小説「海と陸の彼方へ」

 

第七章西欧列強との戦い

 

第1話怒江流域の防衛「モーラミャインの戦い①」

 

前書き

1935年、雲南省西北部の片馬鎮。複雑な政治的背景の中、若きルイスは中国国民党から巴蜀・雲南の軍政長官に任命される。彼は、旅の途中で四川省南充の石油王から巴蜀・雲南王に推戴され、その地域の権力者となる。この章では、ルイスが片馬鎮の現鎮長を降伏させ、新たな支配地を確立するところから物語は始まる。そこでは、文化的な融合、政治的な野心、そして周囲の人々の心理が複雑に絡み合う。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」 

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ルイス18歳:イタリア系のアメリカ移民。長征途中の中国共産党紅軍の首領毛沢東を捕縛した功績を認められ、中国国民党総統の蒋介石より、巴蜀・雲南の軍政長官を委嘱される。旅の途中で四川省南充の石油王から巴蜀・雲南王に推戴される。と言っても、元清朝の王女:王華ワン・ファが認めただけである。この物語の主人公。中国制覇の大望を抱く。 

****** ルイスの資金 小遣い177,259両。金塊50トン。銀錠200億両「内訳は一般会計20億両、特別会計30億両。余剰金150億両」。今までに一般会計は20億両の予算のうち506万5千両支出した。特別会計は30億両の予算を組み、今までに12億240万両支出した。 

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ルイスの妻:エリザベス・ハーレイ。ジョン・ハーレイ(40歳)「ブリタニア号の船長」の元妻。 年齢: 38歳 

背景: イギリスの中流家庭出身。元夫の仕事を支えるために、度々海を渡る。 

性格: 温和で思慮深く、家族を深く愛する。元夫と同様に最初はルイスに不信感を抱いていたが、彼の真摯な態度に心を動かされ、夫と別れてルイスと結婚する。 

義理の息子:ウィリアム・ハーレイ。軽戦車隊「8台」隊長。「趙麗チャオ・リー」26歳の夫。 

年齢: 16歳 

背景: 船長の息子として海上生活に慣れ親しんでいる。航海術に興味を持ち、父から学んでいる。 性格: 好奇心旺盛で活発。ルイスの冒険的な精神に魅了され、彼を尊敬するようになる。 

義理の娘:エマ・ハーレイ 

年齢: 14歳 

背景: 船長の娘として幼少期から多くの国を訪れている。異文化に対する興味が強い。 性格: 社交的で好奇心が強く、新しい環境にすぐに適応する。ルイスの持つ異文化への敬意と好奇心に共感を覚える。 

趙麗チャオ・リー」26歳:ウィリアム・ハーレイの妻。建設大臣。元昆明軍閥の一員。彼女は軍閥の中で情報の収集と分析を担当し、一味が行動を起こす前に必要な情報を提供していた。 

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ルイスには他にも妻「側室」がいる。王華ワン・ファ(45歳)、李芳蓉リー・ファンロン(37歳)、劉芸芸リウ・ユェンユェン(38歳)、陳明花チェン・ミンファ(38歳)、クロエ・デュモン(23歳)、劉秋リュウ・チウ(39歳)、劉穎リウ・イン(33歳)の7名である。別途にイスラム妻が3名「ナディア、サリマ、王光美」いる。 

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ルイスの部下。 

1.周恩来ジョウ・エンライ(37歳)。ルイスの参謀。江蘇省出身。 ・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。 

・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。 

・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。 

・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。

 2.ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。上海出身。 

・自立心が強く、決断力がある女性。 

・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。 

・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。 

3.サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。江西省出身。 

・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。 

・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。 

・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。 

4.王光美ワン・グアンメイ(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。 

・年の割には成熟しており、好奇心が強い。 

・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。 

・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。 

5.テンパ・ティンリー(24歳)。航空長官「改良DC-2 :1,000機」パイロット。チャン・ユン(42歳)の長男。チャン・ユン(42歳)は摩梭モソ族:落水下村出身。 

6.陳浩然チェン・ハオラン(33歳)。諜報長官。年間経費10万両。部下100名。

7.李麗リー・リー40歳。側女兼農林大臣。年間経費1億両。怒族族長の元妻。果科村の手工芸品作家。

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 紅軍の長征  

中国地図 出典 建築資料研究社「住まいの民族建築学」浅川滋男著 P8     出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

☆9月12日木曜日午前5時:彝族の族長の屋敷
ルイスは片馬鎮の現鎮長「彝天山(イー・ティエンシャン)」の喉首に拳銃を突きつけ、降伏させた。彼が降伏したことにより、部下の500名も武装解除し、彝天山(イー・ティエンシャン)共々、この屋敷の地下にある牢屋に監禁された。鎮長一家はルイスの人質となり、監視下に置かれることとなった。

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片馬鎮の現鎮長「彝族族長42歳」一家の構成
彝族族長:彝天山(イー・ティエンシャン)(42歳):力強いリーダーシップを持ち、部族の経済発展に注力する男性。時に強引な手法を用いることも。
妻:彝麗華(イー・リーホァ)(40歳):夫の地位を利用して慈善活動や教育プログラムを推進する女性。社交的で影響力がある。
長女:彝美玲(イー・メイリン)(22歳):環境保護に強い関心を持ち、地域の自然保護活動に参加している。芸術的な才能もある。
長男:彝志強(イー・ジーチャン)(20歳):父親の後を継ぐことを望んでいる若者。大学で政治学を学んでおり、近代的な思考を持つ。
次男:彝明進(イー・ミンジン)(18歳):商才に長け、家族経営のビジネスを手伝う。新しいアイデアを持ち込むことが多い。
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ルイスはこの屋敷の主となり、怒族の族長「怒文龍(ヌー・ウェンロン)」は片馬鎮の鎮長に返り咲いた。ルイスはこの家の女主人「彝麗華(イー・リーホァ)」に命令し、朝食を用意させた。「彝麗華(イー・リーホァ)」はオロオロしながらも侍女たちに指示して懸命に料理を準備している。

静かな夜明けの空気が部屋に満ちている中、屋敷の中はすでに活動が始まっていた。彝族族長の妻、彝麗華(イー・リーホァ)は、ルイスの朝食の準備に追われていた。屋敷は、彝族の伝統的な装飾が施された美しい造りで、彼らの文化の豊かさが感じられた。

彝麗華は、夫がルイスに降伏した後の緊張感を背負いながらも、彼の好みに合わせた朝食を用意するために侍女たちと一緒に厨房で忙しく働いていた。朝食のメニューには、彝族特有の香辛料を使った炒め物や蒸し物が含まれており、その独特な香りが屋敷全体に広がっていた。

ルイスが食堂に入ると、彼のために用意された豪華な朝食が目に入った。テーブルには、色とりどりの彝族の料理が並べられ、その中には西洋風の料理も加えられていた。彝麗華は、彼に一つ一つの料理を丁寧に説明し、彼が好む紅茶を注いだ。

ルイスは、彼の権力下に置かれた族長の家族が用意した料理を味わいつつ、彼の野望について考えを巡らせていた。彼の目的は、この地域を完全に支配下に置くことだった。彼の思考は、計画と戦略に満ちており、周囲の人々は彼の意志に従うしかなかった。

この朝食のシーンは、ルイスの支配下にある屋敷の雰囲気と、彼の野心を反映しています。彝族の文化と西洋の影響が融合した独特な朝食が、彼の征服した地域における文化的な変化を象徴しているのです。

☆陳浩然(チェン・ハオラン)の来訪
何処からルイスの居所を嗅ぎつけたのか、諜報長官の「陳浩然(チェン・ハオラン)」が訪れた。

ルイス:俺がここに居ることを誰から聞いたのだ?

陳浩然(チェン・ハオラン):怒族の族長宅で聞いたのです。

ルイス:そうか。何か特別なことでも起こったのか?

陳浩然(チェン・ハオラン):部下がミャンマーで大変なことを聞き込みましてね。イギリス軍がもうすぐ此処へ攻めてきますよ。今はビルギュン島に碇泊しています。

ルイス:ビルギュン島とはどういうところだ?

陳浩然(チェン・ハオラン):東側に怒江「ミャンマー領ではサルウィン川」への入り口となるモーラミャインという都市があります。モーラミャインからサルウィン川に入るつもりでしょう。

ルイス:ミャンマーはイギリスの植民地だから、怒江を遡ると何処で降りるのも彼らの自由になるわけだな。騰衝や怒江流域に到着するのも時間の問題だな。

陳浩然(チェン・ハオラン):どういたしましょう?

ルイス:このままでは騰衝や怒江流域もイギリスに占領されてしまう。何とか2,3ヶ月時間を稼ごう。その間に防衛策を考えれば良い。

ルイス:俺が飛行機1,000機を編成して、モーラミャインに居るイギリスの艦隊を砲撃する。大部分を撃沈しておけば立て直すのに数ヶ月は掛かるだろう。俺が引き返してきて防御策を考えてやるよ。

陳浩然(チェン・ハオラン):殿様。私が乗ってきた飛行機をお使い下さい。

ルイスは怒族の族長「怒文龍(ヌー・ウェンロン)」と李麗(リー・リー)、芳蘭(ホウラン)のふたりを呼んだ。

ルイスはイギリス海軍がミャンマー経由で此処を攻めてくることを説明し、「怒文龍(ヌー・ウェンロン)」に各部族の取りまとめと抗英軍の結成を頼んだ。

その昔、片馬鎮だけでなく、怒江流域一帯がイギリスに強占されたことを知っている「怒文龍(ヌー・ウェンロン)」は身震いしながらも快く引き受けた。

李麗(リー・リー)、芳蘭(ホウラン):私達はどうすれば良いでしょうか?

ルイス:お前たちは俺が帰ってくるまでこの家に居れ。李麗(リー・リー)は農業と畜産業及び鉱山強化の見積もりを取れ。芳蘭(ホウラン)はこの家の女主人として一家を取り仕切れ。

芳蘭(ホウラン):この家には女主人が居るのではありませんか?

ルイス:「彝麗華(イー・リーホァ)」は俺が人質として連れて行く。

芳蘭(ホウラン):人質が彼女だけだと族長が反乱を起こす可能性もありますね。子供をひとり連れて行くのはどうでしょうか?

ルイス:それも道理があるな。良し。長女:彝美玲(イー・メイリン)(22歳)と次男:彝明進(イー・ミンジン)(18歳)のふたりを連れて行こう。これなら族長も反乱を起こさないだろう。

ルイス:陳浩然(チェン・ハオラン)よ。モスクワの闇武器商人イワン・アレクセーエフ(47歳)の居場所を知っているか?

陳浩然(チェン・ハオラン):はい。彼は何時も銀のパゴタの近くに住んでいます。

ルイス:銀のパゴタだと!それは何処にあるのだ?

陳浩然(チェン・ハオラン):ビルギュン島にあるのです。彼の家には飛行場もありますよ。

ルイス:そうか。銀色をしているなら、俺にも分かるな。

陳浩然(チェン・ハオラン):私がご案内いたしますよ。

ルイス:いや。お前には昭通に居る「周恩来(ジョウ・エンライ)」と「王光美(ワン・グアンメイ)」に連絡し、艦隊を防衛するよう伝えてくれ。イギリス艦隊は南京から重慶まで長江経由で攻めるかも知れない。重慶が攻撃されたら大変だ。

陳浩然(チェン・ハオラン):香港経由で珠江に侵入するかも知れませんね。

ルイス:その時はその時だ。雲南に来るまでには時間がかかるだろう。多少の余裕がある。

ルイスは、陳浩然(チェン・ハオラン)たちと一緒に飛行機に乗った。ルイスと同行するのは、「陳浩然(チェン・ハオラン)」、「彝麗華(イー・リーホァ)(40歳)」、「彝美玲(イー・メイリン)(22歳)」、「彝明進(イー・ミンジン)(18歳)」の4名である。

☆聴命湖
片馬鎮を午前8時に出発したルイスたちは30分足らずで聴命湖に到着した。陳浩然(チェン・ハオラン)ひとりを残してルイスたちはボートに乗り、ルイスが停めておいた改良DC-2 へと向かい、ボート毎飛行機に乗り込んだ。ボートも積んでおくと役に立つこともある。

1935年9月12日木曜日の朝。片馬鎮から聴命湖へと向かうルイス一行。湖畔に着くと、陳浩然(チェン・ハオラン)を除く一行は、静かにボートに乗り込む。彼らの目的地は、遠くビルギュン島にある銀のパゴタ。ルイスは、モスクワの闇武器商人イワン・アレクセーエフから大量の砲弾を購入するため、この秘密の旅に出た。

湖の水面は、朝日に照らされて輝いている。ルイスたちは、湖畔に隠してあった改良DC-2飛行機へと向かう。ボートを飛行機に積み込み、エンジンをかける。彝麗華(イー・リーホァ)と子供たち、彝美玲(イー・メイリン)、彝明進(イー・ミンジン)は、飛行機に乗るのが初めて。子供たちは、人質であることを忘れ、湖上の冒険に心躍らせている。彼らの目には、この新しい体験への純粋な興奮が宿っていた。

母親の彝麗華も、内心は興奮を隠しきれない様子。彼女の表情には、冒険への期待が満ち溢れている。ルイスの目的は、中国を侵略するイギリスに対抗するための武器購入だ。人質であるとはいえ、この事実が彼ら一行の心に、ルイスへの応援の思いを芽生えさせていた。

飛行機が離陸すると、子供たちの歓声が湖面に響き渡る。彼らは窓から外を見て、広がる景色に目を奪われる。ルイスは、操縦席からじっと前方を見つめながら、内心で計画を練っていた。彼の心は、ビルギュン島の銀のパゴタへの到達と、イギリス艦隊に対する防衛計画に集中している。

飛行機が空を切り裂きながら、ビルギュン島へと向かっていく。ルイスと彼の同行者たちにとって、この旅は単なる移動ではない。それは、彼らの運命を左右する重大な一歩であり、新たな未来への出発点なのだ。

☆機内の様子
助手席には彝族族長の妻「彝麗華(イー・リーホァ)」が座り、最後尾の席には「長女、彝美玲(イー・メイリン)、次男、彝明進(イー・ミンジン)」のふたりが座っている。後ろのふたりは飛行機が放つ爆音にも関わらず大きな声で喋っている。窓から見える壮大な景色が彼らの心を惹きつけて離さないのだろう。

ルイスがふと左横の「彝麗華(イー・リーホァ)」を見ると何やら苦しそうにゴホゴホと咳き込んでいる。ルイスは操縦桿を右手だけで持ち、左手で彼女の背中を優しく撫でた。2,30分も撫で続けてやっと発作が収まったようだ。

"彝麗華(イー・リーホァ)さん。コックピットの中にクスリの瓶がある。その中からふた粒取り出して、焼酎と一緒にひと粒だけ含みなさい"

"残りのひと粒を焼酎に混ぜて俺に含ませてくれ"

彝麗華(イー・リーホァ)はルイスに言われた通りに、焼酎の瓶から少し焼酎を口に含み、丸薬をひと粒口の中に入れた。するとほんの2,3分のうちに咳が止まり、気分もすこぶる良くなった。

焼酎の瓶と一緒に丸薬をルイスに渡せば済むことなのに、何を思ったのか彼女は焼酎を自分の口に含んで、口移しにルイスに飲ませてから丸薬も口移しに飲ませた。喜んだのはルイスである。彼女を強く抱きしめてキスをする。

最後尾の席から娘の「彝美玲(イー・メイリン)」が席を立ち、トイレに行こうとしたのでふたりは慌てて離れた。危うくキスをしているところを娘に見られるところだった。

☆午後4時:ビルギュン島、銀のパゴタ「ミャンマー」到着
ルイスたちの目の前には、鮮やかな青空の下に建つ仏教寺院が見えている。寺院の中央には、先細りの形状をした白い塔がそびえ立っており、その塔は金色の装飾が施された屋根に覆われている。塔の頂点には細かい装飾が施された金色の飾りがあり、その輝きが太陽の光に反射している。

塔の周囲には、金色と赤色の装飾が目立つ入り口のアーチがあり、その両側には小さな像や彫刻が配されている。寺院の前面には、黄金の仏像が安置されている小さな祭壇があり、その前には緑濃い植物や木々が植えられている。この植生は、寺院が自然に囲まれた落ち着いた環境にあることを示している。

寺院の正面左側には、一部が見える赤い屋根の建物があり、右側には青い屋根を持つ小屋が建っている。どうも赤い屋根の建物がモスクワの闇武器商人の家のようだ。ルイスたちは赤い屋根の建物に入った。

執事のような老人がルイスたちに応対した。

ルイス:私はルイスという者だ。巴蜀と雲南の国王である。イワン・アレクセーエフ(47歳)さんを呼んでくれ。

ルイスたちは丁重に応接室に案内された。

イワン・アレクセーエフ:ルイスさん。お久し振りですね。直接お見えになるとは、何か重大なことが起きたのですね。ははーん。イギリス海軍の動きがおかしいですからね。

ルイス:その通りなんだ。彼らの動きを少しでも遅らせたい。今のままでは中国はイギリスに占領されてしまう。

イワン・アレクセーエフ:飛行機に積む砲弾がお望みですか?

ルイス:目的はサルウィン川河口に駐留しているイギリス艦隊を足止めすることだ。何か良いものはないか?

イワン・アレクセーエフ:新しく開発した爆弾があります。蜂雷爆弾「Hōrai Bomb」と言いまして、試作品ですからお安くしておきますよ。

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名前:蜂雷爆弾「Hōrai Bomb」

・「蜂雷」は、蜂の群れのように多くの小さな爆発が一つの大きな破壊力を生み出すことから名付けられました。
特徴:

1.タイプ:対艦用中型爆弾
・航空機から投下可能な中型サイズで、艦隊攻撃に特化。

2.重量:500kg
・航空機の搭載能力と投下の精度を考慮して、扱いやすい重量に設計。

3.構造:分割型
・爆弾本体が目標近くで小型爆弾群に分割し、広範囲にわたって連続爆発を起こす。

4.爆薬:トリニトロトルエン「TNT」
・当時一般的に使用されていた爆薬で、強力な破壊力を持つ。

5.起爆方式:高度感知式タイマー
・特定の高度に達した際にタイマーが作動し、爆弾が分割して爆発するよう設計。

6.効果範囲:約200メートル
・分割爆弾により広範囲をカバーし、艦隊の複数の船舶を同時に攻撃可能。

用途:
・対艦攻撃に特化し、艦隊が密集している場所に対して効果的。
・一発の爆弾で複数の艦船にダメージを与え、艦隊の運動能力を低下させることを目的とする。
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ルイス:中々良さそうだな。幾らだ?

イワン・アレクセーエフ:一発100両です。

ルイス:取り敢えず1万発購入しよう。今乗っている飛行機に10発積んでくれ。残りはあとで個別に取りに来るから1機に付き10発ずつ積んで欲しい。

ルイスはイワンに100万両の小切手を切った。

夕暮れ時、ビルギュン島のイワン・アレクセーエフの邸宅では、ルイスたちを歓迎するための豪華なミャンマー料理の夕食が準備されていた。室内は金色の燭台の光と、外から差し込む夕日の温もりが交じり合い、温かみのある雰囲気を醸し出していた。

大きな食卓には、彩り豊かな料理が並べられている。前菜として、ミャンマーの伝統的なサラダ「ティリンダウィン」が、その鮮やかな緑色とサクサクした食感で、食卓に彩りを添えていた。主菜には、香ばしく焼かれたチキンカレー「ガイヒン」が供され、そのスパイシーな香りが食欲をそそる。

脇には、ミャンマー独特の香り高いバスマティ米が添えられ、料理の風味を引き立てていた。デザートには、甘くてクリーミーな「シュエイヤエ」が、その独特な味わいで食後の心地よい余韻を残していた。

ルイスと彝麗華(イー・リーホァ)、彝美玲(イー・メイリン)、彝明進(イー・ミンジン)は、異国の風味に満ちたこの料理に舌鼓を打ちながら、それぞれの思いを巡らせていた。彝族の家族にとって、このような異国の料理は新鮮であり、特別な体験となっていた。

ルイスは、イワンとの会話を通じて、彼の思惑と計画について更に理解を深めていた。彼らは、この夕食を通じて、互いの信頼関係を築きつつ、今後の共同作業に向けた基盤を固めていく。

食後のひととき、イワンの邸宅から見えるビルギュン島の夕景は、一日の締めくくりとしての静けさと平和を演出していた。ルイスたちは、この夕食を終えて、次の行動に向けての準備を整えていくのだった。

彝麗華(イー・リーホァ)、彝美玲(イー・メイリン)、彝明進(イー・ミンジン)の3人がイワン・アレクセーエフの邸宅でぐっすりと眠りについた時、ルイスは蜂雷爆弾「Hōrai Bomb」の性能を確認するために、単身愛機に乗り込んだ。ビルギュン島に碇泊しているイギリス艦隊を襲撃するためである。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

1935年の中国西北部を舞台に、若きルイスが巴蜀・雲南の国王として登場する第22章第1話は、彼の野心的な計画と、彼を取り巻く複雑な人間関係を描いています。本章では、ルイスが片馬鎮での権力掌握からビルギュン島でのイギリス艦隊への攻撃計画に至るまでの過程を、描写しています。彼の計画的な行動と冷静な判断力が物語の核となります。今後の展開にもご期待ください。