代謝が低い、または代謝が下がってしまうと体脂肪の分解が進まずダイエットがうまく進みません。つまりダイエットが円滑に進むかどうかは、代謝がしっかりと回っているかがカギを握っていると言えます。

 

代謝を回すためには、まず身体に必要なエネルギーがあること、そして代謝に必要なビタミン・ミネラルが整っていること、エネルギーが必要になる機会、つまり身体を動かす機会を増やすことが条件となります。

 

今回はこの代謝に必要なビタミン・ミネラルのうち、特に「」の重要性について解説いたします。鉄が不足しているとダイエットがうまく進まない可能性がありますので、是非最後までお読みください。

 

 

  鉄とは


私たちは、口から摂取したエネルギーをそのまま使うことはできません。食物に含まれるカロリーを身体を動かすためのガソリンに変換することを「代謝」といいます。

※代謝は、もっと広い意味で言うとひとつの物質が何か他の物質に変換、合成、分解される過程全般を指します。

 

その代謝の大部分に関わってくるのが酸素です。酸素がないと生きていくことは勿論できませんし、体脂肪をエネルギーに変えることも、食べた物をエネルギーに変えることもできません。

 

そして、鉄はその酸素を運ぶトラック (ヘモグロビン) の一部となって酸素を全身に運んでいます。また、筋肉の中にいて (ミオグロビン) 血液からの酸素を受け取ったりもしています。

 

ほかにも、鉄は酵素の一部 (チトクロームなど) としてエネルギー作りに関係するなど、代謝に欠かせない栄養素です。

※酵素と補酵素は、生体内で化学反応を効率的に進行させるために協力して働く重要な役割を果たしています。

 

つまり、鉄が不足しているとエネルギーをうまく作れず、活力が低下、ダイエットも進まない、と言えるでしょう。

 

  推奨摂取量

鉄は体内に3〜4gほど存在しますが、日々少しずつ消費・排泄されるため毎日適度に摂取する必要があります。

 

推奨摂取量は、

・男性 → 7.5mg

・女性 → 6〜11mg

 

とされています。女性は月経周期の有無によって推奨量が大きく異なります。また、このあと詳しく解説しますが、鉄の吸収を阻害してしまう食品を日常的に多く摂取している方は不足してしまわないように注意しましょう。

 

普通に食事をしているだけではよほどのことがない限り過剰摂取になることは考えにくいですが、サプリメント等で必要以上に摂取してしまうと鉄沈着症などの過剰症を引き起こす可能性もありますので適切な利用を心がけましょう。

 

  ヘム鉄と非ヘム鉄

栄養素としての鉄は二つに分けられます。

 

1つ目が「ヘム鉄」で、こちらは動物性食品に多く含まれます。一般的なお肉に含まれる鉄は、約40%がヘム鉄です。特に多く含まれるのは、あさりなどの貝類、レバー、カツオなどです。

 

2つ目が「非ヘム鉄」です。こちらは野菜などの植物性食品に多く含まれる鉄です。いろいろな食材に含まれますが、乾燥ひじき、小松菜、ゴマなどが代表例です。

 

この二つは両方とも鉄なのですが、吸収率が大きく異なります。元々あまり吸収率が高くない鉄ですが、ヘム鉄は最大約30%、それに対して非ヘム鉄は最大約8%とかなり差があります。ですが、レバーを食べていれば野菜を食べなくてもOK、とはなりません。この理由も後ほどお伝えします。

 

  促進と阻害

栄養素は、口から摂取したら完了!というわけではありません。口から食道、胃を通り、腸で吸収されてはじめて栄養として働くことができます。先ほどもお伝えした通り、鉄は吸収率が低い栄養素ですので、少しでも「率」を高められるように、吸収を促進してくれる相性の良い栄養素と、逆に吸収を阻害してしまう物質を知っておきましょう。

 

阻害してしまうもの

・穀物に含まれるフィチン酸

・お茶やコーヒーに含まれるタンニン

・卵黄に含まれるホスビチン

・ホウレンソウやココアに含まれるシュウ酸

 

これらは鉄と結合することで体内に吸収されにくい妨害因子となります。日常的にお茶やコーヒーなどを飲む機会が多く貧血気味という方は、少し頻度や量を控えめにしましょう。フィチン酸は玄米に多く含まれます。玄米は健康に良い部分も多いのですが、この点は注意が必要です。

※鉄が不足すると前述の「ヘモグロビン値」が低下し、鉄欠乏性貧血と呼ばれる症状を引き起こす可能性が高まります。

 

促進してくれるもの

・ビタミンC

・ビタミンA

・クエン酸

 

この3つは鉄が吸収されやすい形にしてくれる促進因子です。柑橘系の果物に加えて、野菜では赤ピーマン、人参、かぼちゃなどが優秀です。これが、お肉だけではなく野菜も摂るべき理由の一つです。

 

ちなみにもう一つの理由は、野菜に多く含まれる食物繊維は腸内環境を整えることであらゆる栄養素の吸収率を高めることが期待できるためです。野菜は積極的に摂りましょう。


  まとめ

鉄は体内でエネルギー産生に関わる重要な栄養素であり、不足するとダイエットが進まない。

 

動物性食品を中心に鉄の摂取を意識しつつ、野菜も欠かさず摂取することで吸収率も高めることができる。

 

阻害してしまう食品には要注意。特に、お茶やコーヒー、玄米など。