2人懲戒免職 1人停職
2020年2月28日 19時34分 NHK

神戸市立の小学校で教諭が同僚をいじめていた問題で、市の教育委員会は加害者の教諭4人らの懲戒処分を決定しました。「激辛カレーいじめ」のほか、セクハラ行為も繰り返していたとして30代の男性教諭2人を懲戒免職としたほか女性教諭1人を停職3か月、男性教諭1人を減給の処分としています。

神戸市の市立東須磨小学校で4人の教諭が同僚をいじめていた問題で市の教育委員会は28日、懲戒処分を決定しました。

もっとも重い懲戒免職となったのは、蔀俊教諭(34)と柴田祐介教諭(34)の2人です。

蔀教諭は、最も多い93件のハラスメント行為が認定され、激辛カレーを無理やり食べさせるなどの暴行のほか、交際相手とのわいせつな写真を送らせるなどのセクハラ行為もしていたということです。

柴田教諭は、目の下に激辛カレーを塗り付けたほか、別の女性教員へのセクハラ行為など39件が認定されました。

また、「カレーいじめ」以外にも児童のいすを引いて転倒させるなど、不適切な指導をしたとして45歳の女性教諭を停職3か月としました。

さらに、暴行や暴言を繰り返した37歳の男性教諭を減給10分の1、3か月としました。

一方、歴代の小学校の校長について、今の校長を減給10分の1、3か月に、前の校長はパワハラなども認定し、停職3か月としました。

長田淳教育長は「児童や保護者、被害に遭った教員に心よりおわび申し上げます。学校職員と教育委員会が一体になって再発防止に全力をあげてまいります」と謝罪しました。

免職の蔀教諭 いじめで主導的な役割
懲戒免職となった蔀俊教諭(34)は、一連のいじめで主導的な役割を果たしたとされ、最も多い93のハラスメント行為が認定されました。

「激辛カレー」いじめや車に乗るなどの行為、そして教員室などで日常的に「クズ」「死ね」などと暴言を吐いたほか、勝手に携帯電話から女性の同僚教諭に対して不適切な文言をLINEで送るなどの嫌がらせをしていました。

さらに、交際相手とのわいせつな写真を送らせたり、性的な言動を繰り返したりしていたほか、別の女性教員に対するセクハラ行為も認定されています。

調査報告書では蔀教諭の行為について「悪ふざけ、からかいの延長だったが、被害者は『嫌われると小学校で仕事ができなくなる』という恐怖があった」としたうえで、「弱い者を『いじる』ことで笑いをとる典型的な『いじめ』心理そのものだ」と厳しく指摘しています。
免職の柴田教諭の行為
懲戒免職となった柴田祐介教諭(34)は、39のハラスメント行為が認定されました。

「激辛カレー」いじめのほか、児童の前で肩を殴ったり職員室などで暴言を吐いたりしたということです。

また、飲み会で皿に親指を入れるなどしたほか、被害者の交際相手の女性の悪口を言う行為などが認定されました。

さらに、別の女性教諭に対し車の中で肩に触れたり性的な言動を繰り返すなど、セクハラ行為も認定されています。

調査報告書では「いじめを主導した別の教諭に追随し、次第に鈍麻し、タガが外れていった」と指摘されています。
停職の女性教諭の行為
停職3か月の処分を受けた45歳の女性教諭は、13のハラスメント行為が認定されました。

激辛カレーを食べさせたほか、日常的にビンタをしたり「ポチ」と呼んだりしていました。

また、相談されていたプライベートの話をほかの教諭に話していたということです。

さらに、児童のいすを突然引いて転倒させるなど不適切な指導も処分の理由となりました。

調査報告書では被害者の教諭は、この女性教諭を仕事上、頼りにしていたため、がまんしながら関係を続けていたとしています。

そして「プライベートな事柄を無神経に周囲に漏らされたことが、被害教員を苦しめていた」と指摘しています。
減給の男性教諭の行為
減給10分の1、3か月の処分を受けた37歳の男性教諭は、7つのハラスメント行為が認定されました。

肩を手でたたいたり、いすを蹴ったりしたほか「カス」「ボケ」などと暴言を吐いたということです。

また、被害者がいじめについて校長に相談したことに腹を立て、「お前に話しかけたらパワハラになる」などと述べていました。

調査報告書では被害者が、この教諭を当初は優しい先輩だと認識していたとして「いじめを止めてほしかったが便乗してハラスメントを続けてきたことに対する怒りは小さくない」としています。
減給の現校長 いじめを助長
減給10分の1、3か月の処分を受けた今の校長(55)は、不適切な対応でいじめのエスカレートを防げなかった責任が問われました。

調査報告書では校長はいじめについて加害者の教諭らに指導したことが結果として被害者に報復的な言動を生むことになり、「対応としてピントがずれている」と指摘されました。

さらに、校長が加害者らをコントロールできていないことから職員室内の風紀が緩み、いじめを助長したと指摘しています。
停職の前校長の行為
停職3か月の処分を受けた小学校の前の校長(55)は、管理職としての対応の不適切さに加えて、みずからもパワハラを行っていたと認定されました。

調査報告書は被害者の教諭が飲み会を欠席すると連絡したところ「俺を敵に回していいんか」などとどう喝し、出席を事実上強要したなどとしています。

報告書では、ほかの教員も前の校長から「死ね」、「つぶす」と言われるなどパワハラの訴えが多数寄せられたとしています。

高圧的な態度から「プチヒトラー」と呼ぶ教員もいたといいます。

被害者は、いじめ行為を前の校長に申告しても握りつぶされるという恐怖があったとして「学校のトップが全体的な信頼を得られていなかったことは、いじめが長く見過ごされてきた原因の一つだ」と厳しく指摘しています。