岐阜市いじめ防止条例改正案

 

 



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松永佳伸
2020年6月19日 11時00分 朝日新聞

 岐阜市教育委員会は、市内の男子中学生がいじめを苦に自殺した問題を受け、いじめ対策の基本的な方針を定めた「岐阜市いじめ防止等対策推進条例」の改正案をまとめた。市長は市教委に対し、加害児童生徒の出席停止などを勧告できることを明記した。改正案は市ホームページで公開し、7月15日まで市民から意見を募る。

 改正の理由として、二度と同じ悲しみを繰り返さないため、市民一人ひとりが命の尊さを理解し、常に当事者意識を持ち、いじめ問題の克服に取り組むことを明確に示す狙いがある。

 新たに追加した前文で男子生徒の自殺について、「将来への希望に満ちているはずの尊い命が、基本的人権を侵害するいじめにより奪われた」と明記。改正案では、いじめの定義や基本理念を追加、整理し、児童生徒にはいじめの禁止を明記した。

 基本行動では市教委と学校は被害児童生徒の立場に寄り添い、安全を確保するとともに、加害児童生徒に対し事情を確認し、適切な指導をするほか、組織的な対応を図ることを義務づけている。市長は、いじめ防止に必要と判断した時は、市教委に対し、加害児童生徒の出席停止などを勧告できることも新たにに加えた。


 男子中学生の月命日となる毎月3日を「いじめを見逃さない日」と定め、学校は、児童生徒が主体的にいじめ防止に向けた活動をすることができるように支援、指導する。

 市は、市民から寄せられた意見などを反映し、条例改正案は9月定例市議会への提出を目指す。(松永佳伸)