「おはよう。」
背後から照らす朝日の逆行で、テギョンの顔は全く見えなかったが、ミニョには低くて優しいその声だけで十分に幸せだ。
「おはようございます。もし目が見えなくなってしまっても、私はきっと幸せですね。」
「何が言いたい。」
眉がぴくぴくっと動いて少し不機嫌そうな顔をしているに違いない。そう思うと笑いが込みあげてきて仕方がない。
「なんでもないんです。ただ、目が見えなくなっても、たまにでいいので、声聞かせて下さいね。」
「たまにでいいのか?」
「はい…、たまにで構いません。テギョンさんの生活もあるでしょうし…。」
「あれ?俺とお前の生活はもう一緒なんじゃなかったか?」
今度はきっと意地悪そうに片方の口を上げているに決まっている。ミニョはにやっとしてしまう口元を覆ってうつむいた。
「おい!違うのか!!」
「あ、はい!違いません!!でも…、その目が見えなくなってしまったらそれはまた違うと言いますか…。」
「俺がお前の目が見えなくなったくらいでどこかへ行くとでも?」
「いいや、そんなことは…ありますかね…ははは。」
渇いたミニョの笑いが病室に響くと同時に、
「目が見えなくなったら僕がいるからねー!!!」
と、ジェルミがミニョの頭をぐいっと抱きしめた。
「ジェルミー!!」
「ミニョー!大丈夫??」
「はいー!もうすっかりフラフラしなくなりましたよー!」
「本当にー!良かったー!」
「いつまで抱きついているつもりだ。」
低ーーい声がジェルミの耳に飛び込んでくるなり、力任せに引き離される。恐る恐る見上げると、普通でも鋭いのに、とんでもなく尖った目をしたテギョンが自分の首根っこをつかんでいる。
その間に、
「ミニョ、元気そうで良かった。ミニョは目の調子が悪いの?」
と、シヌがとんでもなく優しい笑顔をミニョに向けている。
ミナムはミナムで、テギョンの耳元で、
「ねぇ、生活が一緒ってどういうこと?ねぇ、どういうことなの?」
と、尋問を繰り返している。
そんな光景を、チソンは廊下側から、ひっそりと見つめていた。
もし自分が普通に、本当に普通にただミニョちゃんの傍にいられるように諦めることができていたら、自分もあの光の中に居ることができただろうか。そして、ずっとミニョちゃんの一生を見守って生きることができたのかもしれない。
もしミニョちゃんが自分のことを好きになってくれていたら…。
また不毛な、そして想うことさえ許されなくなってしまった気持ちが溢れそうになってしまい、ぎゅっと拳をにぎりしめた。
「大丈夫、貴方腕の骨折れてるんじゃない?」
気がつくと、丸々っとした白衣を着たおばさんが自分の腕をそっと触っている。
何も言えずにうつむいていると、
「よく我慢したわね。とにかくこちらへいらっしゃい。」
その場で固まって動けなくなってしまっていた体を、優しく押してくれた。
あれ?今のチソン先生??
ミニョは、先生に連れられて行く男性の後ろ姿をじっと見つめていた。![]()
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読んで下さってありがとございます
この調子で完結できたらいいなぁ。
二次小説 美男ですね 本編 (連載中)
テギョンをもっともっと幸せにしてあげたくて書き始めた、テギョンとミニョのお話です
「終わりの始まり」
ミニョがアフリカへ行っている間のそれぞれの様子と、帰国後2日目までのお話で、次の「終わりの途中」へ続きます。
終わりの始まり1 終わりの始まり2 終わりの始まり3
終わりの始まり4 終わりの始まり5 終わりの始まり6
終わりの始まり7 終わりの始まり8 終わりの始まり9
終わりの始まり10 終わりの始まり11 終わりの始まり12
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終わりの始まり31 終わりの始まり32 終わりの始まり33
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終わりの始まり37 終わりの始まり38 終わりの始まり39
終わりの始まり40 終わりの始まり41 終わりの始まり42
終わりの始まり43 終わりの始まり44 終わりの始まり45
「終わりの途中」
終わりの途中24~26が人生初の限定記事です。しかしかなりお子様な内容なので、期待外れに違いありません…
テギョンがミニョにプロポーズします。驚くことに、まだ帰国後2日目と、3日目です…。
「終わりの終わり」へ続きます。
終わりの途中1 終わりの途中2 終わりの途中3
終わりの途中4 終わりの途中5 終わりの途中6
終わりの途中7 終わりの途中8 終わりの途中9
終わりの途中10 終わりの途中11 終わりの途中12
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終わりの途中31 終わりの途中32 終わりの途中33
終わりの途中34 終わりの途中35
「終わりの終わり」
まだ3日目のお話です。とうとうミニョが合宿所を飛び出し、チソン(ミニョがアフリカでお世話になった獣医で、ミニョに歪んだ愛を抱いています)の元へ。
「幸せの始まり」へ続きます。
終わりの終わり1 終わりの終わり2 終わりの終わり3
終わりの終わり4 終わりの終わり5 終わりの終わり6
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終わりの終わり34 終わりの終わり35 終わりの終わり36
「幸せの始まり」
信じられないのですが…まだ3日目、4日目のお話です。色々ありますが、テギョンとミニョは幸せです
ご安心下さい。
「幸せの途中」へ続きます。
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幸せの始まり4 幸せの始まり5 幸せの始まり6
幸せの始まり7 幸せの始まり8 幸せの始まり9
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幸せの始まり13 幸せの始まり14 幸せの始まり15
幸せの始まり16 幸せの始まり17 幸せの始まり18
幸せの始まり19 幸せの始まり20 幸せの始まり21
幸せの始まり22 幸せの始まり23 幸せの始まり24
幸せの始まり25 幸せの始まり26
「幸せの途中」
テギョンとミニョがどんどん幸せになる途中です
幸せの途中1 幸せの途中2 幸せの途中3
幸せの途中4 幸せの途中5 幸せの途中6
幸せの途中7 幸せの途中8 幸せの途中9
幸せの途中10 幸せの途中11 幸せの途中12
幸せの途中13 幸せの途中14 幸せの途中15
幸せの途中16 幸せの途中17
「「お、おはよう…。」」
「…おはようございます…。」
ただ一人、何だか晴れやかな顔でリビングに下りてきたミナムに、三人が怪訝な顔をしている。
「何?何?俺なんか変?」
「いや、別に…。」
シヌが気まずそうに返事をすると、チソンも苦笑いを浮かべ、ジェルミが、
「いやだって、その…機嫌が良いみたいだからさ!」
と、皆の気持ちを代表して言った。
「うん!だってさ、ミニョの奴やっぱりあれから倒れたみたいでさ、テギョンさんがあのスプーンおばさんのとこに連れて行ったんだって!後三日は入院らしいよ!」
「「「そうかそうか!!」」」
ミニョが入院しているというのに、最高の笑顔を浮かべる三人。
スプーンおばさんのところなら安心だし、なにより入院は三日。ということは、きっとミニョの状態もそこまで悪くないはずだ。
そこまで一瞬で考えをまとめると、シヌは八重歯を見せてまでにっこりと笑っているし、ジェルミはその場で小躍りしている。チソンも見つからないように小さくガッツポーズをしている。
そんな三人をミナムも会心の笑みで眺めている。
「じゃあ病院に御見舞いに行かないといけないね!」
ジェルミが嬉しそうに言うと、シヌも横でうんうんと頷いている。
「そうだね。じゃあ用意して行こうか。チソンはどうする?」
ミナムがシヌに訊ねると、少し考えてから、
「こいつも治療しないといけないしね。」
と、ほんの少しだけ眉間にしわをよせてチソンを見た。
チソンは、深く頭を下げ、
「ありがとうございます。」
と、涙を流した。
「許してなんてやらないんだからね!」
ジェルミがつられたのか、涙声で叫ぶ。シヌも何だか泣きたい気持ちになり、ミナムもそっと目頭を押さえた。
別にこいつを許す気はさらさらない。けれど…
それは、昨夜シヌがチソンに抱いていた気持ちと同じもので、やるせない想いが体中を駆け巡ってしまうのだ。
シヌとジェルミ、ミナムは、病院のベッドで横になりながら、今か今かと首を長くして自分達を待っているであろうミニョを、チソンは、病室でメンバーに囲まれて幸せそうに微笑むミニョを思い浮かべていた。
俺はもうミニョちゃんの思い描く未来に存在することすらできない。
チソンは、許してもらおうなんて大それたことではなく、自分がいなくなることでミニョを安心して暮らせるようにしてあげたい。そう考えていた。
それが警察に出頭することなのか、国外へ行くことなのか、もっと別の方法で目に入らないところへいくのか…。
それでも自分の中で燃え続けるミニョへの想いに悩まされながら生きていくことこそが、きっと自分にとっては最悪の罰なのだと分かっているのだけれど。
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読んで下さってありがとうございます
やっぱりチソンのことが嫌いになれなくって…。困ってしまいますー