2020年05月14日BBC

当局は起訴取り下げず

サラ・レインズフォード、モスクワ特派員

 
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Image caption 事件当時、アンジェリーナ被告(左)は18歳、マリア被告(中)は17歳、クリスティーナ被告は19歳だった
Getty Images

ロシアで2018年に3姉妹が、虐待を続けていた父親を殺害したとされる事件について、ロシアの捜査委員会が計画殺人罪での起訴を取り下げない方針を示した。ロシアで注目を集めている事件が、法的にこう着状態に陥った格好だ。

検察は今年初め、この姉妹が長期間にわたり身体的・性的虐待を受けていたと結論付け、父親殺害は「必要な正当防衛」と見なされるとした。

そのため、姉妹に対する起訴は取り下げられるとみられていた。

しかし姉妹の弁護人はBBCの取材に対し、捜査委員会が検察の見解を拒否したと述べた。

この事件を受け、ロシアでは姉妹を支援する署名活動に大勢が参加したほか、家庭内暴力(DV)を取り締まる法律を求める声が高まった。

 
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Image caption 姉妹のうち年長の2人は有罪となった場合最長20年の禁錮刑を科される可能性がある
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2018年7月28日、クレスティナ、アンゲリナ、マリアの3姉妹は、父親のミハイル・ハチャトゥリアン氏(57)を刃物とハンマー、コショウスプレーで殺害したとして逮捕された。

捜査が始まるとすぐ、家庭内で暴力が続いており、ミハイル氏が娘たちを自宅に閉じ込めていた実態が明らかになった。

殺人罪に問われた場合、姉妹のうち年長の2人は最長で20年の禁錮刑を受ける可能性がある。

姉妹の母親アウレリア・ダンドゥク氏もミハイル氏の虐待の被害者だったが、事件当時は別居していた。BBCの取材でダンドゥク氏は、自分や隣人は何年も前から警察に相談したが、無視されたと語っている。

捜査委員会の見解は

検察当局は今年1月、ハチャトゥリアン姉妹が父親から「殴る、言葉による中傷、脅迫や虐待、身体的・性的暴力」を受けており、「身を守る行動」に出たことが分かったと発表。

その上で、こうした経験が姉妹たちの「あらゆる方法で自分たちを守る」行動につながったと結論付けた。しかし、この指摘を捜査委員会は却下した。

姉妹の弁護人を務めるアレクセイ・リプセル氏は、「捜査委員会が公式に追加捜査を行ったが、以前と同じ結論に達した」と説明。つまり、当初の計画殺人による訴追がなお有効だということだ。

「上からの指示は変わらなかったようだ」

一方、新しい証拠なども出ていないため、検察当局の見解も変わらないだろうとリプセル氏は話す。

「捜査委員会が検察の見解に同意して起訴内容を(正当防衛に)変更するか、卓球のようなやりとりが続くかのどちらかだ」ロシアの法律では、検察と捜査委員会が合意しないと正式な起訴とはならない。

姉妹は現在、モスクワ市内で別々に生活しているが、互いに連絡を取ることは認められていない。

ロシアの法律では、検察と捜査委員会が合意しないと正式な起訴とはならない。

「捜査委員会が検察の見解に同意して起訴内容を(正当防衛に)変更するか、卓球のようなやりとりが続くかのどちらかだ」

一方、新しい証拠なども出ていないため、検察当局の見解も変わらないだろうとリプセル氏は話す。

「上からの指示は変わらなかったようだ」

姉妹の弁護人を務めるアレクセイ・リプセル氏は、「捜査委員会が公式に追加捜査を行ったが、以前と同じ結論に達した」と説明。つまり、当初の計画殺人による訴追がなお有効だということだ。

その上で、こうした経験が姉妹たちの「あらゆる方法で自分たちを守る」行動につながったと結論付けた。しかし、この指摘を捜査委員会は却下した。

検察当局は今年1月、ハチャトゥリアン姉妹が父親から「殴る、言葉による中傷、脅迫や虐待、身体的・性的暴力」を受けており、「身を守る行動」に出たことが分かったと発表。

捜査委員会の見解は

姉妹の母親アウレリア・ダンドゥク氏もミハイル氏の虐待の被害者だったが、事件当時は別居していた。BBCの取材でダンドゥク氏は、自分や隣人は何年も前から警察に相談したが、無視されたと語っている。

殺人罪に問われた場合、姉妹のうち年長の2人は最長で20年の禁錮刑を受ける可能性がある。

捜査が始まるとすぐ、家庭内で暴力が続いており、ミハイル氏が娘たちを自宅に閉じ込めていた実態が明らかになった。

2018年7月28日、クレスティナ、アンゲリナ、マリアの3姉妹は、父親のミハイル・ハチャトゥリアン氏(57)を刃物とハンマー、コショウスプレーで殺害したとして逮捕された。

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Image caption 姉妹のうち年長の2人は有罪となった場合最長20年の禁錮刑を科される可能性がある
 

この事件を受け、ロシアでは姉妹を支援する署名活動に大勢が参加したほか、家庭内暴力(DV)を取り締まる法律を求める声が高まった。

しかし姉妹の弁護人はBBCの取材に対し、捜査委員会が検察の見解を拒否したと述べた。

そのため、姉妹に対する起訴は取り下げられるとみられていた。

検察は今年初め、この姉妹が長期間にわたり身体的・性的虐待を受けていたと結論付け、父親殺害は「必要な正当防衛」と見なされるとした。