小説「海と陸の彼方へ」

 

第三章新主人公アンヘルアメリカ合衆国大統領を目指す

 

第11話アンヘルの父ヘクター石油掘りを目指す(中編)

 

前書き

ヘクターが買ったビルは30階建ての鉄筋コンクリートのビルで、当時としては立派なビルでした。ヘクターは最上階に本社を構え、その隣りにある4LDKの部分を自分の居室としました。石油開発部門本部長を仰せつかったジョージ・ウィルソン45歳は本社ビルと同時に購入した隣接する15階建てのビルの一角に家族と生活する居室「4LDK」をヘクターから貰いました。レオが寄越した屈強な男たち10名も同様に部屋を貰いました。ヘクターは昨晩アンヘルに電話し、ことの次第を伝えると、「父さんにすべて任せる。資金については僕が出資した10億ドルは好きなように遣ってくれ。ただし、ローザが出資した10億ドルを使う時には僕に相談してくれ」と言われた。現実問題として、石油掘りに費やす資金は5,000万ドルにも満たないだろうし、ヘクターは遣えきれない資金を預かったと同じようなものだ。ヘクターは女好きのイタリア野郎ではあったが、典型的な現場労働者であり無駄遣いをする気はまったくなかった。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」  
アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
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アンヘルの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ディアンジェロ(38歳):ヘクター・ディアンジェロは日雇い労働者として働き、家族を支えています。彼は家族に良い未来を提供することを夢見ており、そのために日々努力しています。 
・母親ローサ・ディアンジェロ(35歳):ローサ・ディアンジェロは家庭を守りながら、地域の共同体でボランティア活動を行っています。彼女は子供たちが教育を受けることを強く望んでいます。 
・兄ルイス・ディアンジェロ(18歳):ニューヨーク市警警部兼総合建設会社NYHCの社員。 
・ルイスの双子の姉マリア・ディアンジェロ(18歳):マリア・ディアンジェロは地元の専門校に通っています。 
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マリア・エバ・ドゥアルテ「マリア・D」16歳の家族 
・エルヴィラ・ドゥアルテ13歳。マリアの妹。 
・カタリナ・イルデフォンソ20歳。ルドラ金融㈱営業部長。 
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マリア・ヴァレンティーノ「マリア・V」54歳。アンヘルの恋人兼投資パートナー。ヴァレンティーノ・ファミリーの死亡したボス:ヴィンセント・"ヴィニー"・ヴァレンティーノ(56歳)の元妻。莫大な資産「推定500億ドル」を持つ。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。
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ジョン・マッケンジー(35歳)。エドゥアルドの競争相手「有力な建設会社グローバルテック・コンストラクション・インクGCIのCEO」。
妻: サラ・マッケンジー(33歳), ファッションデザイナー
子供: ルーカス(8歳), ソフィア(5歳)
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サラ・マッケンジー(33歳)の実家
父:ロバート・ハミルトン(58歳):アメリカ合衆国の上院議員
母:キャサリン・ハミルトン(55歳):社会活動家。アンヘルの愛人。
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ニューヨーク市長
名前: ダニエル・ハリソン
年齢: 42歳
家族構成:
妻: ジェニファー・ハリソン(37歳)
子供: エマ(10歳)、ノア(7歳)
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ニューヨーク市港湾局長
住所:ブルックリン臨海区
 マイケル・スミス(38歳)
妻: クレア・スミス(36歳), 弁護士
子供: ノア(7歳), ミア(4歳)
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ジャーナリスト
住所:ブルックリン・ベイ・リッジ地区「イタリア系」
エミリー・デイビス(32歳)
夫: ベン・デイビス(34歳), ITエンジニア
子供: エリー(3歳)
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エリナ・"ブラックウィドウ"・ロドリゲス40歳。アンヘルの愛人。元ニューヨーク・マフィア「シャドウ・ネクサス」の副ボス。アルゼンチン人。
マリア・"レッドローズ"・デ・ラ・クルス35歳。アンヘルの愛人。ニューヨーク・マフィア「シャドウ・ネクサス」の元人事担当。アルゼンチン人。

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ニューヨーク市の行政地図

アメリカ合衆国東部
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」

マフィアの組織図「パブリックドメイン」

 

4月29日月曜日午前10時:ダラス市内のA.R石油開発㈱本社ビル
ヘクターが買ったビルは30階建ての鉄筋コンクリートのビルで、当時としては立派なビルでした。ヘクターは最上階に本社を構え、その隣りにある4LDKの部分を自分の居室としました。本社ビルからかなり離れたところにある邸宅も同時に購入し、家族を呼び寄せたときのために残して置きました。と言ってもこの邸宅は本社ビルを購入した時、不動産屋が無償で付けてくれたものです。普段は使いません。

石油開発部門本部長を仰せつかったジョージ・ウィルソン45歳は本社ビルと同時に購入した隣接する15階建てのビルの一角に家族と生活する居室「4LDK」をヘクターから貰いました。レオが寄越した屈強な男たち10名も同様に部屋を貰いました。

ヘクターは昨晩アンヘルに電話し、ことの次第を伝えると、「父さんにすべて任せる。資金については僕が出資した10億ドルは好きなように遣ってくれ。ただし、ローザが出資した10億ドルを使う時には僕に相談してくれ」と言われた。

現実問題として、石油掘りに費やす資金は5,000万ドルにも満たないだろうし、ヘクターは遣えきれない資金を預かったと同じようなものだ。ヘクターは女好きのイタリア野郎ではあったが、典型的な現場労働者であり無駄遣いをする気はまったくなかった。

☆石油開発会議
ヘクター:石油開発に必要な土地は揃った。石油開発に必要な認可はすでに下りている。ジョージ、石油掘りに必要な道具を買いに行こう。

ジョージ:必要な道具や器械は黒板に書いておく。ヘクター。これだけ揃えてくれ。

ジョージは黒板に個条書きで書き始めた。

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1.ケーブルツール掘削装置: 初期の石油掘削によく使用された。重い鉄製のビットを地面に打ち込むことで穴を掘る。

2.ロータリードリル: ケーブルツールよりも効率的な掘削が可能。ドリルビットが回転することで地層を削る。

3.ドリルパイプ: ドリルビットを地下に送り込むためのパイプ。

4.泥水ポンプ: 掘削中に出る泥水を排出するためのポンプ。

5.掘削液(ドリリングマッド): 地層からの油やガスの逸出を防ぐために使用。

6.デリック(掘削塔): ドリルパイプやケーブルを吊るすための高い塔。

7.ウィンチとプーリー: ドリルパイプやケーブルを操作するための装置。

8.発電機: 機材の動力源。

9.貯油タンク: 掘削に成功した場合に、石油を一時的に貯めるタンク。

10.パイプライン: 石油を運搬するためのパイプ。

11.安全装置: 爆発や火災を防ぐための各種安全装置。
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ヘクター:ロータリードリルってのは初めて聞くがどんなものだ?

ジョージ:比較的新しいドリルだが今やこれ無くしては発掘など出来なくなっている。不可欠な器械だ。説明してやろう。

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ロータリードリルについての詳細説明
基本概念
ロータリードリル(Rotary Drill)は、石油、ガス、水、鉱鉱探査などの地下資源を探査・採掘する際に使用される掘削装置の一つです。この装置は、ケーブルツール掘削装置よりも高度に発展したもので、効率的な掘削が可能です。

動作原理
ロータリードリルは、ドリルビット「掘削の先端部」が回転することで地層を削り、穴を掘る仕組みです。ドリルビットは、通常、ドリルパイプと呼ばれる長いパイプに取り付けられ、地下深くまで送り込まれます。

主な構成要素
・ドリルビット: 地層を物理的に削る部分。硬い材料「通常はタングステンカーバイドやダイヤモンド」で作られています。
・ドリルパイプ: ドリルビットを地下に送り込むための長いパイプ。
・回転テーブル: 地上でドリルパイプを回転させる装置。
・泥水ポンプ: 掘削液「通常は泥水または特殊な液体」を地下に送り、掘削残渣を地上に持ち上げる。

効率性
ロータリードリルは、ケーブルツールよりも高速で掘削できるため、時間とコストを節約できます。また、より広い範囲の地層に対応できるため、多様な掘削環境で使用されます。

安全性
ロータリードリルは、掘削液「通常はドリリングマッドと呼ばれる」を使用することで、地層からの油やガスの逸出を防ぐ機能もあります。これにより、作業の安全性が高まります。

ロータリードリルは、現代の石油掘削業界で広く使用されていますが、1935年当時もその効率性と安全性から多くの掘削プロジェクトで採用されていました。
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ヘクター:実物を見たいものだな。説明を聞いてもいまいち良く分からん。

ヘクターはこれらの機材を購入するため、ダラス市内の業者に電話を掛けたが何処で売っているのか、一個あたりの値段がいくらするのか見当もつかなかった。ヘクターが頭を抱えていると、ジョージの妻キャロライン・ウィルソン39歳がお盆に何やら麺類を乗せて運んできた。美味しそうなスープの匂いが漂ってくる。

キャロライン:ヘクター社長。先ず腹ごしらえをしなさい。食べてから私が良い考えを教えてあげますよ。

ヘクターは言われるがままにその麺を啜り、スープを飲み干した。今まで食べたことはないほど美味かった。

ヘクター:キャロラインさん。これは随分美味しいがなんというものだね。

キャロライン:これはベトナムの伝統的な麺料理でフォ(pho)というものよ。今日は鶏肉のガラをスープに取ったから、鶏肉のフォ(Pho Ga)という方が正確ね。ヘクターさんは料理に興味があるそうだからレシピも教えてあげるわ。

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材料:
・鶏肉:500g「鶏もも肉や鶏むね肉など」
・フォ麺:200g
・にんにく:3〜4片、みじん切り
・生姜:一片、薄くスライス
・鶏ガラスープ:1L
・春菊やコリアンダー:適量
・青ねぎ:2〜3本、薄くスライス
・ライム:1個
・魚醤「ナムプラ」:適量
・塩、黒こしょう:各少々
作り方:
1.鶏肉をきれいに洗い、鍋に水と一緒に入れて火にかけます。沸騰したら、鶏肉を取り出し、水を捨てます。
2.新しい水を鍋に入れ、再び鶏肉を入れて火にかけます。今度は、にんにく、生姜、塩を加えて中火で煮ます。
3.鶏肉が柔らかくなったら、鶏ガラスープを追加し、さらに30分煮続けます。
4.鶏肉を取り出し、食べやすい大きさに裂きます。
5.鍋のスープをこして、再び火にかけます。魚醤、塩、こしょうで調味します。
6.フォ麺を別の鍋でゆでます。
7.ボウルにゆでた麺を入れ、上に鶏肉、青ねぎ、春菊やコリアンダーを乗せます。最後に熱いスープを注ぎます。
8.ライムを添えて、お好みで酸味を足してください。
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キャロライン:このレシピは一例に過ぎないの。フォは地域や家庭によってさまざまなバリエーションがあるのよ。

ヘクターは娘のリリーが母親のキャロラインの料理の才能を受け継いでいるのだと気付き、キャロラインを女性として好もしく思い始めた。キャロラインは料理の腕前だけではなく仕事にも優れていることを証明した。

キャロライン:ヘクターさん。やみくもに電話するより、石油掘削機材業者「テキサス・ドリリング・サプライ社」に電話しなさい。先に進むことが出来るわよ。それから現場労働者だけど10名じゃ足りないわ。私が声を掛けておいたから彼らを使いなさい。

ヘクターはキャロラインに感謝し、先ずはキャロラインが集めてくれた現場作業員40名を年俸1万ドルで雇用し、隣のビルに宿舎をあてがった。これで作業員は50名になった。

レオが寄越した10名は班長に昇格し、年俸を2万ドルとした。50名を5人一組の10班に分けたのである。その後テキサス・ドリリング・サプライ社に電話し、話を聞くことにした。

4月30日火曜日午前11時:ダラス市内、石油掘削機材業者「テキサス・ドリリング・サプライ社」
ヘクターはジョージ・ウィルソンと共に、ダラス市内にある石油掘削機材の専門業者「テキサス・ドリリング・サプライ社」へと足を運んだ。社屋は堅牢なレンガ造りで、中には各種の掘削機材が展示されていた。

ヘクター: (業者のオーナー、マイク・ジョンソンに向かって)マイクさん、お世話になっております。今日は大量の石油掘削機材を購入したいと考えています。

マイク・ジョンソン: ヘクターさん、いらっしゃい。大量とはどれくらいの規模をお考えですか?

ジョージ: (黒板に書いたリストを差し出しながら)これが必要な機材のリストです。50人の現場労働者で使用する予定です。

マイクはリストを一通り目を通し、頷いた。

マイク・ジョンソン: これならば当社でも一括で対応可能です。ただし、一括での購入にはそれなりの費用がかかりますよ。

ヘクター: 費用については心配ありません。500万ドルでどれだけの機材を揃えられるでしょうか?

マイクは少し驚いた表情を見せたが、すぐにビジネスライクな顔に戻った。

マイク・ジョンソン: 500万ドルですか。それならば、最高品質の機材を一式揃えることができます。さらに、メンテナンスと初期の設置費用も含められます。

ヘクター: それで決まりです。契約書を用意していただけますか?

マイク・ジョンソン: もちろんです、すぐに用意します。

契約書が用意され、ヘクターとマイクは握手を交わした。これにより、ヘクターは石油掘削プロジェクトに必要な全ての機材を一括で手に入れることができた。そして、その資金の大部分はまだ残っている。ヘクターはこれからの石油開発に自信を持った。

4月30日火曜日午後1時:A.R石油開発㈱本社ビル
ヘクターはオフィスに戻り、アンヘルに電話をかけた。

ヘクター: アンヘル、機材の購入が完了した。500万ドルで最高品質のものを一式手に入れた。

アンヘル: 素晴らしい、父さん。これで石油開発がスムーズに進むだろう。頼むよ、成功させてくれ。

ヘクター: 任せておけ、息子よ。

ヘクターは電話を切り、これから始まる新たな挑戦に胸を躍らせた。

☆ヘクターの私生活
ヘクターも仕事で追いまくられていたこともあり、中々プライベートの時間を取ることが出来ないでいた。一晩をともにしたリリーのことを忘れた訳では無いが、リリーもダンサーとしての仕事に誇りを持っており、毎晩仕事が引けてからもラインダンスの練習に余念がなかった。

リリーはある夢を抱いていた。ザ・ロケッツ(The Rockettes) に入団する夢である。ザ・ロケッツ(The Rockettes) は、アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン区ロックフェラー・センターのラジオシティ・ミュージックホールを拠点とする有名なダンスカンパニーであり、そこに入団することはダンスを志す女性の目標であった。

要はヘクターもリリーも会う時間がなかったのである。その代わり、キャロラインが時折りヘクターの事務所を訪れ、食事を作ってくれた。これがまた美味いのだ。ヘクターを飽きさせぬよう世界各地の料理を作ってくれる。

最初はベトナム料理だったが次はアルゼンチン料理のニョキス・コン・エストファド(Ñoquis con Estofado)を作ってくれました。これはアルゼンチンの伝統的な料理で、日本語で言えば「シチューと共に供されるニョッキ」となります。

ニョッキはイタリア発祥のポテトベースの小さなダンプリングのようなものですが、アルゼンチンでも非常に人気があります。

材料:
・じゃがいも: 500g 
・全粒粉: 100g
・塩: 少々
・卵: 1個

作り方:
1.じゃがいもを茹で、皮をむき、潰す。
2.じゃがいもの上に全粒粉を振り、塩を加える。
3.卵を追加し、生地がまとまるまでよく混ぜる。
4.生地をロープのような形に丸め、小さなダンプリングに切る。
5.茹でた水に塩を加え、ニョッキを入れ、浮いてくるまで茹でる。

シチュー (Estofado):シチューは様々な具材で作られますが、典型的には牛肉や野菜を使用します。

材料:
・牛肉 (角切り): 500g
・玉ねぎ: 1個 (みじん切り)
・ニンニク: 2片 (みじん切り)
・トマト: 2個 (みじん切り)
・パプリカ: 1個 (みじん切り)
・塩、胡椒: 各適量
・赤ワイン: 200ml
・ビーフストック: 500ml

作り方:
1.牛肉を塩、胡椒で味付けし、熱した鍋で焼き色をつける。
2.玉ねぎ、ニンニク、トマト、パプリカを加え、炒める。
3.赤ワインを加え、アルコールを飛ばす。
4.ビーフストックを加え、中火で煮る。
5.肉が柔らかくなるまで煮続ける。
6.完成したシチューを茹でたニョッキの上にかけ、サーブします。アルゼンチンでは、特定の日にニョッキを食べる伝統もあります。

ヘクターがニョキス・コン・エストファドを美味しくいただき、満足した頃を見計らってこの賢い女性はヘクターの心に強い印象を与えるべく、石油掘りの道具購入についての知恵を授けた。もうこの頃にはヘクターのお腹と心はすっかりキャロラインの虜になっていた。

キャロライン:ヘクター社長。器材の購入については一つの企業だけをアテにしてはいけないわ。

ヘクター:キャロラインさん。もったいぶらないで教えてよ。何でも言うことを聞くからさ。

キャロライン:地元の鉄工所や機械工場: 小規模ながらも必要な機材を製造できる地元の鉄工所や機械工場に依頼することも一つの方法よ。特注製造や海外からの輸入も将来的には考えてみたら良いわ。

キャロライン:地元の鉄工所や機械工場を当たりなさい。私が50名の中から選んだ者たち10名を交渉に使いなさい。彼らは10名の班長たちよりも優秀よ。

キャロラインは10名の名前をヘクターに示した。

1.ジョン・スミス(32歳)
2.マイケル・ジョーンズ(29歳)
3.サラ・ウィリアムズ(27歳)女
4.エマ・ブラウン(31歳)女
5.デビッド・ウィルソン(35歳)
6.メアリー・デイビス(28歳)女
7.ロバート・ガルシア(33歳)
8.リンダ・マーチン(30歳)女
9.パトリシア・トンプソン(34歳)女
10.ジェームズ・アンダーソン(36歳)

ヘクターは上記の10名を本社勤務とし、年俸を2万ドルとした。またキャロラインに頼んで現場労働者を10名採用した。

5月1日水曜日午前9時:ダラス市内、A.R石油開発㈱本社ビル
ヘクターはキャロラインが推薦した部下たち10名を集め、新たな指示を出した。

ヘクター: 皆、大規模な機材はすでに購入したが、地元の鉄工所や機械工場からも支援を受けたい。各自、市内を探索し、必要な機材を製造できる工場を見つけてくれ。

5月2日木曜日午後2時:ダラス市内、"スティールクラフト鉄工所"
部下たちが数日間の調査の結果、特にジョン・スミスがダラス市内にある"スティールクラフト鉄工所"という小規模ながらも優れた技術を持つ鉄工所を見つけてきた。

ジョン・スミス: ボス、この"スティールクラフト鉄工所"は小規模ですが、非常に高品質の機材を製造できると評判です。

ヘクター: それは良いニュースだ、ジョン。この鉄工所に月額50万ドル分の機材を発注しよう。

5月3日金曜日午前10時:ダラス市内、"スティールクラフト鉄工所"
ヘクターとジョンはスティールクラフト鉄工所を訪れ、オーナーのフランク・ミラー(52歳)と会った。

ヘクター: フランクさん、お会いできて光栄です。私たちは石油開発の事業を始めるところで、高品質の機材が必要です。

フランク・ミラー: それは何よりです。私たちも新しいビジネスパートナーを探していました。

ヘクター: それでは、月額50万ドル分の機材を発注したいと考えています。

フランク・ミラー: それは大変ありがたいお話です。契約書を用意しましょう。

契約が成立し、ヘクターはスティールクラフト鉄工所に定期的な機材発注を行うことになった。これにより、地元の産業とも連携を強化し、石油開発プロジェクトはさらに順調な滑り出しを見せた。

ヘクターはジョン・スミス(32歳)を石油開発課課長に任命した。彼の年俸は3万ドルになった。

☆リリーの門出(かどで)
リリーはザ・ロケッツ(The Rockettes) の入団試験を受けるため、ニューヨークへと旅立った。ヘクターが乗ってきた最新鋭機に乗ったので無事に到着することだろう。朗報を聞くことが出来るのは何時になるのだろう?

☆ヘクターとキャロライン
ヘクターはキャロラインの手練手管にやられ、夢中になって彼女を追いかけていた。執拗に迫るヘクターを適当にあしらっていたキャロラインだったが、熱意に負けたという体(てい)を装い、最後にはヘクターに身を任せた。

彼女もジョージには以前から愛想を尽かしており、ジョージ自身もキャロラインへの愛情はすっかり消えてなくなっていた。それというのもジョージには数年前から愛人がおり、愛人との間に子供まで作っていたのである。

それなりに理由のあることではあったが、ヘクターが愛人を作る理由にはならない。ヘクターとキャロラインはいずれも既婚者であり、れっきとした不倫関係であることに変わりはない。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

☆リリーの門出(かどで)……リリーはザ・ロケッツの入団試験を受けるため、ニューヨークへと旅立った。ヘクターが乗ってきた最新鋭機に乗ったので無事に到着することだろう。朗報を聞くことが出来るのは何時になるのだろう?☆ヘクターとキャロライン……ヘクターはキャロラインの手練手管にやられ、夢中になって彼女を追いかけていた。執拗に迫るヘクターを適当にあしらっていたキャロラインだったが、熱意に負けたという体(てい)を装い、最後にはヘクターに身を任せた。彼女もジョージには以前から愛想を尽かしており、ジョージ自身もキャロラインへの愛情はすっかり消えてなくなっていた。それというのもジョージには数年前から愛人がおり、愛人との間に子供まで作っていたのである。それなりに理由のあることではあったが、ヘクターが愛人を作る理由にはならない。ヘクターとキャロラインはいずれも既婚者であり、れっきとした不倫関係であることに変わりはない。