小説「海と陸の彼方へ」

 

第六章ルイス中華の皇帝を目指す

 

第11話雲南省奪還計画⑦「普淜鎮「湘雲県」周辺の探索」

 

前書き

1935年8月5日に雲南省普淜鎮の旅籠に滞在していたルイスは、町の日常生活が見える窓から外を眺める。宿屋の女将、李芳(リー・ファン)さんが四川省産の緑茶「蒙頂甘露」と共に麻花を持って部屋に入り、二人は普淜鎮の地元産物について話し合う。ルイスは山賊との遭遇経験を話し、李芳(リー・ファン)さんは彼に強い興味をいだく。李芳(リー・ファン)さんはルイスを自分の故郷である大姚に誘い、ルイスは彼女の提案に快く同意する。 二人は燃料を買いに行き、古い木造建築の燃料供給所を訪れ、店主と交渉してハイオクガソリンを購入する。ルイスは李芳(リー・ファン)さんに市場を案内してもらい、彼女の地元の素晴らしさを知る。ルイスは李芳(リー・ファン)さんの美しさと気さくさに心を奪われた。李芳(リー・ファン)さんは普淜鎮の日常と異なる彼の世界に魅了された。二人の間に親しい絆が芽生え始め、互いに惹かれていることに気付く。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 ヘクターの浮気が発覚し、ヘクターと離婚した。
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 ヘクターに誘われ、行動を共にすることになる。
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ルイスの資金は小切手150億ドル。金塊50トン。銀錠50億両「内訳は一般会計20億両、特別会計30億両である」。今までに一般会計は20億両の予算のうち506万5千両支出した。特別会計は30億両の予算を組み、今までに8,798,109両支出した。
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ルイスの元捕虜兵。現在は忠実な部下と妻たち。
1.周恩来(ジョウ・エンライ)(37歳)。ルイスの参謀。江蘇省出身。
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。
2.ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。上海出身。
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
3.サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。江西省出身。
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
4王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。
5.テンパ・ティンリー(24歳)。パイロット。チャン・ユン(42歳)の長男。チャン・ユン(42歳)は摩梭(モソ)族:落水下村出身。
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ルイス18歳:巴蜀・雲南王と言っても、元清朝の王女:王華(ワン・ファ)が認めただけである。この物語の主人公。
ルイスの妻:エリザベス・ハーレイ。ジョン・ハーレイ(40歳)「ブリタニア号の船長」の元妻。
年齢: 38歳
背景: イギリスの中流家庭出身。元夫の仕事を支えるために、度々海を渡る。
性格: 温和で思慮深く、家族を深く愛する。元夫と同様に最初はルイスに不信感を抱いていたが、彼の真摯な態度に心を動かされ、夫と別れてルイスと結婚する。
義理の息子:ウィリアム・ハーレイ
年齢: 16歳
背景: 船長の息子として海上生活に慣れ親しんでいる。航海術に興味を持ち、父から学んでいる。
性格: 好奇心旺盛で活発。ルイスの冒険的な精神に魅了され、彼を尊敬するようになる。
義理の娘:エマ・ハーレイ
年齢: 14歳
背景: 船長の娘として幼少期から多くの国を訪れている。異文化に対する興味が強い。
性格: 社交的で好奇心が強く、新しい環境にすぐに適応する。ルイスの持つ異文化への敬意と好奇心に共感を覚える。
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ルイスには他にも妻「側室」がいる。王華(ワン・ファ)(45歳)、李芳蓉(リー・ファンロン)(37歳)、劉芸芸(リウ・ユェンユェン)(38歳)、陳明花(チェン・ミンファ)(38歳)、クロエ・デュモン(23歳)、劉秋(リュウ・チウ)(39歳)の6名である。

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 紅軍の長征  

中国地図 出典 建築資料研究社「住まいの民族建築学」浅川滋男著 P8     出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

出典:朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。挿絵。

 

1935年8月5日、雲南省普淜鎮の湘雲県にある旅籠の二階の窓から外を見下ろすと、ルイスの目には生活感あふれる光景が映った。午後の日差しが街を照らし、人々はそれぞれの日常に勤しんでいる。商人は店先で品を並べ、人力車が縁石を進む。伝統衣装を纏った歩行者たちが、のんびりとした足取りで通り過ぎていく。この地方特有の建築物が歴史を物語るようにそびえ立ち、遠くの山並みがその背景に静かに佇む。

その時、女将の李芳(リー・ファン)さん36歳が部屋に入ってきた。彼女は手には四川省産の名高い緑茶「蒙頂甘露」を持ち、お茶請けの麻花を添えている。ルイスはそのお茶の味わいに感激し、地元の産物の豊かさについて李芳さんと話をする。彼女は普淜鎮の交易の中心地であることを誇らしげに語った。

ルイスは山賊との遭遇話をして、彼らが交易品を狙っていたことを明かす。李芳(リー・ファン)さんは心配そうに彼の無事を尋ねるが、ルイスは催涙弾を詰めた軽機関銃を見せ、山賊たちを撃退したことを語った。殺生を嫌う彼の言葉に、李芳(リー・ファン)さんは驚きと尊敬の念を抱く。

李芳(リー・ファン)さんはルイスを実家がある大姚への同行を依頼し、彼は彼女の美しさと勇敢さに心惹かれながらも、その提案を快く受け入れた。李芳さんの喜びは、ルイスの頬への軽い接吻で表される。

二人はオートバイクの燃料を買いに行くことになり、ルイスは1935年式の「グランド・ツアラー」の詳細を李芳(リー・ファン)さんに説明する。その車両は、長距離旅行に適した快適な乗り心地と卓越した性能を兼ね備えており、ルイスにとって旅の信頼性の象徴であった。

ルイスと李芳(リー・ファン)さんは旅籠の階段を降り、大通りに面した燃料販売所へと足を進めた。彼らが訪れたのは、普淜鎮でも知られた老舗の店である。店の外観は古い木造建築で、入り口上の看板には「燃料供給所」と書かれていた。店内は香ばしい機械油の匂いで満たされ、壁沿いには様々なオートバイクのパーツが並べられている。店の隅には、大きな木製の樽がいくつも置かれ、そこから燃料が汲み出されていた。

店主は丁寧な口調で、「ハイオクガソリン」をルイスのオートバイクに合うものと薦め、購入手続きを手際よく進めた。ルイスは燃料の香りを嗅ぎながら、その質の良さに頷いた。李芳さんは、買い物をするルイスの隣で、彼が燃料を選ぶ様子を興味深そうに見守っていた。

買い物の途中、二人は街の日常について談笑した。李芳さんは地元の話や、近くの市場で売られている新鮮な果物について語った。ルイスは彼女の話に耳を傾け、新しい場所の風情を感じ取りながら、彼女の地元への愛着と誇りを理解し始めた。李芳(リー・ファン)さんはルイスの興味に応え、市場への道案内をしてくれた。

ガソリンを手に入れた後、二人はオートバイクに戻りながら、ルイスがこれまでの旅路で見てきた光景や体験について話した。彼の話には驚きや笑いが交じり、李芳(リー・ファン)さんの視点から見た普淜鎮の日常とは異なる、新鮮で魅力的な世界が広がっていた。少しずつ、二人の間には冒険を共有する喜びと、お互いを知る楽しさが芽生えていった。

ふたりは市場で夕食と明日の朝食に必要な野菜、肉、魚、果物、牛乳、チーズなどを購入し、ふたり共同で食事の支度をし、食事もルイスの部屋で差し向かいになって食べた。

お互いに意気投合して離れられない気持ちが芽生えていたのである。流石に一緒に寝るところまではいかなかったが、そうなるのも時間の問題であった。

☆翌朝
ルイスは李芳と共に、普淜鎮の朝市へ向かった。夜明けと共に賑わいを見せる市場には、地元の農民たちが自家栽培した米や茶葉を売るために集まっていた。彼らの間には、その年の天候や作物の出来栄えについての会話が交わされていた。

市場の一角には、雲南省特有の茶葉「普洱茶」を取り扱う店があり、その香りが空気を満たしていた。ルイスは、李芳に促されるままに、一つの茶店に立ち寄った。店の主人は、彼らに様々な種類の茶葉を説明し、試飲させてくれた。ルイスは、その深みのある味わいと香りに驚きながら、雲南省の茶がこの地域の経済にとっていかに重要かを実感した。

また、市場では鉱物資源に関連する商品も取引されていた。雲南省は鉱物資源が豊富であり、特に錫や銅は重要な輸出品であった。市場の片隅では、小規模ながらも鉱物を採掘する農民たちが、自分たちが採掘した鉱石を買い手に売りつけていた。

ルイスは、この市場を通じて、雲南省の農村経済が農業だけでなく、鉱物資源にも大きく依存していることを理解した。市場に集まる人々の顔には、日々の生活の厳しさとともに、地元の資源に対する誇りが見て取れた。彼は、この地の人々の生活の一端を垣間見ながら、李芳とともに市場を後にした。

この後、ふたりはグランド・ツアラーに乗り込み、霊関道「大姚、攀枝花、会理、徳晶、西昌、雅安、成都」を大姚(ダーヤオ)を目指して進んだ。

1935年8月6日午前11時、天峯山のふもとでは、ルイスと李芳さんが小さな川のそばに立っていた。川は金沙江の支流のさらに支流であり、その上には古びた木橋が架かっていた。この橋を渡ることは普淜鎮から大姚へ向かうための必要な道の一つだった。

橋の向こう側に潜む男たちの存在に気づいたルイスは、バイクを押して橋を渡るフリをしながら、彼らに気づかれないように慎重に行動した。彼の警戒心は正しかった。男たちは山賊であり、旅行者や商人を狙う軍閥の手下たちだった。しかし、ルイスは冷静さを保ちながら彼らを一網打尽にした。その迅速な行動と催涙弾を使った巧妙な罠により、山賊たちはロープで縛られ、橋の向こう側に放置された。

李芳さんはルイスの勇敢な行動に目を見張り、彼の安全を心から祈っていた。彼女は、ルイスが山賊たちを縛り終えて手を振るのを見て安堵の息をついた。

一味は、昆明で力を誇る軍閥の一部であることが、ルイスの調べによって明らかになった。彼らは国民党の雲南省政府にとっても手に負えない存在だった。36歳の首領は、冷酷で知略に長け、彼の周囲には各地から集められた多様な背景を持つ手下たちがいた。

首領を含めた一味の構成は以下のようなものだった:

1.首領:李偉(リー・ウェイ)36歳、元国民党の軍人で戦略的な思考を持つ男。彼は軍閥の内部で力をつけ、自身の私兵を持っていた。
2.副首領:張洛(チャン・ルォ)29歳、首領の右腕であり、過去には盗賊団を率いていた男。彼は首領に忠誠を誓い、軍閥のために様々な汚れ仕事を引き受けていた。
3.戦術家:陳冬(チェン・ドン)34歳、外国で軍事学を学んだ知識人。彼は山賊たちに近代戦の技術と戦術を教えていた。
4.武器の専門家:王鋼(ワン・ガン)40歳、武器と爆薬に精通する男。彼は一味の武装を管理し、必要に応じて改造やメンテナンスを行っていた。
5.情報担当者:趙麗(チャオ・リー)26歳の女性。彼女は軍閥の中で情報の収集と分析を担当し、一味が行動を起こす前に必要な情報を提供していた。

このような一味の構成は、彼らが単なる山賊ではなく、組織的かつ計画的に活動していることを示していた。ルイスと李芳さんは、軍閥の一味を拘束した後、さらなるトラブルに巻き込まれることなく大姚へ向かう旅を続けた。

午後3時、陽はすでに高く昇り、ルイスと李芳(リー・ファン)は姚安に到着し、腹を満たすために地元の妓楼を訪れた。妓楼は外観こそ控えめだが、その内部は活気に満ちていた。宿屋と食堂の機能を兼ね備えており、木製の彫刻された扉を開けると、暖かな光と共に料理の香りが二人を迎え入れた。

店内は様々な人々でにぎわっている。仕事帰りの人々、地元の住人、旅人たちが食事を楽しみ、話に花を咲かせていた。小部屋はプライベートな密会の場としても使われており、布のカーテンがその秘密を守っていた。夜には、これらの部屋が酒場として機能し、地元の勤め人たちが一日の疲れを癒やす場となっていた。

ルイスと李芳は、木製の丸テーブルに着いた。食事は地元の新鮮な野菜、香ばしい肉料理、そして姚安の市場でその日に捕れた魚を使った料理で、地元の風味が生きていた。ふたりは食事をしながら、旅の話、互いの過去、そしてこれからの冒険について話し合った。周りの喧騒とは対照的に、彼らの会話は親密で、心地よいものだった。

この妓楼はただの食堂ではなく、社交の場としての役割も果たしていた。ルイスと李芳は、そこで短い時間を共に過ごすことで、一層親密な絆を深めていたのだった。

李芳(リー・ファン)は36歳という年の功を発揮して、妓楼の部屋を一室借りていた。天峯山にてルイスの勇敢な姿を目撃し、彼女は性的な興奮を覚え、もう我慢することが出来なくなっていた。

詳しい内容は省略するが、お互い後腐れのない関係を深め、楽しんだことは言うまでもない。

翌日、姚安を出発したふたりは無事に大姚(ダーヤオ)にある李芳(リー・ファン)の実家に到着した。ルイスは彼女の父親から耳寄りな情報を聞き、楚雄に直行することにした。

彼女の父親からはルイスが今まで知らなかったことをふたつ聞いた。ひとつは攀枝花には金沙江が流れていることである。もう一つは攀枝花周辺の金沙江流域で有望な炭鉱と鉄鉱山があるかも知れないという伝説である。

ルイス陣営では石炭とりわけコークスの供給が望まれていた。鉄鉱石の鉱山は二ヶ所購入してあり、コークスさえあれば鉄鋼所が作れるのである。出来れば石炭と鉄鉱の両方が採れるところが鉄鋼所建設の場所としては望ましい。鉄鋼さえ自力で作れれば鉄筋コンクリートも造船所も思うがままに作ることが出来る。

勿論、ルイス一人で探すことなど出来ないから、昆明から昭通へ行き、味方と合流したい。大理にいる時に、陳浩然(チェン・ハオラン)(33歳)「諜報係」と連絡を取り、8月11日に楚雄で合流する手はずになっている。オートバイク100台「200名」も一緒に来るはずだ。

ルイスはすがる李芳(リー・ファン)を宥(なだ)めすかし、楚雄に向かって出発した。

大姚(ダーヤオ)を出て、姚安の妓楼で休憩する。ここの女将とは2回目なので女性にモテるルイスはもう軽口を聞き合う仲になっていた。彼女の話では、普淜に用が無ければ別の道を南下して南華経由で楚雄に向かったほうが良いのだとか。

途中に連廠橋という明の万暦帝時代に建てられた橋があるという。長さ30メートル、幅6メートルの立派な橋だそうだ。

妓楼の女将の行った通りの立派な橋を渡り、南華で一泊してから楚雄に向かった。

☆8月11日日曜日、午前11時:楚雄彝族「イ族」自治州の中心地楚雄
ルイスは李芳と初めて交わした会話を思い出した。詳しく地形を説明するもんだと感心したことがあったな。

"ルイスさん、当宿屋にお泊りいただきありがとうございます。普淜鎮は大理白族自治州の東部に位置し、大理、楚雄の二州と祥雲、南華、姚安の三県が交わる地点にあります。この地域は東南から西北にかけての傾斜を持ち、紅河と金沙江の流域に囲まれています。亜熱帯の高原季風気候で乾燥期と雨季が明確にあり、水文は天峰山を境にして南北に分けられ、旱魃、雹、低温、霜、雷、泥石流などの自然災害に注意する必要があります。私の名前は李芳と申します、36歳です。お役に立てれば幸いです"

彼女ならどういうだろうか?

"ルイスさん、当宿屋にお泊りいただきありがとうございます。楚雄彝族自治州は雲南省中部にある歴史ある地域で、亜熱帯の気候に属し、季節は春と秋が長く、比較的短い冬と夏が特徴です。地形は西北から東南に傾斜し、金沙江と元江という二大水系が流れています。武定獅子山や元謀土林、彝人古鎮など豊かな自然と歴史的景観を持つ主要な観光地があります​​​"

こんな感じだろうか?

ルイスは後ろから肩をポンと叩かれた。ルイスが振り向くと諜報担当の陳浩然(チェン・ハオラン)(33歳)が真っ黒い顔に白い歯をのぞかせてニッコリと笑っていた。

ルイス:久しぶりだな。まあ一杯やろう。他の連中はどうした?

陳浩然(チェン・ハオラン):彼らは明日の朝到着予定です。

ルイス:そうか。泊まる場所は決めてあるのか?

陳浩然(チェン・ハオラン):此処には大きな妓楼があるのです。200名も泊まれるところは一つしかありませんので分かると思います。

楚雄の古い街道に佇む「玉蘭閣」は、旅人に安らぎを提供する妓楼だ。女将の楊桂芬(ヤン・グイフェン)は、30歳で知恵と母性を兼ね備えた温かい女性だ。彼女は、ルイスと陳浩然(チェン・ハオラン)を優雅に迎え入れた。

三人の妓女、青いチャイナドレスを纏った玲瓏(リンロン)20歳、伝統的な衣装が映える嫣然(イェンラン)25歳、そして活発な笑顔の小芸(シャオユン)18歳が、彼らの接待を担う。玲瓏は茶道に長け、嫣然は詩を愛し、小芸は楽器の才に恵まれている。

食事が運ばれると、玲瓏がお茶を注ぎ、嫣然が詩の一節を披露し、小芸は琴の旋律で空間を満たした。ふたりの男性は、そんな彼女たちの細やかな心配りに心を打たれ、玉蘭閣の暖かさに包まれながら、静かに夕食を楽しんだ。その夜、玲瓏、嫣然、小芸の三人は、ふたりの旅人に忘れられない記憶を刻み込むのだった。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

ルイスと李芳は天峯山のふもとで山賊と遭遇し、ルイスは催涙弾を使い彼らを縛り上げることに成功した。山賊は軍閥に属しており、組織的な活動を行っていた。ルイスと李芳は地元の妓楼で休憩し、食事を楽しみながら親密になった。翌日、李芳の実家に無事到着したルイスは、有望な炭鉱と鉄鉱山の情報と、鉄鋼産業についての重要な情報を得る。 楚雄に到着し、味方と合流するために昭通へ向かう予定であること、そして彼が指揮するオートバイク隊との再会を楽しみにしていることが示された。次話では、ルイスが昆明に巣食う軍閥一味を征伐するための方策を色々試すシーンが描かれるが、敵を殺さないというルイスの大方針が邪魔をして、中々上手く行かない。その他の内政の施策はルイスの思う通りに運び、懸案の炭田問題の解決策も示される。