邦人人質事件に関する「識者」の論調(野口雅昭) - BLOGOS(ブロゴス) | Hideoutのブログ

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 四月に古稀を迎える爺ののブログです。

 日本を取り戻したい……そんな事をエントリーしたい。

 覚醒したら、こんな見方になるのかなと言うものに。



  アルピニスト野口健氏のご尊父のブログです。イスラム諸国で大使をされた方の見解は流石ですね。


野口雅昭氏のブログ
http://lite.blogos.com/article/104380/
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読者からもコメントがありましたが、邦人人質事件に関しては、(当然のことながら)中東専門家とされる人たちが盛んに発言していますが、中にはどうかと思われるような意見も見らるので、普段国内の論調等については、殆ど触れないのですが,矢張り余りに為にする議論も多すぎる気がしてならないので、敢えてコメントを書いておきます。

・これらの議論には基本的に二つあり、一つは最近の安倍政権の積極的平和政策が中東諸国の対日不信感を深めていたところに、今回の安倍総理の中東歴訪が、この不信感を呼び覚ましたというものであろう。

そもそも中東諸国などと一派ひとからげにできるほど中東は単純ではないが、外国の対日観という場合には基本的には政府のそれと国民感情のそれとがある。

特に中東諸国のように政府の力が強いところでは、当然政府の対日観がまず重要となるが、何時頃からか知らないが、中東諸国政府の対日観が最近悪化しているなどと言う話は聞いたこともない。

国連での議論やら、我が政府や外交官に対して、中東諸国の政府が最近公式でも、非公式でも非難めいたことを発言することが増えたなどあったであろうか?

・こういう発言をすると、中東諸国の政府は国民の感情や意見を代表していないという反論が必ず、帰ってくる。

一つの国民の感情を知ることさえ難しいのに、中東諸国の対日感情が悪化しているなど、どういう根拠で言えるのであろうか?

通常、最も端的な方法は、大規模で包括的で信頼できる機関による世論調査であるが、最近この手の信頼できる大規模な世論調査が中東で行われたなどと言う話は聞かないし、増して世論調査の結果、対日世論が悪化しているなどという話は聞いたこともない。

国民感情を表すもう一つの物差しは通常、マスコミだが、中東のマスコミは政府の息がかかったいるという問題はあるも、中東のマスコミの論調が対日批判、不信を強めているなどと、全く通常の人が読みもしないような小さな新聞とかネットの類はいざ知らず、有名なアラビア語のマスコミで、最近「残念ながら」厳しい対日批判など見た記憶はない。

中東と言えば、当然大国のイランとトルコが入るが、トルコは現在でも確固たる親日国だし、シーア派でISとは戦闘すら行っているイランが、日本がテロとは断固対決するといくら強い調子で発言しても支持こそすれ、反発するはずもない。

・安倍総理の訪問が不信感を呼び起こしたとして、ネタニアフとの会談をもちだす人もいるようだが、これもアラブ諸国の政府(その中にはアッバス議長も入るが)は勿論、アラブ諸国や中東のイスラム諸国(ということはその他ではイランとトルコが大部分)で厳しい反発や非難が起きたという話も聞かない。

私の読んでいる様なアラビア語メディアは総理の中東訪問について、むしろ好意的な報道をしていた様な記憶があるし、少なくとも非難などの発言の記憶はない。

増して、首相のネタニアフとの握手に抗議してのデモが起きたなどという話も無い。

要するにこの種の議論はいわゆる「後知恵」という奴で、事件が起きてしまってから、ほら見たことかと言っているので、その意味ではずるいというか卑怯ですらある。

・さらに度し難いのは、事件が起きてからの、日本政府の対応が対決一方で、中東を理解し、相手の「情に」に訴えるべきであったという意見である。

これは後で書きますが、このような意見は、中東諸国のイスラム教徒一般を犯罪集団のISと同一視するもので、彼らに対する侮辱ですらあると思うが、それはさておいて、罪もない人間の首を切るような連中の情に訴えるとは一体どういうことか?理解に苦しむ以外にない。

情を理解する相手であれば、無関係の人間の斬首をしたり、yazdi教徒の女性を平気で奴隷に売ったりするはずはあり得ない。

・パリ事件が起きた後、欧州、中東実や世界中のイスラム教徒が、ISやアルカイダ等の過激派は、イスラム

教徒ではなく、イスラム教を捻じ曲げて解釈する邪な連中で、彼らと真面目な一般のイスラム教徒を混同しないで欲しいという声明を発していたが(つい最近ではエジプトの大法官が同様の趣旨の発言をしているし、ヨルダン国王も過激派との戦いはアラブ及びイスラム教徒の戦いであると声明している)、日本でも、各地のイスラム教徒はISは真のイスラム教徒ではないので、彼らとまともなイスラム教徒を混同しないで欲しいとの発言を相次いで行っている。

情に訴えたり、義理人情の通じるのは、こういう中東の人々、町の一般の人々であって、斬首した首を下げて写真をとらせているような犯罪者では絶対にないはずである。

彼らと過激派を同一視することは一般のイスラム教徒に対する侮辱でしかないし、この種の識者が多いに力説している様に、欧米のみならず日本でも、イスラム教に対する偏見を助長し、不信感と反感をおあり、社会を分裂させる論説でしかないであろう。

それを防ぐためには、イスラム教及びそれを信じる人たちが、如何に過激派とは異質な人たちで、過激派の行いや主張は、イスラム世界のそれとは全く異なるということを広く知ってもらうことが肝要であろう。

私も中東で少しは働いてきたので、中東の人たち、イスラム教徒の優しさや対日感情の良いことを実感してきましたが、それはこう言った市井のイスラム教徒であったと思います。

また、余り付き合いはありませんでしたが、ムスリム同胞団の幹部やアズハルの幹部などと話を交わした経験でも、彼らがISのような凶悪犯罪者を許容するような考えの持ち主とは異質の存在であると感じました。

矢張り、まともなイスラム教徒は、権威ある宗教指導者から政府から庶民に至るまで、ISやアルカイダとは異質の存在だと確信しています。

・いくらかの識者が指摘するように、中東における反米感情の存在は否定できない現実であるが、テロとの戦いはなにも米国のみの政策である訳ではない。

仏をはじめとする欧州諸国もその通りだし、過激派のテロとの戦いという点では、イランは勿論、まずほとんどすべてのアラブ諸国、トルコの命題でもある。

というか、アルカイダ等が米国を最大の標的とする前から、アラブ諸国、特にエジプト等の体制はテロの標的とされ、多くのテロ事件が起きたが、その多くの場合犠牲者となるのは、一般民衆であった。

私がチュニジアにいた頃、アラブ内相会議の事務局はチュニジアにあったが、その事務局長などはあからさまに、欧州諸国が人権問題を持ち出して、テロ容疑者を引き渡してくれないことがテロ撲滅の一つの大きな障害になっているなどと語っていたものである。

要するにテロとの戦いと言えば、米国の手先だとの議論は、この問題の歴史的経緯や、大部分の犠牲者が無辜のイスラム教徒であることを無視した一方的な議論だとしか思われない。
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