この"ストロングスタイル"とは何か?
それはカール・ゴッチの"ゴッチイズム"から来ている。
"日本プロレスの父"力道山に誘われ、来日したカール・ゴッチは当時の日本プロレスのレスラーに"アマチュアレスリング"をベースにした"プロレス"を教えた。
ゴッチの指導を受けた1人が、アントニオ猪木だ。
彼はそれを"ストロングスタイル"に昇華させた。
その基本コンセプトは、
俺の愛読書『1976年のアントニオ猪木』によれば…、
1、レスリングテクニックによる対戦相手の制圧
2、関節技、裏技を駆使してのプレッシャー
3、鮮やかなで観客の興奮を引き出す必殺技
この3つである。
まず、プロレスと"アマチュアレスリング"は全くの別物だ。
アマチュアレスリングが純粋なレスリング技術、身体的な優劣を競う闘争
、であるなら、プロレスはショー👯であり、劇やミュージカルと変わらない。
だが、レスリングと名前が付いているのに、レスリングテクニックが見られないのはおかしくはないか?
だから『1』なのだ。
プロレスが身体的接触を前提とする"闘争"である限り、どうしてもその技術は必要になる。
ショー👯なのだが、レスリング技術で相手の動きを封じる。
レスリングと名乗るのなら、レスリング技術を得て、それを駆使して試合を優位に進ませるのだ。
これは当時の日本プロレスになかった"意識"だ。
力道山もジャイアント馬場もアマチュアレスリングの技術、動きは持ち得ていなかった。
また、"ショー"たるプロレスの"ブック"(台本)を無視して真剣勝負を仕掛けてくる対戦相手は、関節技やレスリングの裏技で制裁🔫(シュート )する。
それが『2』だ。
『おかしな真似をしたら…』
と威圧(プレッシャー)を与えるのだ。
この1、2は、カール・ゴッチの得意な分野であり、これは"ゴッチイズム"とも言える。
この考えを純粋に受け継いだのが、後に新日本から別れた、UWFである。

その方向性は、リアルファイト(真剣勝負)へ向いて行ったが、そのスタートは上の"ゴッチイズム"を体現させる為にあった。
で問題は『3』だ。
"観客に魅せる必殺技"だ。
ゴッチは素晴らしいレスリング技術と、関節技を持っていたが、それだけではプロレスにならない。
観客からの興奮(ヒート)を煽り、驚嘆
と喝采
が無ければプロレスは成り立たない。

もっと言えば、怒り
、哀しみ
、苦しみ、歓喜
、感動
…。
あらゆる感情を観客から引き出さないと、プロレスは"試合"は盛り上がらない。
盛り上がらないと、チケット🎫は売れない。
つまり、儲からないのだ。
プロレスは観客がいて成立するものであり、観客が落とす"金💰"で成り立っている。
ゴッチにはこの点が欠けていた。
"観客の興奮(ヒート)"をいかに引き出すか?
ゴッチが"ドイツ人"
キャラで"ジャーマンスープレックスホールド"を必殺技にしていたのは、その為だ。
第二次世界大戦後、世界の"悪"👿と認識されていたドイツ人を演じる事で、観客の"憎悪"
を沸き立たせ、興奮させる。
ちなみにゴッチはベルギー人である。
ゴッチでさえ、そうしないとリングに上がれなかったのだ。
だから、"必殺技"
が必要なのだ。
観客にアピール出来て、これで"決まり"だという必殺技。
力道山の空手チョップ。
吉村道明の回転エビ固め。
大木金太郎の一本足頭突き。
ジャイアント馬場のランニングネックブリーカードロップ。
皆、『これで決まり!』という強烈な自己表現と、観客の興奮を掻き立てる為の技だ。
これがないとプロレスは盛り上がらないのだ。
そして、これがゴッチに無かったから、ゴッチを師事した猪木は、必殺技の重要性を知っていたのだ。
なので、"ゴッチイズム"に『3』を加えて、"新日本ストロングスタイル"を産み出したのだ。
さらに…、
この後、猪木は世間の👁️を向けさせる為に、
『世界異種格闘技戦』を敢行し、アリと"リアルファイト"をする。
それはともかくとして、今回の『激闘プロレス 闘魂伝説』にはこの"新日本ストロングスタイル"の匂いがする。







