にぎやかな江戸の町で重い荷車を引き、物を売り歩き、大工仕事をしているのは、男性ではなく、みんな女性。アカヅラホウソウという男性しかかからない疫病で男子が減り、男女の役割が逆転したのだ。
大奥シリーズは多く、男女逆転というテーマは珍しいもので若者にも見やすく楽しめる時代劇だと思う。 むしろ、若者に合わせた映画だという声もある。
貧乏旗本の息子の水野祐之進(二宮和也)は大店(おおだな)の娘お信(堀北真希)との身分違いの恋をしていた。この恋は許されないものだと封印するために大奥に入って出世をめざした。大奥で将軍のもと働くのはすべて男性。美しい男性が将軍の吉宗(柴咲コウ)に気に入られるため出世するために働いている。女性の戦いのイメージが強い大奥だが、ここでは男性がより美しい男性になるため、男性が男性を好きになり、出世のために身を売る。大奥のルールを教える先輩の杉下(玉木宏)、祐之進に憧れるお針子の垣添(中村蒼)、大奥きっての剣の達人でライバルになる鶴岡(大倉忠義)など、演じるキャラはすべて擬似女性。 男たちがたった一人の女将軍に気に入られようと自己顕示欲を炸裂させ、そこに出世欲や権力欲がからみあう。男性が男性を嫉妬し、憎むどろどろの人間関係が描かれている。
祐之進は、剣の実力もすごく、ライバルの鶴岡(大倉忠義)を破り、出世を逃した鶴岡は自ら首を切った。一躍大奥で有名になった祐之進は女将軍の吉宗(柴咲コウ)の目に止まった。しかし、これは全てしくまれたことであった。杉下(玉木宏)らは自分がより上の身分になるため祐之進を利用したのだ。吉宗は、将軍としては珍しいほどの庶民の気持ちを優先するような“良い人”だ。祐之進が利用されたことを気付き、首斬りになるところを助ける。
大奥シリーズの中では見やすく、女の戦いではなく男の戦いの場で珍しくおもしろい。
監督、金子文紀
脚本、高橋ナツコ
主演、二宮和也、柴咲コウ