東京はじとじと、陰鬱な雨が降リ続いていた。
武蔵野市吉祥寺の井の頭公園。
そこにポツンと、昨日まで小さなテントがあった。
見かけた方は疑問に思われただろうか。
前衛芝居 「黙殺!三人スケバン」 は昨日2日が千秋楽であった。
テントは大入り満員、人いきれでむんむんである。
客の背からはもうもうと汗が水蒸気となり上がっている。臭い、熱い、べとべとする。だがそんなことを気にする者はいない。皆、我を忘れて舞台に夢中である。ギラギラと見開かれた彼らの目がそれを物語る。
いよいよ、クライマックス。
三人のスケバンが、初めて一時に顔をそろえた。
女たちの足元に、一人の小汚い男がひざまづいて、懺悔をするようだ。
男は身の丈に合わぬぶかぶかのスーツを着ていて、左腕には金ぴかの時計が眩しい。片方のレンズが割れた大ぶりのメタルフレームの眼鏡が、男の顔に哀愁を漂わせている。
ないやら大声でわめきたてるが、筆者にはそれが何語かすらも分からぬ。
と、ふいに灯りが消える。
芝居は終わったようである。
そしてカーテンコールが始まった。
三人のスケバンが恭しく揃えてお辞儀をする。
その後で、スーツの男が挨拶をした。
私には、やはり、何を言っているのか分からなかった。