「包括支援で対策を」 富山 /富山

 



毎日新聞2017年11月22日 地方版

 自殺防止を考える「県自殺対策トップセミナー」(厚生労働省、県など主催)が21日、富山市千歳町1のパレブラン高志会館で開かれた。NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」(東京都)代表の清水康之さんが講演し、県内各市町村の担当者ら70人が耳を傾けた。

 「誰も自殺に追い込まれることのない“生き心地の良い富山”をめざして」と題した清水さんの講演では、ライフリンクの調査で浮かび上がった自殺の実態を報告した。自殺は、失業や生活苦、多重債務など平均四つの要因が複合的に連鎖して起こるといい「きっかけとなる最初の要因は日常にあふれている問題。それが悪化し、別の問題を引き起こし、連鎖する中で自殺が起きている」と説明した。

 その上で、「関係機関が連携し、包括的な支援で自殺対策をする必要がある」と指摘。相談窓口や行政など関係機関がネットワークを築いている東京都足立区の取り組みを紹介し、「自殺対策は、危機的状況に陥っても誰もが生きられる道を選べる地域作りにつながっていく」と語った。

 厚労省の人口動態統計によると、昨年の県内の自殺者数は186人で、人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率は17・7人。【古川宗】