北 上 川 風 景 | トドワラのブログ

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8月18日、契約を終えて帰る 増子を 中尊寺迄

送って戻り、北上で列車を降りると、まだ一度も

行った事のない北上川の河原に出ようと池の家と

は反対の方角に向かって歩き出した。しかし幾ら

行っても河原に出ない。川の方角は解って居るの

だが、国道から川の方角へ入る道が全く無いので

ある。仕方なく国道四号を南下するばかりである


その内小雨が降って来たので、道端の農家の軒下

に入って ぼんやりしていると、国道の向い側に

郵便局があった。まだ家を出てから一度もハガキ

も出してないので、その相去郵便局からハガキを

出した。私はこのまま国道四号を南下したのでは

東京に行ってしまうので相当焦って来た。それで

道端の魚屋の親爺に尋ねた所、「この先の路地を

左に曲ると河原に出て、そこに渡し船がある。」

との事であった。五分程で待望の北上川に出た。

だが 河原などと言うものは全く無い。16日以

来の長雨で増水した北上川は河原どころか洪水の

一歩手前である。仕方なく私は東岸に渡ろうと思

い、魚屋の親爺の言っていた渡し船を探した。所

が船らしき物はあるのだが、船を漕ぐ者が居ない。

辺り一帯探し回ったが全く人影さえ見あたらない。

暫くどうしたものか途方にくれていたが、ふと今

迄無視していた、目の前の竹藪に埋もれかけてい

る物置小屋がくさいと気付いた。それで中をそっ

と覗いて見ると、人が仰向けに倒れて居た。私は

一瞬ビクッとしたが、倒れて居た男が動いたので

安心した。明治生れと拝するこの爺さんは「あん

た一人かね」と言うとのっそり起き上がり、船を

出してくれた。船底が浅くていやに細長い小舟は

私一人と言う客を乗せて、泥水のような色の北上

川を動き出した。船首は殆ど川上に向けて居るの

に船は川下へ流されぎみで、北上の流れゆるやか

にして水勢強しと言う事をひしひしと感じさせら

れた。船が東岸に着くと百円払い、船をけるよう

に飛びおりた!!


同じ北上市でもこちらは実に酷い所だ。北上川を

隔てて、西岸の文化が東岸に伝わっていないかの

ようだ。街を形成する要素が全て西岸に集中し、

川一つ隔てたこちらは全くの田舎である!!


川沿いの桜並木を川上に向かって暫く行くと道

路の右手高台が市立公園になっていたので上っ

てみた!!



てっぺんに上り、道路の上に突き出た大きな岩

の上に立つと目がくらみそうである。眼下に開

けた田園地帯には、南北に 果てしなき北上の

大河。そして西より真昼山地に源を発した支流

の和賀川が流れ込み、濁流ゆうゆうとして夕暮

の空に力強き音、ゴーゴーと鳴る!!



鉄橋を渡る急行電車がおもちゃのように見える

のは、遠距離の為だけではなく、眼下の世界が

あまりにもスケールが大きい為ではないか!!

何も考えないでいると、この大きな風景の中

に吸い込まれそうである!!

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