外出自粛で増加懸念も

 (2020/06/01) 06:00 山口

 山口地方法務局は、2019年に扱った県内の人権侵犯事件の概要をまとめた。新規の救済手続きは262件で前年より44件減った。このうち私人間による人権侵犯事件は220件で同30件減った一方、家族間における暴行・虐待に関する事件は49件で同17件増えた。

 私人間の人権侵犯事件の内訳は、インターネットなどによるプライバシー関連が28件(前年比27件増)、差別待遇が16件(同10件増)と増加。住居・生活の安全に関するものが42件(同25件減)だった。

 公務員などが関与した人権侵犯事件は42件(同14件減)。教職員のいじめへの不適切な対応が24件(同32件減)あったほか、教職員による体罰が5件(同4件増)あった。

 父親からたたかれるなどの虐待を受けていると被害者から「子どもの人権SOSミニレター」を通じて相談を受けた事案では、小学校や児童相談所と連携しながらミニレターによる見守りを続けたという。本人の意向で警察に保護されたことから、対応を児童相談所に引き継いだ。

 インターネットの掲示板に、実在する地域が同和地区であると書き込まれていた事案では、サイトの管理者に要請して書き込みを削除させた。

 処理件数は253件で前年より58件減った。内訳は私人間216件(同34件減)、公務員など37件(同24件減)。措置内容のほとんどが被害者に助言などを行う行政機関や団体などを紹介する「援助」だった。

 同法務局は「今年は新型コロナウイルスに関連した偏見や不当な差別のほか、外出自粛に伴うDVや虐待事案が懸念される。被害に遭った時は一人で悩まずすぐに相談してほしい」と呼び掛ける。

 人権に関する相談は、全国共通人権相談ダイヤル(電話0570・003・110)、子どもの人権110番(0120・007・110)へ。

(藤江広祐)