小説「海と陸の彼方へ」

 

第二章エドゥアルドの復讐

 

第11話復讐計画その4「イカサマを逆手に取りホセを嵌める①」

 

前書き

母屋のキッチンでは家政婦のカルメン・ロドリゲス45歳が農園内の建物の清掃や整理整頓を終え、エドゥアルドの部屋の清掃を始めた。料理人のマルコ・ガルシア35歳は夕食の準備を始めている。エドゥアルドAは帰ろうとするルシア・ガルシアを引き止め、夕食をともにしようと誘った。ルシア:一度亭主に連絡しないと不味いわ。エドゥアルドAさん、今からからみんなを呼んでディナーパーティを開いてもらうと助かるのだけど。エドゥアルドA:そうか。それならご主人も呼ぶことが出来るから貴女も言い訳が立つというものだ。手配してできるだけ人を沢山呼ぼう。ルシアはセクシーな教師を演出してエドゥアルドAを誘惑することに成功したが、今度はエドゥアルドAが用意してくれたエレガントなディナーパーティー向けのロングドレスに着替えた。

 

本文

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登場人物「1935年1月1日時点」
ルドラ・バッシャール24歳。企業からの収益金250万米ドル。1,340万米ドルの普通預金「アドリアナと交換したもの」。金塊127トン「運用利息月利3,810万米ドル、日歩127万米ドル」。ブエノス・アイレス司法府裁判検事。ルドラ映画産業㈱会長兼オーナー「資本金6千万アルゼンチン・ペソ」。ルドラ金融㈱会長兼CEO。ボリビア化学薬品㈱会長兼オーナー「資本金1千万米ドル」。ボリビア薬品チェーン㈱会長兼オーナー「資本金1千万米ドル」。
インタイ・アルマンドは16歳。ラ・パスの一流大学の医学部修士卒博士号取得「飛び級」。現在は同大学で助手を務めながら工学を専攻しており、医師免許も持っています。ボリビア薬局チェーン㈱社長兼COO。普通預金250万米ドル。純度99.9%の粉末コカインを1トン所有。
エドゥアルド・ガルシア24歳。元コロンビア:ウィラ地区にコーヒー農園を所有する地主だったがイカサマ賭博に引っかかり、農園と1千万米ドル及び妻のローザ・ガルシア22歳を奪われる。
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ニューヨーク市の行政地図

アメリカ合衆国東部
昭文社「コンパクト世界地図帳」P52


フロリダ州の地図と出典「南部にマイアミ、更に南部にホームステッドがある」

カリブ海域
岩波現代文庫「コロンブスからカストロまで(Ⅰ)」E.ウィリアムズ著。巻頭の図。

コロンビア共和国
明石書店「コロンビアを知るための60章」二村久則編著。P14

コロンビアのアンデス山脈
明石書店「コロンビアを知るための60章」二村久則編著。P19

コロンビアの河川
明石書店「コロンビアを知るための60章」二村久則編著。P24

マフィアの組織図「パブリックドメイン」

 

1935年2月21日木曜日午後6時:フィンカ・ロス・スエーニョス農園・母屋
明日の朝早くからホセたちと一緒にメデジンの旧カルロス牧場まで行くことを決め、ホセたちがホクホク顔で帰ったあとルシア・ガルシア42歳がそっとエドゥアルドAの寝室から出てきました。彼女とは午後3時にここで待ち合わせてから午後5時までの2時間という長い時間を親密に過ごしていたのです。

ホセたちが急に訪れたため急遽寝室のベッドの中で待機させていたのですが、彼女はビクトリアがロドリゲス農園農婦頭のカルメン・アルバレス36歳と口論している場面を目撃したことがあると言い出した。

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☆口論の場面
農婦頭:分け前を寄越さないと牛に下剤を飲ませたことを警察に言いますよ。

ビクトリア:渡した金額以外は払わないよ。言えるもんなら言ってみれば良いよ。お前が実行犯だから、私が捕まればお前も捕まるのは間違いないからね。

ビクトリア:お前が口を滑らしてダニエル・モラレス(46歳)「カリ市警の警部」に秘密を漏らしたことは知っているんだ。ダニエルが私を脅してきたからね。

農婦頭:ぐぬぬ!この毒婦め。ダニエルをどうやって黙らせたんだい?

ビクトリア:金を掴ませたのさ。だがな。お前には一銭もやらないよ。やっても無駄だと分かっているからな。今度サツに密告したことが分かったら一家皆殺しにしてやるぜ。
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ルシアの話を聞いて、エドゥアルドAは考えた。
「するとカルメン・ガルシアはすべてを知っている訳だな。どうして仲間割れをしたんだろう。約束した分け前というのは、牛に下剤を飲ませた報酬のことだろうな」

「いくら支払うと約束したのかは分からないが、それなりの報酬は払っただろう。カルメン・ガルシアはその額では納得しなかった。もう少し寄越せ」

「そんな感じだろう」

母屋のキッチンでは家政婦のカルメン・ロドリゲス45歳が農園内の建物の清掃や整理整頓を終え、エドゥアルドの部屋の清掃を始めた。料理人のマルコ・ガルシア35歳は夕食の準備を始めている。エドゥアルドAは帰ろうとするルシア・ガルシアを引き止め、夕食をともにしようと誘った。

ルシア:一度亭主に連絡しないと不味いわ。エドゥアルドAさん、今からからみんなを呼んでディナーパーティを開いてもらうと助かるのだけど。

エドゥアルドA:そうか。それならご主人も呼ぶことが出来るから貴女も言い訳が立つというものだ。手配してできるだけ人を沢山呼ぼう。

エドゥアルドAは一家総動員で知り合いに電話して臨時のディナーパーティ出席を呼びかけた。ルシアには、次のような衣装を用意した。

エレガントなディナーパーティー向け
・ドレス: ブラックのベルベットのロングドレス。背中が大きく開いたデザインで、女性らしいシルエットを強調します。
・タイツ: ブラックのシアー(透け感のある)タイツ。
・インナー: シルクのストラップレスブラとハイウエストのシームレスショーツ。
・ベルト: シンプルな黒のサテンベルトでウエストを強調。
・シューズ: ブラックのストラップ付きハイヒール。
・アクセサリー: ダイヤモンドのチョーカーとマッチングのイヤリング。
・バッグ: シルバーのクラッチバッグ。

彼女は今まで着ていた美熟女教師の衣服を脱いで着替えた。今までの衣服は次のようなものである。

セクシーな教師を演出してエドゥアルドAを誘惑
・トップス: シアー素材の白いブラウス。インナーにはレースのブラレットを合わせます。
・ボトムス: ハイウエストのタイトなペンシルスカート。スカートの裾は膝上で、スリット入りです。
・シューズ: レッドのポイントトゥハイヒール。
・アクセサリー: ゴールドのステートメントネックレスと大きめのスタッドイヤリング。
・バッグ: ブラックのレザークラッチバッグ。

この教師服は十分にエドゥアルドAを魅了し、その役割を果たした。

夕暮れ時、エドゥアルド農園の母屋では、特別なディナーパーティーの準備が進められていました。カルメン・ロドリゲスはエドゥアルドの部屋を清掃し、その後は料理人のマルコ・ガルシアと共に夕食の準備を手伝いました。キッチンは香ばしい香りで満ち、心地よい活気が漂っていました。

エドゥアルドAはルシア・ガルシアを引き止め、彼女の提案で急遽ディナーパーティーを企画したのです。ルシアは一度家に帰って夫に連絡を取り、その後エレガントなロングドレスに身を包んで戻ってきました。彼女のドレスは深いネイビーブルーで、シルバーのアクセサリーが彼女の首と耳を飾っていました。

ゲストとして招かれたのは、カルメン・アルバレスとそのご主人のラファエル・アルバレス、ルシアの夫で地元教育委員会のメンバーでもあるフェルナンド・ガルシア、そしてロサリアとアナでした。彼らはそれぞれ異なるスタイルのエレガントな服を身にまとい、パーティーの場に華を添えました。ロドリゲス農園の農夫頭のルイス・アルバレス40歳と農婦頭カルメン・アルバレス36歳のふたりも招待しましたが、彼らは姿を見せませんでした。

ディナーパーティーは広々としたダイニングルームで行われました。テーブルは白いテーブルクロスで覆われ、シルバーのキャンドルホルダーにはろうそくが灯され、優雅な雰囲気を演出していました。テーブルの中央には新鮮な花々のアレンジメントが飾られ、その周りにはクリスタルのグラスとシルバーのカトラリーが並べられていました。

マルコ・ガルシアはコロンビア料理の名物を取り揃えた豪華なディナーを提供しました。前菜にはエメラルドグリーンのアボカドとトマト、レッドオニオンを使用したサラダが出されました。メインディッシュは、ジューシーなグリルチキンとココナッツミルクで煮込んだライス、そしてプランテンを添えたものでした。デザートには、コロンビアの伝統的な甘いデリケートなデザートである「ブレザス・デ・レイナ」が供されました。

パーティーは楽しく、笑顔と笑い声で溢れる温かい雰囲気が漂っていました。エドゥアルドAとルシアは特に親しげで、彼女のセクシーな教師としての演出がエドゥアルドAの心をつかんでいたことは明らかでした。彼らは時折目が合い、微笑みを交わしていました。

ディナーパーティーは成功裏に終わり、ゲストたちは心からの感謝を示しながら家路につきました。この夜は、新たな友情と深まる関係の証となりました。

☆パーティ終わりの夜10時頃
エドゥアルドAが中庭に出てみると、ロドリゲス農園の農夫頭のルイス・アルバレス40歳と農婦頭カルメン・アルバレス36歳のふたりがとぼとぼと帰っていくのが見えました。エドゥアルドAは彼らに声を掛けました。

エドゥアルドA:何だ。今頃来たのか。パーティは終わってしまったぞ。農園の仕事も大変だな。今まで仕事をしていたのか?

ルイス:いえ。そうではありません。時間通りには来たのですが、カルメンがこの農婦服では恥ずかしいと申しましてね。入るのを躊躇していたのです。

エドゥアルドA:そうだったのか。それは僕が悪かった。衣装ならいくらでも家にあるから用意したのに。今からでも遅くないから持っていきなさい。

エドゥアルドAは彼らに適した衣装を選ぶために、家の中のいくつかの部屋を案内しました。彼らはそれぞれの部屋で衣装を選び、試着を始めました。

ルイスはクラシックなスタイルの黒のスーツを選びました。スーツは完璧にフィットし、白いシャツと黒のネクタイを合わせて、彼の姿を一層引き立てました。彼は革靴を選び、全体のルックを完成させました。

一方、カルメンはエレガントなネイビーブルーのワンピースドレスを選びました。ドレスは彼女の体型を美しく見せるデザインで、彼女の肌の色とも完璧に調和していました。彼女はシルバーのアクセサリーを選び、そのドレスに合わせて、シックなハイヒールを選びました。

二人は新しい衣装でダイニングルームに入ってきました。彼らの姿を見て、エドゥアルドAは満足そうな笑顔を見せました。彼らはテーブルに着き、残された料理を楽しむことができました。

ディナーはコロンビア料理の美味しい料理で構成されていました。彼らは前菜からデザートまで、マルコ・ガルシアが作った料理を味わいました。彼らは料理の美味しさと、エドゥアルドAの温かい歓迎に感謝の意を表しました。

この夜は、異なる農園のコミュニティが一堂に会し、互いに支え合うことの重要性を再認識する特別な時となりました。そして、ルイスとカルメンは、彼らが大切にされていることを感じることができました。

☆ヘクターからの電話
ルイス、カルメンのふたりとワインを楽しんでいるとき、ヘクターから電話が掛かりました。

ヘクター:エドゥアルドAさん。調査が終わりました。ダニエル・モラレス(46歳)さんはイカサマ賭博事件の有力な証人を突き止めていました。

エドゥアルドA:カルメン・アルバレス36歳さんのことだろう。

ヘクター:何で知っているんですか?

エドゥアルドA:今ここにいるから話をしてみろ。

エドゥアルドAは電話をカルメンに替わった。カルメンは訝しげにしていたが、エドゥアルドAに言われるがままに電話を替わった。カルメンはヘクターの話を聞くと顔色が変わった。

カルメンは放心状態で受話器をエドゥアルドAに替わった。

エドゥアルドA:ヘクター。カルメンは認めたか?

ヘクター:旦那もおひとが悪いね。認めましたよ。録音テープを今取ったからこれを警察に渡せば逃れられませんよ。

エドゥアルドAはカルメンとルイスに録音テープを取ったと話した。

カルメンとルイスはエドゥアルドAに頭を下げてお助け下さいとすがった。

エドゥアルドA:お前たちがエミリアの指図に従うなら警察に告発するのは勘弁してやろう。

カルメン、ルイス:何でもエミリアさんの言うことに従います。

エドゥアルドA:今エミリアに電話してそう言え。

カルメンとルイスはエミリアに電話して「エミリアさんの指図に従いますから命令して下さい」と告げた。

これで前準備は完了だ。あとはメデジンの旧カルロス牧場でホセとビクトリアが闘牛賭博を誘ってくるのを待つだけだ。

エドゥアルドA:お前たち。ビクトリアから口止め料をいくらもらったのだ。

カルメン:ルイスも私も1,000ドルずつです。

エドゥアルドA:合計2,000ドルか。あいつらが儲けた総額は5千万ドルほどだな。それに比べると少なすぎるな。

カルメン:そうでしょう。ですから私はビクトリアに5万ドル要求したんですよ。でもあの強欲な女は拒否したんです。ヘクターさんは言っていました。カリ市警の警部ダニエル・モラレス(46歳)さんには口止め料を10万ドルも払ったそうです。結局私達のような農夫、農婦をバカにしているんですよ。何も出来ないってね。

エドゥアルドAはカルメンに3,000ドル渡し、「これをやるから機嫌を直せ。良い女が台無しになるぞ」となだめた。ルイスがトイレに立った隙にカルメンを抱きしめ、唇を奪った。カルメンは途端に機嫌を直し、「また会いに来て下さい」と全身で品を作った。

1935年2月22日金曜日午前8時:フィンカ・ロス・スエーニョス農園・滑走路
エドゥアルドAはメデジンの旧カルロス牧場へ行くため、自分の農園にある飛行場へ急いだ。エミリア、ホセ、ビクトリア、カルメン・アルバレスの4人はすでに到着していた。メデジンまでは1時間半もあれば行くことが出来る。ホセとビクトリアは後部座席に座り、エドゥアルドAとカルメンが運転席のすぐ後ろの席、その後ろにエミリアが一人で座った。荷物は積んでいないので人は10人まで乗れるのである。

流石にすぐ後ろの席にエミリアが座っているので、エドゥアルドAとカルメンは1時間半の間中いちゃついたりキスをして楽しむだけに留めておいた。エミリアにカルメンとの仲を疑われるのも具合が悪い。カルメンに「エミリアの命令を忠実に守れ」と指示しているのにエドゥアルドAとカルメンが出来ていることがバレると厄介なことになる。

☆午前10時:メデジン・旧カルロス牧場
飛行場に到着し、ソフィアたちの歓迎を受けた。従業員たちもエドゥアルドAを歓迎してくれている。

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カルデロン一族の構成
家長: カルロス・カルデロン「インタイに射殺された」
年齢: 48歳
職業: 地主、牧場主、コーヒー農園主
特徴: メデジン市に近い丘の斜面に広大な牧場を持つ。ウィラ地域でコーヒー農園を持つ。アンティオキア地方及びウィラ地域で最も裕福で影響力のある人物。
妻: ソフィア・カルデロン
年齢: 45歳
職業: 社会活動家、慈善家
特徴: 地域社会での教育と健康に関するプロジェクトを支援。
長男: ミゲル・カルデロン
年齢: 25歳
職業: 経済学者、家族ビジネスの後継者
特徴: 留学経験があり、家族ビジネスを現代化するアイデアを持っている。
長女: イザベラ・カルデロン
年齢: 23歳
職業: 獣医
特徴: 牧場での動物の健康管理を担当。
次男: アレハンドロ・カルデロン
年齢: 20歳
職業: 大学生「農学部」
特徴: 環境保全と持続可能な家畜飼育に興味を持つ。
三男: フェリペ・カルデロン
年齢: 18歳
職業: 高校生
特徴: 音楽と芸術に優れた才能を持つ。
家庭内スタッフ:
マリア: 家政婦
ホセ: 庭師
エレナ: シェフ
ルイス: 運転手

この一族は、表向きアンティオキア地方での家畜飼育ビジネスとウィラ地方でのコーヒー農園経営ビジネスと地域社会への貢献で高い評価を受けています。家族それぞれが持つ専門的なスキルと情熱で、ビジネスと社会活動をバランスよく運営しています。
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ソフィア・カルデロン自らが牧場を案内してくれ、飼育している闘牛「全部で20頭いる」の畜舎を案内してくれた。彼女の話によれば闘牛用の牛は生まれたときから特別待遇を受けるそうである。

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闘牛はスペインや一部のラテンアメリカ諸国で行われる伝統的なイベントであり、そのために特別に育てられた牛が使用されます。以下のようなプロセスで闘牛が育てられ、管理されます。

1. 牧場と選定
・専門の牧場:闘牛は専門の牧場で育てられます。これらの牧場は、特定の血統や品種の牛を育てることで知られています。
・選定:牛は若いうちからその体格や性格によって選定され、闘牛としての資質があるかどうかが評価されます。
2. 育成期
・広い放牧地:闘牛は広い放牧地で自然な環境で育てられます。これにより、牛は健康で強靭な体を持つことができます。
・個別の管理:牛は個別に管理され、それぞれのニーズに応じたケアが提供されます。
3. 訓練
・専門のトレーナー:闘牛は専門のトレーナーによって訓練されます。この訓練は、牛が闘牛場での挑戦に対応できるようにするためのものです。
・体力と技術の向上:訓練期間中には、牛の体力と技術が向上します。
4. 闘牛場
・適切なケア:闘牛場に到達すると、牛は適切なケアを受け、闘牛の前に最適な状態になるよう準備されます。
・ベテランの闘牛士:闘牛士はベテランであり、牛との闘いに必要な技術と経験を持っています。
5. 退役後
・退役:一部の牛は闘牛後に退役し、牧場で余生を過ごすことがあります。
・肉用:残念ながら、多くの牛は闘牛後に肉用として処理されます。
このように、闘牛は専門的な管理と訓練の下で行われる伝統的なイベントであり、牛はその生涯の大部分を専門のケアを受けながら過ごします。
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以上は闘牛士と戦う闘牛の育成だが、闘牛場は闘牛同士が戦う場でもあり、闘牛士と戦う闘牛と同様に育成されていた。

以前はビクトリアが牛のトレーナーをしていたが、今は牧場主のソフィア自らがトレーナーをやっているそうである。カルメン・アルバレスが畜舎の責任者をやっていた。

☆ホセとビクトリアの会話
ホセ:あいつは5千万ドルが最低単位だと言っていたが、俺はそんな現金を持っていないぞ。

ビクトリア:そうね。ロドリゲス農園を担保に入れても総額1千万ドル行くかどうか怪しいわね。ソフィアさんに借りるのはどうかしら?

ホセ:ソフィアさんならいくらでも持っているだろうが貸してくれるのは一度だけだな。

ビクトリア:最初の戦いからもう負けるわけには行かないわね。私達が先に2頭選ぶでしょう。次にあいつが一頭選んだその日のうちに弱い毒を仕込んで置きましょう。

ビクトリア:試合の直前にも下剤ともう少し効き目の強い毒を与えておけば先ず負けることはないわ。その牛が棄権するように仕向けるのよ。棄権すれば私達の勝ちよ。

そこにエドゥアルドAに牧場を案内していたソフィアが戻ってきた。エドゥアルドAは牧場内を馬で見回っているそうである。

ホセ:義姉さん。お願いがあるんですけど。

ソフィア:分かっているわ。お金のことでしょう?私が一回目のお金は用立ててあげるわ。勝ち金は貴方が3割で私が7割にしましょう。負けた場合は、農園の土地と建物の権利書「1千万ドルの査定」は私がもらうし、残りの4千万ドルはホセさんの親兄弟の財産をすべて没収させてもらうわ。

ホセ:分かっていますよ。私の身内については連帯保証書に以前に署名させていますので大丈夫です。必ず勝つように細工しますのでね。お任せ下さい。

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

後書き

☆ヘクターからの電話……ルイス、カルメンのふたりとワインを楽しんでいるとき、ヘクターから電話が掛かりました。ヘクター:エドゥアルドAさん。調査が終わりました。ダニエル・モラレス(46歳)さんはイカサマ賭博事件の有力な証人を突き止めていました。エドゥアルドA:カルメン・アルバレス36歳さんのことだろう。ヘクター:何で知っているんですか?エドゥアルドA:今ここにいるから話をしてみろ。エドゥアルドAは電話をカルメンに替わった。カルメンは訝しげにしていたが、エドゥアルドAに言われるがままに電話を替わった。カルメンはヘクターの話を聞くと顔色が変わった。カルメンは放心状態で受話器をエドゥアルドAに替わった。エドゥアルドA:ヘクター。カルメンは認めたか?ヘクター:旦那もおひとが悪いね。認めましたよ。録音テープを今取ったからこれを警察に渡せば逃れられませんよ。