小説「海と陸の彼方へ」

 

第六章ルイス中華の皇帝を目指す

 

第12話昆明軍閥との戦い「敵の攻撃とルイスの反撃」

 

前書き

楚雄彝族自治州の中心地にある「玉蘭閣」を出たルイスと陳浩然は案内人の妓女嫣然に連れられて市場を見物していた。彼らは地元の露店や手工芸品、生活の営みに触れながら楚雄の文化と日常を体験したが、謎の攻撃者によってルイスたちは襲撃され、陳浩然が負傷する。例によって非致死性の催涙弾のみを拳銃に装備していたルイスは、これが彼らを非力にしている原因であると首領から指摘を受ける。 翌日、彝族の首領「烏達雲」と会談し、ルイスはイ族の戦士たちへの支援として最新式の軽機関銃を提供し、これを用いて李偉の軍閥に対抗する計画を立てる。烏達雲首領はルイスと協力して戦うことに同意し、新たな希望とともに李偉の軍閥に対する戦いの準備が始まった。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 ヘクターの浮気が発覚し、ヘクターと離婚した。
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 ヘクターに誘われ、行動を共にすることになる。
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ルイスの資金は小切手150億ドル。金塊50トン。銀錠50億両「内訳は一般会計20億両、特別会計30億両である」。今までに一般会計は20億両の予算のうち506万5千両支出した。特別会計は30億両の予算を組み、今までに8,798,109両支出した。
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ルイスの元捕虜兵。現在は忠実な部下と妻たち。
1.周恩来(ジョウ・エンライ)(37歳)。ルイスの参謀。江蘇省出身。
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。
2.ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。上海出身。
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
3.サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。江西省出身。
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
4.王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。
5.テンパ・ティンリー(24歳)。パイロット。チャン・ユン(42歳)の長男。チャン・ユン(42歳)は摩梭(モソ)族:落水下村出身。
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ルイス18歳:巴蜀・雲南王と言っても、元清朝の王女:王華(ワン・ファ)が認めただけである。この物語の主人公。
ルイスの妻:エリザベス・ハーレイ。ジョン・ハーレイ(40歳)「ブリタニア号の船長」の元妻。
年齢: 38歳
背景: イギリスの中流家庭出身。元夫の仕事を支えるために、度々海を渡る。
性格: 温和で思慮深く、家族を深く愛する。元夫と同様に最初はルイスに不信感を抱いていたが、彼の真摯な態度に心を動かされ、夫と別れてルイスと結婚する。
義理の息子:ウィリアム・ハーレイ
年齢: 16歳
背景: 船長の息子として海上生活に慣れ親しんでいる。航海術に興味を持ち、父から学んでいる。
性格: 好奇心旺盛で活発。ルイスの冒険的な精神に魅了され、彼を尊敬するようになる。
義理の娘:エマ・ハーレイ
年齢: 14歳
背景: 船長の娘として幼少期から多くの国を訪れている。異文化に対する興味が強い。
性格: 社交的で好奇心が強く、新しい環境にすぐに適応する。ルイスの持つ異文化への敬意と好奇心に共感を覚える。
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ルイスには他にも妻「側室」がいる。王華(ワン・ファ)(45歳)、李芳蓉(リー・ファンロン)(37歳)、劉芸芸(リウ・ユェンユェン)(38歳)、陳明花(チェン・ミンファ)(38歳)、クロエ・デュモン(23歳)、劉秋(リュウ・チウ)(39歳)の6名である。

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 紅軍の長征  

中国地図 出典 建築資料研究社「住まいの民族建築学」浅川滋男著 P8     出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

 

8月11日の日曜日、午後2時の楚雄は、太陽が照りつける熱い一日であった。楚雄彝族「イ族」自治州の中心地に位置する「玉蘭閣」は、その歴史の厚みを感じさせる重厚な建築様式で知られている。ルイスと陳浩然は、25歳の妓女であり案内人でもある嫣然に導かれて、この地を見物に出かけた。

彼らが市場に足を踏み入れると、生活の営みが色濃く表現されている。露店が立ち並び、地元の農産物や手工芸品が所狭しと並べられている。彝族の女性たちは、伝統的な刺繍が施された衣服を身にまとい、色とりどりの布や手織りのバスケットを売り込む。男性たちは、木彫りの工芸品や銀細工のアクセサリーを手に取り、その細部にわたる技術の高さを見せびらかす。市場の片隅では、古い木造の建物が並び、それらの建物は茶屋や小さな食堂として利用されている。彼らはその一つに入り、地元のお茶と軽食を楽しんだ。

散策を続けると、彼らは古い石畳の路地を通り抜け、彝族の日常に触れ合う。子供たちは石畳で跳びはね、老人たちは日陰でゆったりと時を過ごしている。ある家の前では、年老いた彝族の女性が手織りの布を織りながら、彼らに微笑みかける。ルイスと陳浩然は、その手仕事の美しさに心を奪われ、しばし立ち止まって見入ってしまった。

嫣然は、彼らに楚雄の歴史と彝族の文化について語りながら、さりげなく町の案内を続ける。彼女の話は、この土地が抱える豊かな物語を彼らに教えてくれた。商人、職人、そして地元の住民たちとの交流は、ルイスと陳浩然にとって忘れがたい体験となり、楚雄の記憶は彼らの心に深く刻まれたのであった。

しかし、ルイスたちと嫣然(イェンラン)の楽しい楚雄見物は突然の何者かに依る襲撃で妨げられた。場所は市場のある大通りから少し離れた古い広場であった。広場の片隅にある木陰で涼もうとルイスが嫣然(イェンラン)の片手を取った時、何者かに依る突然の銃撃で陳浩然が左手を負傷し、ルイスたちは石畳が敷いてある路地に逃げた。一瞬の出来事であるが、危うく3人とも殺されてしまうところであった。

ルイスは護身用の短刀と催涙弾入りの拳銃を持ってはいたが、何の役にも立たなかった。ルイスは殺生を嫌い、軽機関銃も持ち歩いていなかったのである。例によって軽機関銃には非致死性の催涙弾しか弾を込めていない。

ルイスは今までこのような突然の銃撃を受けたことがない。しかし、好むと好まざるに関わらず、ルイスは中国において有名人になっていた。長征途中の紅軍を襲い、毛沢東を捕らえた功績により、国民党政府総統の蒋介石から巴蜀と雲南の軍政長官を委嘱されたことは誰でも知っている。また、巴蜀・雲南王を自称していることも少しずつ知られ始めてきた。

ルイスを除きたいと思い始めている軍閥も多いし、敵対するイギリスやフランスなどの諸列強もルイスを狙っていると見て良い。他にも中国共産党の残党はルイスの暗殺を目論んでおり、蒋介石もルイスを煙たく思い始めているようだ。

この諸情勢に鑑み、今までの護衛体制を根本から見直すべき時期が来ているとルイスは考え始めた。

8月11日の日曜日、午後3時。楚雄の石畳の路地
ルイスは負傷した陳浩然と嫣然(イェンラン)を連れて、路地を通り抜けようとした。後ろから敵が追いかけてくる。機関銃の弾が飛び交い、万事窮すと諦めかけた時、向かって左側の小路地から手が伸びてルイスたちは引きずり込まれた。人ひとりがやっと通れるような小路地である。"早くこちらに来るんだ"と彝族「イ族」の言葉で彼が叫ぶ。ルイスや陳浩然には全く意味が分からないが、嫣然(イェンラン)には通じたようだ。入り組んだ迷路のような道を進むと小さな広場に出た。

首領らしき男:お前たちは何者だ。何処から来て何処へ行くつもりだ。……彝族「イ族」の言葉で意味が分からない。

ルイスは嫣然(イェンラン)に通訳を頼み、やっと意志が通じた。

ルイス:私はルイスという者だ。アメリカの移民で18歳である。長征途中の紅軍首領の毛沢東を捕縛した功績により、蒋介石から巴蜀と雲南の軍政を任せられた。昆明を根拠地としている軍閥:李偉(リー・ウェイ)一味を倒すため、昆明へ行こうとしている。

首領らしき男:お前は兵隊を何人持っているのだ。

ルイス:昭通には4万名の軍隊が向かっているが、此処には明日到着する200名のバイク軍団しかいない。

首領らしき男:無謀なことをするものだ。李偉(リー・ウェイ)一味は10万名くらい軍団を抱えているぞ。200名で何が出来る。

首領らしき男:お前のことは噂で聞いて良く知っている。腕力が強く素早いそうだが、機関銃には勝てまい。お前の機関銃には催涙弾しか入っていないので、お前と戦っても死ぬことはないと連中は全員知っているぞ。お前はくだらぬ平和主義のために舐められているのだ。

ルイス:私も過去の考えを改め、自衛のために武装することを決意しました。人員をお貸し下さい。武器や防具は私が用意しましょう。

ルイスは彝族「イ族」の族長の自宅で会談することを望み、彼も受け入れました。

☆1935年8月12日月曜日、午前10時。イ族の首領の家
ルイスたちはオートバイク部隊200名を引き連れてイ族の首領の家に集まりました。

イ族の首領は、堂々とした風貌の「烏達雲」、年齢は45歳と名乗りました。烏達雲は、その族の中でも特に慕われており、イ族の伝統や独自性を守るために奮闘している人物です。彼はまた、イ族の女性や子供たちを守ることにも熱心であり、李偉の軍閥の残忍な行為を深く憎んでいます。

この会談の日、ルイスは烏達雲のもとを訪れました。彼らが座るのは、イ族の村の中心にある広々とした木造の集会所。内装は彝族の伝統的な装飾で飾られ、壁には狩猟の場面を描いた壁画がある。空気は緊張に満ち、しかし、共通の敵を持つ者同士の連帯感もひしひしと伝わってくる。

「烏達雲首領、貴族の兵士たちは、李偉の一味に対して勇敢な戦いを挑んでいる。だが、彼らは残忍で、決して手を緩めることはないだろう。我々が提供する最新式の軽機関銃は、貴族の戦士たちの勝利をもたらすためのものだ。彼らの野蛮な行いに終止符を打とう。」ルイスの言葉は、意志の強さと決意を含んでいた。

烏達雲はゆっくりと立ち上がり、集会所を見回すと、自族の戦士たちの顔を一人ひとり目に焼き付ける。彼らの目は決意に満ちていた。首領は深く頷き、力強い声で応じた。"ルイス、私たちイ族は長きにわたり、この土地を守り抜いてきた。李偉のような悪党が我々の平和を脅かすのを許すわけにはいかない。あなたの援助を受け入れ、共に戦おう"

その日、イ族の戦士たちは新たな武器を手にし、ルイスとともに戦う決意を新たにした。ルイスは彼らに軽機関銃を手渡し、使い方を指導する姿が見られた。会談は成功し、李偉の軍閥との戦いに向けて、新たな希望が芽生えた瞬間であった。

☆その日のお昼。妓楼「玉蘭閣」
ルイスは負傷した陳浩然(チェン・ハオラン)の様子を見に妓楼まで出かけた。昼食も摂らねばならぬとも思っていた。女将の楊桂芬(ヤン・グイフェン)が早速ルイスを出迎え、陳浩然(チェン・ハオラン)の泊まっている部屋まで案内してくれた。腕の負傷だけとはいえ、機関銃の弾丸を受けたのである。破傷風とかの感染症の心配もせねばならない。

陳浩然(チェン・ハオラン):殿様。ご迷惑をおかけします。大したことはありませんから、私のことはお気になさらずお仕事にお戻り下さい。

ルイス:何をいう。今までお前には散々苦労を掛けた。お前を我が陣営の諜報長官に任命し、年俸500両と賞与500両を与える。諜報省の掛かりも何かと必要だろう。諜報省の経費として年間10万両を支給する。部下を100名まで雇用し各地の情勢を月に2度報告せよ。益々励んでくれよ。

ルイスは陳浩然(チェン・ハオラン)を大幹部に抜擢し、銀錠101,000両を与えた。

陳浩然(チェン・ハオラン):殿様。誠にありがたき次第でございます。早速手配いたします。

陳浩然(チェン・ハオラン):昭通から飛行機便が来ています。

ルイス:飛行機はまだあるのか?

陳浩然(チェン・ハオラン):使者が今此処に来ていますので、女将に呼びにやらせます。

ルイス:いや。飯も食いたいし、俺の方から出向こう。

昼食を摂っていた使者はルイスを見て立ち上がり、直立不動のまま挨拶した。

ルイス:遠慮せず、飯を食え。食ってから報告せよ。

使者:申し上げます。王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)将軍はすでに昭通に到着しております。殿様の報告を聞き、昭通近辺を探索しております。褐炭の炭田と朱堤銀の発掘跡を発見いたしました。褐炭はまだ産出いたしますが、銀の方はほぼ掘り尽くされたそうでございます。殿様の了解を得てから秦5尺道の拡幅工事に取り掛かりたいと申しております。

ルイス:良く分かった。昭通、威寧、宣威、曲靖、昆明の順で秦5尺道の拡幅工事に取りかけれと指示しておけ。お前は飯を食ったら直ちに昭通に飛び、飛行機1,000機を引き連れて此処まで来い。

使者:殿様。恐れながら申し上げます。何処に停めましょうか。相当広いところでなければ全機停めるのは難しいと思われます。

ルイス:そうだな。100機くらいなら、イ族の陣地に停められぬこともあるまい。イ族の陣地の場所は女将に聞け。残りの900機は取り敢えず大理城に停めておけ。まだ建設中だから、土地はいくらでもある。城主のクロエ宛の書状をお前に渡しておく。900機を指揮する責任者に預けておけ。

ルイス:とんぼ返りで悪いが、頼んだぞ。お前には特別手当として100両やる。取っておけ。

使者:殿様。有難うございます。

使者は飛び出そうとしたが、ルイスは彼を引き止め"機銃の弾丸には通常の弾丸を三割ほど混ぜておけ。非致死性の催涙弾ばかりではないことを思い知らせてやるのだ"と耳打ちした。

☆ルイスの考え
ルイスが非致死性の催涙弾しか用いないことを敵に知られたため、ルイスは通常の弾丸も3割ほど混ぜることにしましたが、元々飛行機に依る機銃攻撃は威嚇射撃のつもりですので、死者がたくさん出るとは考えられません。ただ、通常の弾丸も混ざっていると敵が知ることで敵の士気が落ちることを期待しています。

その日の夕食時。先程の使者が昭通までとんぼ返りして戻って来ました。ルイスは彼に夕食を食べさせた後、首尾を聞きました。

使者:お殿様。申し上げます。王光美(ワン・グアンメイ)将軍は殿様の指示を受け、昭通近辺の道路拡幅工事を兵隊たちに命令しました。また機銃につきましては、通常の弾丸を3割ほど混ぜました。通常の弾丸と催涙弾のどちらが出るかは射手が調整可能です。敵の手前に撃ち込めばどちらが撃ち込まれたかは一目瞭然です。催涙弾は催涙ガスの白煙が出ますし、通常の弾丸は土や石で弾け飛びます。

使者:100機についてはイ族の陣地に停めてあります。900機につきましては、クロエ様の城に停めさせていただき、明日の未明に昆明到着の予定でございます。

ルイス:良し。明日の朝3時に昆明に向けて飛行機で出発するぞ。

☆1935年8月13日火曜日、午前6時。昆明:軍閥のアジト
ルイス率いる1,000機の改良DC-2 が李偉(リー・ウェイ)の屋敷を包囲した。東京ドーム10個分もあろうかという広い敷地だが、1,000機の飛行機に囲まれればどうしようもない。

内部には5,000名ほどの精鋭軍が居る筈だが、中々表に出てこない。護衛兵も表門、裏門から姿を消した。中に逃げ込んだか外に逃げたか何れかだろう。ルイスは門という門に機銃を撃ち込み、破壊した。

ルイスの乗るDC-2 は屋敷の上空を旋回し、屋敷内に催涙弾を何百発も撃ち込んだ。屋敷中は白煙に包まれ、たまりかねた兵隊が外に出てくるところを、通常の弾丸3割、催涙弾7割の比重でばりばりと機銃が撃ち込まれた。催涙弾ばかりではないと気付いた兵隊たちはその場で白旗を掲げ降伏した。

李偉(リー・ウェイ)たちも全員降伏し、屋敷の空き地にルイスたちは全機停めて彼らを拘束した。1件落着である。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

ルイスは、妓楼「玉蘭閣」で負傷した陳浩然(チェン・ハオラン)を見舞い、彼を諜報長官に任命し、年俸と経費を渡した。昭通からの使者は、王光美将軍が炭田と銀の発掘跡を発見し、道路拡幅工事の準備を報告した。ルイスは飛行機1,000機を昭通から呼び、イ族の陣地と大理城に停めることを決めた。ルイスは使者に、機銃の弾丸に通常の弾丸を混ぜるよう指示し、威嚇射撃なので死者が出ることはないと考えていた。ルイスは弾丸の混合によって敵の士気を下げることを期待した。その後、ルイス率いる1,000機の改良DC-2が李偉(リー・ウェイ)の屋敷を包囲し、機銃と催涙弾で敵兵を降伏させた。