小説「海と陸の彼方へ」

 

第五章大渡河に掛かる橋

 

第28話ルイス海賊となる「外国商船との戦い」③

 

前書き

ルイスとエリザベス、子供たちは治療院の見学を終えて、院の外に出た。重慶の古い街並みが彼らを迎えた。エリザベスは治療院で目にした光景に深く心を動かされていた。子供たちもまた、新たな世界の一片を垣間見たように思えた。エリザベス:重慶に来て、初めて中国が抱える本当の問題を理解した気がします。私たちの行いがどれほどの影響を与えていたのか……。ルイス:はい、この国の人々は外国の影響で多くの苦しみを経験しています。しかし、私たちにはそれを変える力があります。ウィリアム:でも、パパはどうなるの?彼も一緒に戦うの?ルイス:ジョンは現在、私たちの計画に必要な役割を担っています。彼の安全は保障されています。エリザベス:ジョンが戻るまで、私たちもここに留まります。彼の帰りを待つ間、私たちにできることがあれば何でもします。ルイスはエリザベスの決意を受け入れ、彼女と子供たちが彼らの計画に参加することを許可した。彼はエリザベスと子供たちを自分のチームの一員として扱い、彼らに重要な任務を割り当てることを考え始めた。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 ヘクターの浮気が発覚し、ヘクターと離婚した。
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 ヘクターに誘われ、行動を共にすることになる。
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ルイスの資金は小切手50億ドル。金塊50トン。銀錠50億両「内訳は一般会計20億両、特別会計30億両である」。今までに一般会計は20億両の予算のうち506万5千両支出した。特別会計は30億両の予算を組み、今までに827,799,250両支出した。前話でイギリス商船ブリタニア号とその積荷を買い取り、所有者の妻エリザベスに銀錠380,150両分の為替を支払った。またイントレピッド号の水夫たち150名にそれぞれ500両の報奨金「合計75,000両」を支払った。総計すると特別会計は30億両の予算のうち支出額は83,235,075両である。
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ルイスの元捕虜兵。現在は忠実な部下と妻たち。
1.周恩来(ジョウ・エンライ)(37歳)。ルイスの参謀。江蘇省出身。
・穏やかで知的な性格をしており、どんな状況でも冷静さを失わない。
・話し方には礼儀があり、分析的で思慮深い。
・組織的な思考を持ち、リーダーシップを取れる。
・他者に対しては理解深く、共感を示すことができる。
2.ナディア・アミール・アル・サン(42歳)。ルイスの第一夫人「政治担当」。上海出身。
・自立心が強く、決断力がある女性。
・社会的な問題に対して意識が高く、積極的に意見を表明する。
・優雅で洗練された振る舞いを持ち、周囲に対しても敬意を払う。
3.サリマ・ファイサル・アル・ハウ(25歳)。ルイスの第二夫人「会計担当」。江西省出身。
・勇敢で情熱的な性格。自分の信念に強く固執する。
・感情が豊かで、時に感情的になりやすい。
・直感に頼ることが多く、行動的で果敢な面がある。
4王光美(ワン・グアンメイ)(14歳)。ルイスの第三夫人「軍隊担当」。山東省出身。
・年の割には成熟しており、好奇心が強い。
・柔軟な思考を持ち、新しい環境にも早く適応する。
・人懐っこく、周りの人々との交流を楽しむが、時には頑固な一面も。
5.テンパ・ティンリー(24歳)。パイロット。チャン・ユン(42歳)の長男。チャン・ユン(42歳)は摩梭(モソ)族:落水下村出身。
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イギリス人捕虜
船長:ジョン・ハーレイ(John Harley)
年齢: 40歳
背景: イギリス出身の熟練した船長。厳格だが公正で、乗組員からの信頼が厚い。商船航海に長年従事しており、東アジアの海域に精通している。
性格: 最初はルイスの行動に反発していたが、その公正な行動原理と人間性に次第に感銘を受け、ルイスに忠誠を誓うようになる。
妻:エリザベス・ハーレイ(Elizabeth Harley)
年齢: 38歳
背景: イギリスの中流家庭出身。夫の仕事を支えるために、度々海を渡る。
性格: 温和で思慮深く、家族を深く愛する。夫と同様に最初はルイスに不信感を抱いていたが、彼の真摯な態度に心を動かされる。
息子:ウィリアム・ハーレイ(William Harley)
年齢: 16歳
背景: 船長の息子として海上生活に慣れ親しんでいる。航海術に興味を持ち、父から学んでいる。
性格: 好奇心旺盛で活発。ルイスの冒険的な精神に魅了され、彼を尊敬するようになる。
娘:エマ・ハーレイ(Emma Harley)
年齢: 14歳
背景: 船長の娘として幼少期から多くの国を訪れている。異文化に対する興味が強い。
性格: 社交的で好奇心が強く、新しい環境にすぐに適応する。ルイスの持つ異文化への敬意と好奇心に共感を覚える。

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ニューヨーク市の行政地図 

アメリカ合衆国東部 
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52 


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」 

北米「ダラスを中心として」
帝国書院「地歴高等地図」P67,68


マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征

中国地図
出典 建築資料研究社「住まいの民族建築学」浅川滋男著 P8

 

6月23日日曜日午後3時:重慶・アヘン中毒治療院、リハビリセンター
ルイスとエリザベス、子供たちは治療院の見学を終えて、院の外に出た。重慶の古い街並みが彼らを迎えた。エリザベスは治療院で目にした光景に深く心を動かされていた。子供たちもまた、新たな世界の一片を垣間見たように思えた。

エリザベス:重慶に来て、初めて中国が抱える本当の問題を理解した気がします。私たちの行いがどれほどの影響を与えていたのか……。

ルイス:はい、この国の人々は外国の影響で多くの苦しみを経験しています。しかし、私たちにはそれを変える力があります。

ウィリアム:でも、パパはどうなるの?彼も一緒に戦うの?

ルイス:ジョンは現在、私たちの計画に必要な役割を担っています。彼の安全は保障されています。

エリザベス:ジョンが戻るまで、私たちもここに留まります。彼の帰りを待つ間、私たちにできることがあれば何でもします。

ルイスはエリザベスの決意に感銘を受け、彼女と子供たちの計画参加を承諾した。彼は彼らを自分のチームの一員として迎え入れ、重要な任務を割り当てることを考え始めた。

ルイスは南充のアヘン治療院・リハビリセンターもしくはショッピングモールでの仕事が一番危険が少ないと判断し、エリザベスたちの住む場所の手配を南充石油王の大奥様:王華(ワン・ファ)に頼むつもりになった。

ルイス:エリザベスさん。貴方には南充にあるアヘン治療院・リハビリセンターもしくはショッピングモールでの仕事をお願いしようと思う。そこで貴方達の住居の件なんだが、仕事先から近いほうが良いと思うんだ。

エリザベス:全て貴方にお願いするわ。南充というのはここから近いの?

ルイス:重慶からは船で行ける。嘉陵江(ジャーリン ジャン)という河を遡っていくんだ。でも今日は飛行機改良DC-2で行こうと思う。

エリザベス:飛行機なんか初めて乗るわ。怖くないかしら。

ルイス:僕が運転するから大丈夫だよ。僕の大事な女神様を乗せていくんだから慎重に運転するさ。

エリザベス:お世辞ばかり言って。本当に馬鹿なんだから。でも今は子供たちがいないからキスだけしてあげる。

エリザベスは伸び上がってルイスにキスし、ルイスの舌を求めた。ルイスは大きな舌を真っ直ぐにエリザベスの口の中に差し入れ、エリザベスは夢中になってルイスの舌を吸い立て舐めしゃぶった。

☆重慶から南充までの一時間の飛行「6月23日午後3時半から午後4時半」
午後3時半、重慶空港から離陸したプロペラ機は、ルイス一行を乗せて青空を舞う。重慶の広大な都市景観が徐々に小さくなりながら、彼らの目の前に広がるのは嘉陵江沿いの壮大な自然の風景であった。窓から外を眺めるエリザベスと子供たちの表情には、新たな冒険への期待と興奮が溢れていた。

飛行機は嘉陵江を遡り、その蛇行する美しい流れを一望できた。江の両岸には緑豊かな風景が広がり、田園や小村の様子が絵画のように美しい。彼らは、中国の自然が持つこの美しさに見とれていた。

南充に近づくにつれ、ルイスの目は下に広がる油田や石油精製所に釘付けになった。彼はこれらの施設が地域経済に与える重要性を理解しており、南充の油田の景色に特別な意味を見出していた。新しく出来たショッピングモールやアヘン治療院、リハビリセンターも、その発展を物語っていた。

飛行機は無事に南充の空港に着陸し、彼らは新しい目的地への期待を胸に新たな任務に臨む準備を始めた。南充の油田地帯は、嘉陵江の自然美と工業の発展が見事に融合した地域で、四川省の経済と文化の重要な拠点としての役割を果たしている。秋の金色に輝く稲田、春の新緑、そして冬の霧に包まれる風景は、四季を通じて訪れる人々を魅了する。ここでの生活は、伝統と現代が調和する独特の環境の中で展開されているのである。

☆エリザベスのルイスへの心遣い
エリザベスはルイスがエリザベスを心の底から欲していることを十二分に察していた。ふたりが思いを隠しきれずに抱擁し、キスしているときの彼の反応がびんびんと伝わってくるのである。

エリザベスはルイスを不憫に思いながらも夫のいる身だからおいそれとは受け入れられなかった。だからせめて手や口でと思い、操縦席のルイスの下半身に手を伸ばし、手と口を使って解消させてやろうと試みた。飛行機の放つ爆音で最後尾の座席に座っている子供たちには聞こえないし、彼らは窓から見える景色を夢中で見入っている。

5分経っても10分経ってもルイスは中々埒を開けてくれない。エリザベスが焦っていると急に彼女の身体は宙に浮き、あっという間に全裸に剥かれ、彼の膝の上に載せられた。いわゆる座位の形になった。

動揺したエリザベスは自ら動くことはなかったが、飛行機の振動のおかげでエリザベスの身体は見る見るうちに激しい快感の高みに押し上げられた。繰り返し繰り返し押し寄せてくる絶頂の嵐に耐えかねたエリザベスは金切り声を思わず張り上げたが、幸いにもプロペラの回る悪音にかき消され子供たちに気取られることはなかった。エリザベスがやっと開放されたのは着陸するたったの5分前であった。

☆午後5時:南充石油王・劉鵬飛(リウ・ペンフェイ)邸:正房R1
ルイスたちは、劉鵬飛(リウ・ペンフェイ)邸に着き、大奥様、王華(ワン・ファ)の部屋へ向かった。

王華(ワン・ファ)(45歳)「20歳の若返り」:ルイスちゃんか。良く来たな。こちらの御婦人はどなたかな?

ルイス:こちらの方はイギリスの方でエリザベスさんと言います。私のアヘン治療院またはショッピングモールをお任せしようと考えています。

王華(ワン・ファ):それでは住む場所を決めてやらないといけないな。西房の一番北の区画を使ってもらおうか。ルイスちゃんが案内してやると良い。

ルイス:早速決めて頂き有難うございます。私は何処を使えば良いでしょうか?

王華(ワン・ファ):そうだな。エリザベスさんが住む区画のすぐ南の区画「廂房R2」にしなさい。

ルイスはエリザベスたちを西房の一番北の区画「廂房R1」へ案内した。

☆廂房R1
どこの区画も3つの大きな部屋で構成されている。エリザベスとふたりの子供たちが住むには広すぎるくらいだが、個室が確保されたので子供たちは大喜びである。

エリザベスは真ん中の一番大きな部屋を使用することにし、ルイスと一緒に部屋中を見て回った。30畳くらいの広さで、中には倉庫「物置」、衣装ケース、寝室、風呂、ソファー、八仙卓、四仙卓、方卓、各種の椅子、収納具などが置かれている。

寝室というのはベッドのことではなく、文字通りに大きな部屋の中に四角い箱が置かれてあるのだ。上部には屋根が取り付けられ、四周に蚊帳を張る。前には低い踏み台があり、その両端に2つの小さな収納具がある。一つはオマルであり、もう一つには寝具「寝間着など」を入れる。収納具の上にはランプが置かれている。

ルイス:エリザベスさん。私もここで一緒に寝ても良いですか?

エリザベス:子供たちに聞こえないかしら。私が貴方の部屋に行くのはどうかな?

ルイス:勿論良いですよ。今夜が私達の初夜ですね。

エリザベス:何だか恥ずかしいわ。私の年齢は貴方の倍もあるのよ。

ルイス:愛には年齢は関係ありません。

エリザベス:年齢と言えば、大奥様ってお幾つくらいなのかしら?息子さんの当主:劉鵬飛(リウ・ペンフェイ)さんとあまり変わらないように見えるわ。

ルイス:確か65歳とお聞きしましたけど、40代にしか見えませんね。

エリザベス:秘訣をお聞きしたいわね。

ルイス:エリザベスさんには必要ありません。私が保証します。

エリザベス:ルイスちゃんは私の事が本当に好きなのね。ルイスちゃんに愛されて私は幸せよ。でも主人に悪いような気がしてならないの。

ふたりが仲良く喋っている時に、侍女が"夕食の時間ですよ"と呼びに来た。

6月23日日曜日夕刻:南充・劉鵬飛(リウ・ペンフェイ)邸、大奥様の食堂
夕暮れの南充にて、ルイスとエリザベスは劉鵬飛の広大な邸宅において夕食の席に着いた。大奥様、王華(ワン・ファ)さんが主催するこの食事は、彼らにとって新しい経験となった。

大奥様の食堂は、伝統的な中国の豪華さと洗練された装飾が見事に融合している。重厚な木製の長い食卓には、手作りの絹製のテーブルクロスが敷かれ、その上には金彩が施された磁器の食器が並べられていた。部屋の隅々には、清朝時代の貴族の生活を思わせる美しい絵画や陶磁器が飾られており、その歴史的な背景が感じられた。

食堂に入ると、王華さんはエリザベスたちを温かく迎え、食事の席へと案内した。彼女の佇まいは、彼女が清朝の王女の血を引く者であることを思わせるものであり、その振る舞いには威厳が漂っていた。

食事は、地元南充の伝統料理で構成されており、ルイスとエリザベスにとっては新鮮な味わいが広がった。テーブルには、四川省特有の辛味と香り豊かな料理が並び、それぞれの皿からは色鮮やかな見た目と香ばしい香りが漂っていた。麻婆豆腐、宮保鶏丁、魚香茄子など、多彩なメニューが並べられた。

夕食中、王華さんはエリザベスに対し、自らの清朝王族の背景や、その歴史について語り始めた。彼女の話には、過去の栄光と現在の変化が織り交ぜられており、エリザベスは彼女の話に魅了されていた。

ルイスとエリザベスは、このような格式高い食事に参加するのは初めてであり、その独特な雰囲気に圧倒されつつも、新しい文化との出会いに喜びを感じていた。食卓での会話は和やかでありながらも、王華さんの話には深い教養と歴史への敬意が感じられた。

食後、王華さんはエリザベスたちに、彼女の家族の歴史に関連する品々を見せながら、その歴史的な意義について語り、エリザベスはそれらの話に深い関心を示した。この夕食は、エリザベスと子供たちにとって、中国の豊かな文化と歴史を肌で感じる貴重な機会となった。

☆元清朝王女、王華(ワン・ファ)との会談
ルイスとエリザベスは、大奥様から呼び出しを受け、庁堂へ急いだ。そこには、大奥様:王華(ワン・ファ)、若奥様:李芳蓉(リー・ファンロン)(37歳)、当主の妹:劉芸芸(リウ・ユェンユェン)(38歳)の3名が揃っていた。

王華(ワン・ファ):ルイスよ。昨今の働き見事であった。褒めて遣わす。ルイス、陳浩然(チェン・ハオラン)(33歳)を知っておろう。

ルイス:はい。存じております。敵ながらあっぱれな男で、中々の勇者でございます。

王華(ワン・ファ):彼が今朝訪ねてきてな。お前の活躍ぶりをつぶさに此処に居る者と一緒に聞かせてくれたのじゃ。劉鵬飛(リウ・ペンフェイ)(40歳)や劉天賜(リウ・ティエンスー)(68歳)のふたりが戦いの最中に船倉に隠れていたこともな。

王華(ワン・ファ):わらわは即座に決心した。あの親子にこの家を任せてはならぬとな。ルイスよ。この家の当主になってくれ。

ルイス:当主と申しましても私は一介の浪人ですよ。まだ独身ですし。

王華(ワン・ファ):これはそなた次第なのだが、我が家はそなたを巴蜀・雲南国の国王に推戴したい。そなたも承知の通り、中国は西欧列強の餌食にされておる。西欧列強だけではなく、東洋の強国日本までが満州事変を起こし、満州に傀儡政権を作る始末だ。国王になり、中国を救ってはくれぬか。そのための力添えはしよう。

王華(ワン・ファ):条件は一つだ。今此処にいる私も含めた3名の女性をそなたの妻として娶ってもらうことだ。

ルイスは腰を抜かすほど驚いたが、辛うじて"3名も娶ることなど出来ますまい"とだけ告げた。

王華(ワン・ファ):国王は宗教を超えた存在なのだ。妻は何人でも娶れる。王妃は一人だけだがな。

ルイス:分かりました。私も条件を出しましょう。今此処に同席しているエリザベスに今から求婚します。彼女が引き受けてくれたら、エリザベスを王妃にするのをお許しください。貴方方3人は側室といたします。

ルイスはこの場でエリザベスに求婚した。エリザベスは困惑し、千々に乱れる心を落ち着かせようとした。彼女自身の気持ちは定まっていた。ルイスを何時の間にか愛していたのである。彼女は子供たちに気持ちを聞いた。ふたりとも内心の動揺を抑えて、優等生的な答えをした。"それはお母さんの気持ち次第だよ。断ってくれたほうが嬉しいけどね"

エリザベスはルイスにイエスと返答した。

ルイス:良いのか?お前は王妃になるが、側室も大勢いるんだぞ。

エリザベス:良いのよ。貴方が私を愛していることは知っているわ。でなければ誰が王妃にするなどというものですか。

王華(ワン・ファ):良し。話は決まった。エリザベスが王妃。我々3人は側室である。我々3人以外の我が家の女性は全員ルイス王の側女である。皆の者、今後後宮のことはエリザベス王妃に従うのだ。

王華(ワン・ファ)は女性たち全員に命令して、ルイスとエリザベス及び大奥様:王華(ワン・ファ)、若奥様:李芳蓉(リー・ファンロン)(37歳)、当主の妹:劉芸芸(リウ・ユェンユェン)(38歳)の3名との合同結婚式の手配を整えた。

6月24日月曜日:南充・劉鵬飛(リウ・ペンフェイ)邸、合同結婚式
静かな朝の光が広大な庭園を照らし出す中、南充の劉鵬飛邸では、ルイスとエリザベス、王華(ワン・ファ)たち3人の側室との合同結婚式が行われた。庭園は華やかな装飾で飾り付けられ、旧清朝の王族の格式を思わせる豪華さが漂っていた。

式は伝統的な中国の儀式に則り、王華(ワン・ファ)が進行役を務めた。ルイスは伝統的な中国の王族の衣装を身に纏い、エリザベスは美しい中国式の王妃のドレスを着用していた。側室たちも、それぞれ色とりどりの美しい衣装で飾られていた。

庭園に響く伝統音楽の中、ルイスとエリザベス、側室たちは順番に儀式を執り行い、結婚の誓いを交わした。彼らの姿は、結婚式の証人となった多くの招待客たちに深い印象を与えた。

式の後、豪華な宴が開かれ、多彩な中国料理と共に祝福の言葉が交わされた。宴の席では、ルイスとエリザベスが中心となり、新しい家族としての絆を深める時間となった。

☆夜:ルイスとエリザベスの初夜
結婚式の余韻が残る静かな夜、ルイスとエリザベスは、新たに彼らのために用意された豪華な寝室にて初夜を迎えた。部屋は伝統的な中国の装飾が施され、柔らかな灯りが二人の姿を照らし出していた。

エリザベスは深い感情の海に浸っていた。エリザベスはルイスへの葛藤と恋心を打ち明け、心の奥底にある愛を語った。ルイスもまた、エリザベスに対する深い愛情を言葉と行動で示し、二人の間には強い絆が形成されていった。

彼らの初夜は、情熱的でありながらも優しさに満ちた時間となり、二人の関係はより一層深まった。彼らは互いの愛を確認し合い、新たな人生の旅路を共に歩む決意を固めた。

この夜は、ルイスとエリザベスにとって忘れられない思い出となり、彼らの未来に新たな希望の光をもたらした。

☆エリザベスの決心
エリザベス:ルイス。聞きたいことがあるんだけど。

ルイス:何だい?

エリザベス:私に奪った品物や船の代金を支払ってくれたでしょう?

ルイス:そうだな。僕はエリザベスに一目惚れして、自分のことを海賊と思われたくなかったんだ。

エリザベス:もう私に遠慮は要らないわ。イギリス商船でも何処の商船でも奪った物は貴方の物にしなさい。お金も女もそうよ。

ルイス:お前はそれで良いのか?俺が他の女と寝るかも知れないぞ。

エリザベス:勿論よ。私は王妃なのよ。誰よりも身分が上だわ。それにね。私の勘では妊娠したような気がするのよ。さっきのセックスでね。

ルイス:そうか。女性の第六感は凄いと言うからな。まあ。信じて待つことにしよう。身体を大事にしてくれよ。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

王華(ワン・ファ):これはそなた次第なのだが、我が家はそなたを巴蜀・雲南国の国王に推戴したい。そなたも承知の通り、中国は西欧列強の餌食にされておる。西欧列強だけではなく、東洋の強国日本までが満州事変を起こし、満州に傀儡政権を作る始末だ。国王になり、中国を救ってはくれぬか。そのための力添えはしよう。王華(ワン・ファ):条件は一つだ。今此処にいる私も含めた3名の女性をそなたの妻として娶ってもらうことだ。ルイスは腰を抜かすほど驚いたが、辛うじて"3名も娶ることなど出来ますまい"とだけ告げた。王華(ワン・ファ):国王は宗教を超えた存在なのだ。妻は何人でも娶れる。王妃は一人だけだがな。ルイス:分かりました。私も条件を出しましょう。今此処に同席しているエリザベスに今から求婚します。彼女が引き受けてくれたら、エリザベスを王妃にするのをお許しください。貴方方3人は側室といたします。