小説「海と陸の彼方へ」

 

第六章ルイス中華の皇帝を目指す

 

第5話雲南省奪還計画①「大理の役所訪問」

 

前書き

ルイスとペー族の族長の妻、リン・ヤオは昼食後の農場見学でさらに親交を深めました。リン・ヤオはルイスに対しペー族の文化と伝統、自然との調和した生活について語りました。彼らが伝統的に行う農耕や手工芸が世代を超えて保たれている一方で、漢民族の移住による経済的・文化的な変化がペー族の生活に緊張をもたらしていると説明しました。特に政治面での漢民族の官僚による実権掌握がペー族の不満を引き起こしていると述べました。 ルイスは大理の軍政返還が容易でないことを理解した上で、漢民族の長官がアヘン貿易に関与し、ケシの花を博南道を経由してミャンマーから密貿易している疑いがあると指摘しました。リン・ヤオはルイスの学識と風貌に感心し、互いに敬意を表しました。漢民族と他の少数民族との複雑な関係についての議論を通じて、両者の間に信頼が築かれました。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 ヘクターの浮気が発覚し、ヘクターと離婚した。
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 ヘクターに誘われ、行動を共にすることになる。
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ルイスの資金は小切手50億ドル。金塊50トン。銀錠50億両「内訳は一般会計20億両、特別会計30億両である」。第21章第②話までに一般会計は20億両の予算のうち506万5千両支出した。特別会計は30億両の予算を組み、今までに8,340,699両支出した。

第4話の支出4,900両
これで特別会計の支出合計は、8,345,599両となった。
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ルイスの元捕虜兵。現在は忠実な部下と妻たち。
1.周恩来(ジョウ・エンライ)(37歳)。ルイスの参謀。江蘇省出身。
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。
2.ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。上海出身。
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
3.サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。江西省出身。
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
4王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。
5.テンパ・ティンリー(24歳)。パイロット。チャン・ユン(42歳)の長男。チャン・ユン(42歳)は摩梭(モソ)族:落水下村出身。
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ルイス18歳:巴蜀・雲南王と言っても、元清朝の王女:王華(ワン・ファ)が認めただけである。この物語の主人公。
ルイスの妻:エリザベス・ハーレイ。ジョン・ハーレイ(40歳)「ブリタニア号の船長」の元妻。
年齢: 38歳
背景: イギリスの中流家庭出身。元夫の仕事を支えるために、度々海を渡る。
性格: 温和で思慮深く、家族を深く愛する。元夫と同様に最初はルイスに不信感を抱いていたが、彼の真摯な態度に心を動かされ、夫と別れてルイスと結婚する。
義理の息子:ウィリアム・ハーレイ
年齢: 16歳
背景: 船長の息子として海上生活に慣れ親しんでいる。航海術に興味を持ち、父から学んでいる。
性格: 好奇心旺盛で活発。ルイスの冒険的な精神に魅了され、彼を尊敬するようになる。
義理の娘:エマ・ハーレイ
年齢: 14歳
背景: 船長の娘として幼少期から多くの国を訪れている。異文化に対する興味が強い。
性格: 社交的で好奇心が強く、新しい環境にすぐに適応する。ルイスの持つ異文化への敬意と好奇心に共感を覚える。
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ルイスには他にも妻「側室」がいる。王華(ワン・ファ)(45歳)、李芳蓉(リー・ファンロン)(37歳)、劉芸芸(リウ・ユェンユェン)(38歳)、劉月華(リウ・ユエファ)(48歳)、陳明花(チェン・ミンファ)(38歳)の6名である。

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ニューヨーク市の行政地図 

アメリカ合衆国東部 
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52 


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」 

北米「ダラスを中心として」
帝国書院「地歴高等地図」P67,68


マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征

中国地図
出典 建築資料研究社「住まいの民族建築学」浅川滋男著 P8

 

☆族長の妻リン・ヤオとルイスとの会話「続」
6月30日日曜日、午後3時。ペー族の農場
族長の妻リン・ヤオ(30歳)とルイス(18歳)は昼食の後、夢中になって話を続けた。リン・ヤオはペー族の文化や風俗に多大な興味を示し、真剣にリン・ヤオの話を聞いてくれる若いルイスに少しずつ好感を持ち始めた。

族長ヤン・シュエが飛行機に多大な興味を抱き、テンパ・ティンリーとともに飛行機を見学に出かけたのを汐にルイスとリン・ヤオは彼女の経営する農場を見学することにした。陳明花(チェン・ミンファ)一家と周恩来(ジョウ・エンライ)は村人たちの祭りの準備を見学すると行って連れ立って出かけていた。陳明花(チェン・ミンファ)もリス族とペー族との祭りの違いに興味があったようである。

☆農場見学
緑豊かな大理の地に広がるリン・ヤオの農場は、ペー族の伝統と自然の調和を象徴する場所でした。農場には、様々な種類の作物が栽培されており、その中でも色とりどりの野菜と果物が特に目を引く光景を作り出していました。大粒のトマト、緑の葉を広げるキュウリ、そして太陽の光をたっぷりと浴びたイチゴが、彩り豊かな景観を作り出していました。

ルイスは、農場を歩きながら、ペー族の生活に息づく豊かな自然との深いつながりに感銘を受けました。彼は、一つ一つの植物が丹精込めて育てられているのを見て、ペー族の人々が土地を大切にし、自然と共存する生き方を実践していることを実感しました。

リン・ヤオが案内する中、農場の一角には、手作りの小さな温室がありました。この温室の中では、特別なハーブや薬草が育てられており、ペー族の伝統医療に不可欠な植物たちでした。リン・ヤオは、それぞれのハーブの効能や使い方を説明しながら、ペー族の自然に対する深い知識と尊敬の念を表現しました。

ルイスはまた、農場に住む家畜たちを見学しました。ゆったりと草を食む羊群、力強い鳴き声を上げるニワトリ、そして優雅に歩くダチョウが、農場に活気を与えていました。これらの家畜たちもまた、ペー族の生活の一部であり、食料や資源の提供者として大切にされていることが伝わってきました。

リン・ヤオとの農場見学を通じて、ルイスはペー族の生活の豊かさと、彼らが大切にしている価値観を深く理解しました。自然との共生、伝統の尊重、そして地域社会への貢献は、ペー族にとって重要な要素であり、これらはルイスにも大きな影響を与えました。

この美しい農場の訪問は、ルイスにとってペー族の文化と生活様式への理解を深める貴重な機会となり、彼の心に深い印象を残しました。

☆リン・ヤオとの会話

ルイスはリン・ヤオからペー族と漢民族との間に起きた軋轢(あつれき)を詳しく教えてもらった。およそ次のような事である。

"雲南省の大理ペー族自治州では、古くからペー族「白族」がその土地を守り、独自の文化と伝統を育んできました。彼らは自然と調和しながら農耕や手工芸を営み、世代を超えて豊かな文化遺産を築いてきたのです。ペー族の人々は、彼らの歴史を語り継ぎ、独特な生活様式を維持し、自治州内で重要な役割を果たしてきました。

しかし、近年になり、漢民族の影響力が徐々に増してきました。漢民族の移住者たちが大理に流入し、経済的および文化的な変化をもたらしたのです。これにより、ペー族と漢民族との間には微妙な緊張が生じ始めています。漢民族は自治州内での地位を確立し、商業や政治の分野で優位に立とうとしています。一方で、ペー族の人々は、自らの伝統とアイデンティティを保持しようと、変化に抵抗しています。

特に、大理の役所においては、漢民族の官僚が実権を握り始め、ペー族の影響力が次第に薄れつつあります。これにより、ペー族の族長や地域社会は、自分たちの声が政治的な決定において無視されていると感じ、不満を募らせています。ペー族の文化や権利を守るための闘いが、自治州内で静かに燃え上がりつつあるのです"

リン・ヤオの話を静かに聞いていたルイスは、彼女の言葉に深く考え込んでいた。彼は今まで漢民族を被害者として捉えていたが、彼らが少数民族に対して加害者となっている現実に衝撃を受けた。

ルイス:リン・ヤオさん、あなたの話を聞いて、私の考えが一変しました。漢民族と少数民族との間にこんなに深刻な問題があるとは...…。

彼はしばらく沈黙し、深く思索に耽った。そして、彼の顔には新たな決意が浮かんでいた。

ルイス:私はこれまで、漢民族のアヘン中毒問題に焦点を当ててきましたが、それだけでは不十分ですね。少数民族の人々も救わなければ..…。

リン・ヤオの話は、ルイスに新たな視点を与えていた。彼は、ペー族の苦しみと彼らが直面している問題に心を痛め、自分の行動範囲を広げることを決意した。

ルイス:リン・ヤオさん、私はあなたの話に感銘を受けました。ペー族の皆さんに対して何かできることはありますか?

リン・ヤオはルイスの真剣な眼差しに応え、彼女の顔には感謝の表情が浮かんだ。

リン・ヤオ:ルイスさん、あなたのような思いやりのある人がいてくれて、私たちは心強いです。ペー族の人々は、自分たちの文化と生活を守りたいと願っています。彼らに力を貸してくれるなら..…。

この対話は、ルイスにとって重要な転機となり、彼は少数民族の保護と救済にも力を注ぐことを決心した。彼の心は新たな目的に向けて動き始め、リン・ヤオとの絆はさらに深まっていった。リン・ヤオは更に話を続けた。

リン・ヤオ:過去の経緯(いきさつ)を考えると、大理における軍政の返還は一筋縄では行かないでしょう。官僚どもは徹底抗戦するでしょうし、今の大理を牛耳っている長官は既得権「税収の独り占めとアヘン交易の利益の独占」を奪われたくないので、ルイスさんに軍政を返還するとは到底思えません。

ルイス:リン・ヤオさん。今のお話は大変興味深いですね。私の予想では大理の長官がケシの花の密貿易を行い、自分の所有する工場で大々的にアヘンの精製を行っていると思います。

リン・ヤオ:貴方は大理から博南道を利用してミャンマーの東部ラーショーまでケシの花を購入に行っているとおっしゃるのですね。

ルイス:その通りです。博南道「大理から保山、騰衝を経てミャンマーへ抜けていくルート」を利用して大理からミャンマーの東部ラーショーまで行くのです。ケシの花はイギリスが植民地としているインド以外にも黄金の三角地帯と呼ばれているところで良く採れるのです。

リン・ヤオ:黄金の三角地帯とはどういう地域ですか?私に教えてください。

ルイス:黄金の三角地帯とは、東南アジアのタイ、ミャンマー、ラオスの3国がメコン川で接する山岳地帯で、ミャンマー東部シャン州に属します。ラーショーがその中心です。世界最大の麻薬密造地帯であり、ゴールデン・トライアングルと呼ばれ、アフガニスタン・パキスタン・イラン国境付近の「黄金の三日月地帯」と並ぶ密造地帯です。

リン・ヤオ:ルイスさん。貴方は私の末の弟と同じような年齢なのに、豊かな学識をお持ちだわ。身長もスラリとお高いし、色白でとても素敵な方だと私は思います。

ルイス:リン・ヤオさんこそ、素敵な女性です。ペー族の置かれている現状を私に解き明かしてくれました。漢民族がそこまで他の民族を圧迫しているとは夢にも思いませんでした。漢民族はモンゴルや色目人、女真人に征服されたことのある民族とばかり思っていましたが、逆の側面も多く持ち合わせている民族なのですね。

☆ルイスとリン・ヤオの情事
深い会話もできるようになった若い男女が大人しく族長邸に帰ることなど不可能であった。リン・ヤオの所有する農場の小屋はふたりのベッドに様変わりした。

"キスをして下さい"

口は合わされ、舌は差し伸べられた。まるで魔法のようであった。欲情の脈動がふたりを刺し貫いた。リン・ヤオに包み込まれたまま、ルイスは燃え盛り、符節を合するようなリン・ヤオの動きがこれに応えた。ふたりは歓びの満潮にひたされ、そろって絶頂に登りつめた。静かに沈み込むふたりにとって、未来は忘却の彼方にあった。

ルイスとリン・ヤオは身繕いの後、族長の家に帰り、ルイスたちは大理の街に出かけた。ルイスは大理の役所で軍政の返還を求めるという予定を変更し、飛行機の燃料「ハイオクガソリン」のみを購入し、泸水(ルーシュェイ)のルイス城に帰ることにした。

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ルイスの計画
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ルイスは博南道を通ってミャンマーへ向かっているケシの花の密売業者を捕らえることにしたのである。当初考えた通り、怒江上を泸水から船で下り、博南道と交わる地点「怒龍」で降ります。この時、軽戦車8台は船に搭載しています。

怒龍は、木製の「怒龍橋」が架かる地点で、この橋は長い間地域の交通の要となっています。此処で怒龍の町から博南道を東に進むと保山に到達し、さらに東へ進むと瀾滄江の左岸に位置する「雲龍」という地点に到着します。ここにも古くから木製の橋がありますが、ルイスは車やオートバイクが通行できるよう、この木橋を改修し、堅牢な石の橋「雲龍橋」を新たに建設する予定でした。

「怒龍」で降りたら、木製の「怒龍橋」を堅牢な石の橋に作り替えながら、ミャンマーのラーショーからケシの花を担いで大理へ向かう中国人の密売業者を捕らえようという算段です。

果たして捕らえた密売業者が、大理の長官の部下であるかどうかは分かりませんが、ひっ捕らえて尋問する価値はあるでしょう。大理の長官の部下であると判明したらルイスの勝ちです。ケシの花密輸及びアヘン精製の罪で彼を捕らえれば良いのですから。

7月1日月曜日、午後2時。泸水(ルーシュェイ)のルイス城
ルイスは、泸水の自宅でリラックスしながらお茶を飲んでいた。そんな彼のもとに、彼の妻たちが次々と入室してきた。彼女たちはそれぞれに、見違えるようなお洒落を施していた。

劉月華は、彼女の年齢を感じさせない優雅なブラックのミニドレスを纏っていた。そのドレスは、彼女の落ち着いた美しさと品位を際立たせる完璧な選択だった。透け感のあるレースの袖が、彼女の女性らしい魅力をさりげなく演出している。彼女の足元にはポインテッドトゥのヒールがあり、その洗練されたシルエットは彼女の姿勢の良さをさらに引き立てていた。シンプルながらも繊細なアクセサリーが、劉月華の風格ある装いに輝きを加えていた。

一方、陳明花は、彼女の活動的なエネルギーと女性らしさを両立させる赤いミニドレスで登場した。その生地が彼女の肌に優しく触れるたびに、彼女の自信と生命力が溢れ出しているようだった。赤のラップドレスは、陳明花の姿に温もりと情熱を添えており、彼女の装いに華やかさを与えていた。ヌードカラーのインナーがドレスのラインを美しく見せ、ベージュのストラップ付きヒールがそのエレガンスを一層高めていた。陳明花の手元には薄型のゴールドの時計がきらりと光り、赤やベージュのバッグが彼女のスタイリッシュなコーディネートに統一感をもたらしていた。

李小芳は、若々しく爽やかな夏の装いで現れた。彼女のライトブルーのフレアミニスカートと白のクロップドタンクトップは、夏の日差しに映える組み合わせであり、彼女の明るい性格と完璧に調和していた。カジュアルながらも洗練された足元には、白のキャンバススニーカーが選ばれていた。シンプルなゴールドのアクセサリーが彼女の若々しい魅力を引き立て、手持ちのトートバッグがその実用性とスタイルを兼ね備えていた。

王美麗は、大人のカジュアルさを体現するスタイルでルイスの前に立った。ネイビーとホワイトのストライプ柄ミニスカートは、マリンテイスト溢れる夏の日の選択としてぴったりだった。それに合わせたネイビーのキャミソールは彼女の肌の色をより一層引き立て、シンプルでありながらも洗練された美しさを演出していた。エスパドリーユやストラップ付きのサンダルは、快活でありながらも女性らしさを感じさせる選択であり、夏のリゾートを思わせる編みバッグが彼女の装いにリラックスした雰囲気を加えていた。

ルイスは、彼の妻たちがそれぞれに選んだ装いに感心しながら、彼女たち一人一人の独自性とそれを引き立てるスタイルの見事さを認めた。それぞれの年齢と個性を考慮したファッションは、彼女たちの内面の美しさを外にも表現していると彼は感じた。彼女たちの自信に満ちた姿勢と、それぞれの服装が放つ独特のオーラは、ルイスの目には彼女たちの人生経験と成熟した魅力を映し出していた。彼はそんな彼女たちを誇りに思いながら、その美しい瞬間を心に刻んだ。

むせ返るような妖艶な濃い香水の香りに押されながら、ルイスは今日の夜伽を選んだ。妻たちの予想通り、選ばれたのは陳明花(チェン・ミンファ)(38歳)であった。

ルイスは、孤立している陳明花(チェン・ミンファ)を守るためにそうしたのであるが、出る杭は打たれるという諺通り、これは却って彼女を孤立させることになった。

ルイスの目が届かないところで、陰に陽に陳明花(チェン・ミンファ)は苛められていたのである。しかし、陳明花(チェン・ミンファ)は逆境に強く、強靭な精神力で耐え抜いた。少数民族出身のハンディを跳ね返すだけの強さを彼女は持っていた。

7月2日火曜日、朝の初めの光が泸水の水面を照らし始めた時、ルイスとその軽戦車隊、そしてリス族とペー族の連合軍1,000名は、大きな木製の船に乗り込み、怒江の流れに身を任せた。風は穏やかで、水面はゆるやかな波紋を描いていた。船は、静寂に包まれた川を下り、ゆっくりと博南道へと進んでいく。博南道と交わる地点「怒龍」へと向かう、三泊四日の行程である。夜伽は劉月華、李小芳、王美麗の順で公平に選ばれた。

船の甲板に立ち、ルイスは軍隊を見渡した。彼らは、これからの未知の冒険に胸を躍らせていた。川沿いには緑豊かな森が広がり、時折、鳥のさえずりや遠くの村からの生活音が聞こえてきた。船は怒江の曲がりくねった流れに沿って進み、時には険しい岩壁や古代の寺院が視界に入った。

夜になると、船は怒龍の近くにある小さな船宿に停泊した。船宿は、古風で趣のある木造建築で、その暖かな灯りが暗闇の中でほっとするような安らぎを提供していた。船宿の内部は、伝統的な中国式の家具と装飾で飾られており、柔らかな布団と蚊帳が設えられていた。

夕食は、船宿の主人が用意した地元の新鮮な食材で作られた料理で、辛味のある魚料理、香ばしい炒め物、そして新鮮な野菜のスープが提供された。食事を終えると、ルイスとその部下たちは、船宿の庭で静かに語り合った。夜空には満天の星が輝き、川の流れる音が彼らに心地よい音楽を奏でていた。

劉月華、李小芳、そして王美麗は、それぞれが選ばれた夜にルイスと共に過ごし、彼らの間の絆を深めた。それぞれの夜は、互いの理解を深め、緊張を和らげる貴重な時間となった。

翌朝、船は再び怒江を下り始めた。船宿での一夜は、ルイスと彼の部隊にとって、長い旅の中の一時的な安息であり、心身を癒す機会だった。彼らは新たな一日を迎え、目的地へと向かって再び出発した。

☆外国商船との衝突
7月5日金曜日、午前5時。ルイスと昨晩の夜伽を務めた王美麗が甲板で涼んでいた。猛暑の夏、ふたりはほぼ半裸の格好でいたが、それでもなお船室にはいられないほどの暑さと湿気が襲ってくる。甲板で風に当たっていると生き返った気持ちがする。勿論、王美麗にはそれ以外には全く不満がない。昨夜の11時から朝方の3時すぎまでルイスに愛撫されていたのだから。ルイスは甲板に出ると何時も双眼鏡で周りを見渡す。もう太陽が東の空から出ており、遠くの山々や集落の様子「時折煮炊きの煙が立ち昇っている」も良く見える。

ルイスは進行方向から大きな船が登ってくるのを見つけた。こちらは降りなので放置すると、船が壊される。ルイスは全船に停止命令を下し、怒江の両岸に上陸させた。商船が向かってくるのを待ち、大半の水兵が甲板に上がってくるのを慎重に見届けた後、両岸の8個の軽戦車から催涙弾を商船に向かって撃ち込んだ。死傷者はいないだろうが、商船の甲板は白煙に覆われ、水兵たちは右往左往している。

その隙にルイスの軍隊1,000名は商船に飛び移った。前回の戦いにように海上ではないため、比較的容易な戦いの後、敵の商船は降伏した。船長34歳以下300名の水夫たちも捕らえられた。ルイス軍の大勝利である。

程なくしてルイス軍とフランス商船は目的地の博南道と交わる地点「怒龍」に到着した。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

ルイスとリン・ヤオは農場訪問後、族長の家に戻り、ルイスは大理の役所で軍政の返還を求める予定だったが、ハイオクガソリン購入後、自身の城泸水に戻ることにしました。また、軽戦車を利用してミャンマーからのケシの花密売業者を捕らえる計画を立て、「怒龍」の地で降りて交通の要である木造橋を石橋に作り変えつつ密売業者を捕らえる算段です。それに成功すれば、大理の長官の不正を暴けるとルイスは見ています。 ルイスの自宅では、彼の妻たちがそれぞれにオシャレをして現れ、ルイスは彼女たちの洗練された装いに感心しました。しかし、陳明花は他の妻たちから孤立し、苛められていました。ルイスの支持で彼女との夜伽を選んだことは、彼女の孤立を強める結果になりましたが、陳明花は精神力で耐え抜きました。 その後、ルイスの率いる部隊は船に乗り込み、怒江を下りながら博南道へと進みました。航路途上で、ルイスたちはフランス商船と衝突しましたが、催涙弾を使って商船を制圧し、水夫たちを捕らえることに成功しました。そして無事に目的地「怒龍」に到着しました。