小説「海と陸の彼方へ」

 

第四章新主人公ヘクター石油王国を設立する

 

第10話ヘクター石油を掘り当てる(中編その5)

 

前書き

「ヘクターさんは信頼に足る方だけれど、クラウディア・コステロはニューヨーク・マフィアの中でも一際手腕を振るう人物...。エドゥワルドさんが彼女の手によってあっという間に組織を崩されたのを考えると、私がここに留まるのは本当に安全なのかしら。ルイスさんと共に南京へ行くべきだったのかもしれない」とセリーナは自問自答していた。「セリーナさん、ちょっといいかな?隣人を紹介したいんだよ」とヘクターさんが言った。セリーナがドアを全開にすると、数人の男女が室内に入ってきた。ヘクターさんは彼らを紹介し始めた。「セリーナさん、こちらがお隣の家族です。ダラスでスティールクラフト鉄工所を経営しているんだ。ここの鉄工所で工場を建設し、自分たちの住む家も建ててもらっているんだ。もちろん、この母屋やあなたが住んでいる離れの改築も彼らにお願いしているんだよ」

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
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ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。
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・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 ヘクターの浮気が発覚し、ヘクターと離婚した。
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 ヘクターに誘われ、行動を共にすることになる。
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マリア・エバ・ドゥアルテ「マリア・D」16歳の家族 
・エルヴィラ・ドゥアルテ13歳。マリアの妹。 
・カタリナ・イルデフォンソ20歳。ルドラ金融㈱営業部長。 
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マリア・ヴァレンティーノ「マリア・V」54歳。アンヘルの恋人兼投資パートナー。ヴァレンティーノ・ファミリーの死亡したボス:ヴィンセント・"ヴィニー"・ヴァレンティーノ(56歳)の元妻。莫大な資産「推定500億ドル」を持つ。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。
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セリーナ・マッキンノン(27歳)。エドゥワルドの第2夫人。クラウディア・コステロ(42歳)から追われている。亭主のエドゥワルド(24歳)はクラウディアに追われて海外逃亡している。
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トーマス・ウェブスター(43歳)。ヘクター綿花農園支配人。の土地と作物を愛する熱心な男で、彼の深い眼差しには農園への誇りがにじんでいる。
アン・ウェブスター(31歳)「10歳の若返り」。ヘクターの愛人。トーマス・ウェブスターの妻。ヘクター綿花農園副支配人。夫を支えるしっかり者で、地域の学校で子供たちに読み書きを教える傍ら、農園の事務も見ていた。二人の子供、ジェームズ(15歳)とエリー(12歳)は、学校から帰ると農園の手伝いをしている。
ジェイコブ・ハリス(36歳)。ヘクター綿花農園農夫頭。筋骨隆々の腕で一日中畑を耕し、綿花の栽培に情熱を注いでいる。
エマ・ハリス(24歳)「5歳の若返り」。ヘクターの愛人。ジェイコブ・ハリスの妻。ヘクター綿花農園農婦頭。農園のキッチンを切り盛りし、農作業で疲れた人々に温かい食事を提供している。彼らには3歳の愛らしい娘、リリーがおり、彼女の無邪気な笑顔は農園の人々の心を和ませている。
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スティールクラフト鉄工所の オーナーの家族
1. フランク・ミラー(52歳): スティールクラフト鉄工所のオーナー。石油掘削機材の製造にも詳しい。
2. エリザベス・ミラー(29歳)「20歳の若返り」: ヘクターの愛人。フランクの妻。ヘクター不動産㈱「資本金5,000万ドル」の社長。家庭を支える一方で、鉄工所の経理も手伝っている。
3. サラ・ミラー(24歳): 長女。ヘクター建設㈱の社長。大学を卒業後、父のビジネスを手伝っている。特にマーケティングと顧客関係に強い。
4. ジョン・ミラー(21歳): 長男。ヘクター建設㈱の副社長。大学で機械工学を学んでおり、将来は鉄工所を継ぐ予定。
5. エミリー・ミラー(16歳): 次女。高校生で、アートに興味がある。将来はデザイナーになりたいと考えている。

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ニューヨーク市の行政地図

アメリカ合衆国東部
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」

北米「ダラスを中心として」
帝国書院「地歴高等地図」P67,68

マフィアの組織図「パブリックドメイン」

 

5月10日金曜日午後2時、ヘクター綿花農場離れのセリーナの居宅
空に浮かぶ雲が濃い陰を地上に落としている午後、ロサンゼルスへと急ぎ足で旅立ったルイスに続いて、セリーナ・マッキンノンはヘクター綿花農場の離れで孤独な時間を過ごしていた。27歳の彼女は、緑豊かな庭を見渡せる居室で、これからの身の振り方を深く思案していた。

「ヘクターさんは信頼に足る方だけれど、クラウディア・コステロはニューヨーク・マフィアの中でも一際手腕を振るう人物...。エドゥワルドさんが彼女の手によってあっという間に組織を崩されたのを考えると、私がここに留まるのは本当に安全なのかしら。ルイスさんと共に南京へ行くべきだったのかもしれない」とセリーナは自問自答していた。

その時、ドアが力強くノックされる音が響いた。恐る恐るドアを開けると、ヘクターさんが優しい微笑を浮かべて立っていた。彼の後ろには、いくつかの人影が見え隠れしている。

「セリーナさん、ちょっといいかな?隣人を紹介したいんだよ」とヘクターさんが言った。

セリーナがドアを全開にすると、数人の男女が室内に入ってきた。ヘクターさんは彼らを紹介し始めた。

「セリーナさん、こちらがお隣の家族です。ダラスでスティールクラフト鉄工所を経営しているんだ。ここの鉄工所で工場を建設し、自分たちの住む家も建ててもらっているんだ。もちろん、この母屋やあなたが住んでいる離れの改築も彼らにお願いしているんだよ」

ヘクターさんは続けて、スティールクラフト鉄工所のオーナー、フランク・ミラー(52歳)を紹介した。フランクは石油掘削機材の製造にも精通している。その隣には、彼の妻エリザベス・ミラー(49歳)が立っていた。彼女はヘクター不動産㈱の社長であり、家庭を支える傍ら、鉄工所の経理も担っている。

次に紹介されたのは、彼らの長女サラ・ミラー(24歳)。彼女はヘクター建設㈱の社長で、大学卒業後、父のビジネスを手伝いながらマーケティングと顧客関係の分野で特に力を発揮している。サラの隣には長男のジョン・ミラー(21歳)がいた。彼は大学で機械工学を学んでおり、将来は家業である鉄工所を継ぐ予定だ。彼はヘクター建設㈱の副社長としても活動している。

最後に紹介されたのは次女エミリー・ミラー(16歳)。彼女は現在高校生で、アートに強い関心を持っている。将来はデザイナーを目指しており、その夢への情熱が彼女の眼差しからも伝わってくる。

セリーナは、この家族が彼女の新たな支えとなりうることを感じ取った。彼らはただの隣人以上の存在となり、やがて彼女にとって大切な味方となるだろう。彼女は心からの感謝と歓迎の意を表しながら、それぞれに握手を交わした。

ヘクター:ジョンにはもう一つ仕事を頼みたい。教会を建設して欲しいんだ。

ジョン:お安い御用ですが何処に建設しましょうか?土地はいっぱいありますのでね。

ヘクター:セリーナさん。どうですか?教会の建設場所を探しに行きませんか?ソフィアに案内させますよ。

エリザベスが口を挟んだ。"ソフィアさんはこの辺りのことはあまり良く分からないみたいよ。私がセリーナさんと一緒に探すわ"

結局セリーナはエリザベスと一緒に馬に乗って広いヘクターの土地を探し回ることになった。

湖畔の美しい風景
セリーナは農婦頭のエマ・ハリス(24歳)の進言に従って、彼女が以前訪れたと言う湖に足を運んでみた。エマは湖で少し泳ぎ、湖の畔の池の水をポンプで掻い出し、大きな魚を大量に捕ったという武勇伝を昼食の時セリーナに話してくれたのである。

湖に着くとそれは見事な景色であった。

5月の上旬、春の息吹がまだ肌に触れる中、湖は穏やかで静寂を保っている。春の光は、若葉で覆われた松の木々を通して湖面に柔らかく降り注ぎ、緑の新芽が光に透けてキラキラと輝いている。

岸辺には春の花が咲き始め、色とりどりの野花が湖の自然な美しさを引き立てている。湖面には、生まれたばかりの命を感じさせるような、若々しい魚の動きが見られる。

空は広がり、澄み渡る青さがこの場所の平和を物語っている。雲一つない晴れ渡った空の下、鳥たちの歌が湖面に反響し、生命の営みが満ち溢れている。

湖畔のどこかで、春の風が新緑を揺らし、木々の間を通り抜けるたびに、新しい季節の到来を告げる爽やかな香りを運んでくる。船着き場にはまだボートがなく、夏の賑わいを待つ静けさがある。

全体として、この風景は春の新たな始まりと生命の再生を象徴する、活気あふれる場所となっている。

セリーナは人々の姿が誰ひとり見えないことが気になっていたが、教会を建設すれば人々も集まってきてくれるのではないかと期待していた。つまり教会の建設地はテキサス西部のこの場所に決まったのである。

あたり一面全ての土地がヘクターの所有する土地であるが、教会の傍に村を作れば良い。ヘクター緑肥農園や綿花農園及び畜産牧場に働く人々もこの近くで生活することを望むだろう。もちろん、ヘクターに村の建設を許可してもらわなければいけないが。

☆孤独なルイス
セリーナ・マッキンノン(27歳)も孤独を感じるだろうが、ルイスはなおさらであった。南京へ行くことになるとは思っても見なかった。せめてカナダとか南米とかに亡命したかった。愚痴を言っても始まらない。ルイスは勇気を振り絞って綿花農場を午後2時に出発した。最新鋭飛行機RC-2が置いてあるのは畜産牧場である。ルイスは運転できるので、ひとりで運転してロスアンゼルスへ向かった。

運転席に座って分かったことであるが、この飛行機はDC-2だと聞いていたがどうもそうではない。ヘクターの命令により大改良されていたのだ。具体的には積載量が3倍になり、それに伴い積載可能燃料も3倍になっていたのだ。これだと太平洋を横断出来るかも知れない。そう思って燃料と飛行可能距離を積算してみたら、やはり駄目であった。中継基地が2か所必要である。

運転席のポケットを探し回ってみた。メモと詳細な路線図が残されていた。メモにはロスアンゼルス→ハワイ→グアム島→マニラ→南京と書いてあり、燃料補給場所も書いてあった。更に"ルイス直属の兵隊5,000名が船でアカプルコからマニラ経由で上海→南京へと向かった。お前のほうが先に着くから蒋介石の指示に従え"とも書いてあった。

ルイスが改良DC-2でハワイへ向かう旅
テキサス西部の畜産牧場から、ルイスは改良されたDC-2飛行機に乗り込んだ。彼の心は複雑な感情で満たされていた。南京への予期せぬ旅立ち、そしてそこで待つ未知の運命。彼はカナダや南米への亡命を望んでいたが、運命は彼を違う道へと導いていた。

午後2時、彼は飛行機のエンジンをかけ、一人静かに空へと舞い上がった。飛行機はヘクターの命令により大幅に改良されており、積載量が3倍に、燃料容量も3倍に増加していた。ルイスは内心、太平洋を横断できるかもしれないと考えたが、計算をしてみると、中継基地が2か所必要であることが分かった。

彼は運転席のポケットを探り、メモと詳細な路線図を発見した。メモには、ロスアンゼルスからハワイ、グアム島、マニラを経由して南京へのルートが記されており、燃料補給の場所も示されていた。更に、彼の直属の兵隊5,000名がアカプルコから船でマニラ経由で上海、そして南京へ向かっていることが書かれていた。

ルイスは深いため息をつきながら、運転席に座り直した。彼の目の前には広大な空と海が広がっていた。飛行機は静かに雲を切り裂き、彼を未知の地へと導いていった。彼は蒋介石の指示に従うことになるが、その前には長い旅が待っていた。

ハワイのホノルルへ向かう道中、ルイスは窓から眺める美しい海の景色に心を奪われつつも、心の中には不安と期待が渦巻いていた。飛行機は次第にハワイの地平線へと近づき、彼の旅は新たな局面を迎えていた。彼は1,000名の兵士たちと合流し、共に未来に向けて歩みを進めなければならなかった。

この飛行機の中、ルイスは孤独と対峙しながらも、自身の使命に対する決意を新たにしていた。彼の前には長く険しい道のりが待っているが、彼はその全てに立ち向かう覚悟を固めていた。ハワイへの到着は、彼にとってただの一時休息であり、真の試練はこれから始まるのだった。

1935年当時のハワイは、アメリカ合衆国の領土でしたが、まだ州にはなっていませんでした。ハワイは1898年にアメリカ合衆国に併合され、その後1949年に公式に州として認められました。したがって、1935年のハワイは、アメリカの準州(Territory)という立場にありました。

1930年代のハワイは、砂糖とパイナップルのプランテーション経済が主体で、これらの産業が島の経済を支えていました。砂糖産業は特に重要で、多くの移民労働者が雇用されていました。これらの労働者は日本、中国、フィリピン、ポルトガル、プエルトリコなど多様な出身国から来ており、ハワイの多文化的な社会の基盤を形成していました。

ハワイはまた、アメリカ軍の重要な戦略拠点でもありました。特に真珠湾は、太平洋地域におけるアメリカ海軍の主要な基地の一つとして機能していました。そのため、1935年当時はすでに軍事施設の建設が進められていました。

観光業もこの時期には発展し始めており、ハワイは美しい海岸、豊かな自然、ユニークな文化で知られるようになっていました。1935年当時、ハワイはまだアメリカ本土や他国からの観光客にとっては遠い旅行地であったものの、その魅力を徐々に世界に広めていました。

総じて、1935年のハワイは、多文化的な社会、成長する経済、そして戦略的な地政学的重要性を持つ地域として、その独特な位置を築いていたのです。

5月14日午前11時:ハワイ・オアフ島真珠湾アメリカ基地
ルイスはメモに記された通り、ジェームズ・ハリントン大佐と面談し、燃料の補給を速やかに受けることが出来た。しかし、ルイスは彼に重大な事実を知らされた。

"アメリカ合衆国上院議員アンヘル・ディアンジェロ(16歳)とアメリカ合衆国大統領ルーズベルトの密約により、ルイスは中国共産党毛沢東暗殺の命令を本人が知らぬ間に受けていた"のである。

ジェームズ・ハリントン大佐はこのような重大な任務を引き受けたルイスを最重要人物と認識し、ルイスをランチに招待した。

真珠湾基地責任者と家族
・ジェームズ・ハリントン大佐: 真珠湾基地の責任者。45歳。長年の軍歴を持ち、特に戦略的思考と組織運営に長けている。
・マーガレット・ハリントン(42歳): ジェームズの妻。地域社会でのボランティア活動に積極的で、特に子供たちの教育と福祉に関心を持っている。
・エリザベス・ハリントン(20歳): 長女。大学で政治学を学びながら、軍事基地内での青少年プログラムに参加している。
・ウィリアム・ハリントン(18歳): 長男。大学進学を控え、将来は海軍に入隊することを夢見ている。

ハリントン邸は広々としたリビングルームから始まり、緑豊かな庭を望むことができる開放的なダイニングルームへと続いていた。白と青で統一されたインテリアは洗練された雰囲気を醸し出しており、海の近くにあることが感じられた。

ジェームズ大佐の妻、マーガレットは温かな笑顔でルイスを迎え、彼の長女エリザベスと長男ウィリアムも好奇心旺盛な目で彼を見つめていた。彼らは反共と反ナチスの立場を取る家族で、若く逞しいルイスの存在に魅了されていた。

ランチは豪華なハワイアン料理で、新鮮な海の幸と地元の野菜がふんだんに使われていた。マーガレットの手作りという事実が、その料理を一層特別なものにしていた。

食事中、ルイスの過去、特にニューヨーク・マフィアのアンダーボスとしての彼の経歴に興味を示したハリントン家族は、彼の話に熱心に耳を傾けていた。ルイスの武勇伝に感嘆し、彼らは次々と質問を投げかけた。

特にマーガレットはルイスの経験に対して深い関心を示し、彼女の質問は洞察に満ちていた。ルイスは彼女の賢さと理解力に魅了され、彼女との会話に熱中した。

エリザベスとウィリアムも彼の冒険譚に夢中で、ルイスの言葉に息を呑んでいた。ランチが進むにつれ、彼らの間には固い絆が形成されていった。

ランチの終わりには、ジェームズ大佐がルイスに対し、今後の安全と任務遂行における支援を約束した。彼らの歓迎と支援により、ルイスはこれからの困難な任務に対して新たな力を得たのだった。

ランチを終え、ルイスはハリントン家族との別れを惜しみながらも、彼の前に待ち受ける長い旅路と使命への決意を新たにした。彼はその地を後にし、次なる目的地へと向かう準備を始めたのである。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

5月14日午前11時:ハワイ・オアフ島真珠湾アメリカ基地……ルイスはメモに記された通り、ジェームズ・ハリントン大佐(45歳)と面談し、燃料の補給を速やかに受けることが出来た。しかし、ルイスは彼に重大な事実を知らされた。"アメリカ合衆国上院議員アンヘル・ディアンジェロ(16歳)とアメリカ合衆国大統領ルーズベルトの密約により、ルイスは中国共産党毛沢東暗殺の命令を本人が知らぬ間に受けていた"のである。ジェームズ・ハリントン大佐はこのような重大な任務を引き受けたルイスを最重要人物と認識し、ルイスをランチに招待した。ハリントン邸は広々としたリビングルームから始まり、緑豊かな庭を望むことができる開放的なダイニングルームへと続いていた。白と青で統一されたインテリアは洗練された雰囲気を醸し出しており、海の近くにあることが感じられた。ジェームズ大佐の妻、マーガレットは温かな笑顔でルイスを迎え、彼の長女エリザベスと長男ウィリアムも好奇心旺盛な目で彼を見つめていた。彼らは反共と反ナチスの立場を取る家族で、若く逞しいルイスの存在に魅了されていた。