
“10・9”後、UWF(Uインター)幻想が消えた俺だったが、プロレスを嫌いにはならなかった。
俺がハマっていたUWFは“真剣勝負のプロレス”ではなく、『真剣勝負っぽく見えるプロレス』だった。
それが分かったが、そうなると俺が愛したUWFはプロレスであり、“全てがプロレス”となる。
新日本、全日本もプロレス。(当たり前)
Uインター、藤原組もプロレス。
みちのくもプロレス。
そして、大仁田厚のFMWも、やはりプロレスだ。
派手な電流爆破💥や有刺鉄線も、UWFの選手が見せたローキック、ヒールホールドの“シビアさ”と変わらない。
『UWF(Uインター)は真剣勝負である』は、“幻想”だった。
UWF(Uインター)もまたプロレスだった。
そのプロレスの目的は『いかに観客を興奮させるか?』である。
真剣勝負のリアルさも、FMWのデスマッチも、その目的から基本的に出ていない。
皆、観ている我々を興奮させる事を主眼にしている。
全てがプロレスなのだ。
ならば、プロレスとして楽しめば良いのでは?
俺は“UWF幻想”が消えて、こだわりを無くプロレスを見るようになった。
プロレスは楽しかった





丁度その頃、大仁田厚の団体FMWが新しい展開を見せていた。
96年、大仁田が引退した(3回目)。
ハヤブサを団体のエースに起き、それまでのデスマッチ路線に、ストロングスタイル、エンターテイメントを加えた、“新しいプロレス”を見せていた。
それはなかなか面白かった♪
メジャー団体(新日本、全日本)に無い“プロレス”を感じた。
さらに、WARを退団した冬木、邪道、外道が加わり、エンタメ路線に拍車がかかっていった。
…今でいう、DDT的な雰囲気があった。
(あそこまでエンタメ感は強くなかったが…)
そこに突っ掛けきたのが、大仁田厚だ。
引退した大仁田は、半ば強引に新生FMWに復帰し(ポーゴとの因縁マッチを演出…)、団体内に私的な団体(ZEN)等を作って、せっかく盛り上がっていた、新生FMWを引っ掻き回した。
結局、FMWは倒産し、荒井社長の自殺という悲劇を起こしてしまった。
大仁田厚は、自らの事しか考えていないロクでもない男である。
せっかく良い感じに盛り上がっていた団体を、自分の欲の為に潰した…。
自らが中心にいないと気が済まないワガママな人間だ。
せっかく面白くなってきた新生FMWを、強引に自分の“色”に変えようとした。
しかし、本当に『新生FMWは面白かった』のか?
FMWと言えば、やはり“電流爆破”であり、“デスマッチ”であった。
それは、そうしないとFMWではないから、とレスラー、スタッフ、ファンも分かってのではないか?
事実、新生になってもFMWのシリーズ最終戦は“デスマッチ”形式の試合をやっていた。
それはつまり、『FMW=デスマッチ』という大仁田が作り上げたプロレスを越えられなかった証拠ではないか?
ファンは、エンタメ路線やストロングマッチではなく、デスマッチを選んだ。
俺は新年FMWの『エンタメ路線』を楽しく観ていたが、ファンの多くは違っていた。
旧来の“概念”からなかなか抜け出せなかったからだろう。
何故なら、大仁田厚は日本マット界のデスマッチの“パイオニア”であり、皆が電流爆破や有刺鉄線で血だらけで「ファイヤー!」と叫ぶ大仁田厚が見たいのである。
そして、その大仁田は新生FMWから“追放”された。
それでも、新生FMWは決して良くはならなかった。
大仁田のせい?
違う。エンタメ路線は失敗していたのだ。
悔しいが、大仁田はプロレスが上手い。
おそらくプロレスの、本質を分かっている。
プロレスとは『いかに観客の興奮を引き出すか?』である。
そこを大仁田は分かっている。その術も分かっている。

大仁田厚は何を見せたら、お客が喜ぶか分かっている。
この
『大仁田劇場』然り、周囲を自分のペースに巻き込むのが、抜群に上手いのだ。

新しくなったFMWはそこまでの“ムーブメント”を起こせなかった。だから、倒産したのだ。
大仁田厚、という“概念”から抜け出せなかったのだ。
…嫌いだけど





そんな事で今回挑むのは、
『大仁田厚 FMW』(SFC)
このゲームはずっと知っていた。
高校の頃から知っていたが、大仁田嫌いの俺は“あえて”やらなかった。
それを今回やろうと思う。
気にはなっていた。あのFMWのゲームだ。
(どんなプロレスゲームなのか?)
ファイプロファンの俺としたら、確かめたいのだ。
ファイプロっぽいゲームが多かった…。
このゲーム(『大仁田厚 FMW)は、どうなのか?、という興味もある。
FMWのあの“デスマッチ”はあるのか?
電流爆破💥、あるのか?
新年に「レトロゲーマーになる!」と宣言して、PS2本体&ソフトを甥っ子らにあげてしまったので(…戻ってきたが)、レトロトライで挑む。
おっ、大仁田の声だ。
「俺は、FMWを絶対に潰、さん!」
懐かしい~。