町長ら遺族に謝罪 北海道・標津

 

 

 

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毎日新聞

自殺した北海道標津町職員、鈴木雄大さんの両親(右側)に頭を下げて謝罪する金沢瑛町長=釧路市で2020年7月19日午後1時33分、本間浩昭撮影

 北海道標津町職員の鈴木雄大さん(当時24歳)が2019年7月に自殺した問題で、同町の金沢瑛(あきら)町長らが19日、釧路市の遺族宅を訪れ、町の責任を認め謝罪した。遺族は涙ながらに再発防止を訴えた。  金沢町長は仏壇に手を合わせた後、床に額が付くほど深く頭を下げて謝罪。「責任は町にある。なんぼ悔いても悔やみきれません。本当に申し訳ありません」と述べ、「二度と起きないよう、職員一丸となって取り組んでいきたい」と再発防止を約束した。  母親の龍子さん(56)は「毎月でなくても時々、雄大に会いに来てください。一番つらいのは忘れられることです。職員が困ったら何でも言える職場にしてください」と涙ながらに訴えた。  鈴木さんは商工観光課で修学旅行の受け入れ業務などを担当。昨年7月23日、上司に「病院に行く」と報告した後、連絡がつかなくなった。翌日、町内の橋の下で倒れているのが見つかり、警察は自殺と判断した。  町は1月、直近1カ月の約149時間の時間外労働に伴う睡眠障害などが自殺原因とする調査結果を遺族に報告。業務量が例年の3倍に増え、旅行会社との折衝で「ストレスを抱えていた」などと法的責任を認めていた。  これに対し、遺族側は町側に謝罪を要望していた。町長の訪問は今回4回目で、初めて正式に謝罪した。  父親の省三さん(66)は「やっと手をついて頭を下げてくれた。1年かかりました。雄大は誰にも助けてもらえなかった。こんなつらい目は私たちが最後になってもらいたい」と語った。【本間浩昭】  ◇全国的な長時間労働問題と鈴木雄大さんの自殺を巡る主な出来事 2014年11月 過労死等防止対策推進法施行   15年 4月 厚生労働省が過重労働撲滅特別対策班を東京、大阪の労働局に設置       7月 過労死防止法に基づく過労死対策の大綱を政府が閣議決定      12月 電通の新入社員、高橋まつりさんが飛び降り自殺。後に労災認定   16年10月 東京労働局が電通本社を立ち入り調査      11月 藤沢労働基準監督署(神奈川)が三菱電機の元社員の男性を労災認定      12月 労働基準法違反容疑で法人としての電通と当時の上司を書類送検    17年1月 同法違反容疑で法人としての三菱電機と当時の上司を書類送検    18年6月 時間外労働の罰則付き上限規制を盛り込んだ働き方改革関連法成立    19年7月 標津町職員、鈴木雄大さん(当時24歳)の遺体発見。警察は自殺と判断    20年1月 町側弁護士が直近1カ月の149時間の時間外労働などが自殺原因とする報告書を鈴木さんの遺族に報告       7月 金沢瑛町長が遺族に謝罪  ◆相談窓口  ◇いのちの電話相談  0570-783-556=ナビダイヤル 午前10時から午後10時まで  ◇自殺予防「いのちの電話」  0120-783-556(なやみこころ)=毎月10日(午前8時から~11日午前8時)にフリーダイヤルの電話相談  日本いのちの電話連盟はこちら(http://www.inochinodenwa.org/)  全国のいのちの電話はこちら(http://www.inochinodenwa.org/lifeline.php)  ◇東京自殺防止センター(NPO法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター)  03-5286-9090=年中無休、午後8時~午前5時半(毎週火曜日は午後5時~午前2時半、毎週木曜日は午後8時~午前2時半 http://www.befrienders-jpn.org/)