小説「海と陸の彼方へ」

 

第四章新主人公ヘクター石油王国を設立する

 

第4話ヘクター石油を掘り当てる(前編その4)

 

前書き

朝食を終えると、ヘクターはエリザベスと共に、目的の小屋へと向かう準備を始めた。今回の旅は車での移動となる。ヘクターは、その日のために特別に整備された車を選び、二人は農園の門をくぐり、テキサスの広がる大地を走り始めた。車のエンジン音が静かな朝の空気を切り裂き、農園の家畜や野生の鳥たちがその音に反応していた。ヘクターとエリザベスは、新しい一日の始まりと共に、未知の可能性に満ちた小屋へと向かっていた。小屋は主に木材で造られており、その歴史を物語るかのように、所々に見られる劣化や剥がれが、かつての栄光を偲ばせた。屋根は瓦と石材で覆われていたが、年月の重みに耐えかねたかのように一部が崩れ落ちているのが見て取れた。周囲の地面は、落ち葉や木の枝で覆われており、自然の中で長い時間を経た証として、小屋の周りには豊かな層を成していた。二人はその落ち葉を踏みしめながら小屋に近づき、その静寂と孤独感に包まれていた。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ディアンジェロ(28歳)「10歳の若返り」:アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 
・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 ヘクターの浮気が発覚し、ヘクターと離婚した。
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):表向きはニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 実はマフィアのアンダーボス。
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 ヘクターに誘われ、行動を共にすることになる。
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マリア・エバ・ドゥアルテ「マリア・D」16歳の家族 
・エルヴィラ・ドゥアルテ13歳。マリアの妹。 
・カタリナ・イルデフォンソ20歳。ルドラ金融㈱営業部長。 
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マリア・ヴァレンティーノ「マリア・V」54歳。アンヘルの恋人兼投資パートナー。ヴァレンティーノ・ファミリーの死亡したボス:ヴィンセント・"ヴィニー"・ヴァレンティーノ(56歳)の元妻。莫大な資産「推定500億ドル」を持つ。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。
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ジョン・マッケンジー(35歳)。エドゥアルドの競争相手「有力な建設会社グローバルテック・コンストラクション・インクGCIのCEO」。
妻: サラ・マッケンジー(33歳), ファッションデザイナー
子供: ルーカス(8歳), ソフィア(5歳)
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サラ・マッケンジー(33歳)の実家
父:ロバート・ハミルトン(58歳):アメリカ合衆国の上院議員
母:キャサリン・ハミルトン(55歳):社会活動家。アンヘルの愛人。
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ニューヨーク市長
名前: ダニエル・ハリソン
年齢: 42歳
家族構成:
妻: ジェニファー・ハリソン(37歳)
子供: エマ(10歳)、ノア(7歳)
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ニューヨーク市港湾局長
住所:ブルックリン臨海区
 マイケル・スミス(38歳)
妻: クレア・スミス(36歳), 弁護士
子供: ノア(7歳), ミア(4歳)
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ジャーナリスト
住所:ブルックリン・ベイ・リッジ地区「イタリア系」
エミリー・デイビス(32歳)
夫: ベン・デイビス(34歳), ITエンジニア
子供: エリー(3歳)
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エリナ・"ブラックウィドウ"・ロドリゲス40歳。アンヘルの愛人。元ニューヨーク・マフィア「シャドウ・ネクサス」の副ボス。アルゼンチン人。
マリア・"レッドローズ"・デ・ラ・クルス35歳。アンヘルの愛人。ニューヨーク・マフィア「シャドウ・ネクサス」の元人事担当。アルゼンチン人。

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ニューヨーク市の行政地図

アメリカ合衆国東部
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」

マフィアの組織図「パブリックドメイン」

 

5月6日月曜日午前6時:ヘクター綿花農園母屋

夜が明けると同時に、テキサスの広大な綿花農園の母屋では、一日の始まりで活気づいていた。ヘクターが目覚めた時、エリザベス・ミラー(29歳)「20歳の若返り」はすでに起き上がり、アン・ウェブスター(31歳)「10歳の若返り」やエマ・ハリス(24歳)「5歳の若返り」たちや農婦たちと一緒に朝食を準備していた。

ヘクターとセックスを行った回数に応じて女性陣は若返りを見せている。ヘクター(28歳)「10歳の若返り」自身も10歳ほど若返った。

キッチンからは、焼きたてのパンの香りや、フライパンで炒められる新鮮な卵の音が聞こえてきた。テーブルの上には、手作りのジャムやバターが並び、朝の光を浴びてキラキラと輝いていた。アンとエマは、ヘクターとエリザベスのために特別に軽食を用意してくれており、その心遣いが朝の空気に温かさを加えていた。

朝食を終えると、ヘクターはエリザベスと共に、彼らの新たな冒険の地、目的の小屋へと向かう準備を始めた。今回の旅は馬ではなく、より現代的な手段である車での移動となる。ヘクターは、その日のために特別に整備された車を選び、二人は農園の門をくぐり、テキサスの広がる大地を走り始めた。

車のエンジン音が静かな朝の空気を切り裂き、農園の家畜や野生の鳥たちがその音に反応していた。ヘクターとエリザベスは、新しい一日の始まりと共に、未知の可能性に満ちた小屋へと向かっていた。

朝の光が徐々に強さを増す中、ヘクターとエリザベスは目的地である小屋に到着した。小屋は、その古風な構造と周囲の自然との調和によって、時代を超えた静けさを湛えていた。

小屋は主に木材で造られており、その歴史を物語るかのように、所々に見られる劣化や剥がれが、かつての栄光を偲ばせた。屋根は瓦と石材で覆われていたが、年月の重みに耐えかねたかのように一部が崩れ落ちているのが見て取れた。

周囲の地面は、落ち葉や木の枝で覆われており、自然の中で長い時間を経た証として、小屋の周りには豊かな層を成していた。二人はその落ち葉を踏みしめながら小屋に近づき、その静寂と孤独感に包まれていた。

この小屋は、かつて誰かが住んでいたのかもしれないが、今はただ時の流れに身を任せ、静かにその終わりを待っているようだった。しかし、ヘクターとエリザベスにとっては、この古びた小屋が新たな希望と可能性を秘めた場所であることを、彼らはよく知っていた。

エリザベス:ヘクター。此処よ。写真と一緒でしょう?

ヘクター:そのようだな。裏に回ってみよう。

二人は小屋の裏側に回り、古ぼけた井戸を見つけた。ヘクターが庭木に持参した50メートルの長さの縄の片端を縛り、もう片端を持って井戸に降りて行った。

ヘクターが叫ぶ。"あったぞ。噴出孔がコンクリートで覆われている"

ヘクターは確認したあと縄を登って来た。

ヘクター:エリザベス。一旦綿花農場へ帰って、本社に電話しよう。

☆午前9時半:ヘクター綿花農場
ヘクターは本社に電話し、ジョン・スミスを呼んだ。

ヘクター:例の井戸を見つけたぞ。綿花農場の近くにある。☆印の小屋だ。以前と同様に☆の周囲を1キロメートル間隔に100か所掘ってみろ。

ジョン・スミス:了解しました。すぐに手配します。

ジョン・スミス:会長。言い忘れたことがあります。石油開発部門本部長ジョージ・ウィルソンが一昨日グアダルーペ山麓で転落死しました。葬儀は昨日執り行いました。

ヘクター:何だと。車に乗っていたのか?

ジョン・スミス:グアダルーペ山麓で石油が噴出したということを聞きつけた石油開発部門本部長ジョージ・ウィルソンは慌ててグアダルーペ山麓の石油が噴出した場所に駆けつけたそうです。

ジョン・スミス:猛スピードで山道を飛ばしていた彼の車は前方から飛び出してきたバッファローとぶつかり、車ごと崖から落ちてしまった。後続の彼の部下が下りていった時にはジョージ・ウィルソンはすでに命を落としていたそうです。

ヘクター:そうか。奥さんのキャロライン・ウィルソンさん(39歳)に電話してみるよ。

ヘクターは直ちにキャロラインに電話した。

ヘクター:キャロラインさん。今話を聞いたよ。お悔やみを申し上げる。俺に出来ることは何でもするから言ってくれ。

キャロライン:良いのよ。私も葬式には呼んでもらえなかったのよ。貴方には言わなかったけど、私とジョージは一ヶ月前に離婚していたのよ。あの女が妊娠したときにね。子供たちは流石に出席したけどね。

ヘクター:そうだったのか。キャロラインさんとマイケル・ウィルソン19歳には頼みたい仕事があるから、今の住居で待機していて欲しい。

キャロライン:何をやれば良いの?

ヘクター:「ヒューストン・ゴールデンリファイナリーズ(Houston Golden Refineries)」と言う石油精製会社を買収したんだが、そこの社長を任せたいんだ。

キャロライン:それは大役ね。私に出来るかしら。

ヘクター:貴女に出来なくて誰に出来ると言うんだ。息子にも手伝ってもらえ。

キャロライン:何とか頑張ってみるわね。社員はそのままいるんでしょう?

ヘクター:居抜きで買収したからな。詳しいやつが沢山居る筈だ。

キャロライン:分かったわ。一生懸命に取り組んで見る。

ヘクター:頼んだぜ。

ヘクターとエリザベスはそのまま車で畜産牧場へ向かい、エリザベスをそこへ下ろし自分は飛行機でダラスへ向かった。

途中で、今まで使ったお金を計算してみた。
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出典……筆者ひまえびがエクセルで作ったものをPDFに変換し、スクリーンショットで撮りました。

1935年5月6日月曜日午後6時:ダラス:ヘクター石油開発㈱本社ビルヘクター邸
テキサスの夕暮れがゆっくりとダラスの街をオレンジ色に染めていく中、ヘクター石油開発㈱本社ビルのヘクターの自宅では、一日の疲れを癒すひとときが訪れていた。社員たちはすでに日々の業務を終え、静かなオフィスビルにはヘクターとキャロライン・ウィルソンさんだけが残されていた。

キャロラインさんは、ヘクターの部屋で彼を待っていた。彼女の表情は、前夫とは言え長く連れ添った男の突然の死という悲しみを乗り越え、新たな役割に向けての決意を秘めているように見えた。ヘクターが部屋に入ると、キャロラインさんは穏やかな声で料理の好みを尋ねた。

ヘクターは、ここ最近バーベキュー料理の重さに少し疲れを感じていたため、何かあっさりとしたものを希望した。それを聞いたキャロラインさんは、和食を作ると提案し、その場で料理を始めることにした。ヘクターは日本食を食べるのはこれが初めてだったが、その新鮮さとキャロラインさんの料理への意気込みに期待を膨らませた。

キッチンでは、キャロラインさんが手際よく和食の準備を進めていた。彼女は、シンプルながらも繊細な日本の味を再現するために、以下のメニューを用意した。

1.温かい出汁の効いた味噌汁
2.ふっくらと炊き上がった白米
3.新鮮な野菜を使った季節のお浸し
4.焼き魚「鮭や鯛など」
5.さっぱりとした酢の物
6.だし巻き卵
7.お刺身の盛り合わせ

食卓には、日本の伝統を感じさせる器が並び、和の雰囲気が漂っていた。ヘクターは、これまでの肉厚な料理とは一線を画す、これらの料理に舌鼓を打ちながら、キャロラインさんと共に新たなスタートを祝した。

☆食後の話題
キャロラインはヘクターに会社宛に届いたメサビュー・ゴルフアンドカントリークラブ「ダラス近郊にある有名な会員制ゴルフ場」からの招待状を渡した。

招待状はクラブの創設者「カーペンター家」からのものであった。石油を掘り当てたヘクターへの称賛と特別にクラブの会員となることを認め、5月7日火曜日午前10時に当クラブにお越し下さいと書いてある。

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カーペンター家の構成
・エドワード・カーペンター: 66歳のテキサス州知事で、長年にわたる政治キャリアを通じて州の発展に大きく寄与してきた。知事としての経験と威厳を兼ね備え、社会福祉の改善と経済発展を目指している。
・キャサリン・カーペンター: エドワードの若くて活動的な後妻で、年齢は40歳である。彼女自身も慈善活動に熱心であり、州知事夫人としての役割を積極的に果たしている。
・ジョナサン・カーペンター: エドワードとキャサリンの間に生まれた長男で、22歳。父の影響を受けて政治に関心を持ち、将来的には州政界で活躍することを夢見ている。
・ソフィア・カーペンター: エドワードとキャサリンの間に生まれた長女で、19歳。教育と環境政策に情熱を注ぎ、青年リーダーとして地域社会に貢献しようとしている。

カーペンター家は、テキサスの政治の重鎮でありながら、新しい世代の家族構成を通じて、伝統と革新のバランスを保っています。彼らはメサビュー・ゴルフアンドカントリークラブを社交、政治的な集会、および家族の絆を深める場として利用し、テキサス州のエリートとしての地位を固めています。
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キャロライン:ゴルフをするなら多少練習しておいた方が良いわね。

ヘクター:キャロライン。適当な打ちっぱなし場を知っていたら連れて行ってくれ。

キャロライン:そうね。じゃあ、今から行きましょう。

キャロラインはゴルフプレイに適した快適なフィット感のある白いスポーツタンクトップと動きやすさを考慮したデザインの短い白いゴルフスカート及び色のアクセントが少し入った白いゴルフシューズ、ふくらはぎの少し下までくる長さの白いソックスを用意した。

ヘクターには身体にぴったりとした黒い長袖のシャツ、下には同色のスラックス、白いスニーカーというその時代の男性たちがスポーツに身を投じる際の典型的なものだった。

テキサス州ダラスの春の明るい日、都会の喧騒を背にしたヘクターは、ゴルフクラブを片手に、キャロラインと共にインドアのゴルフ練習場へと足を運んだ。

キャロラインのアドバイスを受けながら、ヘクターは練習を重ね、スイングに磨きをかけていった。二人は、互いに技術を磨き合い、絆を深めていった。

彼が次に向かうメサビュー・ゴルフアンドカントリークラブでのプレイには、彼女から学んだ多くのレッスンが活かされることになるだろう。ヘクターは、自信を持って新たな社会的舞台に挑む準備ができていた。

1935年5月7日火曜日午前10時:メサビュー・ゴルフアンドカントリークラブ
春の陽光が緑豊かなゴルフコースを照らし出す中、ヘクターはメサビュー・ゴルフアンドカントリークラブに到着した。彼の周りは、社交界の華やかさと静けさが同居するような空間で満たされていた。新たな石油王としての彼の立場は、ここでの一挙手一投足に注目が集まることを意味していた。

クラブハウスに足を踏み入れると、40歳の若々しい後妻キャサリン・カーペンターが彼を出迎えた。彼女は、テキサス州知事の妻としての威厳と、女性らしい魅力を併せ持つ人物だった。キャサリンの目には、28歳のヘクターが新進気鋭のビジネスマンとして、また一人の魅力的な男性として映っていた。

「ヘクターさん、ようこそ。私たちもあなたのような新しい血を待ち望んでいましたわ」とキャサリンは言い、彼女の目はくすんだ日常からの逃避を求めるかのように輝いていた。

ヘクターは彼女の美しさと若々しさに目を奪われた。彼女の立ち振る舞いは、どこか遊び心を含んでおり、ヘクターはその雰囲気に引き込まれていった。彼は、彼女の巧みな話術と気取らない笑顔に心を奪われ、自然と会話が弾んでいった。

「キャサリンさん、このような場所でお会いできて光栄です。あなたのおかげで、今日は特別な日になりそうですね」とヘクターは言い、彼女の手を軽く握った。

キャサリンは、夫や子供たちの目を盗んでヘクターとの時間を楽しんでいるようだった。彼女の目は時折、周囲を警戒するように動きながらも、ヘクターに向けられると柔らかく輝いていた。二人の間には、言葉以上の何かが通じ合っているような感覚があった。

「あなたの成功話をもっと聞かせてください。私たちのような場所では、新鮮な話題が何よりものごちそうですから」とキャサリンは言い、彼女の声にはわずかながらも冒険を求める響きがあった。

ヘクターは、彼女の興味を引くような話で応じながら、この新しい関係がどこへと彼を導くのか、内心で思案していた。彼らの会話は、周囲のざわめきに紛れながらも、二人だけの秘密の共有のように感じられた。

キャサリンの亭主や子供たちが忙しく他のゲストと交流している間、彼女はヘクターとの会話に夢中になり、彼の魅力に心を奪われていた。ヘクターもまた、彼女の明るく美しい存在に惹かれ、二人の間には特別な絆が芽生え始めていた。

キャサリン:ヘクターさん。最近原油と天然ガスを掘り当てたと聞いたけど、その後のことは考えていらっしゃるの?

ヘクター:とりあえず、貯油タンク、貯ガスタンクを作り、ダラス、オースティン、サンアントニオ、ヒューストンまで天然ガスのパイプラインを引きました。ヒューストンのある石油精製会社を買収しましたので、原油をタンカーで陸上輸送すれば当面しのげます。

キャサリン:そうなの。抜け目ないわね。でも一つ忘れているわ。

ヘクター:石油の買い手のことですね。そこが頭の痛いところなのです。奥様の顔の広いところで良い相手を見つけていただけませんか?

キャサリン:そうね。では当たってあげましょう。

キャサリンはその場で何件か電話を掛けた。

キャサリン:ヘクターさん。ハリソン・エナジー・ブローカーズ (Harrison Energy Brokers)と話がまとまったわ。

ヘクター:それはどういう会社ですか?

キャサリン:石油と天然ガスの取引に特化したブローカー会社よ。テキサス州ダラスにオフィスを構え、地元の生産者と国内外の買い手を結びつける役割を担っているの。

キャサリン:外にも2,3社あるけど、先ずダラスにあるハリソン・エナジー・ブローカーズを当たってみたらどうかしら?条件が合わなかったら別の会社を紹介してあげるわ。

ヘクター:奥様のおっしゃる通りにいたします。奥様の気を惹きたいですからね。

キャサリン:面白いことを言うのね。どうして私の気を惹きたいの?

ヘクター:奥様が素敵だからですよ。

キャサリンの目がキラリと光ったが彼女はそれ以上何も言わず、ヘクターとハリソン・エナジー・ブローカーズの第一回目の会談を「5月15日午後1時ダラスのヘクター石油開発㈱本社」に設定した。もちろんキャサリンも同席してくれると約束した。

キャサリン:ヘクターさん。今度は貴方の番よ。何か私に言いたいのじゃないかしら?

ヘクターはキャサリンをディナーに誘った。キャサリンは快諾した。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

キャサリン:ヘクターさん。最近原油と天然ガスを掘り当てたと聞いたけど、その後のことは考えていらっしゃるの?ヘクター:とりあえず、貯油タンク、貯ガスタンクを作り、ダラス、オースティン、サンアントニオ、ヒューストンまで天然ガスのパイプラインを引きました。ヒューストンのある石油精製会社を買収しましたので、原油をタンカーで陸上輸送すれば当面しのげます。キャサリン:抜け目ないわね。でも一つ忘れているわ。ヘクター:石油の買い手のことですね。そこが頭の痛いところなのです。奥様の顔の広いところで良い相手を見つけていただけませんか?キャサリン:キャサリンはその場で何件か電話を掛けた。キャサリン:ヘクターさん。ハリソン・エナジー・ブローカーズ と話がまとまったわ。キャサリン:石油と天然ガスの取引に特化したブローカー会社よ。テキサス州ダラスにオフィスを構え、地元の生産者と国内外の買い手を結びつける役割を担っているの。