小説「海と陸の彼方へ」

 

第六章ルイス中華の皇帝を目指す

 

18話怒江流域の開発「開発目標の設定」

 

前書き

本エピソードでは、若き野心家ルイスが雲南省の泸水(ルーシュェイ)城を訪れ、怒江流域の開発計画に挑む様子を描いています。彼の旅路は、ただの開発物語ではなく、地域の文化や人々との交流を通じて、深い人間関係と地域の絆を探求する旅でもあります。物語は、地域の自然美や文化の豊かさを背景に、登場人物たちの葛藤や成長を描きます。このエピソードを通じて、読者の皆様にも、怒江の壮大な風景とそこに息づく生活、文化を感じていただければ幸いです。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
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ルイス18歳:イタリア系のアメリカ移民。長征途中の中国共産党紅軍の首領毛沢東を捕縛した功績を認められ、中国国民党総統の蒋介石より、巴蜀・雲南の軍政長官を委嘱される。旅の途中で四川省南充の石油王から巴蜀・雲南王に推戴される。と言っても、元清朝の王女:王華(ワン・ファ)が認めただけである。この物語の主人公。中国制覇の大望を抱く。
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ルイスの資金は小切手150億ドル。金塊50トン。銀錠50億両「内訳は一般会計20億両、特別会計30億両である」。今までに一般会計は20億両の予算のうち506万5千両支出した。特別会計は30億両の予算を組み、今までに13,187,109両支出した。前話での支出は以下の通りである。
騰衝の関所の建設及び1年間の運営に関する見積もり450両、怒江大橋の建設に関する見積もり700万両、「趙麗(チャオ・リー)」建設大臣に与えた経費1億両と年俸・賞与2万両。これらの合計が1億702万450両。よって特別会計の支出額は120,207,559両である。便宜上207,559両をルイスの自由経費として渡し、特別会計の総支出額は12億両とする。

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ルイスの妻:エリザベス・ハーレイ。ジョン・ハーレイ(40歳)「ブリタニア号の船長」の元妻。 年齢: 38歳 背景: イギリスの中流家庭出身。元夫の仕事を支えるために、度々海を渡る。 性格: 温和で思慮深く、家族を深く愛する。元夫と同様に最初はルイスに不信感を抱いていたが、彼の真摯な態度に心を動かされ、夫と別れてルイスと結婚する。 

義理の息子:ウィリアム・ハーレイ。軽戦車隊「8台」隊長。 年齢: 16歳 背景: 船長の息子として海上生活に慣れ親しんでいる。航海術に興味を持ち、父から学んでいる。 性格: 好奇心旺盛で活発。ルイスの冒険的な精神に魅了され、彼を尊敬するようになる。 

義理の娘:エマ・ハーレイ 年齢: 14歳 背景: 船長の娘として幼少期から多くの国を訪れている。異文化に対する興味が強い。 性格: 社交的で好奇心が強く、新しい環境にすぐに適応する。ルイスの持つ異文化への敬意と好奇心に共感を覚える。 

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ルイスには他にも妻「側室」がいる。王華ワン・ファ(45歳)、李芳蓉リー・ファンロン(37歳)、劉芸芸リウ・ユェンユェン(38歳)、陳明花チェン・ミンファ(38歳)、クロエ・デュモン(23歳)、劉秋リュウ・チウ(39歳)、劉穎リウ・イン(33歳)の7名である。 

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ルイスの部下。 

1.周恩来ジョウ・エンライ(37歳)。ルイスの参謀。江蘇省出身。 

・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。 

・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。 

・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。 

・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。

 2.ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。上海出身。 

・自立心が強く、決断力がある女性。 

・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。 

・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。 

3.サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。江西省出身。 

・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。 ・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。 ・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。

 4.王光美ワン・グアンメイ(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。 

・年の割には成熟しており、好奇心が強い。 ・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。 

・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。 

5.テンパ・ティンリー(24歳)。航空長官「改良DC-2 :1,000機」パイロット。チャン・ユン(42歳)の長男。チャン・ユン(42歳)は摩梭モソ族:落水下村出身。 

6.陳浩然チェン・ハオラン(33歳)。諜報長官。年間経費10万両。部下100名。

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 紅軍の長征  

中国地図 出典 建築資料研究社「住まいの民族建築学」浅川滋男著 P8     出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

 

☆9月9日月曜日午前6時:雲南省怒江州の泸水(ルーシュェイ)城。
陳明花(チェン・ミンファ)夫人「38歳」は、侍女頭:周芳「25歳」はじめとする侍女たちに指示をしながら朝食の準備を整えている。母:王蓮花(ワン・リエンファ)と子供たち【楊傑(ヤン・ジエ)「20歳」、楊林梅(ヤン・リンメイ)「18歳」、楊虎(ヤン・フー)「15歳」、楊小蘭(ヤン・シャオラン)「12歳」】及び「陳明花(チェン・ミンファ)」も全員料理の下ごしらえを手伝っていた。

手持ち無沙汰なのは、父:陳玉山(チェン・ユーシャン)とルイスたち「ルイス、ウィリアム・ハーレイ、趙麗(チャオ・リー)」だが、此処は彼女たちに任せ、お茶を飲みながら今後の段取りを決めることにした。

☆朝食前の会議
ルイス:怒江大橋の建設で怒江を挟む流域の中でも六庫周辺地域は随分便利になるだろうが、他の地域の事も考えねばならぬ。

陳玉山(チェン・ユーシャン):怒江流域では70幾つの溜索「吊り橋」があります。

ルイス:そうらしいな。渓谷の両端をロープで通して、その上を滑車などで滑って渡ると聞いている。

陳玉山(チェン・ユーシャン):現地の人たちは、自分用の滑車を持っていて、どこにいくにも身につけて、勢いよく河を渉っていきます。

ウィリアム・ハーレイ:ロープが経年劣化で切れると、一気に怒江の谷底に転落して即死しますね。

趙麗(チャオ・リー):ロープを鋼鉄製の物に替えましょう。さほど費用はかからぬはずです。

ルイス:趙麗(チャオ・リー)。お前の能力をもう一度発揮し、今この場で80本の吊り橋のロープを鋼鉄製の物に替える見積もりを出せ。

趙麗(チャオ・リー):お任せ下さい。

彼女はルイスの目の前で得意の算盤を出し、スラスラと見積もりを作り上げた。

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1.80本の総人件費: 0.5万両 × 80 = 40万両
2.材料費「スチール代金、1本あたり」: 1.5万両
3.80本の総材料費: 1.5万両 × 80 = 120万両
4.建設費「1本あたり」: 1.0万両
5.80本の総建設費: 1.0万両 × 80 = 80万両
6.総費用: 40万両「人件費」 + 120万両「材料費」+ 80万両「建設費」 = 240万両
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ルイス:さすがだ。良くやってくれた。あとは、楊傑(ヤン・ジエ)「20歳」にやらせよう。

ルイスは楊傑(ヤン・ジエ)を呼び、"この見積もり表に従って、吊り橋のロープをスチール製のロープに取り替えろ"と告げた。ルイスは彼に小遣いだと言って50両やった。

朝日がゆっくりと泸水城の窓から差し込む中、朝食の準備が完了しました。陳明花夫人と彼女の家族、侍女たちの手際の良さが、食卓に並ぶ豊かな料理の数々に表れています。テーブルには、熱々の蒸しパン、新鮮な野菜の炒め物、香ばしい豚肉の燻製が並び、その色とりどりの料理は、朝の光に照らされて一層鮮やかです。

陳玉山氏は、家族を囲んでの食事に満足げな顔を浮かべています。ルイス、ウィリアム・ハーレイ、そして趙麗も、この地の料理に舌鼓を打ちながら、熱心に話し合いを続けています。彼らの話題は、朝食の美味しさを讃えることから、これからの計画に移り変わります。

子供たちは、料理を前にして目を輝かせ、時折小さな声で冗談を言い合って笑い合っています。陳明花夫人は、家族が一堂に会し、和やかな時間を過ごしている様子を見て、ほっと一息ついています。

朝食の時間は、家族の絆を深め、一日の始まりに暖かい光をもたらします。泸水城の食堂からは、楽しい笑い声と、未来への希望が溢れていました。

今度は全員でお茶と餅菓子を頂きながら、怒江流域の開発計画を考えることにした。子供たちや侍女たちにも参加させることにした。

☆全体会議
陳明花(チェン・ミンファ)夫人が司会を務め、会議が始まった。

陳明花(チェン・ミンファ):それでは、怒江流域の開発計画について会議を行います。司会は私が務めさせていただきます。

司会:先ず、怒江について簡単に説明いたします。

"怒江は青藏高原の唐古拉山南麓から発源し、雲南を通って南へ流れ、緬甸「薩爾温江として知られる」を経てインド洋に注ぐ長さ1540キロメートル以上の川です"

司会:次に怒江流域について説明します。

"怒江流域は、碧羅雪山山脈「東側」と高黎貢山山脈「西側」に挟まれた地域で、両山脈には4000メートル以上の高峰が20余座ずつあります。この地形は深い峡谷を形成しており、怒江州内の怒江の長さは310キロメートル以上に及びます​​"

"怒江流域では、70以上の溜索「吊り橋」が存在し、この地域の人々は独自の滑車を持ち、ロープで渓谷の両端を結んで移動するという独特の文化があります​​"

司会:溜索「吊り橋」についてはロープをスチール製のものに取り替えるそうですので怒江の東岸↔怒江の西岸への移動がたやすくなりました。

司会:怒江流域は河谷地域と山岳地域に分けられています。湿潤な気候を持ち平坦で水はけの良い河谷地域では水稲、綿花、サトウキビ、果物などが向いています。山岳地域では山岳地域では、耐寒性や耐乾性のある作物「とうもろこし、じゃがいもなど」の栽培が望ましいと思います。

ルイス:怒江の上流域については人跡未踏の地も残されており、そういうところにはとても開発の手も及ばない。中流域から以降について開発することが望ましい。怒江流域のどの辺りから開発するのが良いか。アイディアを出してくれ。

楊林梅(ヤン・リンメイ):六庫 - 福貢 - 貢山 - 丙中洛。このルートは、中流域における主要な地域です​​。ここから始めるのが良いんじゃないかしら?

ルイス:福貢 や貢山というと怒族が住んでいる地域だな。

周芳(ジョウ・ファン)「侍女頭」:私は雲南省福貢県匹河怒族鄉の果科村に生まれました。怒族です。

ルイス:そうであったか。農作物は何が採れる?

周芳(ジョウ・ファン):とうもろこし、核桃(くるみ)、漆(うるし)などしか採れません。あとは畜産です。耕地よりも林地が多いものですから。

ルイス:お前も溜索「吊り橋」を渡れるのか?

周芳(ジョウ・ファン):勿論でございます。

ルイス:怒族は太古の昔から怒江流域に住んでいると聞く。溜索「吊り橋」はどういうものなのだ。俺は見たことがない。

周芳(ジョウ・ファン)は詳しく説明してくれた。

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怒族「ヌー族」の溜索「吊り橋」
怒江大峡谷とその両岸にある碧羅雪山と高黎貢山は険しい地形で、谷中の水流は激しく、交通は非常に困難です。怒江では、渡し舟が利用できるのは限られた場所のみで、多くの場所では橋の架設や渡りが不可能です。そのため、怒族の人々は溜索と呼ばれる古代の渡江器具を用いて、両岸間の交流と連絡を保っています。

溜索は竹を使って作られた太い綱で、川の上に横に張り、両岸の大木、木杭、岩壁に固定されます。人々は溜板(滑り板)を使用して竹綱を滑り降ります。溜板は硬い木製で、紐を結ぶための穴が開けられており、溜索にはめ込んで使用します。これにより、怒族の人々は難しい地形でも移動でき、地域間の交流を維持しています。
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ルイス:そうか。やはり、渡し船もあるのだな。村には何人くらい住んでいるのだ?

周芳(ジョウ・ファン):そうですね。男女併せて1,200名くらいでしょうか?

ルイス:お前に24,000両預けるから村人ひとりひとりに20両ずつ手渡してやってくれ。

周芳(ジョウ・ファン):お殿様。今から私が案内いたしますので、殿様から直接渡してやって下さいませ。そうすれば怒族の者たちもきっと雲南王ルイス様に忠誠を誓うと存じます。

ルイス:そうだな。やはり実際の生活を見なければ開発計画など立てられぬわ。

ルイスは侍女頭:周芳(ジョウ・ファン)のみを怒族との通訳として連れて行った。泸水(ルーシュェイ)城の飛行場から直接、雲南省福貢県匹河怒族鄉の果科村に向かった。

☆9月9日月曜日午後3時:果科村の畜産牧場
晴れた午後、改良された10人乗りのDC-2飛行機が、中国雲南省果科村の畜産牧場の一角に滑らかに着陸した。飛行機の扉が開き、18歳の若い男性ルイスと25歳の女性周芳が牧場に降り立った。周芳は通訳兼頭侍女である。周囲には、穏やかな田園風景が広がり、遠くには放牧される動物と伝統的な中国の農村建築が見える。空は澄み渡り、太陽は温かな光を景色に投げかけており、現代的な飛行機と農村とのコントラストが際立っている。

周芳(ジョウ・ファン)はルイスを村長の家に案内した。村長43歳は怒族の族長でもある。

果科村村長43歳一家の構成は以下の通りです。
村長:趙勇「43歳、怒族族長」
村長夫人:李麗「40歳、地元の手工芸品作家」
長男:趙強「20歳、畜産牧場経営」
次男:趙明「16歳、高校生」
長女:趙婷「14歳、中学生」

ルイスたちの歓迎光景
晴れた午後、彼らを迎えたのは、伝統的な怒族の衣装を身にまとった趙勇村長一家です。村長は心からの笑顔で両手を広げ、彼らを自宅へと案内しました。

村長宅では、庭で特別な歓迎式典が行われました。地元の楽器に合わせて怒族の民族舞踊が披露され、村の子どもたちが伝統的な歌を歌いました。周芳が通訳を務める中、趙勇村長は自ら村の歴史や文化、怒族の伝統について情熱的に語りました。

夕食には、村長夫人の李麗が手作りの地元料理を振る舞いました。食卓には新鮮な野菜、地元の畜産で育てられた肉、手作りの麺などが並び、家族全員で囲んで食べました。食後のお茶の時間には、趙勇村長が自家製の蜂蜜とハーブで作った特別なお茶を出し、一家団らんのひとときを共有しました。

夜は更けていく中、趙勇村長一家はルイスと周芳を客間に案内しました。部屋は怒族の装飾品で飾られ、温かい家庭の雰囲気が漂っていました。趙勇村長一家は、ルイスたちに深い尊敬と歓迎の気持ちを表し、彼らが果科村の豊かな文化を心から楽しむことができるように努めました。

☆午後7時
趙勇村長は地元の寄り合いに出かけ、ルイスと周芳(ジョウ・ファン)の話し相手を務めてくれたのは村長夫人:李麗(リー・リー)さんと長男:趙強(ジャオ・チィアン)君であった。

趙強(ジャオ・チィアン):ルイスさんは此処へはどういう目的でいらっしゃったのですか?

李麗(リー・リー):趙強(ジャオ・チィアン)。失礼な物言いは止めなさい。ルイスさんは雲南省の軍政長官をされている方なのよ。

趙強(ジャオ・チィアン):此処は大変貧しい村なのです。私も大理の大学に通っていたのですが、学費が払えなくなり、退学したのです。

ルイス:趙強(ジャオ・チィアン)君。此処が貧しい村だというのは事前に調べて良く知っている。しかし、貧しい村だと言うだけでは問題は解決しないし、誰も助けてはくれないだろう。

ルイス:私はこの村がどうやったら発展するのかを調べに来たんだよ。私なりに考えたのだが、ここは耕地が少なく、林地が多い。ということは水稲を栽培することは難しく、とうもろこし、核桃(くるみ)、漆(うるし)くらいしか栽培できないと聞いている。

ルイス:畜産牧場はそれなりに可能性があると思うのだが、君は畜産牧場を経営していると聞いている。こうしたらもっと儲かるのになと思う点があれば言ってくれ。

趙強(ジャオ・チィアン):そうですね。馬、牛、豚、山羊、鶏を飼育しているのですが、飼料に困っています。

ルイス:敷地内に飼料農場を作れば良いと思うのだが、どうかね?

趙強(ジャオ・チィアン):私には農家のノウハウが無いのです。どなたか教えて頂けませんか。

ルイス:周芳(ジョウ・ファン)。君の家はこの近くだったな。

周芳(ジョウ・ファン):はい。うちの家はとうもろこしを栽培していますよ。家畜の飼料も農場で作っています。ソルガムやヒマワリなどの緑肥の栽培方法も私が教えてあげますよ。

ルイス:それじゃあ、君が彼に教えてあげれば解決するんじゃないのか?

周芳(ジョウ・ファン):私がいないと殿様のお城がお困りでしょう。

ルイス:今いる侍女の中から君が侍女頭を推薦してくれれば良い。教え終わったらまた帰ってきなさい。今度は執事長として君を迎えるよ。君に銀100両を渡しておく。まあ、指南料と思ってもらえば良い。

趙強(ジャオ・チィアン):お母さん。周芳(ジョウ・ファン)さんを暫くこの家に住んでもらっても良いかな?

李麗(リー・リー):私は勿論良いわよ。部屋も沢山余っているわ。お父さんは家には帰ってこないしね。

ルイスは李麗(リー・リー)の言い方が変だなと思ったが、他人の家のことに口出しするのもおかしいので控えて何も言わなかった。

李麗(リー・リー):だけど、周芳(ジョウ・ファン)さんの家で叱られないかしら。村に帰ってきているのに何で村長さんのところで泊まっているんだってね。

周芳(ジョウ・ファン):私が事情を説明しておきますし、殿様から頂いたお金を少し渡しておけば文句は言いませんよ。

李麗(リー・リー):そりゃそうよね。私だって10両頂ければ大喜びするわ。

ルイス:奥様。お金ごときで喜んでいただけるならいくらでもお渡ししますよ。ああ。そうだ。お金の話が出て思い出しました。村の人ひとりひとりに20両お渡しするつもりで、24,000両持ってきたのです。

ルイス:奥様にお渡ししておきますので、村人が取りに来たら奥様の方からお渡し下さい。

ルイス:これは些少ですが、奥様の手間賃としてお収め下さい。

ルイスは、李麗(リー・リー)に銀錠3万両を現金で手渡した。飛行機に積んであったのをオートバイクに積んでいたのである。

李麗(リー・リー)は思わぬ大金6,000両をルイスから貰い、仰天してその場で倒れそうになった。

李麗(リー・リー)はルイスに恩返しをせねばと思い、ここからは自らがルイスを案内しようと考えた。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

本エピソードでは、ルイスと彼の仲間たちが怒江流域での開発計画を進める中で、地域の人々との深い絆を築き上げる様子を描きました。ルイスの野望と、彼が直面する文化的な挑戦は、この物語の中心を成す要素です。物語の進行にあたり、地域の文化や伝統に焦点を当てたことで、読者の皆様にもその魅力を感じていただけたことを願っています。次エピソードでは、ルイスの計画がどのように進展するのか、そして彼が新たな挑戦にどう立ち向かうのかをお楽しみに。