小説「海と陸の彼方へ」

 

第六章ルイス中華の皇帝を目指す

 

第3話貴州省攻略の企(くわだ)て②「リス族との同盟」

 

前書き

ルイスはリス族族長の家を訪れて支援計画を提案し、族長である楊道林、彼の妻陳明花、そして子供たちと協議する。計画には農業プロジェクト、職業訓練、教育施設、文化活動の四つの部分があり、それぞれに具体的な初期費用や年間コストが提示される。ルイスは一家にそれぞれ個人的な贈り物をし、これらは彼らの個性や興味を反映していた。楊道林族長はルイスに対し、息子たちと娘が彼と共に修行することを志願。彼らは新たな生活と学びのためにルイスの元へ行くこととなる。陳明花夫人も子供たちと共にルイスに同行することを決め、ルイスは彼女を側女として受け入れる。一家は共に成長し、ルイスの陣営で要所を担うようになる。この取り決めは、互いの未来にとって有益な関係を築く出発点となる。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 ヘクターの浮気が発覚し、ヘクターと離婚した。
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 ヘクターに誘われ、行動を共にすることになる。
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ルイスの資金は小切手50億ドル。金塊50トン。銀錠50億両「内訳は一般会計20億両、特別会計30億両である」。今までに一般会計は20億両の予算のうち506万5千両支出した。特別会計は30億両の予算を組み、今までに83,339,375両支出した。
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ルイスの元捕虜兵。現在は忠実な部下と妻たち。
1.周恩来(ジョウ・エンライ)(37歳)。ルイスの参謀。江蘇省出身。
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。
2.ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。上海出身。
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
3.サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。江西省出身。
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
4王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。
5.テンパ・ティンリー(24歳)。パイロット。チャン・ユン(42歳)の長男。チャン・ユン(42歳)は摩梭(モソ)族:落水下村出身。
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ルイス18歳:巴蜀・雲南王と言っても、元清朝の王女:王華(ワン・ファ)が認めただけである。この物語の主人公。
ルイスの妻:エリザベス・ハーレイ。ジョン・ハーレイ(40歳)「ブリタニア号の船長」の元妻。
年齢: 38歳
背景: イギリスの中流家庭出身。元夫の仕事を支えるために、度々海を渡る。
性格: 温和で思慮深く、家族を深く愛する。元夫と同様に最初はルイスに不信感を抱いていたが、彼の真摯な態度に心を動かされ、夫と別れてルイスと結婚する。
義理の息子:ウィリアム・ハーレイ
年齢: 16歳
背景: 船長の息子として海上生活に慣れ親しんでいる。航海術に興味を持ち、父から学んでいる。
性格: 好奇心旺盛で活発。ルイスの冒険的な精神に魅了され、彼を尊敬するようになる。
義理の娘:エマ・ハーレイ
年齢: 14歳
背景: 船長の娘として幼少期から多くの国を訪れている。異文化に対する興味が強い。
性格: 社交的で好奇心が強く、新しい環境にすぐに適応する。ルイスの持つ異文化への敬意と好奇心に共感を覚える。
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ルイスには他にも妻「側室」がいる。王華(ワン・ファ)(45歳)、李芳蓉(リー・ファンロン)(37歳)、劉芸芸(リウ・ユェンユェン)(38歳)、劉月華(リウ・ユエファ)(48歳)、陳明花(チェン・ミンファ)(38歳)の6名である。

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ニューヨーク市の行政地図 

アメリカ合衆国東部 
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52 


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」 

北米「ダラスを中心として」
帝国書院「地歴高等地図」P67,68


マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征

中国地図
出典 建築資料研究社「住まいの民族建築学」浅川滋男著 P8

 

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☆ルイスとリス族族長一家の交流「見積もり含む」&豪華な贈り物の贈与
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6月28日金曜日午後5時。リス族族長邸
ルイスはリス族族長の家に足を踏み入れ、一家のメンバーに一人一人丁寧に挨拶した後、提案書を広げて支援策の詳細を説明し始めた。

"楊道林(ヤン・ダオリン)族長「40歳」、陳明花(チェン・ミンファ)夫人「38歳」、楊傑(ヤン・ジエ)「20歳」、楊林梅(ヤン・リンメイ)「18歳」、楊虎(ヤン・フー)「15歳」、楊小蘭(ヤン・シャオラン)「12歳」、私たちがご提案する支援計画は、あなた方の文化と伝統に最大限の敬意を払いつつ、村の将来の持続可能な発展を目指しています"

彼は農業プロジェクトの部分を指し、"まず、農業プロジェクトでは、種子や農具の提供、土地の整備をサポートします。こちらの初期費用として、約500両が必要となります。楊 傑、このプロジェクトにより、あなたの強靭な手で土地を耕し、新しい作物を育てることができるでしょう"

楊 傑が興味深く答えた。"素晴らしいです、ルイスさん。私たちの村にとって大きな一歩です"

次に、ルイスは職業訓練センターについて説明し、"職業訓練センターの建設には、建物の建設、教材、講師の雇用を含め、約300両が必要です。楊 虎、これはあなたたち若者に新しい技術を学ぶ機会を提供します"

楊 虎が目を輝かせて言った。"これは私たちにとって大きなチャンスですね"

教育施設に関しては、"教育施設の建設費が約200両、教育施設の運営には、教材、教師の給料、校舎の維持管理を含め年間約200両が必要です"とルイスは楊 小蘭に微笑みながら説明した。

楊 小蘭が感謝の言葉を述べ、"私たちにとって新しい学びの場ができるんですね"

最後に文化プログラムに関して、"伝統衣装、楽器、祭りの開催費用など、年間約100両が必要となります"とリンメイに向けて言った。

楊 林梅が感謝を表して言った。"私たちの文化を守るために年間1,300両もの大金をルイスさんが支援して下さるのですね。有難う御座います。素晴らしい支援です。私達もルイスさんと同盟することが出来て大変幸せです"

楊 道林族長は、深く感謝の意を示しながら言った。"ルイスさん、あなたの提案と援助は私たちの村にとって大きな希望となります。私たちはあなたとの同盟を心から歓迎します"

ルイスはさらなる驚きを用意していた。"しかし、私の提案はここで終わりではありません。私は一家の皆さんに、個々に合わせた贈り物を用意しました。これらは、あなた方の個性や興味に対する私の敬意の表れです"

ルイスは一つずつ贈り物を取り出し、それぞれの意味を説明した。

楊 道林族長には、精巧な銀製の腕輪とカスタムメイドの伝統的なリス族衣装を手渡した。"この腕輪は、細かい彫刻が施され、あなたの地位と尊厳を象徴するものです。そして、この衣装は、あなたのリーダーシップとリス族の伝統を表現しています"

族長は腕輪を手に取り、感激して言った。"これは私たちの文化の精髄を捉えた素晴らしい贈り物です。深く感謝します"

陳 明花夫人には、ダイヤモンドがちりばめられたエレガントなネックレスと、繊細な絹の伝統衣装を贈った。"このネックレスは、あなたの美しさを際立たせ、この衣装は、あなたの家庭的な知恵と品格を表現するために特別に選びました"

夫人はネックレスを手に取り、喜びに満ちた声で言った。"これは私が今までに受け取った中で最も美しい贈り物です。心から感謝します"

楊 傑には、リーダーシップ、農業技術、近代科学に関する書籍セットと、高級文房具を贈った。"これらは、あなたの知識を広げ、未来を築くための道具です"

楊 傑は書籍を手に取り、感謝を込めて言った。"これは私にとって大きな励みです。ありがとうございます"

楊 林梅には、カラフルな手織りのショールと宝飾品セットを贈った。"このショールは、あなたの文化への愛着を象徴し、宝飾品はあなたの美しさを引き立てます"

楊 林梅はショールを手に取り、"これは私の社交活動を彩る素敵な贈り物です"と喜んだ。

楊 虎には、先進的な工具セットと技術教材を贈った。"これらは、あなたの技術への興味を刺激し、実践的な学習をサポートします"

楊 虎はワクワクした表情で、"これで新しいことに挑戦できます!"と言った。

最後に、楊 小蘭には色とりどりの楽器セットとダンス衣装を贈った。"これらはあなたの音楽的才能を育み、祭りで輝くためのものです"

楊 小蘭は目を輝かせ、"これで新しい音楽を学べるんですね!"と喜んだ。

夜が更けるにつれ、ルイスと楊 道林族長一家との間に深い絆が生まれ、一家は新しい希望と未来への光を感じていた。ルイスは彼らに向かって、「これらの贈り物は、あなた方一家への私の敬意の表れです。私たちの提案が、あなた方の未来に役立つことを心から願っています」と言葉を続けた。

楊 道林族長は感動を隠せず、"ルイスさん、あなたの温かい心遣いとこれらの贈り物は、私たちの心に永遠に刻まれます。あなたの支援に深く感謝し、これからの未来を楽しみにしています"と答えた。

陳 明花夫人も微笑みを浮かべ、"あなたの援助は私たちの生活を変え、子供たちの未来に明るい光をもたらしました。この贈り物は、私たち一家にとって大変な価値があります"と感謝を表した。

楊 傑、楊 林梅、楊 虎、そして楊 小蘭も一人ひとりが、贈り物に対する感謝の言葉を述べ、ルイスに対する尊敬と感謝を表現した。

ルイスがリス族族長邸に入り、一家のメンバーそれぞれに丁寧に挨拶を交わした。提案書を広げ、支援策の詳細を説明し贈り物を各自に渡した後、その場に居た全員が温かな雰囲気に包まれた。

しかし、この温かな雰囲気の中、楊 道林族長から突然の提案があった。"ルイス殿、私の息子と娘を貴方の元で修行させていただけないだろうか"と族長は言った。楊 傑と楊 林梅を始め、楊 虎と楊 小蘭もルイスと共に行きたいと表明した。陳 明花夫人まで子供たちと同行すると言い出す始末である。

この提案に、ルイスは一瞬戸惑った。陳 明花夫人は近隣にはめったにいない美人であり、ルイスは内心彼女を気に入っていた。急な展開に戸惑いはあったが、同時に有力な味方「子供たち4人」を得る喜びも感じていた。彼は心の内で、この機会を受け入れることに決めた。しかし、陳 明花夫人を側女(そばめ)にしたいとは流石に言い出せなかった。

"それでは、あなたのお子様たちを私の元で修行させていただくことを喜んで受け入れます"とルイスは答えた。族長からのさらなる提案に、"陳 明花を貴方の側女の一人に加えて頂き、子供たちともども末永く可愛がってやって下さい"と言われ、ルイスは内心の喜びを隠しながらも、この申し出を受け入れた。

"族長、貴方は一人になってしまいますが、それでよろしいのですか?"とルイスは尋ねた。

"心配はいりません、ルイス殿。私には他に夫人が二人おり、彼女たちと共に過ごします"と族長は答えた。

その夜、リス族の家庭では新たな希望と楽しみが語られ、ルイスとの新しいつながりが村の未来に光をもたらした。ルイスの援助と贈り物、そして新たな家族との絆は、リス族の村にとって新しい時代の幕開けを告げるものとなったのです。

ルイスは、楊 道林族長一家との新しい関係を深める中で、彼らの信頼と尊敬を得ることに成功しました。楊 傑、楊 林梅、楊 虎、そして楊 小蘭は、ルイスの元で学び成長する機会に興奮し、新しい人生の冒険に期待を膨らませていました。

陳 明花夫人は、子供たちと一緒にルイスと共に新しい生活を始めることに決め、彼女の決断は村の中で敬意をもって受け入れられました。夫人は、ルイスの側女としての地位を受け入れつつ、彼女の新しい役割に自信を持って臨みました。

楊 道林族長は、この決断により、村の未来に新たな道を開くことに成功したと感じていました。彼は、子供たちがルイスと共に新しい知識を学び、成長することを心から願っていました。

その後の数ヶ月で、楊 道林族長一家はルイスの陣営で重要な役割を果たし始めました。楊 傑は、農業技術の知識を活かし、新しいプロジェクトを立ち上げ、楊 林梅は文化プログラムの運営に貢献しました。楊 虎は技術的な才能を発揮し、楊 小蘭は音楽とダンスでみんなを魅了しました。

陳 明花夫人は、ルイスの側女としての役割に適応しつつ、子供たちの面倒を見ることで、新しい家族の一員としての立場を確立しました。

ルイスは、リス族族長一家の才能と献身に感謝し、彼らとの新しい絆を大切にしました。彼は、一家がルイスの陣営にもたらした新しい視点と力に感銘を受け、彼らの成長を見守りながら、共に未来を築いていくことを楽しみにしていました。

こうして、ルイスとリス族族長一家の間に生まれた新しい関係は、互いにとって価値あるものとなり、それぞれの未来において重要な役割を果たすこととなりました。彼らの物語は、変化を恐れず、新しい機会を受け入れる勇気のある一家の物語として、村の中で語り継がれることとなったのです。
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第21章第3話の支出

これで特別会計の支出合計は、8,340,699両となった。

翌6月29日土曜日、朝一番でルイスは、陳明花(チェン・ミンファ)夫人「38歳」、楊傑(ヤン・ジエ)「20歳」、楊林梅(ヤン・リンメイ)「18歳」、楊虎(ヤン・フー)「15歳」、楊小蘭(ヤン・シャオラン)「12歳」の5名を馬車に乗せ、泸水(ルーシュェイ)のルイス城へ向かって出発した。平坦な土地なので軽戦車でも移動できるが、戦以外で軽戦車に乗るのは如何にも大げさなのでルイスには抵抗があった。

山岳地帯でも移動でき、しかも簡易な橋でも渡れるような乗り物は無いものかとルイスは思案した。陳明花(チェン・ミンファ)たちは初めての馬車移動なので、大喜びし、子供たちもはしゃいでいる。

色々ルイスには思案せねばならぬことが多いが、当面は戦の準備特に昭通近辺の情報収集が喫緊の課題である。ルイスは馬車の中で、陳明花(チェン・ミンファ)に聞いてみた。

ルイス:陳明花(チェン・ミンファ)よ。そなたは昭通について知っていることはあるか?

陳明花(チェン・ミンファ):私は四川省の落表鎮出身でございます。彝(イ)族の一族長の娘でございます。娘時分に、宜賓(イービン)の街で白酒問屋に勤めました。そこの客であった、楊道林(ヤン・ダオリン)に見初められ一緒になったのでございます。昭通へは何度か参りました。

ルイス:宜賓(イービン)からだとやはり徒歩で行くのか?

陳明花(チェン・ミンファ):馬と徒歩でございます。乗馬ばかりですと馬が疲れてしまいますので、休ませながら進むのでございます。

陳明花(チェン・ミンファ):大きい宿場町だけを申し上げますと、宜賓(イービン)、塩津、豆沙、昭通、曲靖、昆明となります。

ルイス:それはいわゆる秦の5尺道のことだな。

陳明花(チェン・ミンファ):左様でございます。まだご質問にはお答えしていませんでしたわね。昭通には多くの民族が暮らしております。一番多いのが私の出身部族である、彝(イ)族でございます。他にもミャオ族、フィ族などが暮らしております。

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1.苗(ミャオ)族:
自然崇拝に近い宗教を持っている。
独自の言語や文化的背景を持つ。
食文化には酸味のある料理が多く、酸辣湯「サンラータン、酸辣汤」や酸汁魚などが代表的。

2.彝(イ)族:
中国の少数民族の一つ。
四川省、貴州省、雲南省、広西チワン族自治区の高地に居住。
農耕や牧畜を主な生業とし、チベット・ビルマ語系の彝語を話す。
雲南省昭通は彝族の発祥地の一つで、昭通地区に広く居住している。

3.回(フイ)族:
主にイスラム教を信仰する中国の少数民族。
ハラール食品、特に牛肉と羊肉を用いた料理で知られる。
アラビア文字を用いた独自の中国語文字「アラビア文字で表記された漢語」が存在する。
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ルイス:うむ。私の知りたいことを簡潔にまとめてくれたな。お前を側女(そばめ)にしておくのは勿体ない。

陳明花(チェン・ミンファ):殿様のお傍にお仕え出来るだけで私は幸せでございます。これ以上は何も望みません。殿様と我が子達と一緒に居られれば私は充分でございます。

6月29日土曜日、午後3時。泸水(ルーシュェイ)のルイス城
ルイスは遅がけの昼食を料理人に作らせ、陳明花(チェン・ミンファ)夫人「38歳」、楊傑(ヤン・ジエ)「20歳」、楊林梅(ヤン・リンメイ)「18歳」、楊虎(ヤン・フー)「15歳」、楊小蘭(ヤン・シャオラン)「12歳」の5名と一緒に食べた。

彼らの元へ、周恩来(ジョウ・エンライ)と劉月華(リウ・ユエファ)(48歳)のふたりが駆けつけた。

ルイスはリス族の5名を引き取ったことを説明し、周恩来(ジョウ・エンライ)と劉月華(リウ・ユエファ)(48歳)のふたりに自己紹介させた。

☆幹部会議
ルイスはリス族との同盟が成立したことを話し、今後の方針を告げた。

1.ひと月後に2万名の軍勢が宜賓(イービン)、塩津、豆沙、昭通と進んでくる。我らはそれまでの間に昭通近辺の民族「漢民族、彝(イ)族、.苗(ミャオ)族、回(フイ)族」と交渉し、味方に付けるのだ。交渉へは俺と周恩来(ジョウ・エンライ)が臨む。

2.泸水(ルーシュェイ)周辺は平坦な土地なので軽戦車でも移動できるが、戦以外で軽戦車に乗るのは如何にも大げさなのでルイスには抵抗があった。雲南高原があり、雲南省と貴州省の省境はほとんどが山岳地帯だ。山岳地帯でも移動でき、しかも簡易な橋でも渡れるような乗り物は無いものか。

3.漢民族以外で最大の勢力、彝(イ)族を先ず味方に付ける必要がある。そのために、彝(イ)族族長の娘であり、元リス族族長の妻である、陳明花(チェン・ミンファ)(38歳)に一役買ってもらう。

周恩来(ジョウ・エンライ):自動二輪と言う物がありますぞ。周恩来(ジョウ・エンライ)は大型のハーレーダビッドソンの写真をルイスに見せた。

ルイス:これは良いが、少し大きすぎる。軍隊が山越えをしたり、簡易な橋を渡ったり出来る物が欲しい。

周恩来(ジョウ・エンライ):一度西欧の商人に問い合わせてみましょう。

ルイス:良し。お前に任せよう。

周恩来(ジョウ・エンライ):ルイス様。昭通近辺の民族「漢民族、彝(イ)族、.苗(ミャオ)族、回(フイ)族」と交渉し、味方に付けるのもよろしいですが、その前に雲南省の大理をお固めになっては如何ですか?この泸水(ルーシュェイ)からだと昭通などより、雲南省の省都とも言うべき大理の方が遥かに近いのですぞ。

ルイス:そうだったのか?そう言えば重慶からここまで6時間も掛かったな。麗江よりも遠いところだったのだな。うむ。計画を少し変えて大理を攻略しよう。

周恩来(ジョウ・エンライ)、劉月華(リウ・ユエファ):3番目の案件は彼女をどうされるおつもりですか?

ルイス:彼女はすでに私の側女(そばめ)として貰い受けた。だが側女(そばめ)の立場では彝(イ)族の者たちへのアピール性にやや欠ける。

周恩来(ジョウ・エンライ):なるほど。ルイス様の妻とされるわけですね。

ルイス:その通りだ。陳明花(チェン・ミンファ)を側室とする。異存のある者は遠慮せず、この場で申せ。

劉月華(リウ・ユエファ)(48歳)は大反対であったが、その理由を説明できなかった。理由はある。これ以上ルイスの妻を増やしたくない。側女であっても許せなかった。自分より10歳も若いことも嫌であった。動揺し、反発し、嫉妬する心を抑えきれない。

彼女は泣きながらその場を黙って立ち去った。

周恩来(ジョウ・エンライ):ルイス様。相当怒っておられますぞ。

ルイス:そのようだな。しかし、考えても見ろ。劉月華(リウ・ユエファ)を側室にしたときのエリザベスの気持ちを。もっと耐えられなかったはずだろう。

周恩来(ジョウ・エンライ):ルイス様。エリザベス様と陳明花(チェン・ミンファ)さんは38歳です。劉月華(リウ・ユエファ)さんは48歳と10歳も年上なのです。焦りもしましょう。

ルイス:そういうことか。でもこればかりはどうしようもない。これからも有り得ることだ。

ルイスは、泣いている劉月華(リウ・ユエファ)(48歳)の元を訪れ、こう告げた。

"お前の気持ちは分からないでもない。少し前のことだが、お前を側室に推挙したいとエリザベスに告げたことがある。反対されたらその案を取り下げるつもりだった。しかし、エリザベスはお前の学識を評価し、お前を側室にすることを受け入れた。お前は自分の年齢のことを気にしているようだが、周りの者たちがお前のことをどう言っているのか聞いたことがあるか?一度鏡を見てみろ。20代の後半にしか見えないぞ。もうひとつ言ってやろう。お前は自分がすでに妊娠していることを知らないのか?胸に手を当てていや腹に手を当てて良く考えてみろ”

劉月華(リウ・ユエファ)はルイスに言われて、侍女たちに聞いてみた。侍女たちは”奥様は20代にしか見えませんよ。一度鏡をご覧になったら如何ですか?”と言う。

劉月華(リウ・ユエファ)は鏡をじっくり眺めて自信を取り戻した。"鏡の中の自分はまるで若い頃の美貌を取り戻したかのように艶やかで魅力的だった。これなら、リス族の女になんか負けやしない。ルイスの言った通りお腹に手を当ててみた。妊娠しているかどうかなど誰にも分かりはしないが、可能性は充分にある"と思えた。

彼女はルイスのところに戻り、"私が悪うございました。只々醜い嫉妬心の表れでございました。彼女を側室と認め、仲良くルイス様にお使えしたく思います"と告げた。

ルイスは一安心し、今夜の伽は、劉月華(リウ・ユエファ)のところへ行くと決めた。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

土曜日の朝、ルイスは陳明花夫人とその子供たちを馬車でルーシュェイの城へ連れて行きました。彼は山岳地帯でも簡易な橋でも渡れる乗り物を考案したいと思いつつ、陳明花夫人から昭通の情報を聴きました。彼女は自身がイ族出身で、昭通を含むいくつかの町を伝える重要なルート、秦の5尺道についての知識があると述べました。 陳明花夫人はルイスに昭通の民族構成について教え、彼女が出身のイ族が最多であること、その他にミャオ族やフイ族も暮らしていることを伝えました。ルイスは彼女の洞察力を高く評価しました。 その後城に戻ったルイスは豊かな昼食を取りながら、周恩来と劉月華と共に軍勢の進行計画と周辺民族との交渉戦略について話し合いました。特に、彝族の同盟を締結するために陳明花夫人のコネを利用することが重要であるとしました。 会議で、ルイスは陳明花夫人を側室にすることを発表しましたが、劉月華はこれに強く反対しました。嫉妬と動揺を抱えながら、彼女は立ち去ってしまいました。周恩来は劉月華の動揺を理解し、指摘しました。ルイスは陳明花夫人と劉月華の年齢差にまつわる不安を理解しましたが、事態を受け入れるしかないと述べました。 後ほどルイスは、劉月華に自分の価値を見いだすよう慰め、彼女がすでに妊娠している可能性に気づかせました。彼女は自分の美しさと妊娠の可能性を受け入れ、陳明花夫人を側室として歓迎し、ルイスのもとに仕えることを改めて決意しました。ルイスは安心し、夜は劉月華の部屋で過ごすことを決めました。