようやく日の眼を見た新資料で、あるいは新証言で、従来の史観の誤謬が明らかになった。たとえば日本で言えば「十五年戦争史観」の間違い、戦後の「太平洋戦争史観」という大間違いに多くの人が気がついた。
大満州帝国の歴史的評価はまだ定まらないが、すくなくともGHQがなしたWGIPの基本的指令が行き渡っていたことを、ようやく日本の知識人は把握した。
「FDRが、フーバー大統領の恐る恐る始めたケインズ的経済運営をこれほどまでに詰まっていたことは『正史』に書かれていない。当選後には、選挙公約を見事なまでに裏切って、国家財政を火の車とし、ケインズ的経済運営手法を積極的に導入したのが借金王と呼ばれることになるFDRだった」。
彼は借金を誤魔化すためにも戦争を始める必要があった。
ところが「フーバーを無能な大統領と貶め、FDRを賛美する歴史家はこの事実を書こうとしない」のである。これがいまも米国の歴史学界とジャーナリズムに蔓延る左翼史観であり、ただしい歴史を言う本物の知識人に修正主義のレッテルを貼って貶める。この知的荒廃ぶりは日本の状況に酷似している。
さてルーズベルトという大悪人が仕掛けた世紀の陰謀に日本は巻き込まれた。相棒はチャーチルだった。スターリンは漁夫の利を得たばかりか望外の獲物を手に入れた。戦後の東西冷戦は、ルーズベルトの誤算から生まれた。
ヒトラーは、ホロコースト以前、ドイツ経済を再建した英雄と見なされていた。
ドイツの再建は、英国の利益でもあった。第二次世界大戦は、ベルサイユ体制の不条理により、英国の愚策とポーランドの拙劣な外交が火に油を注ぎ、おこった。オーストリア国民はドイツ帝国への併合を熱烈に歓迎したのだった。
ところが「全く間違ったFDRとチャーチルの外交を正当化するたった一つの方法が、ドイツと日本を最悪国として解釈することだった。戦前のドイツと日本を、自由を抑圧し世界覇権を求める全体主義の国、つまり民主主義の敵として描くことで、FDRとチャーチルの戦争指導の過ちを覆い隠した」(中略)
「歴史修正主義は米英両国の外交に過ちがなかったのか、あったとすれば何が問題だったのか、それを真摯に探ろうとする歴史観に過ぎない」のである。
しかし英米で、歴史修正主義は忌み嫌われ、学閥から排斥され、ジャーナリズムが敵視し、この知的荒廃がつづく限り、歴史の真実はなお埋もれたままになるだろう。
そして本書で渡邊氏が一番言いたかったことは次の文言ではないか。
「フランクリンルーズベルト(FDR)がソビエトを承認した1932年11月16日が、日本のその後の運命を決定づけた日に思える。極東、とりわけ中国への赤化工作への危機感を持ち、ソビエトの工作を資本主義体制への挑戦とみなし、強い危機感をもった日本は、繰り返しその体制を同じくする、そして同じように共産主義を警戒するはずのアメリカに、日本の立場の理解を求めた。防共のパートナーとなるよう訴えた。それが見事なほどに拒否されたのが、1932年11月16日だった。
この日こそが、戦後の東西冷戦の第一歩でもあった。アメリカの無理解に対して、日本はその後も懸命の努力を続けた。しかし同時にソビエトの西漸の防波堤の役割を果たそうとしているドイツへの期待を高めざるを得なくなるのである。アメリカのソビエト承認が生んだ外交ドミノだった。日本は1934年夏、ドイツに帝国海軍艦隊を親善訪問させ、陸海軍高官をドイツに派遣した」(174p)
しかし勝利の女神は悪魔の側にほほえんだ。
「現代では多くの人々の心に、この時期にはまだ顕在化していないホロコーストのイメージが染みついている。曇った心のプリズムを通して、ヒトラーやナチスドイツを見てしまう。それがヒトラードイツはアプリオリに悪の国だとする解釈の原因である」(314p)。
真因であるベルサイユ条約態勢の不条理は軽視され、チェンバレンの愚策もポーランドの稚拙な外交も、無視されるかスルーされている。
「本当のことをかいてしまうと、連合国が作り上げた戦後体制の正統性が崩れる。敗戦国を一方的に断罪した二つの戦争法廷の根拠も失われる。だからこそ歴史修正主義に立つ歴史家は徹底的に嫌われてきた」わけである。
新書版だが、びっしりと書き込まれており17行詰め328ページという浩瀚、雄に一冊の単行本を越える量がある。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)アジア自由民主連帯協議会【報告・動画】第24回講演会「習近平体制の現状と今後の民主化運動」
講師は相林氏
http://freeasia2011.org/japan/archives/5060
(三浦生)
(宮崎正弘のコメント)相林氏の講演ででてくる「弾圧ビジネス」という新しい形態の実態をはじめて知りました。参考になりました。
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(読者の声2)マイケル・フリン退役中将が、ロシアに近寄りすぎた越権行為により、大統領安全保障担当補佐官を辞任に追い込まれました。
フリンはせっかく親日派といわれたので、日本としてはマイナスではないかと思いますが、つぎにこの重要ポストにトランプは誰を指名しようとしているのか、なにか情報がありますか?
(JJセブン)
(宮崎正弘のコメント)最有力はジョン・ボルトン(元国連大使)と言われており、ボルトンはフロリダ州バームビーチのトランプ別荘に呼ばれています。ボルトンは本来、国務副長官に最適なのですが、議会の承認が難しいとされ、ならば議会承認の不要な、大統領補佐官というポストかという推測がワシントンであがっているとか(ワシントンタイムズ、2月19日)。
ペアトレスは新聞事例ですが、トランプ側近からは名前も挙がっていない由。ほかにHR・マクマスター陸軍中将、ボブ・ラスレン陸軍中将(いずれも退役)、そして、現在代理役のケイス・ケロッグの名があがっているそうです。
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第二次世界大戦は何故起こったのでしょうか? 何故日本は大東亜戦争を始めなければならなかったのでしょうか?
人生での悔いは、何故日本は戦争に引きこまれてしまったのか、を調べて来なかったことではなかろうか?と思い始めています。
日本人として覚醒した今、この一点だけが悔いの残る事でしょうか? 人生の最終盤に差し掛かっていると認識している。場面々々での決断に正誤はあったろうけど、後悔する気はない。誰にでも付き纏うことだから。
頭の中の踏ん切りの悪さは何か? やはり、何故?戦争しなければ、ならなかったのかだろうな。
と言う訳で、アマゾンからキンドル版をダウンロード。吉と出るか凶と出るか。