宮崎正弘の国際ニュース・早読み [宮崎正弘の国際ニュース・早読み] - メルマ! | Hideoutのブログ

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 四月に古稀を迎える爺ののブログです。

 日本を取り戻したい……そんな事をエントリーしたい。

 覚醒したら、こんな見方になるのかなと言うものに。


 トランプの本音はこれからだろうなとは思っていたら・・・。

 産経がTPPの国会審議を逃げたとか言ってたようだが、来年でも良いんじゃねぇ? 米国がどうなるか様子見でも。最も農業関係の政策は変更し捲くりらしいから、どっちでもイイヤ!

 兼業農家だ、減反だで懐温めた金は何処へいったのだ? ふざけるな!


宮崎正弘メルマより
http://melma.com/sp/backnumber_45206_6375754/
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成28年(2016)6月4日(土曜日)参
          通算第4922号   
                                        

 トランプの対ロシア戦略がみえてきた
  モスクワとウクライナにも「トランプタワー」を計画する一方で
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 日本のメディアはトランプが「日本の核武装」を容認する発言をしたとか、修正したとか、撤回したとかばかりに焦点を当てている。

「発言がくるくる変わり一貫性がない」(クリントン)。

一連のトランプ発言で判然としてきたことは、アメリカ人にとって日本の核武装は潜在的心理的に大きな「脅威」なのである。日本がもし核武装すれば、かならず広島・長崎の報復をされると怯えている心理があるからだろう。


 しかし、トランプの対ロシア観の変遷に関して、日本のメディアはおそろしいほどに関心の埒外にある。


 トランプはマフィアの一員だったという実業家のセイター氏と組んで、モスクワとウクライナの首都キエフに「トランプタワー」の建設構想の実現化をすすめており、長女イバンかを伴ってモスクワを訪問したことがある。


 だが、国家安全保障、とりわけトランプが関心を持つのは資源である。


 予備選でトランプが失ったテキサスは資源大国、ブッシュ一家はテキサスの油田で当てた財閥だし、現知事のペリーも、前回の予備選ではかなり善戦した。今回は緒線ですぐに撤退したとはいえ、テキサツは大票田。この州をテコ入れする必要もある。


 先週、アメリカに滞在中、メディアの多くが大きく報じていたのはトランプの「資源戦略」だった。どこをどう読んでも全体のトーンは「オバマ政策」への正反対の議論、オバマの資源戦略の失態がサウジなど「同盟国」の離反をまねき、他方、イランとの合意は「失敗」であると言い、そのうえで「2020年以後の環境規制を取り決めた『パリ協定』からは離脱する」と言ってのけたのだ。 

 ▼トランプは『パリ協定』からの離脱を唱えている


 トランプの資源戦略の骨格を発表したのは5月26日、ノウスダゴダ州における石油業界団体の会合に招かれてのスピーチで、会場を埋めた人たちはトランプのスピーチに拍手を送るほどの騒ぎとなった。

なにしろオバマの資源戦略を激しく攻撃してきたのは共和党であり、トランプの資源戦略の見直しは、共和党への歩み寄りでもあり、またブッシュ・ジュニア大統領時代にはクリントン前政権が深い考えもなく署名した「京都議定書」から離脱したように画期的な内容だったからだ。
 
 トランプは念を押した。
「わたしがホワイトハウスに入ったら百日以内に『パリ協定』からの離脱を宣言する」と。

こうした反グローバリズムを貴重とするトランプの考え方をたどれば、トランプ政権が出現すればTPPは空文となり、空中分解するだろう。


 日本はTPP推進をしてきたが、その努力も水泡に帰する可能性が高くなった。


 こうした問題を理解するには、ロシアとサウジアラビアなど産油国の動向を複眼的にみておく必要がある。


 プーチンは何故、シリアに電撃介入したのか?


 オバマの優柔不断をついて、電光石火、ロシア空軍はシリアの駐屯基地から戦闘機を投入し、反アサド政権のテロリスト拠点を空爆、破壊した。

プーチンが強い意思でアサド政権を守ろうとするのは、彼が好きだからではなく、シリアをロシアから西側へ向かうパイプラインが通過しているからだ。すなわちロシアの資源輸出の貴重な中継拠点なのである。


 トルコ空軍に撃墜されたロシア機。

 なぜプーチンはトルコに報復しなかったのか?

 ロシアから南欧に向けてのパイプラインは「ブルガリア・ルート」が破談となってしまった。


このパイプラインの代替に、プーチンは一昨年、トルコ経由を選択し、ガスプロム社長をイスタンブールに派遣している。

上空を飛んで、フィージビリティスタディを開始している。つまりトルコはロシアの資源輸出の生命線になろうとしているからだ。


 アゼルバイジャンのカスビ海の東対岸は謎の国トルクメニスタン。カスビ海の海底パイプライン経由、アゼルバイジャンからアルメニア、ジョージアを通過して黒海から西側へ向かうパイプラインは、一つはトルコ経由で実現している(セイハンルート)。

もう一本を黒海の西の対岸、ブルガリアへ設置する予定だった。ところが、このルートをEU諸国が束になって潰した。

ブルガリアはいまや反共、反ロシアを外交路線の基軸として、NATOのミサイルを設置し、多国籍軍のために軍隊を派遣しているほど親欧米路線を突っ走っており、逆にプーチンにとっては政治的にきつい痛手となった。

むろん、プーチンはソフィア政府にむけて再交渉を促しており、ブルガリアも経済的な苦境から、ロシアからの投資も歓迎する筈だとの計算が働く。

 一方で、プーチンは、この代替ルートに西側陣営にありながら反西側の政治路線を歩むギリシアに目を付けた。


 5月27日、プーチンはアテネを訪問し、極左政権チプラス大統領と会談した。開口一番、プーチンは「ギリシアはロシアにとって重要なパートナーだ」と言った。

ギリシアはEU、ユーロの加盟国でありながら、ドイツからの冷たい仕打ち、IMF管理のもとに経済の再浮上はもたつき、海外からの投資を歓迎する。ピレネー港の管理権を中国に売却したばかりで、中国は地中海ルートの要衝を手に入れた。


 ロシアはガス輸出の拠点としてギリシアを狙うのは当然のことである。


 プーチンの焦りは西側のウクライナをめぐる対ロ制裁が直接の動機である。


 そこでウクライナを経由しないで黒海をくぐりぬける海底パイプラインを、ギリシアからイタリアを経由させて西側へ輸出するルートの開拓に余念がなく、プーチンのギリシア訪問団はガスプラムなど国営企業のほかに資源企業幹部多数を同行し、いくつかの経済協力協定に署名するという電光石火の『経済外交』を展開した。

 ▼慌てるEU諸国は他方で英国の離脱が目前の脅威


 トランプは6月22日から英国を訪問する。

 EU離脱を狙う野党、親中派のキャメロン政権との対決姿勢ははやくも鮮明である。

 さて、トランプが発表した、「資源戦略」は、いかなる内容なのか?

 第一に2020年からの地球温暖化対策『パリ協定』から離脱する

 第二に国連の温暖化対策への資金拠出を停止する

 第三に石油採掘の諸規制を撤廃する

 第四にカナダとテキサス州をむすぶパイプラインの建設推進

 第五に中東の同盟国(サウジ、UEAなど)との関係改善

 第六に火力発電のCO排出規制の撤廃


 これらの骨子をみれば一目瞭然、すべてがオバマの進めた環境政策へ真っ向からの反対に回っていることで、まさに共和党の資源政策の復活である。


 トランプの打算は不動産、ホテル、カジノ、ゴルフ場経営に大学、ウォッカ、ビーフ販売など、かれのビジネスは資源関連がひとつもなく、道の分野ゆえに利害関係も希薄なのである。

だからこそ、こうした大胆な政策変更を言ってのけるのだ。しかも議会で共和党が与党に返り咲けば、トランプの資源戦略は、実現へ向かって走り出すだろう。

     ○○み○△◎や□◇ざ○○き○◎
                                        
 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 しょひょう BOOKREVIEW 
                                        

 1964年の東京五輪は自衛隊の協力なくしては成功しなかった

  軍が五輪に協力することさえ「法律改正」が必要だった

  ♪
渡邉陽子『オリンピックと自衛隊 1964 2020』(並木書房)
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 2020年の東京五輪を前にして、貴重な一冊が上梓された。五輪と自衛隊の関係を本格的に論じた初めての試みであるとも言える。

 なにがどう貴重であるかと言えば、東京五輪をささえたのは自衛隊だったという、誰もが忘れている事実である。

 開会式の演奏、上空を飛んだアクロバット飛行の見事さ。そして自衛官のアスリートの大活躍。三宅選手はウェイトリフティングで金メダル。円谷選手はマラソンで銅メダルに輝いた。

 じつは軍隊が五輪に協力することはヒトラー・ドイツのベルリン五輪の忌まわしき印象が残っており、日本ではタブー視されていたことを現代人はすっぽりと忘れている。

 自衛隊が1964年の東京五輪に協力するためには、法律の改正が必要だった。

 これは日本だけの現象といえるかもしれない。

じっさいに西側諸国は、軍隊が五輪に参加し協力することは「法律以前」、つまりあたり前のことであり、日本で何故法律改正が必要なのか首を傾げられたとも伝えられた。

 防衛関係者と国会議員、そして行政が一緒になって協力し合い、「自衛隊法」は以下のように改正された。

 「防衛庁長官は、関係機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務に支障を生じない限度において、国際的若しくは全国的規模またはこれらに準ずる規模で開催される政令で定める運動競技の運営につき、政令で定めるところにより、役務の提供その他必要な協力を行うことが出来る」
 
 かくして著者の渡邉陽子氏が言う。

 「自衛隊の支援がなければ(五輪は)成功しなかった。開会式でブルーインパルスが五輪マークを大空に描き、陸海空音楽隊が行進曲を演奏し、防大生が各国選手団を先導した。大会を通じて約7000名の自衛官が馬術、射撃、ヨットなど9つの競技を支援し、自衛隊体育学校の三宅選手、円谷選手がメダルを獲得した。」

 こうした経過を、2020年の東京五輪を前にして教訓化しておくことは重要であり、本書刊行の意義がある。まことに時宜を得た企劃である。 
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 読者の声 どくしゃのこえ ERADERS‘ OPINIONS 読者之声
                                        
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(読者の声1)貴誌の前号、書評の広瀬陽子「アゼルバイジャン」のなかで、三行目「アゼルバイジャンの西隣がアゼルバイジャン」とありますが、これは、アルメニアですね。
 (HI生、京都)


(宮崎正弘のコメント)はい、ご指摘の通りです。アルメニアです。推敲ミスでした。ご指摘ありがとうございます。

 アルメニア正教の本場エレバンには伝統的なアルメニア正教会の古めかしい建物があり、同国はトルコともアゼルバイジャンとも仲が悪く、したがってロシア寄りの外交を展開します。
     ○△◎ま□◎◇さ○○○ひ○△◎ろ◎◇○ 
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 軍隊とスポーツってキリがないな。アベベ・ビキラは軍人だったな。